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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「最高の人生の見つけ方」
何よりこれは、エドワードの財力を肯定していることだと感じました。こうした設定では、「家庭の愛>お金」で描かれることが多く、私は常々お金が否定されがちなことに、疑問がありました。エドワードは16歳から働いている、と語ります。学歴のことも出ないし、そんな若い時から働きづめなのは、親と早くに別れたのでしょうか?そんなバックに何もない人が、たった一代で「大統領にも会える」人になるのは、いかばかりの苦労があったろうと思うのです。こんな立派な地位まで来た人が、たかが嫁や子供がいないくらいで、それまでの人生が否定されるのは、絶対におかしいって。全く境遇の違う二人の老人の人生を、両方肯定して描いているところに、私はとても好感が持てました。
後半大急ぎで実行される「棺おけリスト」のミッションですが、荘大だった前半と比べ、どれもこれも小ネタばかり。しかしそんな小ネタは、人生の辞書にはなかったはずのエドワードが、次々こなしていきます。彼もまたカーターのお陰で、日常の小さな事柄への、感謝の気持ちが芽生えた様子を映していたと思います。
私がもう一つ気に入っているのは、エドワードと秘書トマス(ジョーン・ヘイズ)の関係です。そうとう偏屈で強情だとわかるエドワードですが、そんな彼にトマスは、ユーモア交じりの憎まれ口叩いたり、皮肉を言ったりするのです。そしてトマスの進言には、何故か素直に従うエドワード。エドワードの周りには、同じく死が間近のカーター以外は、誰もそんな人はいません。トマスが雇われている以上の、エドワードへの暖かい感情を感じさせるのが、とても素敵です。
幾らでも盛り上げる事が出来るはずの、エドワードと別れた娘の再会場面は重要視せず、トマスの存在がいかにエドワードにとって大切であったかを感じさせるラストは、ひとひねりした仕掛けがあって、とても心に染みました。それは人生において、一番大切なのは必ずしも家族だけである必要はない、とも感じさせます。死がテーマなのに、全体にとても明るく温かく、ユーモアに満ちている点も良かったです。色でいうと、オレンジ色かな?
あんな両極端な人が、すぐ仲良くなれるのか?という疑問がありましょうが、親がガンだった、そして自分は子宮筋腫の手術を受けた、この私がお答え致しましょう。「同病相憐れむ」とは、本当の話です。同室の人とはすぐ仲良くなっちゃうし、母が入院している時は、病室の外で看病している者同士、何度泣いたかわかりません。入院・手術・がんというキーワードが出てきたら、もう誰とでもお話出来る私がいるわけ。それほど病気や死とは、人の心を弱らせ強くさせ、そして浄化もしてくれるものなんだというのが、私の感想です。
予定調和で終わったというご意見も大いに理解出来ますが、観て損するような類の作品ではありません。何を観るか迷ったら、どうぞこの作品をご覧下さいませ。
05月16日(金)
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