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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ハンティング・パーティ」

火曜日に観てきました。実は見損ねている「つぐない」を観るはずだったんですが、時間がずれこみ1時50分は無理っぽい。しかし火曜日はテアトル梅田の会員はポイント倍押しの日。ワタクシ只今8ポイントで、それを足すと10ポイントになり、次回はタダ。なので火曜日は、絶対テアトル梅田に行かなければならなかったのです。
そんな訳で、ボーダーだったこの作品を、2時30分から観てきました。これが結構面白かったのだな。
サイモン(リチャード・ギア)とダック(テレンス・ハワード)は、戦場ジャーナリストとして、賞も取るなど活躍していました。しかしボスニア紛争の生中継中、怒りにかまけたサイモンのレポートは大失敗。それ以降コンビは解散し、今はサイモンは行方知れず、ダックは現場を離れNYで安定した仕事を任されています。数年後、ボスニアで仕事をしていたダックに、特ダネを持ってサイモンが現れます。この特ダネに再起を賭けるサイモンの熱意にほだされ、同行するダック。新米プロデューサーのベン(ジェシー・アイゼンバーグ)も加わり、三人の道中が始まります。
三人の道中は軽快でコミカル、そして軽薄。道中は道中でも珍道中の類です。うっそー、マジですか?そんなアホな、な展開が続出。普通の飲食店の店主に銃で威嚇されるわ、CIAに間違われるわ、危機一髪の時には天の助けがあるわで、脚本は面白いけどご都合主義がありまくりです。と言いたいとこなんですが、あな恐ろしや、これ実話なんですって。
最初に「まさかと思う部分が真実です」とテロップが流れるので、最初から実話とわかって観るのですが、いやーほんとにね、事実は小説より奇なりです。ジャーナリストが特ダネを目指して突っ走る実話が、何故軽薄かというと、正義のため社会のためというより、私利私欲でお三人さんとも突っ走るからです。
サイモンはお金と、あることの(隠すほどのもんでもないが)復讐のため。ダックは命がけの現場のスリルが忘れ難く舞い戻り、ベンは自分を小馬鹿にする局副社長の父親を見返すためと、全然正義など関係ないのですね。
冒頭ダックが銃弾が飛び交う戦場の仕事で、エクスタシーを感じていたという独白があり(もっと直接的に訳してましたが、淑女が○○なんて書けませんわよ。戸田なっちゃんは訳されてましたが)、彼の本心は死と隣り合わせの戦場が懐かしいとわかります。うわ〜〜、出た〜〜、と思う私。常々私の10才年上の親友が言うのですが、「男はみんな何かクセがあるねん」。
クセとはひとクセと言う意味です。それがあれば、何もかも捨ててもいいほど、熱中したりいれ込んだりするものが、男ならみんな必ず一つはあるという意味です。「王妃の紋章」や「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」など、女っけまるでなしで、ストイックに自分の欲望を追求する強烈な男たちと、根っこの部分ではダックも同じなのでしょうね。いやいつでも降りられるのに、降りないサイモンやベンも同じなんでしょう。
こういうのを続け様に見せられると、「私と○○(←好きなの入れて)と、どっちが大事なのよ!」と金切り声を上げたところで、とっても不毛なことだわね、と感じます。こういうの、男に備わった本能なんですかね。赤ちゃんがおっぱい見たら、必ず吸いつくみたいな(比喩が違うか?)。
しかし、しかしですね、もう辞めといたらいいのにと思うのに、そのひとクセが瓢箪から駒、ジャーナリストの正義感を燃えたぎらせるきっかけとなるのですから、面白い。男っちゅーのはある程度自由に泳がせんと、ええ仕事できないんですね。これを観ると、「私と○○と!(以下省略)」は、もう言わないでおこと思います。だって結婚したり付き合ったりするっていうのは、そのひとクセにかかる時間を捨ててもいいほど、「私」が大事だからですよね?比べられるもんじゃありませんて。
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05月22日(木)
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