【シュークリーム作成日誌】

2002年12月31日(火) 2002 大晦日

まず、冬コミでは皆様お疲れ様でした。
大好きな人たちにお会いできてたくさんお話出来て、本当に幸せな一日でした。

いつもイベントに行くと思うのですが、ガンパレ同人関係の方って皆さんいい人ばかりですねv
私がボケまくっても、優しくツッコミ入れてくれるし。
セトハヤスペースがとても減っていて寂しかったですが、来年はアニメで増えてるといいなあと思います。そのためにも、アニメはセトハヤでっ!セトハヤでっっ!

いっぱい素敵な差し入れを頂いてしまいました。私は売り子なのに、こんなに頂いてていいのかな?
クッキーとかの甘い物は、夜中のスタミナ補給にv 手作りとか美味しいお店のとか。味も勿論、愛情が美味しいのです(もう食ったんか!?)
素敵なご本の数々も頂いてしまいまして…、ほんとは買わなきゃいけないのに。
でも、プレゼントに頂いてしまったvと思うと、只でさえ素敵な御本が更に感慨深いです。
藍さんシラタマさんの速水スキー連合から、バンビグッズを頂いてしまう。気付けば身の回りに増えつづける愛らしいバンビ。気分はすっかり速水親衛隊。藍さんは石が紫色の指輪も下さって、瀬戸口ポイントも押さえていらっしゃるv
カンナさんから、凄く可愛くて品のいい小銭入れを頂きましたvクリーム色で、ころんとしてて、なんだか見てるだけではうーvという感じです。ありがちゅv
言葉とか、プレゼントとか。好意をいただけるということは、うっかり泣きそうになるほど、幸せなことだと思います。
翌日が仕事納めの方も居て、皆さんハードスケジュールの中、本当にご苦労さまでした。

打ち上げも遅くまで付き合って頂けて、とても嬉しかったです。
イタリアンバンビ。料理は美味しかったのですが、やはり打ち上げは座敷の方がいいのかな…と思ったり。椅子だと席の移動がしづらかったので、あまりお話出来なかった方もいて、少々心残り。
2次会は、ほんとの意味で遅くまでお疲れさまでした。
幹事としては、もう少し早めに切り上げるべきでした。終電間に合わなかった方も多かった事と(苦笑)反省しきりです。
それから皆様、襲ってすみません(笑)襲うっていうか…セクハラ?
今年最後の厄災と思って、水に流して頂けたらと思います。

今年一年、たくさんの素敵な方たちと出会えて、幸せな年でした。
来年も、マイペースで頑張って行きたいと思います。
BBSやメールで励まして下さったり、こうしてイベントやオフで一緒に遊んで下さったり、優しくして下さる皆さんが居るから、忙しくても頑張っていこうと思えるのです。

来年が皆様にとってよい年でありますよう。



↑了解。
と言う方、スイッチをぽちっとお願いします。



2002年12月26日(木) 急がなくては!

日記も書かんと…いったい神矢は生きているのか死んでいるのか。
何をやっているのかとお叱りを受けそうな今日この頃。
一応生きてます。息してます。

なぜかここのところ異常なまでに忙しく、特にこの3日ばかり4時より前に寝ていません(※6時起床)
この状態。大学の頃の卒業設計提出一週間前を思い出します。
一週間睡眠一時間で生きていると、人間、立ったまま眠れるのだと知った貴重な体験でした。
もう流石にあの頃のような体力はありませんが。

仕事を持ち帰るのがいけないのか…。
それでも趣味をやろうとする私がいけないのか。(多分そっち)

瀬戸口抱き締め隊立ち上げ作業も佳境に。
隊員一号どんべさんのおかげで、美しいURLが取れましたv 公開までのお楽しみ。
と、作業をしているうちに気付いてしまいました。
トップ絵がない…。サイトデザインがカッコ良ければ何も無くても間が持つのでしょうが、生憎私にはセンスのセの字もありません。
しかしこの冬コミ直前の修羅場に、トップ絵を描いてくれるような人の心辺りもなく。
とりあえずスペースが埋まればいいやと自分で描く。
描き出して一分で、自分がこの半年ばかり絵を描いていない事に気付く。らくがきすら!
いいんだ、大事なのは技術より愛だ!と自分に言い聞かせ、描く描く。
1時間あまりのやっつけ仕事で描き上がる(←…愛は?)
これに写真屋でばかばか加工。トップ絵ぽく作り直しました。

