ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■雰囲気的な5つの詞(ことば):無
誰も何も言わなかった。
沈黙が降りた双極の丘に、風がゆるりと流れた。それすらも、この重い沈黙を吹き飛ばしはしない。
空のひび割れが完全に閉じる。
その途端、背後からざわめいた霊圧が現れ、それは勢いよく沈黙をうち破った。
「四番隊、ただいま到着致しました」
伊江村が多くの死神を率いて片膝をつく。彼の声に、そこにいた皆が振り向いた。
「雛森副隊長と日番谷隊長の蘇生を現在行っております。松本副隊長、至急四十六室へお急ぎ下さい。まだ油断は出来ない状況です。そして倒れていた吉良副隊長を保護しました。指示をお願い致します」
「よう来た。治療を頼む」
山本総隊長が頷き、乱菊に目線を向けた。
「松本、急ぎ四十六室へ向かえ。そして……」
総隊長の指示は続いていたが、乱菊は礼をすると踵を返して丘を飛び降りるように駈け降りる。ざわめきが背後に遠ざかり、乱菊は何気なく振り返った。
何事もなかったような青空がそこにあった。
一瞬、両手を空へ向けそうになり、乱菊は眉をひそめ、そして顔を歪めた。振り切るように前を向き、速度を上げて四十六室に倒れる上司へと駆けていく。
『05.ただ傍にいたかっただけ』
豆粒のように小さい姿でも、金色に揺れるあの髪のせいなのか単にもう眼が当然のように捉えるのか、ギンは見間違えることなく乱菊を見つめていた。
手首に背中に肩に、まだ気配が残っている。下ろせずにいた手首を見て傷を付けてもらえば良かったと考え、その考えにギンは笑った。傷痕が残ったとしても、もうこの懐かしい気配は溶けるように消えてしまうだろう。
虚の気配が充満する世界に入り、ギンは光の中でもう一度下界に目を向ける。こちらをじっと見上げているその姿を焼き付けるように、瞬きもせずに、赤い眼を開く。
もう少し。
傍にいたかったと、目を伏せる。
裂け目はゆっくりと閉じていった。
全て、あの藍染様さようならの日の出来事です。実は吉良の話を気に入っています。多分、あの光を見たときに本当にショックを受けたと思うのです。そして人はショックを受けたとき、それがあまりに大きいと笑ってしまうことも多いと思っています。私は実は笑う人です。
02月08日(金)
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