台所のすみっちょ...風子

 

 

マニュアル - 2003年08月31日(日)

子供を産み、早々に芸能界に復帰したばかりの時は

「まだ小さいのに・・」と

あんなに「ダメ母」のレッテルを世間から

貼られていた松田聖子の子供SAYAKAが、

最近自分が出演している映画の宣伝か、

はたまた新曲の宣伝のためかは知らないが、

テレビに頻繁に出るようになって、

その素直で良いお嬢さん的な雰囲気を

画面を通じて感じるたびに、

母親はジェフ君やダンサーとあんなに浮名を流し、

普通ならひねくれたような雰囲気があっても

いいハズなのに、どうして、あんなに可愛くて良い娘さんに

なったのだろう?と不思議になったものの、

結局は親の育て方が成功したのだと

いう結論に達した私は、

子育てにマニュアルなんかないことを、

改めて痛感する今日この頃である。

以上。


おしまい。


...

殻 - 2003年08月29日(金)

世の中というのは、ある一定のルールで成り立っていて、

また人もその決め事の下で、自分の中の「いけない心」と葛藤し

戦いながら、真の大人へと成長していくものである。

もちろん、私自身もそうやって大きくなり、今

はこんなに立派な大人の女になった。

・・・まあ、、そこそこ。


だが、ペット禁止のこのマンションで、

「あたしゃ、水割り作って30年」と

いったような、スナックのママふうな女性が、

白い毛がモップのような長い室内犬を連れて、一階の

エントランスホールをひょいひょいと歩いていたり、

でっかいゴールデンレトリバーまでもが、

「この床冷たくて気持ちいいワン」みたいな素振りで

伏せをしているのを立て続けに見かけると、

犬を飼いたくてたまらない私は、

たまには、大人の殻を破ってみるのもいいのではないか?

と、自分の真面目さに嫌気がさし始めるのであった。


おしまい。


...

メール。 - 2003年08月28日(木)

昨日、この日記経由でメールをいただいた。

で、またそのメールの内容が、これまた面白くて・・、

いえいえ、、何より貰ったことがうれしくて、

早速返信してみたら、

即効で「配達できませんメール」が帰って来てしまった。

悔しかったので、

今日もう一度書いて、「オラッ!行け!」と

ばかりに力強くクリックして送信してみたら、

当然強く押したからって、何かが変わるわけでもなく、

やっぱり遅れなかった。

なので、この場を借りて言います。

「楽しいメールありがとうございました!」


おしまい。


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その後の魚肉ソーセージ - 2003年08月27日(水)

本来夫婦というのは、何だって平等に

シェアしなければならないにも関わらず、

6本あった魚肉ソーセージが、いつの間にか

旦那に食われ、残り一本となっていたことが発覚した日、

彼が帰って来たのは深夜一時になるかならないかの遅い時間であった。

家に入るなり、「俺先に風呂入るわ〜」と

背広を脱ぎ、モッコリブリーフ姿で風呂場へと向かう旦那を

「ちょっと待て〜〜!」と呼びとめ、

私は魚肉ソーセージの件を早速問い詰めたのであった。


必死に食べたかったことを訴えると、

「だから一本残しておいたろ〜」と彼。

その顔は悪びれた様子もなく笑っている。

そこで、「3本は食べたかった!」

と反論してみると、彼は

「でもさぁ〜、あのソーセージそんなに美味しくなかったよ。味薄かったもん」

などと、目をパチパチとさせ、言い訳をするのであった。

その釈明の弁は、私には到底納得できないもの。

と、言うより、「そりゃないだろ〜」という感じのものであった。

もはや60歳をとうに越え、年金暮らしの母が買ってくれた

”愛情ソーセージ”であるのに、「美味しくなかった」とはなんでぇ!


彼はさらに付け加える。

「魚肉ソーセージぐらい俺が買ってやるさ〜」と。

・・・・・・・。

そういう問題じゃない。

私はお母さんが買ってくれた魚肉ソーセージが食べたかったの!!



おしまい。


...

