瞳's Cinema Diary
好きなスターや好みのジャンルにやたら甘い、普通の主婦の映画日記。
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2007年08月30日(木) 「市民ケーン」

1941年アメリカ 監督オーソン・ウェルズ
キャスト オーソン・ウェールズ ジョゼフ・コットン ドロシー・カミンガー
アラン・ラッド

映画史に残る名作。
燦然と輝く金字塔と言われ、名作ランキングでも常に上位に位置する・・、いつか観てみようか・・などと思いつつ〇十年が過ぎましたが、なんと!高校生の息子が借りてきてるじゃないですかっ・・まぁ、まぁ・・相変わらずの渋好みですね。

そういうわけで、やっと私も「薔薇のつぼみ」の謎に向かう時がきたようです。
アメリカの新聞王ケーンが死去、彼が最後に言い残した「薔薇のつぼみ」とは、どんな意味なのか、なんのことなのか。
ケーンの記事を取り上げることになった記者トンプスンは、成功者ケーンの姿を追うため、そして「薔薇のつぼみ」の謎に迫るため、生前の彼を知る人々に取材を申し込む・・

周囲の人々が語っていくケーンの姿。
しかしね・・う〜ん。なんともイヤなやつ・・ですね(ああっ、酷いことを〜汗)
いや、だって、ほら〜。強引な方は好きじゃないから・・。たしかに手腕はあったのでしょうね。カリスマ性もあったのかも。でも、ほら魅力があるかと・・言われると・・私にはどうも・・
そんな彼だから、晩年の生活ぶりについては・・自業自得じゃないかなって思いますよね。
まあ、でも彼らが語るケーンの姿は、どこまで彼の内面を知っていたかと言うと・・誰も知らなかったのではないかって気がします。
新聞王としての顔、社会的な表向きの顔。家庭でも本当の内面を見せたことがあるのか・・そう思ってしまいます。
だからこそ、「薔薇のつぼみ」の謎を彼らは最後まで知ることが出来ない。

ラストシーンで、私たち観客のみに・・その意味が知らされる「薔薇のつぼみ」。
でも果たして、それが本当に「薔薇のつぼみ」を意味するものだったのか。
少年時代、彼がまだ無垢で何も手にしていなかった・・あの頃。なくしてしまったものへの思いと母への愛情。
再び手にすることのなかったものへの思いを込めた言葉だったのかもしれません・・
でも、でも、どこか私にはあの言葉がとても印象に残ったのですよね。
記者が最後に言った「薔薇のつぼみには何の意味もないのかもしれない・・人間の一生をひとつの言葉で表すなんて・・・出来ないもの・・」(ちょっとうろ覚え・・違ってるかも)。
この言葉もね、また真実であるように思えるのですよね。

映画の中でははっきりと明かさずに、最後の最後ににちらりと・・私たちの前にあらわしてみせたもの・・
う〜ん、やっぱりニクイですね、これは。
決して明かさない、明かされない。それは人生と同じ。けっして誰も他のひとの人生をすべて知ることは出来ない。
観客ひとり、ひとりにそれぞれの「薔薇のつぼみ」の余韻に浸らせる・・

ケーンの人格に憤慨しながら見ていた私でも(苦笑)これはやはり名作だとしっかりと納得させられる作品でした。

スノーボールが登場する映画としても・・以前本に紹介されていました。
薔薇のつぼみとスノーボール・・どちらも心惹かれるキーワードですよね。



2007年08月28日(火) 「ボルベール <帰郷>」

2006年スペイン 監督 ペドロ・アルモドバル
キャスト ペネロペ・クルス カルメン・マウラ ロラ・ドゥエニャス ヨアンナ・コバ チュス・パンプレアヴェ

「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」に続くアルモドバル監督の女性賛歌三部作。
「オール〜」も「トーク〜」もとても印象に残る作品だったので、最終章のこの作品も絶対劇場で観ようと決めていたんです。

3つの作品どれも良かったんですけど、今回のこの作品はこれまでの作品のどこかちょっとクセのある感じは弱まって、とてもすーーと入ってきて、そしてどーん!!と心の中に座り込んじゃうような。あたたかく、大きく包んでくれるような、そんな作品でした。

