ディリー?闇鍋アラカルト
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2003年11月10日(月) 有難うユーミン・・・2

この歌(ユーミンの卒業写真、歌詞は昨日9日付の闇鍋)はおとな若葉マークの女性の心を確かにかなりうまく表現出来ていると思う。
でも、私としてはもう一つ、更なる勇気を持って生きる事を勧めたい。
また彼を見かける事があったなら、彼に言葉をかけてみたら?と勧めたい。再び彼を見かけるまで待たなくても、同窓会名簿でも知人に電話をかけまくるのでも、彼の消息を調べて、手紙を書く事を勧めたい。
「遠くで叱って」と自分で思いの中に浸っているだけでは実現される事は無い。
その思いがどれだけ真実であるかということは行動というレベルに移した時に明らかになる。
彼女はそういう事に自分で気づくかも知れないし、居酒屋で隣りに座ったおっさんが何か言ってくれる事もあるかも知れない。
そして気づいた時、その時に行動するかどうか?それが鍵だ。
気付いても、彼とコンタクトを取るには勇気がいる。「彼が自分の事を嫌ったらどうしよう」とか「流されてる自分をみて軽蔑するのではないか?」という思いもある。「叱って」と遠くでつぶやく事と、現実に彼が叱ってくれるのではインパクトも違う。現実の彼が叱る事を受け止められるだろうか?彼の言葉を聞いたとしても、自分が流されるだけの生活を続けるとしたら彼との距離は離れたままだ。きっとおとなとして生活する為に得たものの幾つかは手放さなくてはならなくなる。それをするだけの覚悟があるかどうか?
冷静にこの女性を観察するなら、この女性が意識的・非意識的に選んでいる生き方がどのようなものなのかを想像する事が出来る。
この女性は青春時代に理想とした生き方とはかなり違う生き方をしている。しかも、その理想を生きようとしていない自分に付いての考察が欠けている。
あの理想を抱いた自分と言うのはなんだったのだろう?あの理想は青春故の迷いなんだろうか?もし現在の自分をよしとするなら、あの理想は迷いと無知の産物だろう。けれども、あの頃の理想を良しとし、その理想を生きているように見える彼がまぶしく見えたとするなら、現在の生き方をトコトン検討してみる事を勧めたい。
今まで歩んできた人生の岐路について、その選び取った道の代わりに選ばれなかった道はどのような道だったろう。そのために得たものは何で失ったものは何なのか。その道を選ぶに当って、どんな誘惑があり、どんなプレッシャーが有り、どんな人間関係が有ったのか?そして生きていく上で守るべき最後の価値は何なのかを考えてみると良い。青春の理想が今も守るべき大切なものなら、現在そのように生きているはずだし、そう生きていないとしたら、その理想を脇に追いやる程の大事が過去や現在に存在したのだという事になる。親から離れる事の不安や生活の安定、他人からの評価や見栄など、意識していなかった意外な大事にいくつか気付けるかも知れない。
例えば、
「なぜか知らぬ間に人ごみに流されて変わって行く自分」というのは意識的でない状態だけれど、意識できているならば、卒業間近になって、親からも担任からも理想に生きようとする事を「夢みたい」だと呆れられ、反対され、一度も自活した事が無く、自分の能力にも不安だったので、一晩泣き明かした挙句無難に短大に進路を決めてから、彼にも何となく顔をあわせづらくなったという事をきちんと覚えているかも知れない。そして、そそういう体験は自分にばかりではなく非常に多くの人にも起こった事だという事にも気付く。けれども、その体験以前以後の事も仔細に考察えてみるなら、実際実に多数の分岐点があるのも分かる。
理想に生きたい事を親に話したときに、自分はそのために必要な事に付いて、あまり知らずにいたのかも知れない。親もまた同様に無知だったので「夢みたいな事」だと思ってしまったのも当然だった。もしあの時に、理想に生きる為に必要な事について、もっと十分調べて分かっていたら、親にももっとよく説明出来たのではないか?また、親がそれを指摘しないで、闇雲に反対したのは、親自身が不安だったのではないか?それはきっと、親自身も30年程前に同じ思いもし、リクルートスーツを着た時に感じた事を今以て克服せずにいるからなのだろう。これは「イチゴ白書をもう一度」の主人公だ。かわいそうな両親!自分は親が克服できなかった位置に立たされている。親子2代でこの位置に縛られたまま一生を送るのだろうか?いや、最初に気付いた者が出来るだけ早く、必要な事を身につけ、機会を捕らえてこの位置から歩み始めるべきなんだ。
この辺りまで気がつく事が出来るなら、きっとこの人は生き方を変え始めるだろう。数ヵ月後には退社しようと決心するかも知れない。語学学校に通い始めるかも知れない。表面的には変えなくても、質的な変化があるかも知れない。例えば会社の新人たちとの接し方が親切になるとか、上司にはっきりと自分の意見を言うようになるとか、余暇の過ごし方が変わるという可能性もある。
彼女の変化は困難やトラブルも招く原因にもなり得るけれど、彼女自身が腹をくくっていれば耐えられる程度のものだ。それよりも、ワクワクするような体験にめぐり合う可能性も大きくなる。
そして、近い将来、卒業写真の彼とも笑って話し合えるそんな日が来る可能性も大きくなる。
そうなるともう悲しい事や苦しい事があっても卒業写真を開く必要はなくなるだろう。その幾つかは自分で乗り越えられるようになって来ている。乗り越えられなくても引き受ける覚悟は出来ている。
彼に連絡する勇気も湧いてくる。気まずい思いも無く話し掛けようという気も起こって来る。電話をかけさえすれば、手紙を書きさえすれば連絡は出来るのだ。もう、彼の笑顔は近くまで来ている。
こうして彼女は、卒業写真を開いて、そしてユーミンの歌を口ずさんでいた頃を回想してそっとつぶやく。
「有難うユーミン。あなたの歌はわたしが理想をなくしていた頃の夢だったわ。あの歌でわたしは何度も慰められたわ。でも、わたしは再び理想を見出し、違う夢を少しずつ生きられるようになったの。そしたら、あなたの慰めが不必要になってきたの。わたしも逞しくなってきたのね。私はもう、いじけ虫じゃない。わたしは新しい生活の予感に胸がときめいているの。もう卒業写真のような甘いネガティブな感傷に浸る事は無いけど、私がそうしていた時期を理解する事が、新たな勇気・新しい人生を生きる鍵なんだって分かったの。
だから、有難うユーミン。そして、さよならユーミン。