ぐるぐる。 - 2003年08月26日(火)


私は昔、テキスタイルデザイナーというものをやっていた。

平たく言うと「洋服の柄を考え、デザインする人」。

アパレル関係の末端に位置する職種だ。

企画デザインは各シーズンごとに1年前に進行する。

その為には、常に「巷で流行ってるもの!」に敏感でなければ

ならなかった。

次の年の柄やアイテムのトレンドを予想するには

「今を知ること」が欠かせないからだ。

また、大手アパレルのデザイナーと商談することもあるため、

当然自分の服装にも気をくばることが大切。

見かけがダサくては、いくら

「私はおしゃれなものを考えます!お任せください!」

と言ったところで、信用度は薄い。

金もかかれば気も使う結構面倒くさい商売だった上、

良く考えたら、家庭科の成績が2に近かった私は、

実はちっとも洋服関係の仕事が好きではないことに気がついて、

10年ぐらいたって、アッサリ!キッパリ!その仕事を辞めたのであった。



で、あれから早、○年経った今日。

地下鉄のエスカレーターに乗っていた私は、

自分の前の人がはいていた、

白地に赤や茶、ブルーとかのぐるぐるとした渦巻き模様が

プリントされている、ベルボトム調の柄入りパンツを

後ろから眺めながら、

そう・・・、それは本当に無意識のうちに・・

心で呟いてしまったのであった。


「バ〜カボンボン!」・・って。


おしまい。


...

強面。 - 2003年08月25日(月)


キリリと上がり気味の眉毛のせいか、

黙っていると「こわい」と言われてしまうことが、

多々ある私。

今日夕方。

エレベータに乗り込んだら、

先に乗っていた、”色の黒いこぶ平”という感じ

の30代半ばぐらいの男性に、目が合うなり、

何故か「すみません」と軽く頭を下げられてしまい、

降りるときには「失礼します!」と、背中に

声をかけられた日にゃ〜、

私の強面も、ヤクザの組長並み・・・?

と思わざる終えないのであった。


おしまい。


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友よ。 - 2003年08月23日(土)

フランスから里帰りしていたS里が、あと数日でパリに

戻ってしまうということで、S里とM子、私の3人で

お別れの食事をした。

場所は銀座であった。

解散したのは夜10時。

丸の内線に乗るS里と地下鉄の構内で別れ、

帰る方角が同じM子と別の線に乗った。

そして、40分後、家に着いた私が、

うがいをするために行った洗面所で見たもの。

それは鏡の中のおぞましい自分。


化粧が無残に剥げ落ち、、、

右も左も眉が半分ない。


今日は眉をやや濃いめに描いていたせいか、

半分無くなってしまっていたそれは、

まるで、食べかけの食卓海苔のようであった。


こんな顔で、銀座の街を歩き、地下鉄に乗ったとは。


友、M子よ。

いつから眉が無くなっていたかは定かではないが、

私達は今日、ずっと一緒だった。

その間、お互いの顔を見つつ、話をしていたハズ。

嗚呼、、友よ。

どうして途中言ってくれなかったのだ。

「無くなってるよ」とか「無いよ」とか。


おしまい。


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美味しいモノ。 - 2003年08月22日(金)

出かける前、化粧をしつつ上沼恵美子の

”おしゃべりクッキング”を見た。

今日のメニューは桃のデザート。

材料となる桃が先生の手によって湯向きされる

のを横で眺めていた上沼恵美子が、

「ま〜美味しそう!でも、私達家庭の主婦は、そういう
 桃の一番美味しいところを旦那さんや、子供たちにあげて、
 自分は余った芯の方を流しのとこでしゃぶったりするんですよね〜。」

と、”愛する者の笑顔のために自分が犠牲になることを主婦は

いとわない”というようなことを先生に話したのを耳にして、

「そうそうその通り。やっぱり一番美味しいとこは愛する人に

食べさせたいよな〜。喜んでもらいたいもんな〜。」

と旦那のニコニコ顔を思い浮かべながら、

一人テレビの前でコクコク頷いた私は、

さっき、冷蔵庫の中に新潟の母が「これ東京で食いなせ〜」

と持たせてくれた魚肉ソーセージ6本が、

私自身、まだ一本も味わっていないというのに、

残りがあと一本しかないことを発見し、

旦那に対する言い知れぬ怒りを、

抑えることができないのであった。



おしまい。



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ただいま〜。 - 2003年08月21日(木)

火曜日の夜、東京に戻って来た私。

賞味8日間の新潟滞在だったわけである。

今回の里帰り、その感想は

「死ぬほど寒かった」ということである。

実家は戸建。マンションだと通気性も悪く、

冷夏だ何だって言ってもその寒さはたかが知れてるが、

一戸建ての寒さは半端ではない。

1日目はなんだかスース―して眠れず、3日目にはついに

毛布を押入れから引っ張りだした。

ふわふわした感触に首まですっぽり包まれながら、

「北海道を除いたこの本州で、今毛布をかけて寝ているのは
日本広しといえども私だけに違いない」

などと、思った次第である。

そして、4日目、ついに私はグンゼのシャツのような

白い長袖の肌着まで借りた。

ステテコと着たら似合いそうであり、

そこに焼酎のビンなど携えれば、もっとナイスな感じであった。

おかげで風邪など引かずに済んだが、

そんな格好までし続けて、寒さを乗り越えたことに

対し、女として私は、複雑な気持ちを抱かざる終えないのだった。


しっかし、、ホントに寒かった。



おしまい。















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夏休み。 - 2003年08月11日(月)


こんにちは!