まず、冒頭の故郷で両親のお墓を掃除するシーン。久しぶりにあった人々との抱擁!そしてあの大きな音をたてて頬にかわすキス・キス・キス!「ちゅ!ちゅ!ちゅ!!ちゅ・ちゅ!」ってほんとにとっても大きな音を立てるんですよ、これがなんともユーモラスというか、楽しくて。(しかも人によって回数とか違うし・・苦笑)もうこのシーンだけで、この映画が好きになりそうでしたよ(笑)

大輪の花のように美しいライムンダ(ペネロペ)、胸の谷間もとってもセクシーで思わず見蕩れちゃうほど(笑)でもお尻のお肉は足りない・・って付け尻してるとか。(!)そんな彼女が見せる母親としての顔、そして娘としての顔。娘を守るためにたくましく、毅然と力強い彼女が、母との再会の時に見せた壊れそうな、あの泣き顔が忘れられない。
目がとても印象的でしたね、ペネロペ。マスカラもくっきりな彼女の瞳にこぼれるかのような涙が、みるみるうちに溜まっていく・・・。見てるだけで、こちらの感情も揺さぶられてきて。

ライムンダと娘を襲った辛い出来事や、過去の事件。そこにはあまりにも悲しく繋がっているものがあってなんともいえない気持ちになってくるのだけれど、それなのに何故だろう、そういう痛みが大きなものに包まれて、見終わったあとにはなにか力強く、暖かい気持ちにさえなってくる。
頭を挙げて、しっかりと生きていけばいい!とドン!と後押ししてもらったような。

印象的なシーンがたくさんあって、挙げきれないくいらいだわ。
母親に教えてもらった曲「ボルベール」を歌いあげるライムンダと、風に乗って聞こえてきたその歌に思わず涙を浮かべる母イレネのシーン。
夫が好きだったという川のほとりに立つライムンダと娘パウラのかわす言葉。ここは思わず涙が溢れましたね。ただ隠すだけの場所かと思ったのに・・・。なんていう大きな、優しさ。

母親の香り・・・は楽しかったですよね。「おなら」!ですもん(笑)みんなで笑ってるとイレネも一緒に笑ってしまって。
ベッドの下からすまなさそうに顔を覗かせるシーンも好きだわ。

赤!ドキッとする、鮮やかな、あたたかな、赤。
「トーク〜」が白の印象の映画なら、この作品は「赤」のイメージかな。
床に流れる血をすいとるキッチンペーパーに吸い込まれる赤。
あわててガウンを着込んだライムンダの首筋に一筋の赤い血。

パーティの日のライムンダとパウロの赤い服。
そしてイレネの隠れたベッドにかかる赤いカバー。
女性達の悲しみと、逆に溢れるような力強さと、両方を感じさせてくれる「赤」が印象的に使われていました。

エンドロールに鮮やかに咲き乱れる花々も素敵でしたね。

ぺネロペをはじめ女優さんたちもみんな魅力的でした、母のイレネの茶目っ気ある様子も可愛いかったし、地味だけど姉ソーレ!彼女がまた、私はとっても好きだわ。

三部作、最終章は、女性への優しさと、母親、そして故郷への愛と、生きていくことへのエールがこもったあたたかい作品でした。







2007年08月20日(月) 「僕の大事なコレクション」

2005年アメリカ 監督 リーヴ・シュレイバー
キャスト イライジャ・ウッド ユージン・ハッツ ポリス・レスキン ラリッサ・ローレ

ユダヤ系アメリか人青年ジョナサンのコレクションはすごい。
すごい・・といっても価値があるものとか、高価なものとかいうのじゃなくって、とにかく家族の思い出に関するありとあらゆるもの、入れ歯から、硬貨から、装身具はては・・あんなもの(ビックリ!!)まで〜!!
ジップロックの袋に入って壁一面ピンで留められたコレクションの前に立つ、ケント・デリカット並みの分暑〜いメガネをかけたイライジャの姿は、なかなかに強烈な印象だ。
ある日、祖父の昔の写真を目にしたジョナサンは、60年前祖父の命を救ってくれた写真の中の女性オーガスティンを探しにウクライナへと旅立つことを決心する。

