ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■地上の縁からのぞき込むと深遠の青が底もなく 7-1
 そこまで言うとリンドウは確認を求めるようにツワブキとスミレを振り返る。スミレは頷いて、
「それまでは何の気配も感じられませんでした」
と付け足した。ツワブキは両脇の二人をそれぞれ見て、そして頷く。リンドウが再び話し始めた。
「虚はあまりに大きく、また私達は虚との戦闘経験はありません。けれどこのまま村へ行かせてはならないと考え、時間稼ぎにしかならないとは思いましたが、それぞれ霊圧を解放して、自分達を囮にして虚を村から引き離そうとしました。逃げ続けていれば、虚に気づいた人が助けに来るだろうと考えてのことです。そうしてすぐに、松本さんがやって来ました」
「なるほど」
 頷いて少し考えるように藍染は眼を下に向けた。そしてすぐに顔を上げ、乱菊を見る。
「君が松本君だね。異変に気づいたときからのことを話してほしい」
「はい」
 乱菊は背筋を伸ばし、叫び声を聞いた時から、広場に駆けつけて四人で虚を囲むところまでをかいつまんで話した。そしてずっと気になっていたことを、少し躊躇して、口にする。
「藍染隊長、あの」
「何かな。何でも良いんだ。気づいたことは話してほしい」
「……あたしは広場に近い位置にいたのですが、そのときも、広場に向かっているときも、この三人以外の霊圧……気配も感じませんでした。あたしは最初に聞こえた悲鳴と、三人の霊圧を頼りに走ったんです。広場に入ったときに、急に、水の中に飛び込んだような感じで、虚の気配に気づきました。そんな虚がいるのでしょうか。あたし達がまだ教わっていないだけなんですか」
 乱菊の言葉に、藍染の両脇が体を揺らした。藍染はゆるりと笑う。
「いや……良いことを教えてくれたね、松本君。そんな虚の報告は受けていない」
 藍染は微笑みを絶やさないまま、ギンを振り返った。
「市丸君、君も異変に気づいたところから話してほしい」
「特に変わったことあらへん。級長さんと似たようなもんですわ」
 つまらなそうに答えたギンに、教師が眉をつり上げた。
「市丸。きちんと話しなさい」
「はあ」
 ギンは感情の読めない笑みを浮かべた。真っ直ぐに藍染に向かい、視線をぶつける。
「ボク、三人の乱れた霊圧どないしたんやろ思うてましたんや。そしたら、級長さんの霊圧がばぁんと跳ね上がりましてん。何かあったんやろか思うやないですか。それで行ってみたまでですわ。ボクも級長さんの言わはる通り、広場に着くまで虚の気配も何も分かりませんでしたわ」
「そうか。やはり、今回の虚は一定の距離以上は気配を消せるのかな。人の感知能力の差ではなくて、虚の特性と考えた方が良さそうだしね」
 藍染はそこでふっと笑みを浮かべた。少し異質なその笑みに、ギンだけは笑みを消して、再び口角を上げた。藍染は両脇の二人を見やる。
「これは少し調査をした方がよさそうだ。まず学院ではあの地域での実習を中止するようにして下さるようお願いします。君は引き続きあの地域の担当だが、後で僕からの申請で斥候を派遣してもらう。それまで注意しているように」
「はい」
 両脇の二人が深く礼をする。
「聞き取りはこれで終わりにしよう。まず調査を始めないことには、分かることは増えそうにない。君達もご苦労だったね。将来が有望そうだ。護廷十三隊で君達を待っているよ」
 そう言って藍染は微笑み、ギンを見やる。
「それにしても市丸君は、飛び級できる技量があると評判だし、実際に虚を斬るほどの実力があるのなら、いつでも入隊できると思うのだけれどね。いつになったら入隊してくれるのかな」
 ツワブキとスミレが目を見開いて顔を見合わせた。乱菊は無言でギンを見る。ギンがにやりと笑う。
「何言いはりますのや。ボク、六年間きっちり勉学に励むつもりですさかい、飛び級なんぞないですわ」
 ギンの返答に教師がキツイ眼差しを向け、そして溜息を大袈裟についた。
「藍染隊長。申し訳ありませんが、こいつは提出物やら出席日数やらで、どちらかというと留年しそうです」
「えっ、そうなんですか」

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06月09日(金)
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