お盆が近づいてまいりました。

今日の夜から新潟の実家の

方に帰省します。

実家にはパソコンがないので、日記が書けません。

と、いうわけで、日記も19日までお休みします。

20日あたりから復活いたしますので、

また遊びに来てください。

すんません。

ほんでは!






...

やる気。 - 2003年08月10日(日)

うちのバイト先にインターネットをしに来るAさんは、

50過ぎのおじさん。巨漢である。

乗っかった時のウォーターベッドのように、

ぷるるん、ぷるるんと、肉を揺らしがら毎週日曜日やって来る。

仕事を探しているのである。

来ては、求人サイトを開いて小一時間ばかしいる。


初めのうちは「こんな時代だもの、大変だなぁ〜」と

現代社会の一端を垣間見たような気がし、

密かに同情もしていたのだが、

当の本人はというと、どうもそんなに切羽詰まってないらしい。


寝ているのである。

初めて20分も経つと寝てしまう。

おいおい。

いびきなどかく時さえある。

おいおい。

起こしたこともあるのだが、最近は放っておく。

プ〜プ〜と幸せそうに寝入るAさんを見ていると、

”ここが良ければ、心ゆくまで!”

という気持ちさえ湧くのである。


数十分後。

Aさんはモソっと目を覚ます。

熟睡しているハズなのだが、ちょうど来て一時間になる

当たりで目を覚ます。


Aさんは50歳を超えているので、一時間の使用料は50円。


そして今日、私は発見した。

お金を払おうと、取り出した黒い財布に

「開運」と金の文字が刻印されていたのを。


運が開ける財布・・・

とりあえず、やる気はあると見た。

頑張れAさん。


おしまい。





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妻の役目。 - 2003年08月08日(金)


まるで指先から酸が出ているのでは?と思うほど、

次々と旦那の履く靴下に穴が空いてゆく。

特に親指の先っちょ。

あんなにあった靴下が今では残り少なくなってしまった。

で、今朝。

旦那に朝ごはんを食べさせようと、いつになく早く起きた私に、

仕度をする彼が、靴下を履きながら、

「あ〜、、履ける靴下がタンスに”一点”しかないよ〜。買わなきゃな〜」

と嘆くので、

「あんなにたくさんあったのにね〜。まさに状況が”一転”したってことですね」

と駄洒落交じりにオドケてみせたら、

どうしたわけか、2人の間の空気が瞬間重くなって

さっきまでへらへらしていた旦那の顔も急に真顔。

で、ひと言「・・・・オマエな〜・・」


今から暑い外へと飛び出していかんとする、ご苦労様の旦那に

ちょっとだけ勇気と元気をあげたかっただけなのに。

妻ってもっと面白くなきゃダメ?



おしまい。


...

猛暑のお願い。 - 2003年08月07日(木)

昨日の夕飯時。

ご飯も七分目まで食べ上げたところで、

「しっかし、今日は暑かった。ホント、暑かったよな〜」

と、この猛暑の中、スーツを着こんで働かなければならない自分が

いかに苦しいかを切々と訴えた後、

「ふ〜ん・・」と聞いていた、そんなことよりもう一杯

ご飯をお変わりしようかどうか、と考えている私に向かって

「やっぱこういう時は体力つけなきゃな〜」と呟き、

一呼吸おいて、意を決したように

「でね、やっぱ朝ご飯って大切だと思うんだぁ〜・・・」と

どこか落ち着かないそぶりで言い、

「作りましょうか?」と返した私に

「エッ?いいの〜〜!」と嬉しそうに目を輝かせる彼は、


何を隠そう私を養ってくれている人。



おしまい。


...

ネタ。 - 2003年08月06日(水)


2週間ほど前の話。

友人であるペルー人Sから

「今度の日曜日、ボクの家で手巻き寿司パーティーをするからおいでよ!」

といった意味合いのメールが来た。


ペルー人が、手巻き寿司。

日本に住んでいるといっても外国の彼。

いったいどんな手巻きなのか?