ウクライナでジョナサンを迎えたのは、ツアーガイドのアレックス。
ユーモラスで人好きのするこの青年と、なぜか目が見えないと主張する・・彼の祖父。そして犬嫌いのジョナサンを困惑させるおかしな名前のワンちゃん!
三人と一匹の道中は、かみ合っているようで、いないような会話から始まり・・なんだか不思議な可笑しさを見せながらウクライナの美しい風景を進んでゆく。

牛乳ビンの底みたいなメガネにスーツとネクタイのジョナサン。
派手な洋服に金の飾り。いかにも若くて明るいお兄ちゃん!!のアレックス。
ジョナサンのオタクっぽい(っていうとオタクの人に失礼?汗)人見知りぶりと屈託の無いアレックスの雄弁ぶりがなんだかいい味なんですよね。無口でなんだかわけありげな・・おじいちゃんも気になりながら。

だけど、そんなちょっと可笑しな旅の雰囲気が、祖父の思い出の村だったという(ナチスに侵略され消滅した)場所へと辿り着いたとき、だんだんとドキドキするような、ミステリーっぽい雰囲気に変わっていくんですね。
思い出の小箱の蓋が・・少しづつ、少しづつ・・開かれてゆく・・
ひとり生き残った老女が、コレクションした思い出の箱の数々・・ここにも逝ってしまった人々を、その思い出を忘れないように・・しまっておく人がいて。

楽しい思いでも、悲しい傷痕も、すべてその人の思い出なら、しまっておかなくてはいけないから。忘れないように、決して忘れてしまわないように・・
アレックスの祖父の最後に取ったあの行動はビックリしましたけど・・彼なりに運命を感じとったのでしょうか。

最後に別れてゆくジョナサンとアレックスの顔には、お互いのつながりを感じあった・・そんな気持ちが感じられました。
悲しい過去を希望に変えていける・・そんな優しい気持ちが感じられる嬉しいラストでした。

ウクライナの村の、ひまわりの花畑がとっても印象的でした。




2007年08月15日(水) 「キサラギ」

2007年日本 監督 佐藤祐市
キャスト 小栗旬 ユースケ・サンタマリア 小出恵介 塚地武雅 末永優衣 米本来輝

焼死したアイドルの一周忌に集まった5人の男。
如月ミキを偲び、語りあうための集まりが、いつのまにか彼女の死の真相を探りあい、思ってもみなかった方向へと・・彼らを導いてゆく。

予告を見たときから劇場で観たい!と思っていたこの映画、期待通りの面白さで大満足。
まず如月ミキちゃんの設定がいいよね。超アイドルじゃない、C級いやD級?(らしい)アイドルの彼女(デビュー時のキャッチフレーズもずばり「遅れて来た清純派」!)。ファンサイトの常連が5人というのも素直に頷けて。
そして5人の登場も面白い、HNしか知らないネットの世界。誰も彼らの本当の姿や名前を知らない・・そんな彼らがひとりのアイドルで結びついていて・・そしてそこからどんどんと生まれてくる会話や展開が、密室という舞台の中でとても生かされていましたよ。
冒頭から彼らにどんどんと引き込まれいきました。なにせこういうファン心理には非常に身につまされる部分があるわけですもん(笑)家元さんのパーフェクトコレクションやスネークの生写真・・お宝合戦も分かる、分かる〜!!

