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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netlix)
葬儀が終わり、抱擁するジョージとローズを観て、これも安堵して微笑むピーター。フィルから貰ったロープは、手袋をして、ベッドの下に隠します。

最後までピーターに殺された事は、フィルは知らなかったのでしょうね。前半と後半では、フィルはまるで違う人に感じました。それはピーターも同じ。ジョージは妻を得て、兄の従属から一人立ちしていくように見えたし、何も知らないローズは、これで救われるでしょう。

フィルの葬儀を欠席したピーターは、祈祷書から「剣と犬の力から、私の魂を解放したまえ」を読み上げる。犬の力は、障害物と映画では表現されていました。ローズから観たら、それはフィルでしょう。ジョージもそうです。ピーターから観たら、フィルであり、親離れ子離れしなくてはいけない母親のローズ。

フィルは誰かと言われたら、私はブロンコ・ヘンリーだと思う。フィルがヘンリーに「抱かれた」のは、18前後だと描かれています(明言はなし)。でも大人が異性であれ同性であれ、性的な接触を10代の子供にして良いはずはありません。これがフィルが大人になった時であれば、これ程ヘンリーの亡霊に呪縛される事はなかったと思うのです。フィルが恩人で師匠と語るヘンリーこそ、フィルの人生を翻弄した罪人だと思います。

ここから何を学ぶかと言えば、誰しもが剣と犬の力=障害物に成り得るのだと言う事、そしてそれは、死で超えるのではない、でしょうか?ピーターは外科医になれば良いかなぁ。そうすれば、荒ぶる魂が救われ、フィルの死に報いる事が出来るかもしれません。

あー、いっぱい書いた!お目に留まれば、どなたでもお話ししたいな。配信なので、また観返したいです。


※追記 3/20

観た直後は、後味最悪だなぁと思っていましたが、フィルの死は、様々な思いに呪縛されている登場人物全てを、開放したんじゃないかと思えてきました。穏やか死に顔を称えていたフィルも含めて。フィルを「殺した」ロープを、ベッドの下に隠したピーターは、自分の性癖を、これにて封印するつもりなのではないかな?日が経つに連れて、これはカタルシスのあるエンドだったのだと、思い直しています。

03月17日(木)
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