いいんです、トップ絵なんて移り変わるものですから。
あちこちに貼って貰えるバナーのがよっぽど大事です。
その、同盟の顔とも言えるバナーは、隊員二号カンナさんにご依頼済み☆(←鬼

さあ、夜明けまでもうひと頑張りだ。
冬コミまであと3日。



2002年12月23日(月) 完全無欠のハッピーエンド

裏の新作SSを公開してから数日経ちました。
が。なんだか裏BBSが読めません。怖くて。

あのエンディング…どう思われたのかな…と思うと;
ここから以下は、ネタバレ&だらだらした言い訳(?)なので、読んだ方だけ反転して見て下さい。




あのお話を書いている最中、ずっと頭の片隅に引っ掛かっていた事です。
ハッピーエンドってそもそもどういう終わり方なのかな…という事。
読んだ人のうち殆どが、読んだ後で「ああ、良かったねえ…」と思えるような状態だとしたら、このお話はハッピーエンドじゃないなあと。
どういうエンディングをつけるかというのが、長いシリアスでは一番難しいような気がします。

例えば、あの後速水がまた瀬戸口を好きになってくれて、狩谷の時みたいに瀬戸口の中のあしきゆめだけを斬ってくれて、瀬戸口は生き残って、また速水と恋人同士になれて…という話も可能性のひとつです。でも、それは私には書けません。
そんな都合のいいエンディングは、もしかしたらハッピーエンドかもしれませんけれど、今までの話の流れが全部無駄になってしまいます。
そんな、今まで散々二択だと主張しておいて、答えは3番です。のようなエンディングは、ある話では有効かもしれませんけれど、この話に関しては絶対やれない事でした。
岩田が散々張り巡らした伏線も、瀬戸口の決意も、全部焦点がぼやけて締まりのない話になります。たぶん。

そして何より、私の瀬戸口に対する思い入れが、あの終わりにすることを決定します。
私は瀬戸口の、あしきゆめとよきゆめがずっとせめぎ合っていて、苦しんで苦しんで絶望しながらも、ほんの一握りの希望を求めて必死になっている姿を愛するので、どうしても狩谷のように、許されて救われて、幻獣の部分だけを殺して…という事には出来なかったのです。

何を隠そう、最初はもっとハッピッピな終わりを予感させるようなラストでした。
瀬戸口が、5月10日までに運命を変える事を決意する所で終わる…という;
でも書いてるうちに「こんなポジティブシンキングなのは瀬戸口じゃないな…」と、違和感が有り余ったので中止に。
だって変えられなかったら、速水は壊されてしまうわけですし(笑)
そんな、確立が5分の勝負に大切な人を掛けられるような男なら、素直にののみのために西洋型で出撃したりしていないと思います。



ま、散々ごちゃごちゃ書きましたが、私にはあのエンディング以外は書けませんでした。そして、私にとって、あの話の中の瀬戸口にはあれが精一杯のハッピーエンドな選択だったと思います。
ああ…掲示板見るのが怖い…;


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2002年12月18日(水) いつかのメリークリスマス

最近有線で、B'zの「いつかのメリークリスマス」が頻繁に流れていますね。
食事に行っても、コンビニに入っても、気付けば流れている。
で、私の中ではなぜかこの曲はセトハヤソングです。

いや…あのですね。
これを聞いていると、瀬戸口が速水の気に入った椅子をプレゼントに買って、幸せそうな顔で帰り道を急いでいる姿が浮かんで浮かんで…(笑)
でもこれ悲しい歌なんですよね…。いかんいかん。


それはそうと、風邪をひいて以来、どうにも胃の調子がおかしいです。
お陰でここ数日、昼食がずっとおかゆとヨーグルト。(変な組み合わせ)
神矢はダノンのBIO(ビオ)がお気に入りです。あまり酸っぱくなくて、トロッとくリーミーで美味いのですvなにやら身体に良いらしいようなのですが、私の興味は味だけ。ダノンとかヨープレイトって他より美味しいような気がするんですが、私の気のせいでしょうか。
早く昼っから食べ放題に行けるぐらいに回復したいものですねえ(食べ過ぎ)