HNの設定も上手いよね、あるある!こういうHN・・っていうのから・・あの「オダ・ユージ」ネタ。これにはたまらず大爆笑。
会話のテンポも、5人のキャラを上手く生かしていましたね。
演じる俳優さんたちも個性豊かに魅力たっぷりに演じてくれて・・ユースケ・サンタマリアも良かったけど、私はみんなのまとめ役・・というか一番個性が出しにくい家元さんを演じた小栗旬さんと会話のテンポと突っ込みが絶妙だったスネーク役の小出恵介さんが特に良かったかな。香川さんは別格だから(笑)

死の真相に至る推理の部分もどんどんと展開が変わっていって、面白かったですよね。意外に推理は予想できる部分もあったりして途中からこうなのかな・・って思ったりしたんだけど。そういうのも、会話の上手さや彼らのキャラの面白さで全然飽きさせないし。なにより、あの人が・・実は・・っていう。このあたりにつくりがビックリ。
私はね〜、あの家元さんの嘆きのシーン・・「ぼくだけが・・」っていうあのシーンで思わず涙してしまったわ・・なんだかとっても分かるよ〜って(涙)
誰かにファン心を捧げたことのある人なら絶対分かるはず、あの気持ち。

最後はもう少しすっきりでも良かったかなって思いましたけど。
でも笑って、泣いて。そして最後は思わず一緒にGo!Go!ってやりそうになっちゃいました(笑)懐かしいねぇ・・大磯ロングビーチ〜!!

そうそう、それにあの「後ろ斜め45度から見たジョニー・デップ」!!あれにも噴出しましたよ〜(爆)



おまけ
HNのお話が出たので、全然関係ないですけど。
私のHNは本名です〜、なんて普通だろうか・・(笑)
もっと凝った名前にすればよかったかなあ・・なんて後から思ったりもしたけど。
ネットデビューしたのが海外ドラマ「ダークエンジェル」ファンサイトからだったのでこちらはhitomiと横文字にしてました。
このサイトで使ってる「瞳」は昔私が生まれた時には使えなかった漢字なのですよ(今では使えるそうです)親はこの漢字にしたかったらしいのですが。
なのでせめて・・ここで使ってます(笑)



2007年08月11日(土) 「うつせみ」

2004年韓国 監督キム・ギドク
キャスト イ・スンヨン ジェヒ クォン・ヒョゴ チュ・ジンモ チェ・ジュンホ

まず、なによりこの邦題は素晴らしいと思う。
韓国の原題は「空家」そして英語では「3-IRON」(登場するゴルフのアイアンからなんでしょうけど、3という数字も意味があるような・・気もしたり)。
その原題にこの「うつせみ」をあてた方のセンスに拍手を送りたいです!

抜け殻のような・・中身のない・・人生を送っていた人妻ソナ。
裕福だが独占欲が強い夫に暴力をふるわれ、ひとり家に閉じこもってひっそりと生きている彼女。
そんな彼女の家にある日侵入してきたのは、留守宅を探し空っぽな家を見つけては侵入し住民が帰ってくるまでの日々をそこで過ごす・・不思議な青年テソクだった・・

全く会話を交わすことなく・・しだいに心を通わせる二人。
無口な方は大好きですが・・ここまで喋らない主人公達も珍しい・・というか・・すごい。テソクは結局最後まで一言も発しませんでしたよね。
なのに。伝わってくるもの・・流れてくるものが・・静かに、でもしっかりと感じられました。

いくら空っぽな家だからといって留守中に勝手に上がりこむなんて・・決していいことではないんだけど、綺麗に片付けたり(その家の)壊れているものを修理したりするテソクの行動に・・なんだか癒されるものを感じてしまうのは何故なんだろう。(あ、でも洗濯されるのは・・ちょっと嫌かも 苦笑)
自分達の家でもない場所で、寄り添うように過ごしていく二人に対して、留守宅に帰ってきた夫婦(たち)は決して幸せそうじゃない様子なのが(あのちょっとお寺風なおうちの人は良かったけど)・・なんとも皮肉っぽい。
あ、あの夫の方・・ヒドイ人なんだけど・・とっても哀れにも思えたな。ほとんど一人で喋っていた彼。
喋れば喋るほど・・どんどんと離れてゆく心。

でも・・後半ああいう展開になるとは思ってもみませんでした。
囚われたテソクのあの行動、そして彼を待つソナの取る行動・・離れた場所にいるはずの二人なのに・・互いにまるで自分が透明な存在になったかのような。
最後の、あの驚きの、そしてなんとも美しいラブシーンまで、どんな風に解釈したらいいのか・・なんていうことはこの際置いておこう・・っと。
考えることなんてやめにして、とにかく言葉のない世界で、眼差しをかわす二人を息をとめて見つめていることにしようと思う。
そこに静かに存在する・・たしかなものだけを感じたら、現世の姿かたちなんて意味をなさないような・・そんな気までしてくる。

