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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ある公爵夫人の生涯」


18日からの期待の作品ラッシュですが、まずは17日に観たこの作品の感想から。ヒロインのジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)は、かのダイアナ元妃のご先祖に当たる人で、その生き方もダイアナ妃を彷彿させるものですが、意外や物語に奥行を与えたのは、チャールズ皇太子に当たるデヴォンジャー公爵でした。演じるレイフ・ファインズのお陰かな?濃くもなく薄くもなく、ほどほどに感情が刺激される作品でしたが、豪華な調度品や建造物の再現が秀逸。オスカーで衣装部門を受賞した、当時のクラシカルでエレガントなファッションも見どころとなり、作品の付加価値を上げています。実話を元にしています。

18世紀後半のイギリス。スペンサー家令嬢のジョージアナは、世界有数の名家であるデヴォンジャー公爵の目にとまり、若くして嫁ぐ事になります。美しく聡明な彼女は、たちまち社交界の華として頭角を現し、国民からも愛されるようになります。しかし私生活では夫の浮気に悩み会話の少ない夫婦関係は、決して上手く行っているとは言えず、また男子が生まれない事で、辛い立場にありました。舞踏会で出会ったエリザベス(ヘイリー・アトウェル)は、ジョージアナを理解し親友となりますが、あろうことか、夫は彼女を愛人にしてしまいます。三人一緒に暮らす地獄のような日々。そんな時ジョージアナは、結婚前に憎からず思っていたグレイ(ドミニク・クーパー)と再会し、たちまち恋に落ちてしまいます。

どうしたって、ダイアナ妃を思い浮かべますよね?チャールズ皇太子の現夫人カミラ妃の存在は、二人が夫婦の時から公然の事実だったし、中年にさしかかる年齢の夫と、まだ少女の良家の令嬢が妻に選ばれたのもいっしょ。ただダイアナ妃(ちなみに私と同い年)にしても、同情は出来るものの、夫婦関係が破たんする前の、自分も浮気してという彼女の行動には、個人的には疑問がありました。御先祖のジョージアナには、その回答をもらった気分です。

華やかな名家へ嫁ぐこと、夫との幸せな夫婦生活へ、期待と夢を膨らませる幼い花嫁。しかし彼女が一番期待されたのは、良妻であることより、あと次の男子を産むことでした。「夫はベッドでは何も話してくれないの」と母(シャーロット・ランプリング)に悩みを打ち明けるジョージアナに絶句。そんなこと、母親に相談するか?「何か話すことでもあるの?」という母の返事にも苦笑してしまいます。この会話にジョージアナの妻としての未熟さが表れています。

その後、経済的に恵まれた環境から社交界の華として、今でいうところのファッションリーダーめいた存在になり、少女から大人の女性として成長したジョージアナは、政治にも興味を示し賭けごともたしなむようになります。今風にいうと、マルチなセレブでしょうね。夫と上手くいかない空虚な心を、外堀から一生懸命埋めようとしていたのでしょう。夫は浮気に明け暮れ、結婚前に生まれた女子を育てるように命じ、彼女の産んだ女子には一瞥もしないなど、表側が華やかさとは裏腹、彼女の苦悩は激しくなるばかりです。

そんな時にエリザベスとのことが起こります。しかしこの事で、公爵への同情も湧いてしまうような作りなのです。代々続く名家を絶やさないため、公爵にはどうしても男子が必要なわけです。そこに自分の存在意義も価値も凝縮される人生と言うのは、男の人生として、非常な悲哀があると思いません?この時代女が子供を産む機械なら、男は種馬なんですね。それも種蒔きごんべいさんよろしく、あちこちの畑に種を蒔いても、生まれてくるのは女子ばかり。

三人の男子を産んだエリザベスには、他の女性とは違った包容力を感じたのではないかと思います。私も息子が三人ですが、不思議なもので男の子を育てる過程で、これが男というものかと、夫への謎や不満が解消されたものです。単に割り切れば済むことなのです。割り切ると受け入れることができ、その後に理解が生まれる。


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04月19日(日)
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