ID:104863
G*R
by K・カヲル
[120054hit]
■『女性死神協会 会議中02番外編2(後半)』
「なに迎えにきてもらってるんすか。てめぇで行きなさいっつうのてめぇで」
やちるは気にとめずに七緒を見上げて、懐から桃色の布を取り出して広げてみせる。
「見て見て、新しいエプロン。ゆみりんが作ってくれた」
「ガン無視かこら」
「よかったですね。可愛いですよ」
「あんたも無視ですか伊勢副隊長」
ますますふて腐れる一角を見下ろして七緒は眼鏡の位置を直した。
「いえ、私がお迎えにあがって当然なのです。本日は草鹿副隊長に教えを請う立場ですから」
一角が目を見開く。七緒はやちるに真っ直ぐに向き直ると小さな紅葉のような手を取って、
「草鹿副隊長、いえ、会長! 今日はご指導の程をどうぞよろしくお願いします!」
と力強く言った。やちるもまた真面目な顔をして、
「頑張ろうね、ななおちゃん!」
と頷く。
一角は二人を交互に見ていたが、やがてぽつりと、
「ウチの副隊長が教わる方なんじゃなかったのかよ」
と呟いた。それを聞いてやちるが口を尖らせる。
「だからさっきから言ってんじゃん。あたしがセンセイするんだから、今日はもう仕事お終いって」
「だっててめぇが出来ることっつうたら、チョコ砕いて溶かして固めるだけじゃねえか」
一角の言葉に七緒の肩がぴくりと揺れた。急にひやりと部屋の温度が下がる。一角は肩に重さを感じて視線を上に向けた。
七緒が冷ややかな眼で一角を見下ろしていた。
「申し訳ございません。私、チョコを砕いて溶かして固めるだけも出来ませんので」
たらりと冷たい汗が一角の背を流れ落ちた。一角は小さく、
「い、いや、申し訳なくないっす……」
と答える。七緒は視線をやちるに向けると、柔らかく微笑んだ。
「乱菊さんには直接八番隊に来て頂けるように言ってありますので、このまま参りましょう。今日はよろしくお願いしますね」
「うん。三人で頑張ろうね」
やちるは頷いて、自分の机から風呂敷包みを取り出すと背負った。そしてくるりと剣八の方を振り向く。
「じゃあ剣ちゃん、楽しみにしててね。行ってきまーす」
剣八は何も言わず、眼で頷いた。やちるは跳ねるように扉から出ていく。七緒は扉で部屋に向き直り、
「では更木隊長、失礼致しました」
と深く礼をして出ていった。
扉の閉まる音と同時に一角は大きく息を吐いて、口は災いの元かよと呟く。ずっと黙っていた剣八はそれを聞いてにやりと笑った。
はい、後半戦です。十二番隊ですが、阿近さんはそう滅多に技術局から出ないとは思うのですよ。ただ、マユリ様に呼ばれた場合は当然としても、ネムさんに頼まれたら「怠い」と思いつつも出てくるといいなあと妄想を。
十一番隊では、まあ、予想通りに。剣八さんの影が薄いのが悔しいのですが、一角を冷ややかに見下ろす七緒さんを書けたので満足です。
02月22日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る