病み上がりをあまり使わないで欲しい物です。
今夜は22時過ぎに、上司が席を立った隙に逃げるように帰りました。
明日がどうなることやら…(笑)



↑…全くだ。ていうか待ってるんだけど、という方はクリックを;



2002年12月15日(日) 経過報告

やはり翌日になったら、酷い頭痛に見舞われた神矢です。
やっぱ風邪じゃんよ…、あの医者め…。お、おのれ〜。

丸一日ぐったりとして、翌日になったら多少持ち直したのでSSの続きを書いてみたりする(寝ろよ)
悪いときには悪い事が重なるもので、月に一度の体調の悪い日が来たり。
腰が痛くて座ってられないんですよ…。いや、寝てても痛いんですけれどね(笑)
せめて頭を使わない作業〜、短時間でできる作業〜…と思って、今まで日記で書き殴ったSSSの整理をしました。
ああいう書き捨て文の整理って、本当に駄文で編集作業が苦しいですね(苦笑)

ああ…明日は会社か…。
週末で会社休まずに済んで(早退したけど)よかったと思う反面、週末が無駄に〜と口惜しかったり。複雑です。

黒つぐみさんはもう少し待ってくださいね。すみません。



書いてて思ったのですけれど、やっぱり瀬戸口さんは速水の事だけ一生懸命考えてて欲しくなってしまうのです。
私は、来瀬戸とか、善瀬戸とかも好きな、邪道なセトハヤファンではございますが、やっぱりあっちゃんて特別だな…と。
ファーストマーチの主人公だったって事もそうなんですけれど、速水ってなんだか、一生懸命で可愛いんです。
私のイメージが偏ってるのかもしれませんけれど、白さんは勿論、青さんでも黒さんでも、なんだか、誰かが愛してあげなきゃいけないような気がしてしまうのですよ。
瀬戸口に、速水の事うんと大事にして欲しくなってしまうのです。
それで瀬戸口が不幸になっても。


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…それにしても、私もしかして、瀬戸口ファンは仮の姿?(つのる疑惑)



2002年12月13日(金) 厄日

会社を早退してしまいましたよ。

朝はね、なんとも無かったんですけれど。9時過ぎあたりから気持ちが悪くなってきて。
朝ご飯を食べてなかったから、何も吐くもの無くて、苦しいので水を飲んでみたり。
で、ちょっと仕事してはトイレに走って。全然仕事になりませんでした。
段々体の表面がざわざわしてきて、「あ、これは高熱出るな」と思って諦め、午後早々に帰宅。

もうへろへろ。裏の荷物用のエレベーター使って正解でした。1Fまで降りる間、立ってられなくて。流石に顧客が乗ってるところで、床にしゃがみこむわけにも行かないでしょうし(笑)
駅まで歩けなさそうでタクシーで帰りました。
やけに安いなと思ったら、いつもタクシー乗る時は深夜で3割増だった(苦)

医者に行って熱を測ったら案の定38℃越えになっていました。
ところが、医者に「風邪かもしれないんですが、今朝から…」と症状を言うと、「あのね、皆に説明してる事なんだけれど、風邪っていうのは…」となぜか説教されました。

勘弁してください。人が具合悪くてへろへろなのに、風邪に関するウンチクなんか聞きたくないって。

お年寄りの先生で、はっきり言ってヤブです。しょっちゅう薬間違えて、看護婦さんに指摘されています。この病院、看護婦だけが頼り。
近所にここしか病院が無いもので、もう二度と来るものかと毎回決心しながら来てしまいます。

で、検査もしないで私の証言と、喉を見ただけで「絶対に風邪でもインフルエンザでもない」とその先生は言いました。
その後採血。脱水症状で、点滴を三本と抗生剤を打たれる。
最後に先生が薬を処方する段になって、「これは食中毒ですね」と言われました。
絶対嘘です。
私は昨夜は会社の人たちと鍋物を食べに行ったのですが、私以外の人たちはケロリンパとしていました。
それに最後にものを食べてから具合が悪くなるまで15時間は経っています。食中毒ってこんなに時間がかかるものでしょうか。お腹も痛くないし。

でも医者は食中りだと言い切り、その薬しか出してくれませんでした。
その夜、私はやっぱり39℃まで熱が上がり、解熱剤を出してもらえなかったお陰で、大変苦しい思いをしましたとさ。

