ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■冷えた身体に残る温度は
大人の声で乱菊は呟いて、曇り空を見上げる。冷たい風が乱菊の髪を揺らし、袴のすそをはためかせた。
「寒いのって、痛いなあ。ひりひりする」
寒いからなのか。
長い間ずっと、やわらかにゆるやかに暖められていたからなのか。
ひとり、になったからなのか。
乱菊は自分の腕で自分を抱きしめた。あのころのギンの腕は今の自分のそれよりずっと細かった。それなのに、記憶の中のそれは逞しく、大きかった。
その印象どおりの腕を持った現在のギンは、別の空間にいる。
「やっぱり、こっちに戻ってこなければよかったなあ……でも、やっぱり無理だったかな」
どこにいても、この寒さからは逃れられない。
「あっちは、寒くないのかしら……」
知らない空間。夜の世界。垣間見たことはあるが、乱菊は虚圏を知らない。直接知っている死神はそう多くはない。幾度かあったという大戦を乗り越えてきた古株か、斥候か、もしくは王族か。
ギンはどうして夜の世界を選んだのか。
ギンはどうして藍染を選んだのか。
少なくとも乱菊には分からない。分かる術もないし、おそらく、分かるには道が違いすぎた。
昔は傍にいたのに。
お互いの体温を分け合うほどに傍にいたのに。
次に会うのは相手を殺すときだ。
空は、まだ割れない。
悠然と白い雲が高いたかい空に流れている。
「……ねえ、痛いのよ」
寒空は、何も答えない。
こちらは「scrap paper」の2006年10月31日(火)に書いたメモを短編にしたものです……あまり変えられなかったなあ。すみません。あれはメモ程度とはいえそれなりに完成になっていたようでしたよ。書いていて、あれー、あまり書き足すことがないなあと思っていました。短編化も難しいようです。膨らませることができるものと、できないものがあるんですね。
そんなわけで、こちらはタイトルを考えてくださった、やー様に差し上げます。ありがとうございました。そしてすみません、一文字だけ加えさせていただきました。ごめんなさい。あまり変わらなかったのですが、よろしかったらもらってやってくださいな。
01月17日(木)
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