キム・ギドク監督作品、初めての鑑賞でしたけど・・う〜ん、なんだかこれは忘れられない・・ですね。
他の作品もこれからどんどん見ていきたいです。




2007年08月07日(火) 「過去のない男」

2002年フィンランド・独・仏 監督アキ・カウリスマキ 
キャスト マルック・ペルトラ カティ・オウティネン アンニッキ・タハティ ユハニ・ニユミラ カイヤ・パリカネン サカリ・クオスマネン マルコ・ハーヴィスト&ポウタハウカ

レンタルショップの企画コーナー(?)「人生を見つめて」の棚で見つけました。
2002年のカンヌでグランプリと主演女優賞を受賞したそうですよ。
実は、カウリスマキ監督の作品を見るの、私は初めてです。

夜の列車を降りた男がたどり着いたのは、ヘルシンキ。
公園で眠りこんでしまった彼は、暴漢に襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。一度は死んだかと思われた男は、なんと奇跡的に意識を取り戻すのだが、過去の記憶は、全て失ってしまっていた・・・

なんとも独特のムードを持った作品でしたね。
夜の列車、公園。そしてあの病院のシーン、驚きの始まりでしたよ、もっと穏やかに始まるのかなあ・・って思っていたので。
思わずヘルシンキ・・酷いとこだなあ・・って思ってしまったくらい(苦笑)
まるでミイラ男のような姿でぷちぷちと点滴を外して起き上がるシーンには、思わず・・え?これは・・ホラー・・などと思ってしまったり。

男は記憶を無くしてしまうのだけれど、周りの人々に助けられながら意外に逞しく、淡々と生きてゆくんです。
誰も腫れ物に触るようには扱わない・・むしろお金を巻き上げられたり・・の厳しい現実もあったりするくらいの。
みんな暮らしてゆくのが精一杯の人々ばかりだから・・彼によけいな、たとえば名前をつけたりもしないんですよね。
「記憶がないくらい、どうってことない。人生は後ろ向きには進まないんだ・・進んだら大変だ」
男を助けてくれた一家の主人の言葉なんですが、なんだかこの言葉が全てを物語るかのようでした。
過去がないまま、名前もないまま、彼は住む場所を作り(すごく心地よくなってビックリ!ジュークBOXがいいな〜)働く道を探し、そして一人の女性と恋をして。

この女性を演じるのはカティ・オウティネン。カウリスマキ監督の常連女優さんだそうですが、このひとがまた独特の風貌ですよね。硬くて一見恐い感じなんですけど、だんだんと少しづつ・・柔らかなところを見せてくれて。

後半、男の過去が明らかになるのですが、このあたりも特に力みすぎた感もなくて淡々と描かれているのがいいですよね。
ここで無理やりぐいん!と盛り上がられたら・・まるっきり別のものになってしまいます。
肩の力を抜いた、不思議な心地よさを感じさせる作品でした。

悪徳警官から預かった犬の名前が「ハンニバル」これには思わずくすって笑ってしまいました。
そうそう、それから最後に男がまた列車で帰ってくるシーン。列車の中の食事が日本酒にスシって?流れる音楽も日本語だし・・これって?

監督さんの他の作品も見てみたいな・・そんな風に思える作品でした。



2007年08月03日(金) 「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」

2007年アメリカ 監督 デイヴィッド・イエーツ
キャスト ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン レイフ・ファインズ マイケル・ガンボン ゲイリー・オールドマン イメルダ・ストーントン ヘレナ・ボナム=カーター マギー・スミス アラン・リックマン
デイヴッド・シューリス ブレンダン・グリーソン ジェイソン・アイザック他他・・書ききれないから・・・

