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G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中02番外編2(前半)』
 乱菊がそう言うとギンは破顔して立ち上がり、日番谷に勝ち誇ったように笑った。日番谷は黙り込んだまま、ギンを睨み上げる。乱菊は七緒に振り返った。
「で、七緒はどうしたの」
「はい。今夜の件ですが、八番隊の方でお願いします。それと、こちらが回覧物です。お早めに」
「はーい、了解」
 乱菊が受け取った書類をぱらぱらと確認する。七緒は睨み合う隊長二人を振り返り、四度目の溜息をついて、一礼した。



(二月十三日 四番隊給湯室)
 花太郎に案内されて通された甘い匂いの四番隊給湯室で七緒が見たものは、三角頭巾に割烹着姿でチョコレート色の生地をこねている勇音の姿だった。
「……今日って、もしかして非番だったんですか」
 七緒がおずおずと尋ねると、思い切り勤務外、という姿の勇音は照れたように笑う。
「そうなんです。他の人と交代したものですから、急にお休みになって。せっかくなので、明日、皆さんにあげようと思ってチョコ作りしてるんです」
「明日まで待ちきれないくらいに良い匂いですよ。副隊長」
 花太郎は嬉しそうに勇音に笑いかけた。勇音もまた花太郎に笑いかける。
「楽しみにしていて。沢山作るつもりだから」
「はい。では僕はこれで失礼します」
 花太郎は体をかくんと折り曲げるように一礼して出ていった。その背中に礼を言って、七緒は勇音に向き直る。
「七緒さんはどうされたんですか」
 勇音が首を傾げた。
「あの、次の虚討伐の際に派遣してもらう予定の斑を確認したいと思って来たのですが、非番では申し訳ないですね。急ぎではないので、また明日にでも」
 七緒はそう言って困ったように笑ったが、勇音は、あら、と頭巾を取る。
「いえ、大丈夫です。この生地ももう寝かしますし。ちょっと待って下さいね。片付けますから」
「ごめんなさい」
「当然です。気にしないで」
 勇音は勤務中の表情になって笑った。そうすると途端に勇音は割烹着姿でも凛々しくなる。七緒はそれを眺めて、背筋を伸ばした。そして視線を机の上に移す。
 首を傾げた。
「勇音さん。これって、会議のときに下さったお菓子とは違いますよね。あのお菓子、女性死神の間でも評判ですのに」
 机の上に並ぶものは、チョコレートを使った焼き菓子が中心だ。先程勇音がこねていた生地も、先日の会議で発表した菓子のものでないことくらいは七緒も判る。問いかけると、勇音はわずかに顔を赤くした。
「いえ、だって、ほら……」
 がちゃりと背中で扉の開かれる音がした。
 七緒が振り返り、勇音もまた顔を上げる。扉からは荻堂が片足だけ部屋に踏み入れて、そして止まった。
「あ、失礼しました。お取り込み中でしたか」
「いえ、大丈夫です」
 出ていこうと扉を閉めかけた荻堂に、七緒は声を掛けた。そして勇音を振り返ると勇音は戸惑ったような顔をしている。荻堂は半身だけ部屋に入り、背筋を伸ばして一礼した。
「では失礼します。副隊長、先日申し上げた件ですが万事整いましたので。明日にでも確認をお願いします」
「あ、はい、判りました。ご苦労様でした」
 勇音も背筋を伸ばし、軽く頭を下げた。そして肩を下げてほうと息をつく。荻堂は勇音から目を離し、机に視線を移した。そして眼をつうと細める。
「副隊長。先日の菓子になさらなかったんですね」
 荻堂の言葉に勇音の肩がびくっと上がる。
「あれ、とても美味しかったんですけどね」
「えっ、だ、だって、別にみんなを口説くわけ、じゃないしっ」
 急に赤くなった頬を押さえて勇音が慌てたように言う。荻堂は淡々と表情を崩さない。
「いやですねえ、副隊長。あの菓子は皆でわいわい食べた方が楽しいじゃないですか。いえ、まあ別に、副隊長が不埒な事態をご想像なさるのは自由ですけどね」
「えっ? ふ、ふっ、不埒な想像なんて、してな……っ」
「あのチョコ菓子でそこまでお考えになるとは、僕も全くの想定外でした。いや、さすがは副隊長。大人でいらっしゃいますね」
「だ……っ、だからっ」
「ですがね、副隊長。あのお菓子は」
 そこで荻堂は言葉を切ると、真っ赤になって狼狽えている勇音の眼をじっと見上げた。

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02月21日(木)
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