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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ウォンテッド」
暗殺者たちの盲目的な従いぶりは、自分は善き事をしているんだという、暴走する宗教に似たものを感じました。ここでも洗脳の怖さを感じさせます。人が人の命を決めるなど、神意外そんなことは出来ません。その手伝いをして、初めは謙虚な気持ちだったはずが、いつしか自分が神にとって代わった様な、そんな傲慢な気持ちが生まれたんでしょうね。こういうことまで考えなくてもいい作品かも知れませんが、ラスト近くに見せるフォックスたちの安息の顔には、心打たれるものが私にはありました。

「つぐない」も「ペネロピ」も見逃した私、千秋の思いで待ち焦がれたマカヴォイ君には、大変満足致しました。ヘタレ青年が必殺の殺し屋になるまでの、希薄なはずの現実感も、彼が演じることで納得感が出ます。彼の無色透明な好青年な雰囲気は変幻自在で、社会派から文芸モノ、女子好みのロマンスまでなんでも来いです。初のアクションものでも吹き替えやCGに助けられてはいるでしょうが、他のお歴々と遜色なく肩を並べています。生後間もなく別れた父恋しの描写も、母性本能をくすぐります。

母性本能と言えば、アンジー。尖がっていのは今は昔のお話。実子以外にもアジア人黒人の養子も持つなど、今や「世界の母」の彼女。目の覚めるアクションシーンや形相でライフルをぶっ放しても、強く印象に残るのは、ウェスリーを見つめる、母性溢れるまなざしです。キスシーンも愛と言うより、彼の男を上げたいがための母心のようなもの。たった一度の嘘にも、フォックスの心情が忍ばれます。自分の人生が生き生きスクリーンに跳ね返る、本当に素敵な女優になったなと、感心してしまいました。



無用に人が死に過ぎる、たった六週間であんなに凄腕になるか?など、いっぱいツッコミもありますが、それ以上に魅力的な部分がふんだんにあったので、今回は不問に致します。続編の噂がありますが、マカヴォイ君以外はキャスト一新なはずなので(そうなんですよ)、次回を予想すれば、シャーリーズ・セロンとサミュエル・L・ジャクソンに千点。他のキャストでも観に行きます。

09月16日(火)
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