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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「スラムドッグ$ミリオネア」
次々回答していくジャマールを認めない、司会者のブレーム。私が素直にその若さの輝きを羨ましく思ったのに、彼には鬱陶しくて仕方無かったのですね。ブレームは旧態勢の古い概念を表しているんじゃないでしょうか?教育もろくすっぽ受けていない、スラムの野良犬ごときが、全問正解出来るわけがない。自分のような選ばれし者だけが答えられるべきなのだと。しかし一夜にして街中のヒーローのように、庶民の期待を一身に浴びるジャマールこそ、インドの進むべき新しい姿だと言いたいのではないでしょうか?

仰天の姿で映画スターからサインをもらう幼い頃のジャマールの姿や、エンドロールの描き方に、インドというより、ボリウッドに対して敬意を表する監督の心が感じられて、好印象です。

脚本の上手さや演出の巧みさで新鮮さは出しているものの、貧しく底辺の若者が、一生懸命頑張って幸せを掴むと言う、ありふれた物語です。彼を支えたのは、「あきらめない心」「愛する人」そしてそれを「運命」と信じる心であるのも、普遍的な正しさです。しかしそのオーソドックスな訴えかけの、なんと力強く素晴らしい事よ。若い登場人物に、自分の熱いメッセージをぶつける監督に、愛すら感じてしまいます。やっぱり映画はこうこなくっちゃ。私よりちょっと年上のボイルの若々しい心に、負けちゃいけないと思う私でした。

04月21日(火)
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