ミドルエイジのビジネスマン
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2002年12月01日(日) いいとこ取りはできない

11月中旬に同級生と久しぶりの再会を果たし、フワフワ気分でいたところ、その友人たちから中学3年生で同じクラスだった女性が亡くなったとの訃報をメールでもらった。ボーイッシュな魅力を放つ彼女は、強豪女子バスケットボール部の主力選手だった。病気とは縁遠いイメージの存在だったが。

たまたま休暇を取ったり、出張に出たりしたため、メールを読むタイミングを外し、同級生一同として花輪を捧げようという話にも乗ることができなかった。

ある者はクラス代表として葬儀に参列し、ある者は花輪の手配をする。こちらは一方的に旧友との絆を取り戻したような気になっていても、いざとなったら連絡もつかないでは、バーチャル関係もいいところだと打ちのめされている。

若いときには、自分の頭の上のハエを追うのに夢中で、旧友の消息を聞いても膜を一枚隔てているような感じがして、結局のところ現実感を伴っていなかったのではなかろうか。友人たちより若干遅れて自分も家庭を持ち、子供を育てるようになって、ようやく、一人ひとりの人生に共感を覚えるようになってきているのだと思う。

彼女がプレーをしているときのキビキビした身のこなしや、笑っている顔や、ショートヘアの髪型や全体の雰囲気を思い出す。葬儀には何もできず申し訳ないが、こちらが彼女のことを思えば、その人も天から笑顔を返してくれるような気がする。


2002年11月24日(日) 鉄の斧です、ご褒美を

何ヶ月か前に、札幌のスーパーで外国産牛肉を国産と偽って売ったことが判明したため、牛肉を買ったと申し出た人に無条件で返金するとアナウンスしたら、群衆が押し掛けて大混乱したというニュースがあった。牛肉の総売上げより返金の方が多くなってしまったというから笑い話だ。

こんなことを思い出したのは、先日、同僚二人と仕事に出掛けたとき、品川駅で会社員らしいお兄さんの後ろに並んでJRのカード「スイカ」に入金しようと思ったら、販売機からお札が出てくるという事件があったからだ。お兄さんに忘れ物ですと声をかけると、自分のものではないとおっしゃる。一瞬考えて、それでは半分こ、でも私が発見者だからちょっと多くね、などとセコい分配を申し出たら、要りませんとあっさり断られてしまった。シュン。

同僚たちは何でそんなに時間がかかるんだと遠くからいぶかしそうに眺めている。私が半分、君たちは半分の半分ずつね、などともみ手をする自分の姿も頭をよぎったが、日頃、企業の姿勢はどうあるべきかなどと論じている同僚に軽蔑されるのもナニなので、泣く泣く駅に届け出た。

こちらも社会に出てから幾星霜、あのお札が正当な所有者に戻るとは万に一つも思えない。後ろ髪を引かれながら会社に戻ることになった。

もし、その気になった人がいたら、日時、販売機の特定は当然のこととして、紙幣の券種、枚数、折り目の数などを正しく申告すれば貰えるのではなかろうか。さて、その情報を半額で提供・・・ウウッ、どこまでセコいんだこの私は。

しかし、あのお札がお釣りとして出てきたのだとすると、取り忘れた正当な所有者は現物を見ていないだろうから紙幣の特徴を説明することもできない。品川駅の駅員さんは、日時、場所、金額だけの申告で返金するのだろうか。

ちなみに、札幌の騒ぎの件で最も罪作りなのは某スーパーだ。平身低頭、一見、もっともらしい善良さをまとったように見えるが、人様の良心を試したりしてはいけない。人の心はかくも弱いのだ。ましてや相手はお客様なのだから。

ところで女神様、色々葛藤はありましたが結局届け出たのですから、何かいいことの一つくらいはないものでしょうか。


来週以降、私の身に起こる、どんな小さな幸運も見逃さないこととしよう。





2002年11月17日(日) ソーセージとコシヒカリの重み

母の看病に行った日、当初は中学校の同級生たちと初めてゴルフをする予定だった、というとゴルフ狂いの小父さんのように聞こえるが、本当はそうではなくて1〜2年に1度しか行かない「いやいやゴルファー」だ。まあ、スッパリ縁を切る度胸もなくてお義理にやっていると思えばいい。ただのカモともいう。

北朝鮮に行っていた訳ではないが、旧友たちには東京に出た私なんぞほとんど行方不明者と同じだ。たまたまメールを交換するようになった一人の友人から、みんなでゴルフをしているという話を聞きつけ、仲間に入れてもらおうとしたのだ。

気の置けない同級生たち(そこだけ期待していた)とのゴルフには参加できなかったが、打ち上げの宴会に少しだけ顔を出した。そうしたら、参加もしていないのに20本入りのソーセージを箱ごとくれるという。うまい米を送ってやるから住所を書いておけと言われてハイハイと気軽に書いて渡したら、今日コシヒカリが30キロも届いた。

箱ごと持ってけというソーセージや台所に運ぶのに腰を痛めそうだった出荷用の米袋に物理的な重量を上回る重みを感じた。最近涙もろくなっているのかもしれない。次回のゴルフコンペに参加できるならいくら払ってもいいという気持ちになった。みんな、来年も是非呼んでくれ、チョコレートだろうがペナルティだろうが幾らでも払うぞ。


だ、誰だ、2年越しのカモ猟だというのは。


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