シリーズ5作目ですか・・そっか〜、大きくなるはずですよね、みんな(・・とまるで近所のおばちゃん状態 笑)
恋もして、自分というものにもいろいろ思うことがある・・ハリー君も難しいお年頃・・なんですね。しかも前回にあんなことがありましたから。
でも友達も(ロンやハーマイオニーまで)を拒絶するかのような・・態度には・・やっぱりちょっと悲しいものがある・・前半でしたよ。(でも原作はもっと悩める少年だったそうですよ・・私はこの原作はまだ読んでないのですが)
早く笑顔が見たいなあ・・って思いながら見ていました。だって・・ほら、このシリーズどんどん暗くなってきてるので。

そんな中今回やはり強烈だったのはピンクの彼女でしたね。魔法省から使わされたドローレス・アンブルッジ。演じるのはイメルダ・ストーントン。
ピンクの衣装を身にまとい、すっごい丁寧なその言葉使いと「うふっ」ともらすあの笑い。でもその嫌味なことといったら!!すごかった〜!!ある意味や言葉に出来ないあの方よりも・・怖かったですよ。彼女が出てくると何が起るんだろうって思わず身構えてしまいましたもん。
トレードカラーはお部屋にも現れていましたね。可愛いピンク、レースやお茶のカップも!!(お砂糖まで薄いラベンダーのような色?)猫の飾り皿が壁にいっぱい〜。
新登場のキャラクターは、他にも不思議少女ルーナ、悪女役のベラトリックス!!二人も良かったですよね。ヘレナ・ボナム=カーター!ぴったり〜!!(誉めてます、誉めてますから!)
でも私原作読んでないからかな・・なぜルーナがあんなにみんなにいろいろ隠されたりするのかなあって・・よく分からなかったんですけど。

そしてね、やはり今回はシリウス!!でしょう。
セクシーだったなぁ・・子供たちも可愛くていいけど・・やはり大人の魅力。ゲーリー・オールドマン、アラン・リックマン(スネイプ先生やっぱり好き〜)、ディヴィット・シューリス、ブレンダン・グリーソン。お〜っとジェイソン・アイザックも忘れちゃいけません。善悪入り乱れて・・魅力がいっぱいでした。
ダンブルドア軍団もいいんだけど、私としてはもう少し不死鳥の騎士団を見せて欲しかったです。

ラストのヴォルデモードと校長先生とのバトルは迫力ありましたね。ダンブルドア強いんだ〜〜って初めて実感しました(苦笑)
ハリーは、表立ってのバトルの見せ場はあまり無かったですけど、内に忍び寄る悪に打ち勝つシーンには心打たれましたね。
さあ・・次はどうなるんでしょう。
ますます戦闘モードなのでしょうか。

ロンの双子のお兄ちゃんたちと、ホグワーツの食堂の美味しそうなデザート♪そして・・苦虫を噛み潰したスネイプ先生が毎回私の癒しです(おいおい〜、癒されるんかい・・・笑)
必要の部屋、あったらいいなぁ〜。

あ・・そうそう、今回最後まで見て分からなかったことが。
5作目の宣伝文句のひとつに「ついに明かされるハリーの秘密」ってありましたよね。映画の中でも「なぜ赤ん坊のハリーを彼が殺せなかったのか・・」って言ってましたけど。
その秘密・・って明かされましたっけ?
あの予言玉の・・あのシーンのことなんでしょうか?でもあれって・・別に秘密・・なのかな?
原作読んだら分かるのかしら。

6作目にはスチュアート・タウンゼントが出演するとか〜!!今から楽しみです!!





2007年08月02日(木) 「パンチドランク・ラブ」

2002年アメリカ 監督 ポール・トーマス・アンダーソン
キャスト アダム・サンドラー エミリー・ワトソン ルイス・ガスマン フィリップ・シーモア・ホフマン

まだまだアダム・サンドラー祭り続行中なのですよ(笑)

不思議に、でも強烈なラブストーリー。
まず冒頭のシーンからビックリ!!早朝の道路、静けさを突然破る!!
いや、もう何の予告も無かったので私はかなり驚いたのでした。
そしてその後の展開も・・・ラブストーリー(もちろんそうだよね?)で、こんなに不思議にいろんな意味でやたらドキドキさせられたのは初めてかも。

