ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927709hit]

■「ダラス・バイヤーズクラブ」
しかしこの事が、持ち前のロンの反骨心に火をつけます。金儲けを主体に薬を販売していたのが、いつしか持ち出しで赤字になろうと、薬を仕入れるロン。裁判まで起こすのは、エイズに罹り人間以下の扱いを受けた者として、人としての誇りを賭けたものだったのでしょう。エイズが彼を変えたのだと思いました。何より彼には、たくさんの支援者や友人が出来たのです。今は孤独に車で泣いていた彼ではありません。裁判の後、拍手で迎えられる彼を観たときは、胸が熱くなりました。

バイヤーズクラブに来た女性を見て、「彼女もエイズなのか?」と受付の女性に聞くロン。直後は二人のセックスシーンでした。クスクス笑いを起きましたが、私は笑うどころか、涙が出ました。感染させてはいけないと、あんなに女好きだった人が、ずっと我慢していたのだと思います。如何にロンが、真摯にエイズと向かいあっているかがわかる、良いシーンでした。

ファーストシーン、ロデオ会場の薄暗い軒下で、商売女と3Pに耽っていた彼が、ラストは陽光燦々と降り注ぐ中、ロデオに出場していました。女・酒・薬にギャンブル等の、快楽だけが生きている証だったロン。それが今は、人としての尊厳を持ち、自分と同じ苦しみを持つ人々の為に生きている。人生の手応えが変わったのです。日陰から日向へ、ロンの人生が変わった事を表現していたと思います。

ひとつの最悪のはずの事をきっかけに、変貌していったロンの人生は、誰しもが自分の人生と照らし合わせて観る事が出来ると思います。崖っぷちで生き残った彼の生き様に、観ている私も奮い立つものがありました。さぁオスカー発表は明後日。レオに主演男優賞は取って欲しかったけど、この作品を観て、是非マコノヒー&レトに受賞して欲しいと思います。

03月01日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る