皆さんも病院に行く時は、多少遠くても信用出来る病院に行きましょうね。




2002年12月10日(火) SSS#38「瀬戸口×速水。大人風味」

絶対一週間じゃ書きあがらないだろうなあと思っていた「黒つぐみ」の後編。予想どおりまだ2/3ぐらいしか出来上がっていません。前編と同じぐらいの長丁場です。
今週末の更新を予定しておりますが、はて、どうなるでしょうね(笑)

更新してなくて寂しいので、短いですがお話をひとつ。













夜中に目が覚める。その事が、とても怖かった。




[a sleeping pill]




目が覚める、ということは何かの気配に気付いたということ。
だから、夜中に目が覚めたら逃げなくてはならない。
『敵』から。
それは化物に怯え、それを退治しようとする人間だったり、裏切りを責める同胞だったりした。
夜中に目が覚めるのが、瀬戸口は怖かった。





午前3時。
薄紫の猫の目が暗闇に光る。

(真夜中に目を覚ましてしまった)

眠りの浅い自分を悔やみつつ、瀬戸口は身を起こそうとする。
と、小さな唸り声がした。子猫のような、声。

(…そうだった)

ここは荒野でも森でもなかった。
速水の家の、速水の寝室の、速水のベッドの中。
逃げる必要は無い。
カーテンの隙間から月光が差し込んでいる。
傍らに目を向けると、濡羽色の髪が濡れたように輝いていた。
ほんのりと上気した、白い頬。
瀬戸口が動いたせいでずれてしまった布団からのぞく、艶やかな肩が月の明りを白く反射している。

夜の中も、君がいるなら。

夢ではないという証拠に、そっと覆い被さりキスをした。
熟睡していた速水は、迷惑そうに小さく身動きする。
唇に、瞼に、頬に、耳に、首筋に。
何度も何度もキスをしているうちに、速水はとうとう目を覚ましてしまった。

「せと……?なにして…」
「うん。いいから」
「いやぁ……ねむいよう……」
「ん、寝てて良いから…」

自分でも無茶な事を言っているなと可笑しくなる。
眠気を振り払おうとしているのか、瀬戸口を振り払おうとしているのか。
半分眠りながらもわたわたと手足を動かす速水が、とても可愛らしい。
顔を覗き込んだら、睡眠を邪魔され不機嫌らしく、嫌そうな顔で瀬戸口を見返してくる。
他の人間は知らないだろうが、速水の嫌そうな顔というのはそれはそれは……いいのだ。
そんな事を考えている事が知れたら、恐らくグーで殴られるだろう。
瀬戸口は速水の表情に見惚れつつも、手の動きは緩めない。

「んっ、やだ…今日はもう…寝る…」
「寝てて良いってば」
「ならやめてよ…こんな…寝られるわけ……ふぁ………あ…ん……」

腕の中の小さな生き物が、だんだん熱を帯びてくる。

「熱…っ…」

その熱が、心もこの身も暖める。
夜の中、ふたりで。掠れた声も、夜に溶けて。


***


細く窓を開けて煙草の煙を逃がしながら、瀬戸口は白む夜明けを眺めていた。
ベッドの中の恋人に語りかける。

「夜中に目が覚めるのが、怖くてさ…。
 でも厚志と一緒に寝るようになってから、平気になった」
「へえ…そう。僕は君が夜中に目を覚ますのが怖くなったよ…」
「怖いくらいに気持ち良かったとか…?」
「バカ!…もう、今日は誰かのせいで極楽トンボ章決定だよ…」
「朝になってもまだ腰が立たないだろうからなあ」
「いちいち言うな!瀬戸口の変態!!」

可愛い外見のくせに存外口が悪いと、瀬戸口はこっそり笑う。
真夜中はもう怖くない。
君といれば、暗闇の中も走り抜けられる。




Fin
―――――――――――――――――――――――――――――――――

瀬戸口に無理矢理起されて嫌がるあっちゃんが書きたかっただけです。
ええと…可愛い子が嫌がる姿ってちょっといいですよねv(変態)


↑という方はスイッチをどうぞ☆



2002年12月09日(月) 師走

私のところに週に一回届くメルマガの一節。

> いやあ、12月になりましたね!今年もそろそろ終わりですね!
> 年の瀬も近づきつつあり、街の中には沢山の師匠が走っていますよ。

これを読んだ瞬間に、たくさんの小さな瀬戸口が速水とのクリスマス&お正月の準備のために、ばたばたとそこら中を走り回っている姿を思い浮かべてしまいました。
うーん可愛いv(←は?)


