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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「全裸監督 1話〜8話」(Netflix)


放送前から大評判のドラマ。中年以降の人ならご記憶に深いAV監督の村西とおるの半生を、1980年代を軸に描く作品。この稀代のエロ事師を描いて、風俗史として、青春譜として、冒険譜として、どの角度から観ても超面白い!村西を支えるスタッフたちとの絆や、村西を取り巻く女性たちとの哀愁に満ちた数々のエピソードも交え、もう完璧。怪作にして、掛け値なしの傑作です。総合監督は武正晴。

英語教材の営業マン村西(山田孝之)。英語教材のセールスマンを経て、当時流行していた、ビニール本の世界に飛び込みます。ひょんな事から知り合ったチンピラのトシ(満島真之介)を相棒に、ビニール本を皮切りに、裏本、やがては映像へ足を踏み入れた村西は、経営の参謀として川田(玉山鉄二)、その他のスタッフ三田村(柄本時生)、順子(伊藤沙莉)、ラグビー(後藤剛範)を引き連れ、サファイア映像を立ち上げます。

とにかく熱気がすごい!猥雑で猥褻、情熱的で野心が満タンの、狂乱の日々が描かれます。下品な場面、恥辱的な場面も数多く挿入されるのですが、不思議と不潔な感じはしません。名のあるキャスティングを多く使っているのが、功を奏しています。お金を儲けようとする以前に、商品を売りたい、良い作品を作って世に出そうとする村西たちの心意気が、手に取るように伝わってきます。

裏本は村西が作ったとは知りませんでした。ぼかしを必死で剥がそうとする少年たちがいたり、店をとぐろを巻くように男性たちが列をなして、裏本やビデオを求めたり、何とまぁ(笑)。クスクス笑いながら老若の男性たちを愛でました。「アダルト」とは、男の花園なんですね。

それに対して、多額の金銭と引き換えに、人生を踏み外す女優たち。華やかな東京で自分を見失い、借金まみれの末AV女優になったものの、本番行為で警察に捕まり、親にばれてしまう女性。AV女優から平凡なOLに落ち着いたはずが、フィルムの元ネガが流出して裏ビデオを同僚に観られてしまい、会社にいられなくった女性等、面白おかしいだけではなく、女性がAVに出るリスクも、きちんと描いています。

逮捕される役の女優さんは現役のAV女優川上奈々美。AVの女優さんが、こんなにきちんとお芝居出来るとは想像していなくて、自分の不明を恥ずかしく思います。アダルト以外でも、充分通用する女優さんでした。

そしてそのアダルトが巨万の富を築く仕組みも描いており、刑事武井(リリー・フランキー)、やくざの古谷(國村隼)、大手映像会社ポセイドンの社長・池崎(石橋凌)の関係性を描き、裏社会の仕組みも丹念に描く。特に古谷はやくざの怖さを改めて実感させてくれます。物腰柔らかで、頭も低くい。しかし、どんなに自分に尽くした舎弟でも、一度でも手を噛むと容赦なく始末し、捨て駒を作るにはシャブ漬けにする。三人は一見友好な関係に見えますが、その実常に腹の探りあいで、油断なりません。

対して村西組は一枚岩。村西をトップに、各々が力の限り頑張ります。黙ってスタッフがついて行く姿は、村西のカリスマ性を表現しています。しかしそれ以上に、私は村西がスタッフから愛されているように思えました。あんなに人使いが荒いのに(笑)。

他のAVの作り手は、女性は商品としか観ず、消耗品。しかし村西は、女優が一番美しい状態で、男性を勃起させたいと思う。エロでありながら、本当の意味での女優ファースト。人として接しているのです。アイデアマンの村西は、数々の新手も考案します。かの駅弁ファックも今回初めて観ましたが、あれは男性の腰に悪いのじゃないかな?。駅弁ファック誕生のエピソードは、ピンク映画っぽくて、なかなか泣かせます。いやピンク映画も知らないのですが、そんな気がして(笑)。噂に聞いていた、黒木香の笛の演出も面白かった!ほんちゃんのビデオも、あんな感じだったのかしら?


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08月20日(火)
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