カルフォルニア巻きの出現で、

寿司ネタとして外人にはすっかりお馴染みになった、

アボガドなんか入れちゃうのか?

もしやわさびの代わりはチリソースかも?


考えるとワクワクする私であったが、パーティーが始まる午後2時半は、

思いっきりバイト中であり、しかも風邪が長引き、体の具合もイマイチ。

仕方なくバイトであること、体の調子のことを書き、断りのメールを

送ると、彼から返って来たのは

「大丈夫!気にするな!」という優しい言葉。


そして前日の土曜日。

夜の8時ちょっと前のことであった。

私がバイト先で、客が帰った後、パソコンのメンテをしていると、

後ろの受付の方で誰かが私の名前を叫ぶ。

しかもそのあとには「愛してるよ〜〜!」のおまけつき。

そんな間違った日本語、使うのはSに違いない。

振り向くとハァ・・やっぱりね・・であった。


彼は友人を連れていた。

ものすごくかっこいい若い男の外人。

スパニッシュ系とユダヤ系を足して二で割ったような感じだ。

(どんな感じ)


見たことある顔である。

そう、そのイケメンは前にSの家に遊びに行った時、

写真の中で彼と肩を組んでいた人物で、

「この人だれ〜?ちょ〜かっこいいじゃん。会ってみたぁ〜い!」と

私がキャ―キャー騒いでしまった男性であった。

聞けば、ニューヨークから仕事で日本に来たとのこと。

Sの家に2、3日滞在するらしい。

もちろん、手巻き寿司パーティーには彼も参加するという。


そんなに極上の”ネタ”が用意されてたなんて。


それを早く言ってくれよ。


おしまい。


...

ことわざに思う・・ - 2003年08月05日(火)

「明日はたまっている家事を全てやってやる!」と、

昨日の夜から意気込んでいた私。

寝る前に、

頑張って早起きをする

午前中に部屋の掃除を終らせる

トイレと洗面所を掃除する

ホッとカーペットを陰干しする

洗濯をする

ホットカーペットを取り込む。

洗濯屋に預けていた旦那のスーツを取りに行く。

ホットカーペットを畳んで押入れにしまう

夕飯の買い物に行く、という計画まで立てたくせに、

起きてみるとやっぱり昼の12時半であった。

「またやっちゃいました」という反省を、

「いやいや、多少スタート時間がずれただけ。
 ダッシュでやればスケジュール通りにコトは完遂できるハズ」と、

即座にやる気にすり替え、モーレツに動き続けること6時間ちょい。

で、洗濯屋から戻り、時計を見るとまさかの7時半。

・・・・これでは「買い物」という項目が危ない。

「カーペットを畳んで〜」は後回しにし、取り急ぎスーパーへ行った。


ここんとこようやく夏らしい。

暑い時には辛いもの!と、店の中に入りまずキムチを探すと、

白菜キムチ278円がなんと売り切れ。

周りに目をやる。

キムチは他にもあることはあるのだが、200円も高い。

やめた。

「キムチぐらい食べなくったって・・」とブツブツ言いながら、

次のカニかまに向かって進んだ。

うちの旦那は最近ワカメがお気に入り。

「いや〜ワカメって最高!あれ食べるとうんちが出るわ出るわ〜」

と水でもどしたわかめに、ポン酢をかけて喜びいさんで貪り食っている。

いくらうんちが出ると言っても、毎回その食べさせ方では

妻として、女として、あまりにも芸がない。

そこで、カニかまでも入れてみようと思いたった次第である。

カニかまの赤。ワカメの緑。見た目にもステキだ。

だが、20本入り100円のカニかまの姿は、

値段を書いた黄色い紙だけが空調の風にはらはらと揺れるだけで、

どこにも・・・・見当たらない・・。

売り切れであった。

もちろんカニかまはその一種類ではない。

だが、カニかまは所詮かまぼこ。

カニでもない”もどき”に150円以上出す気にはなれない。

やめた。


かごは空のままである。

そう、今日の目的はキムチ、かにかま、そして牛乳だったのだ。


軽すぎるかごを持ち、トボトボと最終目的の牛乳売り場へ。

ここでもやはり、中では一番安い168円の牛乳が売り切れ。

今月は実家に帰省する。

1円でも倹約したい気持ちでいっぱだが、

牛乳までも買うことをやめてしまうと、

買い物に来た意味がなく、

私はただスーパーまで散歩をした中年女・・ということになってしまう。


仕方なく牛乳を買った。

198円であった。


もうちょっと・・早く・・来ていれば・・


私は今日ほど「早起きは三文の得」という言葉をかみ締めたことはない。


おしまい。


...