12月に入って、私もやたらめったらと忙しくなりました。
何…。毎年年末ってこんなに忙しかったっけ…。
忘年会だけで6回は予定。いえ、終わったのもあるからもっとか…。
私はなんでそのうち三つも幹事をやっているのか。訳が判りません。
みんなの下っ端、神矢。


そういえば今日はちょっとドッキリすることが。
長文を打つ仕事の最中に、隣の席の人に言われた一言。

「神矢さん、ブラインドタッチ凄いね。全然手元見ないし、速いし」
「いやーそれほどでもv」
「どうやって練習したの?ソフトとか使って?」
「(ギクリ;)い、いや別に…。ほら、仕上表とか特記仕様書とか書いてると文章打つの多いから自然に出来るように…」
「へー、そうなんだ。私も仕上表書いてるけど出来ないなあ…」
「ははは…」

言えない。
ここ一年余り、サルのように女性向け小説を書きなぐってきた賜物だとは言えない…;

↑同感の方はスイッチを。


でも、私にとってはタイピングソフトより効きました。>セトハヤ



2002年12月04日(水) SSS#37「瀬戸口→水色速水 ギャグ5」

今日、駅の階段で転びました。
今年に入って、たぶん6回目ぐらいだと思います。自分がひとより転びやすいのかどうかは判りません。
でも、降りている時に膝から転んだのは初めてです。コケた瞬間に、そのまま下まで転がり落ちるかと思ってびっくりしました。
実際にはそのまま階段にべたん!と正座するように転んだので落ちませんでした。
足首と膝を階段の角にぶつけてしまいましたが…;
しかしあれですね。セーラー服の女子高生だった頃は、間髪いれずに回りの人が助けてくれたものですが、今日は誰も助けてはくれませんでした。
不貞腐れた神矢は、月日の流れって残酷だね…などと遠い目をしつつ暫く座り込んでいましたよ(←邪魔です)。
が、ややあってそれはそれは綺麗なお嬢さんが助けてくれたので、世の中捨てたもんじゃないなと思い直したり。
我ながら調子いいですね(笑)




【瀬戸口隆之受難の日 5】



「勝吏様。Dancing Dollの出撃準備が整いましたわ」
「ご苦労だった。幻獣側の情報を出してくれ」
「はい。
 幻獣側勢力
 スキュラ36体(←!?)、キメラ21体、キタカゼゾンビ8体、ナーガ4体、ヒトウバン11体、
 ゴブリン103体。以上です」
「ふむ…ちなみに舞踏機の戦力情報はどうだ?」
「は…。
 瀬戸口…攻撃力10300
         守備力 25
         回避率 98%
         知能  1232…
         (内訳 歴史:15 生活の知恵:20 女性関係:10
              流行:5 速水のこと:1180 その他:2)
         運    3(←…)
      
         装備 超硬度カトラス
             超硬度カトラス
             六尺フンドシ
         以上です」

「待てコルァ!!」
「瀬戸口、何を怒っている」
「怒るわ、このすっとこどっこいが!!何だフンドシって!?舞踏服がメンテ中だって、ほかに何かあるだろうが!!」
「良く聞け、瀬戸口。フンドシは漢の戦闘服だ!!」
「お…漢の、戦闘服…?」

愕然とする瀬戸口。
その後ろで速水は舞に「すっとこどっこい」の意味について質問していた。
その更に後ろで彼らを眺めながら、善行が傍らの若宮に小さく囁く。

「戦士。貴方ももしかして以前はあんな格好で訓練したのではありませんか?」

若宮は、両手にカトラスを持ったふんどし姿の瀬戸口を見て、力の抜けた笑いを漏らした。

「はい、いいえ司令殿。いくら自分達でもあんなシュールな格好で訓練は致しません」
「そりゃそうですよねえ…」

善行の声は、なにやらしみじみとしていた。
その目の前で、芝村準竜師は芝村的演説を熱弁中である。

「いいか、瀬戸口よ。古来日本人は鯨を獲る時には赤い六尺フンドシを締めて挑んだものだ。
 瀬戸内海はクジラ漁も盛んだったが、また鮫も多く、鮫が自分よりも体長の大きな物は襲わないという習性から…」
「知ってるって!大体ここ陸上だし!鮫いないし!!」
「だがな…スキュラのあの姿はクジラにちょっと似ているとは思わんか?」
「理由になるか!!」

