ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中01・前半』
「三番隊、市丸ギン隊長。日光に溶けてしまいそうな淡い髪はさらさらストレート。実はとても柔らかい髪質で、だから撫でるとまるで猫のようです。細い眼は真意を掴みにくいと言われるけれど、その奥には暖かいお人柄が隠れていることが見えるはずです。常に笑顔を絶やさない市丸隊長は、その微笑みで隊の雰囲気を和らげます。勤務時間中もよく出歩いているお姿を見かけるかもしれませんが、それは市丸隊長自ら、隊の様子を見回っているということ。屋根や木の上や影から、自分の部下達の仕事ぶりを見ているのです。吉良副隊長がよく書類を振り回して隊長を捜していますが、あれもまた副隊長と打ち合わせ済みのこと。ああして副隊長もまた、自然な形で隊員の働きぶりを知ることができるのです。市丸隊長はそうやって細やかな心遣いで」
「待った!」
 七緒が顔を引きつらせて朗読を遮った。勇音が顔を上げて困ったような顔をする。
「紹介文にしては事実無根のことばかりと感じるのですが」
「いえ、でも、あの、これは全て市丸隊長ご本人から……」
 七緒が訝しげな顔をする。
「隊長ご本人がどうして?」
「あの、情報元は教えて頂けなかったんですけど、市丸隊長は前回の会議の内容を何故かご存じで、先日、私の元へいらっしゃって」
 そこで勇音は周囲をきょろきょろと見渡して、上目遣いで七緒を見た。
「……こうしぃひんと、みんなイヅルの味方しよるから、って……お茶菓子を持って」
「権力と誘惑に屈してはいけません。事実を曲げずにお書き下さい」



「次の方! 五番隊をお願い致します」
「うむ」
 砕蜂が胸を張って朗読する。
「五番隊、藍染惣右介隊長。藍染隊長の魅力といえば他でもない、あの優しげな微笑みだろう。微笑みの貴公子とも呼ばれるその笑みは、見る者に安心を与え、ときにはときめきすら与えてしまう。そして笑みを浮かべた口からは低い響きの柔らかい声。その声が語るのは誠実な言葉。そして隊長としてのあの安定感。たとえ宿命に翻弄されようと、彼はあなたのポラリスとして輝いている。藍染隊長とマフラーを巻いて初雪を共に」
「お待ち下さい!」
 額を抑えて七緒が朗読を遮った。砕蜂が不満げに口を曲げる。
「どうした。まだまだあるぞ」
「……どこか現世の方で聞いたことのあるフレーズがここかしこにあるのですが」
「ああ、まあそうだろう。あのドラマもその後の騒ぎもなかなか愉快だった」
 砕蜂が満足げに大きく頷いた。
「貴様も藍染の冬の装いを見たことくらいあるだろう。あれはどうみてもそのままだ。私だけではなく他の者もそう思っているに違いない。どうせ印象はそう変わらん。奴も意識しているんじゃないか? 意外にミーハーだからな。先日、マフラーを似たような巻き方にして歩いていたぞ」
 七緒が拳を震わせている。
「それにしましても文章が決まり切った文句だらけなのですが」
「現世の週刊誌を参考にしたが」
「参考じゃなくて全文ほぼ丸写しじゃないですか! 面倒がらずに自分の文章できちんと書いて下さい!」



「次の方! 六番隊をお願い致します」
「……はい」
 ネムが静かな声で朗読を始める。
「六番隊、朽木白哉隊長。知らない人はいない朽木家の当主である朽木隊長は、実は非常に重度の妹コンプ」
「ストップストップ待ってそれまずいからああもう待ちなさいっ!!」
 七緒の慌てた制止に、ネムが顔を上げて首を傾げてみせた。七緒は息も荒くつかつかと硬い足音で歩み寄ると、ネムの手から紹介文の文章が書かれた紙を取り上げ、ざっと読む。そして頭を抱え込んだ。
「七緒ちゃん?」
 やちるが一跳びで七緒の背後に飛びつくが、七緒は一瞬速くその紙を懐にしまい込む。
「だめです!」
「ちぇー」
 やちるは頬を膨らませて、くるりと宙返りして元の位置に戻る。その反動で七緒は少し揺らぎ、そしてずれた眼鏡をくくっと直してネムを見つめた。
「どこでこれ聞いたの?」
「マユリ様に」
「……どうしてあの人は自分の興味の範囲外のことは適当で……・いや、まあいいです。それは今はまあいいことにしましょう。それより」

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02月15日(金)
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