2003年11月09日(日) 有難うユーミン・・・1

もう25年以上も日本のポップス界をリードしてきた人がいる。
ユーミンだ。
ユーミンの歌は最近のヒット曲が歌われているだけでなく、20年以上前の歌が今尚歌われ続けている。その代表的歌の一つが卒業写真だ。

悲しいことがあると 開く皮の表紙
卒業写真のあの人は 優しい目をしてる
街で見かけた時何も言えなかった
卒業写真の面影が そのままだったから
人ごみに流されて 変わって行くわたしを
あなたは時々 とおくで叱って

話し掛けるように ゆれる柳の下を
通った道さえ 今はもう電車から見るだけ
あの頃の生き方を あなたは忘れないで
あなたはわたしの 青春そのもの
人ごみにながされて 変わって行くわたしを
あなたは時々 遠くで叱って
あなたはわたしの青春そのもの

この歌を歌う女性は、高校生(中学生かも)だった頃を理想化しているかも知れない。少なくとも、卒業写真の彼が心の支えになっているようだ。優しくて、純粋で、ひたむきで大きな理想を内に秘めて・・・卒業写真の面影そのままの彼を見て何も言えなかったのは、自分が変わってしまっている事に気付いているからだろうか?
毎日の仕事、雑用、人間関係、ラッシュアワーの人波にもまれて、あの頃の理想はしぼんでしまったように思える。こんな事をしたら他の人はどう思うだろうか?もう大人の世界で仕事をしているのだから学生気分じゃいられないのに・・とか、どうしても思ってしまう。
でも、幾ら理想がしぼんでも曇っても、卒業写真を開きさえすれば思い出す事が出来る。わたしの青春、わたしの青春そのもの・・・。
「わたしは安易に流れているのではないだろうか?」とか「やっぱりおとなとして生きていくためには切り捨てなくてはならない事もあるけれど、ひょっとしたら、もっと大切にしなくてはならないものも少しずつなくなっているのではないか」という恐れもある。
そんな時彼を見かけた。
彼は優しい目をして、やはり彼があの頃話していた理想を実現しようと、今も希望に燃えているように見える。
あまりにもまぶしい彼。
むかし、わたしもあの彼と一緒にゆれる柳の下を通ったのだけれど、今も電車で同じ道を眺める事は有っても、同じ気持ちで歩く事はないと思う。
わたしはもう彼と違う道を選んでしまった。でも彼には青春時代そのものの行き方をそのまま続けて欲しいと思う。
そう生きてくれれば、そう生きている人がいるだけでわたしは勇気付けられる。
その人はわたしの同級生だった。アルバムを開きさえすれば、いつでもその笑顔に会える。
それだけでわたしは勇気付けられる。
どんな悲しい事があっても、わたしの理想としたものはここにあるのだから。
彼は今遠くに生きていて、わたしの暮らしを知らない。
でも、今のわたしを知る事が有ったらきっと苦笑するのだと思う。「おいおい、あの頃話していたのとは違ってしまっているよ。」と。
わたしは確かに変わってしまった。あの人の前に姿を見せるなんてとてもできやしない。でも、あの人がいるという事、同じ時代を生きたという事、それはわたしが生きて行く上で支えであり、力なんだと思う。
アルバムの中に確かにわたしの青春があるのだと思う。
・・・・続き・・・・


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