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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「リトル・チルドレン」

仕事休みだったので、やっと梅田のOS名画座まで観てきました。出かける前にはお昼御飯に三男の好物のオムライスを作りながら、「なぁなぁ、お母さんこれから映画観てきていい?」とご機嫌取りを忘れない私。食いもんに釣られてニコニコしながら「うん、いってらっしゃい」と言う息子は、この炎天下これからクラブなのですね。ごめんよ、息子。母ちゃんだけ涼しい映画館に行ってさ。しかし可愛い息子をほったからかして、観た甲斐のある作品でございました。
ボストン郊外の閑静な住宅地に引っ越してきた専業主婦のサラ(ケイト・ウィンスレット)は、三歳の娘ルーシーのための公園通いが苦手でした。つまらない井戸端会議に終始する主婦たちとの付き合いが苦手なのです。ある日「プロム・キング」と彼女たちから噂されるハンサムなブラッド(パトリック・ウィルソン)が久し振りに息子アーロンを連れて公園にやってきます。彼は放送局に勤めるキャリアウーマンの妻キャシー(ジェニファー・コネリー)がおり、主夫をしながら司法試験の合格を目指していました。ちょっとしたイタズラ心から主婦たちの面前でキスするサラとブラッドですが、このことが周囲や自分たちを巻き込んだ波紋を呼びます。その頃幼児愛者で性犯罪で服役していたロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)が街に戻ってくることになり、住民たちは警戒します。
ハイブロウに演出されてるけど、ただのソープドラマじゃん、予告編の嘘つき!と思って最初観ていたのですが、後半からはこれはもしかして確信犯的に、見かけはハイソ、中身は俗っぽく描いているんじゃないかと感じ始めました。どうも皮肉いっぱいでインテリをせせら笑いたいように感じるんです。
サラは国文学の修士課程修了の女性で、娘が可愛いというより、子育てで自分の時間が作れないことに苛立っています。ブラッドだって今は妻に食べさせてもらっていますが、元を正せば優秀な人だからこそ司法試験浪人なのででしょう。二人とも若い頃の自分を思えば、今の境遇に不満なのです。
しかしこの二人、インテリかも知れませんが、世間知らずな事もおびただしい。いくらいたずら心からでも、大胆に人前でハグしてキスなんかするか?市営プールでの毎日の逢瀬も絶対ご近所の噂になってるって。いい年こいた大人が、ティーンエイジャーのように恋に盲目になっているのは、今の自分の不甲斐無さにやいけてなさを、受け入れられないからでしょう。
甲斐性があってエリートのサラの夫は、実はエロサイトのシリコン入りプレイメイト風ネットアイドルに夢中で、妻より自分で処理しちゃう派の人。ワタクシですね、こう言った場合、妻ともちゃんと交渉があって、尚且つ精力をもてあまし気味な御主人方についてはノープロブレムだと思っているんですが、この夫の場合は多分妻とはセックスレスに近かったんじゃないかと感じました。ブラッドの方も、美しく妖艶な妻の「早くお風呂に入ったら?」の一言で、「今日はセックスさせてもらえそうだ」と張り切るのですから、可哀想なもんです。このシーン、結局おあずけなんですが、妻に食わしてもらう身とありゃ、押し倒すわけに行きませんわな。
サラは読書会で「ボヴァリー夫人」について、抑圧された自分の人生に乾いていた彼女が、自らの解放の手段としてチョイスしたのが不倫だったと答えます。自分を重ねているのは明白ですが、観ている私は、あんたはそんなかっこいいもんじゃないだろうが?とツッコミを入れたくなります。母として未熟な自分は認めず、自分を女として見てくれない夫に失望しているサラが、てっとり早く女を確認出来るのは、夫以外の男性とのセックスだったのでしょう。それも相手は「プロム・キング(学園の人気者)」と揶揄されるいい男だったんですから、つい我を忘れたサラの気持ちもわからなくはありません。
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08月23日(木)
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