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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「最高の人生の見つけ方」

ヘビーな作品が続いているので、かったるいかなぁと思いつつ観てきました。しかしジャンルが全く異なるため、別腹で楽しめました。ニコルソンとフリーマンの共演、監督がロブ・ライナーと言う事観ましたが、同じようなテーマは多いし、観る前は「良いだろうけど、普通の作品」の域は出ていないだろうと思っていましたが、鑑賞後は大幅にポイントを上乗せしたくなった作品です。
大富豪のエドワード(ジャック・ニコルソン)は一代で巨額の富を築くも、四回の結婚は全て離婚という、孤独な身の上。カーター(モーガン・フリーマン)は大学一年の頃にできちゃった結婚し、大学は退学。以来三人の子供のため、自動車修理工として、油まみれの45年間を送ってきた甲斐あり、妻や子供たち、孫に囲まれた暖かい家庭を築いています。二人は病院で同室となります。水と油の二人には共通点がありました。余命半年なのです。かつてカーターが大学生時代、恩師から教わったのが「棺おけリスト」なるもの。死ぬまでにしたいことを書きだすのです。面白がったエドワードは、それを実行すべく、二人で病院を抜け出し、世界中を旅しにに出ます。
予告編を観た人が感じる通りの作品です。想像通り予定調和でお話が進みますが、少し視点をずらして彩られた小技が利いて、味付けに新鮮さがあります。
確かに大富豪でも孤独なエドワードは、カーターにより友情のなんたるかを知り、お金儲けより充実した世界を知ります。しかしエドワードにその思いを抱かせたのは、お金の力もあるという描き方です。
私がこの作品を観ようと思ったのは、予告編でフリーマンが叫ぶ「45年間も油まみれで家族のために頑張ったんだ!好きにさせてくれ!」を観たから。この感覚は中年以降の主婦の専売特許だと思っていたのですが、考えてみれば、世のお父さん方の大半は、肯く言葉なのです。うちの夫もそうでしょう。私は自分だけが頑張っていたかのように、そのことを忘れていました。
もうすぐ亡くなる45年も連れ添った夫が、自分ではなく、つい昨日まで見ず知らずだった人といっしょに過ごすことを選ぶなど、妻としては大変心寂しいことです。妻のバージニアの気持ちがとってもよくわかる。でも私がカーターと同じ境遇なら?と考えた時、ものすごくカーターの気持ちもわかるのです。子供を育てるのに必死になり、ぎりぎりのお金でやりくりし、休日に休みたくても子供のためにと、試合の応援や遊びに連れていったり、あくせく動いていたはずのカーター。
貧しくとも暖かい家庭を手に入れて、妻は優しく子供たちは良い子に育ったのだから、これが幸せなんだと、思い込もうとしてたはずのカーター。本当の自分の人生は、他にあったんじゃないか?と考えたとして、当然だと思うのです。
しかしそんなカーターの気持ちを翻らせたのは、エドワードの孤独な身の上ではなく、彼の財力でした。アフリカで本物のライオンに囲まれて「ライオンは寝ている」をのんびり歌ったり、本物のレーサーのように車を走らせたり、スカイダイビングしたり、ピラミッドを観たりと、カーターの人生の辞書にはお金がかかり過ぎて、なかったことばかり。たっぷり楽しんだカーターは、絶景の景色を観る時、この景色を妻といっしょに観たなら、もっと楽しいのだろうなぁと、きっと感じたのだと思うのです。思い込もうとしたのではなく、自分の人生は本当に価値のある幸せなものだったのだと実感したのが、エドワードに向けての「君は僕を夫に戻してくれた」という、言葉だったのでしょう。
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05月16日(金)
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