ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928289hit]
■「実録 連合赤軍 あさま山荘への道程」

昨日やっとこさ観てきました。長尺の190分と言う時間と、テアトル梅田かナナゲイでしか上映がなく、なかなか時間が取れませんでした(観たのはテアトル梅田)。何だか延ばし延ばしにしていた、夏休みの宿題をやり遂げた気分です。これも超長い作品ですが、本当にあっと言う間の190分でした。監督の若松孝ニは、実際に赤軍派メンバーと関わりがあったと聞いていたので、弁解や擁護が過ぎて腹立たしかったり、または反省の色が濃すぎて厳しかったりするのかと、観る前は思っていましたが、どちらもハズレ。痛々しく凄惨な場面は多かったのですが、思っていたより厳しくない作品でした。そして熱くて冷静な作品でした。これが事件から30数年過ぎ、監督自らが支援した連合赤軍への「総括」なのだと感じます。
お話は三部構成のようになっていて、1960年から70年代初頭までの学生運動の歴史と、連合赤軍が出来るまでをまとめているのが第一部。第二部は、有名な山岳ベースでのリンチ殺人事件。そして第三部が、やはり有名なあさま山荘事件を描いています。基本はノンフィクションで、登場人物は全て実名。フィクションが少し入る構成だと、テロップが入ります。ナレーションは原田芳雄。
あさま山荘事件が起こった時は、私は小学校五年生。日本中が固唾を飲んで見守っていた事件であり、何度もテレビのニュースで放送された警察の突入場面と、毛布にくるまれタンカに乗せられて、無事救出された人質の奥さんの映像は、今でも脳裏に浮かびます。それほど強烈な事件でした。リンチ事件は、あさま山荘の事件が解決した後、明るみに出た事件だったと思います。
時間の他にも私が観るのに少々腰が引けていた理由は、リンチ事件の事で、当時一気に世論は赤軍派への批判が高まり(当たり前ですが)、子供心にネガティブな刷り込みが激しく、ちゃんと史実として映画として、本当の事が理解出来るのだろうか?という心配がありました。どうしてそんな事件が起こったのか、当時やその後マスコミに流れる記事だけ読んで、わかったようなわからないようなまま、今の年齢になってしまっていたからです。作品は私のような者でも、一から理解出来るよう作ってあり、当時生まれていなかった若い世代にも、わかり易く作ってあります。
学生運動の成り立ちから60年代末期まで、それが芯から国の行く末を憂いて起こした若者たちの運動だったと理解でき、決して仇花ではなかったと感じます。しかし段々暴走が始まり、武力抗争へと流れて行く過程は、若げの至りだけではなく、周囲の大人の指導不足と言う気もするのです。彼らの熱い心をきちんと受け止め、理想と成りえる大人がいなかったのかと、感じます。
国家権力に対抗するという名目で、テロまがいのことや民間人を襲うなど、思想のためなら手段を選ばなくなる彼ら。この暴走が激しくなった頃からが、私の学生運動を認識し始める頃です。当然警察の取り締まりも強化。大物運動家が次々逮捕される様子を映し、残りのメンバーが追い詰められるようにして、海外や山岳ベースに渡ったのがわかります。
そしてあのリンチ事件。この事件の主犯格は、赤軍派幹部だった森恒夫と革命左派幹部だった永田洋子だと、広く知られています(この二つが合体したのが連合赤軍)。私は知らなかったのですが、森は一度抗争の前に敵前逃亡しています。そして赤軍派には帰れず、町工場で工員をしていました。彼の出身大学は大阪市大。そのまま卒業してしていればエリートコースだったはずですが、当時大企業は就職の際に身辺調査をするのが常で、一流企業へ就職するのは、多分無理だったと思います。そんなとき大学の先輩である田宮高麿が、赤軍派への復帰を呼びかけます。そして田宮はほどなくよど号でハイジャックを起こし北朝鮮へ。他の幹部も逮捕されて、知らぬ間に森が最年長の幹部として、指導者となって行きます。
[5]続きを読む
05月09日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る