瀬戸口はツッコミに声を嗄らしていたが、準竜師はまるで堪えた様子も無く涼しい顔である。
そんな鉄面皮の準竜師も、己の袖をちょんちょんと引っ張る人物を見てたちまち表情を溶けさせた。

「どうした?厚志…」
「勝吏さん。いくらなんでもあんな格好じゃ瀬戸口さんが可哀想だよ」
「む…」

最愛の恋人にそう言われ、流石に準竜師も渋い顔をする。

「いくら春だからって、フンドシ一枚じゃ風邪引いちゃう」

速水君、そういう問題じゃないから。
しかしやけに横に広がった顔をした男は、速水の優しさに激しく感銘を受けた模様だった。

「厚志…お前は友人想いの優しい子だな。よし、今回だけ特別にウォードレスを用意してやろう」
「わーいv」
「…って今回だけかよ!?」

もはや美少年総崩れで顔を引き攣らせる瀬戸口を他所に、準竜師はてきぱきと指示を出す。
間もなく瀬戸口のもとへ運ばれてきたウォードレスは…。

「…おい」
「どうした瀬戸口。さっさと着替えてぱっぱと戦場に移動してさくっとやっつけて来い」
「普通、舞踏服の代わりっつったら、最低でも武尊とかっ!」
「うるさいな。一体それのどこが不満だと言うんだ」

フンドシに代わって瀬戸口が着せられつつあるウォードレスは、互尊狙撃兵仕様。ご丁寧にインカムまで付いたオペレーターバージョンである。

「一番着慣れてるだろうが」
「アホか!!こんなぺらぺらの装甲でスカウトの真似事が出来るか!」
「案ずるな。絢爛舞踏は被弾しないから絢爛舞踏なのだ」
「戦うのお前じゃないからって…」

再び罵りあいに突入しつつあるふたりを、速水はぽややんと見つめている。
どうでもいいが、速水よ。
蒼天よりも青い髪を風に嬲られるに任せ、襟元を肌蹴たワイルド極まる覚醒バリバリなお姿で、ぽややんとするのは止めて欲しい。
ぽややんな覚醒速水は、やはりぽややんとふたりの間に割って入った。

「あの程度の幻獣、ものの1時間で掃除出来るだろう!?
 つべこべ言わずにとっとと行け!!」
「あのね、瀬戸口さん」
「ならてめえが代わりに戦いやが……なんだいvバンビちゃんvvv」

誰がなんと言おうと、青かろうと黒かろうと速水は速水なのである。
その証拠に、瀬戸口はめろめろだ。
速水は瀬戸口を見上げてにっこりと笑った。
その顔立ちは愛らしいことこの上ない。

「僕、瀬戸口さんのオペレーター姿、好きだな。そのウォードレスが一番似合ってるものv」
「…ほ、ほんと?」

瀬戸口さんしっかり!顔がだらしなくなっていますよ!

「僕、瀬戸口さんのその格好、大好きv」

速水のトドメの一撃で、瀬戸口のやる気は400%にまで跳ね上がった。
頬を染めて口許を緩めながら、カトラスを手に取る。

「俺の可愛いバンビちゃんがそう言うなら仕方ないなv
 おにーさん頑張っちゃうぞvvv」
「うんv頑張ってねw瀬戸口さん」

ふたりの遣り取りを聞いてしまった若宮の口は開きっぱなしになっていた。

「し、司令…」
「なんですか、戦士」
「もしかして、瀬戸口って物凄く…阿呆…」
「しっ!本当の事を言ってはいけません」

神妙な顔で口の前に人差し指を立てる善行に、若宮は慌てて両手で口を塞ぐ。
そんな彼らに気付かず、瀬戸口はウキウキとカトラスを磨いている。
普段の彼は阿呆ではない(はずだ)。ただ…いまや彼の脳細胞の99.999999999%は速水への妄想のためだけに使われている状態だった。





つづく。

―――――――――――――――――――――――――――――――
瀬戸口がどんどんアホになっていく…。ま、いっか♪(待て)


…そんな気がする。


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