ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中02番外編3 後編』
 浮竹が頷いて藍染を見上げた。
「ああ、懐石料理の玻璃庵ってあるだろう。あそこの葛湯で、本来は料理の中でしか食べられないものがあるんだ。それを特別にお願いして」
「また特別かよ……」
 日番谷が唸る。藍染が再び不思議そうな視線を向けるが、それには京楽が答える。
「いやさ、市丸にもさっき尋ねたんだけどね。きちんと準備してあって、彼になかなかできないことをしているからさ」
「ああ、なるほど」
 藍染がくすりと笑い、日番谷を見た。
「僕の場合、かなり長いつきあいの店なんだよ。贔屓にしているし、だから頼めることなんだ。日番谷君はまだ若いんだから、そういうことはこれから先すればいいじゃないか」
 その言葉にギンが小さく笑い出した。堪えているのか、漏れるような声で笑っている。藍染がギンを振り返り、微笑んだ。
「どうしたんだい、市丸。何かおかしなことを言ったかな」
「いや、ボク、藍染さんが雛森ちゃんから何贈られてはるか、雛森ちゃんから聞いとるねん」
 ギンが笑いながら言うと、藍染の笑みが引きつった。それに構わず、京楽も浮竹も好奇心の眼をギンに向ける。日番谷も耳だけは澄ませていた。
「雛森ちゃん、ボンボンを十個、手作り詰めたらしいんやけどな。えらい可愛らしゅう笑うて『藍染隊長のために色々と工夫してみたんです』言うてなあ」
 十個。自分が雛森から贈られたボンボンの数は六個だったと日番谷は瞬時に差を数え、少し落胆する。しかし顔には全く出さず、そっぽを向いたまま耳だけをギンに向けた。
「ボンボンて、女性死神協会が作り方公表しとったんや。えらい怖ろしいもん作ってはるさかい、中身なに入れはったか聞いたら、すごいで。あれやで」
 ここでギンはにぃと笑って藍染をちらりと見る。
「養命酒」
 京楽と浮竹が同時に吹きだした。
 藍染はにこやかに微笑んでいるが口元が明らかに引きつっている。それを見上げて、日番谷は幼い頃の雛森を思いだしていた。昔から一生懸命なあまりに方向性を大きく間違える奴だったなあと、日番谷は感慨にふける。
「十個中、五個が普通の酒で、四個が養命酒ですやろ? 藍染さん? そら、日番谷さんのこと若い言わはるはずですなあ。なにしろ養命酒もろうてるお人ですもんなあ」
 ギンは愉快で堪らないというようにへらへらと笑って藍染を覗き込む。藍染はそれに笑って、
「ははは、言っておくが浮竹と京楽の方が僕より先輩だからね」
と答えた。しかし京楽はにこやかに、
「いやあ、さすがに僕は養命酒入りはもらったことがないよ」
と言い切る。浮竹は苦笑して、俺は常に薬を飲んでいるからなあ、と言った。
「君達、僕に味方する気はないのかな」
 藍染が引きつった笑みのまま言う。京楽も浮竹も爽やかに首を横に振った。
 日番谷がふと気付いて藍染を見上げた。
「そういや、残りの一個の中身は何なんだ。藍染」
 ひくっと藍染の顔が更に引きつった。ギンが更に笑みを深める。日番谷がギンに目をやると、ギンがにたりと笑い、
「……媚薬」
とだけ言った。
 藍染は引きつったままの顔で、
「いや……阿近君に、隊長格に効き目があるかどうか試したいと頼まれたらしいよ。僕も、最初にその媚薬入りを食べてみてくれと言われて食べたんだけどね……食べたんだよねえ……食べた後に知らされたんだよねえ……」
と遠い目で話す。その横でにやにや笑ったままのギンが、
「雛森ちゃん、ボクにもそう説明しはったけどな、実際にそうらしいけどな、雛森ちゃんの考えはどうなんやろなあ……まあ、自分の隊長さんで試すあたりすごいわあ、雛森ちゃん」
と明らかに面白がっている声で言う。
 京楽と浮竹と日番谷は無言で顔を見合わせた。



5.受け取る人に聞いてみよう

 ぐったりと原因不明の疲れを感じつつ日番谷が執務室に戻ると、乱菊がソファから体を反らしてこちらを見た。
「どうしたんですか、隊長。お散歩長かったですね」

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02月24日(日)
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