納得。 - 2003年08月02日(土)

化粧品屋のカウンターに座って、

「最近シミが目立つので、コーンシーラー見せてもらおうと思って・・」

と言ってみたら、

「じゃあ、お試しになりますか〜」

と店員が肌色の口紅みたいなスティックのふたをスポッと取り、

「行きますよ〜」の前フリもなく、

「ホイッ!」みたいな勢いで、

唐突にそのスティックを目の際に当てようとしたので、

思わず目を閉じたら、

「敏感ですね。もしかして目薬さすの、苦手でしょう?」と言われ、

そうですね・・と答えた私に、

「私は目の前に何が来てもぜんぜん平気なんですよ〜」

と言った後、何故か「こうやって〜、あっちの方見て〜」と

目薬指南までするその店員は、

「矢でも鉄砲でも持って来い」という言葉がピッタリな、

デ〜ンと肝も座っていれば、体も・・といった感じの・・


そう・・


かなりの巨漢であった。



なんか納得。


おしまい。


...

そうだったのね〜ん。。。 - 2003年08月01日(金)

台所の蛇口。どこがどーいうふうにおかしくなったのかというと、

継ぎ目のところ。

水が漏れるのである。夜、水をふき取っても、

翌朝にはもうおねしょをしたかのように、漏れ出した水がジワリと滴り、

蛇口の根元に溜まっている。


で、修理のオヤジはやってきた。

昨日、向こうの都合でドタキャンしたのだから、今日は

ちゃんと時間を守ってやって来ると思っていた。

甘かった。

オヤジの来たのは、約束の9時より40分も早い朝の8時20分。

技術者とはいえ、客商売でもある。その自己中ぶりは如何なものか?


とにかく眠かったのだった。

ふらふらと顔も洗わない状態でオヤジを招き入れた。

背の低い、頑固そうな、四角い顔をした、ひと言で言うと

小皿のようなオヤジを。


修理が始まった。

オヤジは玄関に工具一式を置き、必要に応じてその都度

道具やら部品を取りに行ってるようで、パソコンの前に座っている

私の後ろを何度も通り過ぎる。

時折「直りそうですか?」と声をかけるのだが、

「それはわからねぇ〜な」とオヤジの態度は実に素っ気ない。


このマンションは都が管理している。

修理修繕は、都の事務所に連絡すると、都が業者の手配をしてくれるのである。

普段であれば、ガチャガチャやってる脇にピタリとくっついて、

修理とはなんら関係のない業者の家族構成など聞き出し、

「へえ〜、お子さんかわいい盛りですね」とか

「あ〜、じゃあ奥さんは幸せだぁ〜」とか、楽しく仕事をしていただくため、

最善を尽くしてその場を盛り上げる私だが、

今日はちっともそんな気になれない。それどころか、

「この態度、都にチクってやる」

とまで思うのだった。


20分ほどがたがたして、台所方でオヤジの手が止まった気配がし、

声がした。

「まあ、なんとか直りました」

その声に呼ばれて台所に行った私にオヤジは言う。

「あんまり使ってないと、新しくてもこうなっちゃうんだよね〜」と。

私は水道屋ではないので、

いまいち分かったような、分からないような・・なのだが、

説明によると、使う回数が少ないため、いつの間にか中にある

パッキンが硬くコチコチになり、なめらかに滑らないようになって

水が漏れ出すらしい。

う〜ん、、良く分かんない・・。


とにかく、築3年で蛇口が水漏れをしてしまうのは、

野菜を洗ったりなどの行為が少ないということであり、

食器を洗う行為も少ないということであり、

要は私の台所を利用する頻度が少ないということが原因。

オヤジはそう言ってるのである。


そうだったのね〜〜ん。



自分の主婦としての日常に原因があると分かり、

なんだか妙に可笑しい。

もはや、オヤジのぶっきらぼうな態度はどうでもよかった。

それどころか、心なしかオヤジがいとおしい。

オヤジは普段の私の家事態度で起きた問題の

尻拭いをしてくれたということになる。


ありがとう・・オヤジ。



工具を持って靴を履く彼を、最後は笑顔で見送ったのだった。





おしまい。


...




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