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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「嘆きのピエタ」
「ガンドも可哀想。何故こんなに哀しいの」。何故ならそれは、私が感じていた事だからです。今までのガンドの行状を思えば、事の成り行きは因果応報と言えるものです。それでも私はガンドが可哀想で堪らない。私が涙を流すには、ミンスの許しが必要でした。まさか彼女の口から慟哭と共に迸るなんて。衝撃でした。ミンスのこの言葉こそが母性なのだと、私は思うのです。
事の顛末を知ったガンドは、怒りよりも自分の過去を悔い改め、精算したいと思ったのでしょう。彼に取ってミンスが本当の母か否か、それはどうでも良かったのです。母と言うものを身近に感じ、愛し愛される事。それは人間らしい想いです。ミンスの手編みのセーターを着たガンドは、彼女の怒りと嘆きと共に、「ガンドも可哀想」の気持ちを受け取ったと、私は思いたい。
ラストですが、ガンドが罪を償うには、私はこれしかなかったのだと思います。哀しいはずなのに、とても美しく感じるのは、ガンドの魂が浄化されたからだと思うのです。私にはガンドとミンスの魂が救われたラストだと感じました。
私の息子は三人とも成人し、もう母親としては余生です。私が息子たちに願った事は、ただ一つ。優秀でなくてもいいから、心身ともに健康でいてくれ、です。金がなんだ、お前をあんなに大切に育てたのに、と自殺した息子の墓の前で号泣する老いたお母さんは、全ての母親の代弁者です。強烈な母と息子の愛、是非ご覧になって下さい。平凡な母と子であることを、きっと感謝出来ると思います。
07月05日(金)
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