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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■コミック「おかめ日和」から考察する夫婦のあり方
でも、この無様な岳太郎を見つめた靖子の15年があるから、現在夫婦円満なのかと思います。短い年月じゃ、絶対この男は理解出来ません。岳太郎は自分でも欠陥人間と言う通りの人で、コミュ障なれど、モラハラ亭主ではないと思います。だって外でも同じだもの(笑)。決して妻子を支配したいわけじゃない。自分の意見を通したいだけです。それに私見では、目くじら立てるほどの事、言ってないしね。この辺は読む人の年代で違うでしょうが。
欠陥人間なれど、心根は優しく噓は絶対つかない。靖子は目に見えない彼の良さを知っています。岳太郎が自分の気持ちに噓をつくのは、結婚までの五年間の靖子への愛情だけでした。自分は10歳年上のバツイチ、現在薄給の雇われ鍼灸師である身。幸せにする自信もない。ましてや相手は美人ではないけど、ぽっちゃり可愛い癒し系。人柄の良さは折り紙つきで、良き家庭で燦燦と愛情を注がれた、小さな箱入り娘です。エベレスト並みの敷居の高さに、どの面下げて靖子の愛を受け入れる事が出来ようかと、心の底に彼女への思いを秘める。
今の観点からじゃ、岳太郎・アスペルガー説も出るでしょうが、私はこの点や、育った家庭での自制ぶりなど、それは当てはまらないと思いました。
それが、靖子が他の男性とデートしているのを目撃。岳太郎、嫉妬で自制心崩壊(笑)。この俗物ぶり、すごく良かった。当時はなんやかやで、岳太郎何度目かの絶望期(人生絶望にまみれた男)。年が行った分、今回は打撃が大きく、自分の菩薩・靖子に「俺を幸せにしてくれ」と、やっと心の底からの告白。男女ってね、年齢が離れていても、どちらが包容力があるかは、関係ないわけ(身に染みています)。
あちこちで癇癪起こしまくり、器が小さいと言われる岳太郎。でも男女で言うと、男性の方が器が小さくないですか?容量は女の方が大きいと思うな。うちの息子たちも、ひそひそと自分の父親を「器が小さい」と話していますが、喧しいわ、お前らだって充分小さいよと思いますもん。
でもね、思うのですが、器の形が違うのではないかと。尖っていたり、一箇所だけ深かったり大きかったり。それが「腐っても鯛」と男性が比喩される由縁かと思うのですが(可哀想な比喩でごめんよ)。靖子との結婚への幾多のハードルを蹴散らす岳太郎を見て、そう思いました。
夫婦物なので、夫婦の営みも出てきます。ネットやコミックでは、夫婦のセックスレス記事がわんさかで、お陰様でその経験のない私は、本当かな?と少々びっくりです。この作品でも、氷河期(靖子談)を経て、狭い住宅事情のため、営みの機会を作るのに悪戦苦闘の夫婦の姿が描かれ、私も覚えがあるので、もうクスクス。その中で疲れてしまった岳太郎が、妻に上半身だけ裸になってもらい、豊かな胸に抱いてもらって眠るシーンが、一番印象的でした。靖子もそれで大満足。妻がセックスレスで悩むのは、単に性欲ではなく、スキンシップを望んでいるのだと思います。肌の触れ合いで、心は満たされるものです。
時々、中年夫婦がお互いセフレを持ちながら、家庭存続のため離婚はせず、自分たちは新しく上等な夫婦だと勘違いしたような記事を読むと、私は心の底から「死んでしまえ」と思っちゃう(大暴言)。連れ合いが他の相手とセックスしても平気なら、私は夫婦でいる意味はないと思います。
私が物凄く感じ入ったのは、岳太郎の異母兄弟の明ちゃん(大好きなキャラ!)登場で、継母や異母兄弟に気を使って我慢していたため、弟たちの岳太郎の印象は、「いつも穏やかで優しく、スラっとしていて美形の自慢の兄」。詐欺です(笑)。そして明に「兄ちゃん、今怒っているの、私にだよね(LGBTです)。兄ちゃんがいつも何かに我慢しているのは、判っていた。でもそれを隠して妻子に当たるのは、お父ちゃんみたいだ」と、指摘されます。もう目から鱗でした。
実はね、私の夫がこれなのです。亡くなった舅は、岳太郎のバージョンアップだったそうで、義兄も気質が似ています。私から言わせれば、夫も同じ気性なのですが、多分押さえ込んでいたのだと思います。だって三人もこんなのがいたら、大変でしょう?なので姑や義妹二人からは「優しくスラッとして自慢の息子・兄」だったようです。
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09月26日(木)
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