アダム・サンドラー演じるバリー・イーガン。7人ものお姉さんからの口出しに・・そりゃあもう、日々いろんな物が積み重なっているんだろうなあ・・っていう。普段は物静かなのに・・・その突然のキレっぷりがすごくって!!恐いんですよ〜、恐いんだけど・・なんだか可愛いくもあって(でもトイレは壊しちゃいけません・・苦笑)
このあたりの表情が、アダムとっても上手いですよね。次何が起るか分からない・・っていうドキドキ感。
そんな彼と付き合うようになったリナを演じるのはエミリー・ワトソン。
大きな目、独特のその表情、バリーの上を行くくらいの不思議さを彼女も醸し出していて。

プリンを買い込んでマイレージを溜めるエピソードや、ヤバイ人たちに脅されるシーン。
彼女に会いに行くハワイ。どれもが不思議なはずなのに・・なぜかしっかりとふたりのラブストーリーに繋がっているんですよね。
映像もとっても印象的でした。
ハワイでかけよる二人のシーンの、あの影絵のような映像はとっても素敵だったし。
バリーがずーーーーとずーーーーっと着てたブルーのスーツ(着替えてたのはホテルでの翌朝のシーンのみ?)や、道路に置かれていたハーモニウム。積み重ねられたプリン。そういう小物使いも面白いですよね。

バリーを脅すフィリップ・シーモア・ホフマンも散髪中・・という間抜けさにも関わらずワルの貫禄を感じるのはさすが・・っていうべきかな(笑)

それは目が眩むほど、パンチのきいたラブストーリー
やがて衝撃は、陶酔にかわる

このコピー、いい感じですよね。不思議なラブストーリーは、軽妙かと見せかけて実は結構アルコール度数の高い、しっかりと酔わされた映画なのでした。

で・・プリン・・いつ食べるんだろう・・それが最後まで気になったのですけど(笑)











2007年08月01日(水) 「あるいは裏切りと言う名の犬」

2004年フランス
監督 オリヴィエ・マルシャル
キャスト ダニエル・オートゥイユ ジェラール・ドパルデュー アンドレ・デュソリエ ヴァレリア・ゴリノ ロシュディ・ゼム

あぁ・・なんでしょう、やるせないほど・・ほんものっぽい。
監督さんは元警官だとか・・なるほど〜。

パリ警視庁。
かつて親友だった警視レオと同じく警視のドニ。
部下の信頼も厚く捜査にかける情熱も熱いレオに比べ、ドニは上昇志向の強い野心家。
かっての友情は影をひそめ・・ドニはレオを蹴落としてでも上の地位を欲している・・

ううーーーー!!って唸りたくなる・・ドニを演じるのはドパルデュー。やっぱり上手いから憎憎しいんですよね。
でもだからといってレオだけがクリーンかというとそうじゃなくって。
捜査のために彼が選んだ道が彼自身を追い込んでしまうわけだから。
なんだかねぇ・・やるせない世界だわ〜。
何が正しくて、何が間違っているのか。正義も悪も・・そんな一言の言葉だけじゃ表せない世界。
そんな世界に身を置く男達から最後の最後まで目が離せないのでした。

でも・・でもね。
私としては・・二人の友情を壊したのが・・一人の女性を巡ってという設定。
これだけがねぇ・・どうにも気に入らないわけなのですよね。
え?何故って?
う〜ん、だってそういうもの?男の友情って。
もしかして私、男の友情に夢を見すぎてる?(苦笑)
アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンの世界じゃなかったか・・(古過ぎです)
女性一人で崩れるような友情は本当の友情じゃない・・って言ってみたいのですけどねえ。
それにね・・映画の中ではドニが彼女をそんなに愛していたようには・・思えなかったから・・よけいにそう思えたのですけど。愛が憎しみに変わったのか・・

二人を巡る周りの警官達、上司、このあたりもしっかりと描かれていましたね。

「もう置いていかないで」
娘役は、オートゥイユの本当の娘さんだとか、似てましたね。
でも根っからの警官だと思うレオ、彼がどんな再出発をするのか・・よけいなお世話だけど気になったりします。











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