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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「THE BATMAN−ザ・バットマン−」(IMAX)


10代の時から注目しているロブ(ロバート・パティンソン)が、新作の「バットマン」に決まったと読んだ時は、小躍りして喜びました。ヒーロー物は、ほぼ観ない私ですが、「バットマン」だけは別。バートン版、ジェエル・シューマカー版、クリストファー・ノーラン版までは、全部観ています。今回ビギニングではなく、バットマンとして活動を始めており、様々な葛藤に苛まれる姿を描いています。「ダークナイト」よりまだ暗かったですが(笑)、私は楽しく観ました。監督はマット・リーヴス。

腐敗した町ゴッサムシティに住む富豪のブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)。彼はバットマンとして、町の治安を守っていました。ある日ゴードン刑事(ジェフリー・ライト)から、謎めいた暗号を残す犯人リドラーの逮捕に協力して欲しいと依頼されます。

180分越えと聞き、げんなりしまくっていましたが、見せ場が程よく挿入されて、飽きる事はありませんでした。まずアクションなんですが、素手を使うもの、銃撃戦、大掛かりなカーチェイスなど、既視感バリバリです。でもそれ程見せ方に斬新さはなくとも、どのタイミングで入れるか、入れる理由に納得出来るか等、創意工夫で全く問題ないんだなぁと実感。全て堪能できました。

ロブのブルースは暗い、とても暗い、ニコリともしない(笑)。バットマンとしての活動の行き詰まり、幼い頃両親が殺されたトラウマから今も抜け出せない様子など、ノーラン版より、一層色濃くブルース・ウェインとして、バットマンとしての苦悩が描かれます。しかしこの作品はDC原作のヒーロー物。この暗い設定に埋没する役者だとダメなんだな。だからロブが選ばれたのでしょう。ロブのバットマンには、ダークはダークでも、品の良い漆黒の華やかさがありました。私は成功だと思いましたが、どうかな?

暗さを助長したのは、今回執事のアルフレッドの関係性もある。ノーラン版は、執事のアルフレッドにマイケル・ケインを起用。ケインの飄々とした暖かさは、執事としての立場を超えて、ブルースの苦悩に寄り添い、時には祖父と孫のように見えました。

微笑みと包容力でブルースに接するアルフレッドをも、ブルースは寄せ付けず、孤独を託ちます。親代わりに育ててくれた人なのに、雇い主の立場を崩さないブルース。それがある一件で、自分にとってアルフレッドは掛けがえのない人なのだと、ブルースが自覚するシーンは、ブルースが孤独から解放され、感動的でした。アルフレッドも、慕っていたウェイン夫妻の事件を断腸の思いで、後追いしなかった事を告白。「私の仕事は家を守る事」と語るアルフレッドに、執事と言う仕事の真髄を観た気がします。きっとブルースのために結婚しなかったんだろうと、長く「バットマン」を観て、初めて思いました。

今回のアルフレッドはサスキア・リーブス。監督の「猿の惑星」シリーズで、スーツアクター的な特殊メイクで、「主役」を演じた人です。この抜擢は、監督の盟友なのかも。ケインに負けない素敵なアルフレッドでした。

今回のお馴染みキャラは、ペンギン(コリン・ファレル)、キャットウーマン(ゾーイ・クラビッツ)、リドラー(ポール・ダノ)です。ペンギン登場時は、誰この人?全然愛嬌ないし、やっぱりペンギンはダニー・デビートがいいわ、とか何とか思っていたら、特殊メイクしたファレルなのでした。特殊メイクで別人が、流行ってんの?ただし哀愁と愛嬌に満ちた「ハウス・オブ・グッチ」のジャレット・レトとは違い、全然良くない(きっぱり)。ファレルの演技が悪いのではなく、このシナリオだとペンギンのキャラである必要が全くない。普通の悪徳クラブオーターで良かったんじゃないかと。これでスピンオフが出来るなんて、何かの冗談かと個人的には思います。


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03月21日(月)
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