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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「アンチクライスト」
劇中で夫とのセックスの時、妻がしきりに「hit me」と言うのですが、咄嗟に私の頭に浮かんだのが、「江戸川乱歩の陰獣」の香山美子=大江春泥。情事の最中にこういう事口走る女は危ないんだわと、全く関係ないことを思いました。それくらい淡々と観ていたのね。

一つだけとても気がかりな事が。転落する前、起きだした赤ちゃんは、両親のセックスを観ていて、観客に向いて薄ら笑顔を見せるのです。その直後落下。のちのちわかる母親の罪深さと重ねると、どう解釈すればいいのかしら?母親に罪の深さを思い知らせて、悔い改めよという事でしょうか?だから天使が舞い降りたように私は感じたんでしょうか?でもそうなら、かなり意地悪だよな(でもトリアーならありそうだ)。ここはもうちょっと考えてみたいです。

「ダンサー」では、明らかにヒロインは知的障害と目の障害を背負っていました。それを盾に、ほ〜ら純粋だろ〜と確信犯的にいたいけな観客を泣かすトリアーに、私は傲慢さと欺瞞を感じたのが嫌いな理由です。しかしこれだけ嫌われるというのは、監督として力量は充分だという証拠です。「マンダレイ」の後、うつ病に罹り、この作品は病を得ての撮影だったとか。そのせいかこの作品では迷いも弱音も若干感じました。何だかんだ言って、次も観てもいいかも?

03月11日(金)
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