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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
他にも小ネタがいっぱいでね、シャロンが「テス」の初版版を夫にプレゼントしますが、これはのちにポランスキーが映画化。マンソンのコミューンに暮らしている未成年の少女が、クリスを誘惑しますが、「俺は今まで逮捕の網を潜り抜けてきた。今更そんな事で逮捕はごめんだ」と言います。これって、ポランスキーが未成年と淫行に及んで、ヨーロッパに逃げた事を連想しました。あれも当時ジャック・ニコルソンとアンジェリカ・ヒューストンが同棲していて、その屋敷のパーティーで起こった事なんだよなーと、もう映画の引き出しの数珠繋ぎ(笑)。
他にもチョイ役で、カート・ラッセル、ブルース・ダーン、ダコタ・ファニング、マイケル・マドセン、レナ・ダナムなど、豪華絢爛。シャロン邸に赤ちゃん連れで遊びにくるのは、ブルース・ウィリスとデミ・ムーアの娘だったと思う。三人とも似ているので、どの子かはわかんない。マンソンの一味で、逃げ出してしまう子は、確かイーサン・ホークとタラのミューズ、ユマ・サーマンの娘マヤ・ホークでした。
フィクションの二人に、ハリウッドの裏側の哀歓を演じさせるのに対して、ロビー演じるシャロン・テイトは実在人物。この事件を知らない人は、調べてから観た方が解りやすいかな?とても愛らしくロビーが演じています。自分の出演作(「サイレンサー破壊舞台」)をこっそり観に来て、観客の反応が上々なのをとても喜んでいる場面が初々しく、こっちはのちのちを知っているので、切なくなります。
この作品のポランスキーの描き方に、今の妻のエマニエル・セニエがお怒りだとか。ほとんど出演してないんだけどな(笑)。「12歳に見える才気溢れる小男」と言われてますが、私は絶妙な表現だと思うけどな。取り合えず、シャロンに対しては、最大限敬意を払っていると思いました。ここもポイント高し。フィクションとノンフィクションの融合も上手く噛み合って、愛すべきハリウッドの寓話になっていると思います。
二人の関係は、「兄弟以上、妻未満」と表現されます。何て深い結びつきなんでしょう。この二人の本当の終焉は、コンビ解消ではなく、シャロンの家に招かれた事だと暗示するラスト。これは古き良き時代の残骸を引きずっていたハリウッドが、新しいシステムに移行するのも、暗示していたのかなぁと感じました。
いっぱい懐かしく、いっぱい笑い、やっぱり私はハリウッドが好きなんだなぁと痛感した161分です。長くてお腹満腹ですが、中身は濃くないので胸焼けはしません。
09月09日(月)
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