パラダイムチェンジ

2004年08月31日(火) 夏の終わり

そんな訳で、アテネオリンピックが終わった後の軽い虚脱感におそわれ
ている。
深夜まで夜更かしが続いたことと、8月が終わり、夏の終わりが近づい
た事で、夏の疲れがダブルパンチでおそってきた感じなのである。

今年は夏バテとは無縁だぜ、へへーん、という気分でいたのだが、
どうやら身体の方は結構疲れがたまっていたようである。

しかもいつもなら夏やせする所を、今年の場合には太ってしまった。
これはひとえに、最近ミクニのソフトクリーム(濃厚牛乳と黒ごまはち
みつのミックス)にハマってしまったからに違いない。

でも毎年この時期、8月後半〜9月前半は、大抵こんな感じのような気も
するのである。
毎年この時期は、夏の疲れにおそわれて、食欲が落ちたり、生産性が
下がったりするのである。

そして9月もお彼岸を過ぎて、涼しくなってきた頃に食欲とともに意欲
も復活するのが例年のパターンである。
これはひとえに日本の季節のせいに違いない。いやそうに違いない。

ま、だからしばらくは少しギアを落として、まったりとしながら身体の
調子でも戻したいな、などと思ったり。
あー、たまには温泉か、沖縄のビーチでのんびりしたいものである。

現実には毎日追っかけてくる仕事があるので、そんなことも言ってられ
ず、自分の身体を調整してもらうのだが。

でも、毎年8/31を迎えるたびに思うのは、やらなかった夏休みの宿題
ってどうなったんだっけ、という事である。
私は結構波があって、きっちり夏休み前半で宿題を終わらせた年もあれ
ば、結局終わらせられず、そのままほったらかしにした年もあったよう
な気もするのだが、夏休みの宿題をやらなかった事でこっぴどく叱られ
た記憶は不思議とないのである。

うーん、どうだったんだっけ。
なんて事を、だらだらと考えている最近なのである。





2004年08月29日(日) ミスサイゴン

この前、キャバレーを見たときのパンフレットに、ちょっとだけミス
サイゴン
のエンジニアについて触れている箇所があり、それで興味を
ひかれたので、急遽チケットを手に入れて見に行ってみる。

前回のキャバレーがブロードウェーのキャストなのに対し、このミス
サイゴンは日本人キャストだけど、演出は外国人。
メインキャストに松たか子、知念里奈、市村正親、筧利夫他があたり、
一つの役に4人の役者が公演ごとにかわるがわる出演するという、クワ
トロキャストという異色作。

とりあえず一番見たかったのが、松たか子、筧利夫の組み合わせで、
そして日曜に行なわれる日がこの日だったわけですね。

ちなみに購入したのが直前だったので、A席の2階だったんだけど、
真ん中よりの席で結構満足できる席でした。ちなみにオペラグラスの
貸し出しもありました。

で、公演場所は帝国劇場。生まれてはじめての帝劇である。
なんかもう、個人的には帝劇で舞台を見るというだけで、有閑マダム気
分というか、その事だけでもイベントに参加している気分なのである。

だって劇場なのにアクセサリーとか、お土産とか売ってて、限定50個の
おにぎり弁当はいかがっすか、と売り子さんが叫んでいる劇場は初めて
なのだ。

ま、もちろん値段は帝劇価格でちょっと高いんだけど、せっかくだから
買ってみました、おにぎり弁当。
ええ、おいしゅうございましたとも。
なんか、有閑マダム気分が味わえて得した気になったのである。

さて、肝心のミュージカルに関してであるが、
ストーリーはさておいといて、松たか子の歌はうまいなあ、とつくづく
感心したのである。

なんていうのか、伸びのある声が劇場いっぱいに響きわたっているのを
聞くだけで幸せ、って感じ。
相手の男優さんとのハーモニーもきれいだし、松たか子のもろ肌の踊り
子姿も見られたし<ちょっと違うか。
でも、演技がこなせて歌も歌える松たか子は、本当にミュージカルに
向いているよなあ、と思うのだ。

また、筧利夫のエンジニアは、まあいわゆるポン引き役なんだけど、
その動きはまさに筧ちゃんそのもの、という感じで、舞台を所狭しと
駆け回っている姿はとてもよかったし。

ラスト前にかかるソロパート、「アメリカンドリーム」の曲の時なんか
観客を一人で見事に引き受けている姿が格好よかったのである。
このエンジニア役、他にも市村正親、橋本さとし、別所哲也がやってい
るんだけど、他の人だったらどうなるのか、ちょっと見てみたくなった
り。

ちなみに筧ちゃんバージョンは、カーテンコールの回数も多く、最後ま
できっちりと楽しませていただきました。


さて、ストーリーについてである。
(以下ネタバレにつき、読みたい人だけ要反転ドラッグ)

舞台はベトナム戦争末期、明日にも首都サイゴンは陥落し、米軍は撤退
をはじめるという日。

そんな中でもフランス系ベトナム人のエンジニアは、米兵相手に売春の
商売を行なう一方で、アメリカに渡るビザを手に入れようとしている。
そこで今日から働き始めた、まだ商売経験がなく生娘のキムに、一人の
米兵、クリスが出会い恋に落ちる。

クリスは彼女を妻に迎え、共にアメリカに渡ろうとするが、まさしく
その時にサイゴンは陥落、二人は離れ離れになってしまう。

それから3年後、エンジニアはベトナム政府高官の手先として、キムを
見つけ出す。キムを探していたのは、キムのいとこの元婚約者。しかし
キムは彼と結ばれることを拒む。彼女にはすでにクリスの子供がいたの
である。

キムはいさかいのさなか、いとこの元婚約者を殺してしまう。エンジニ
アとともに逃げるキム。エンジニアは、キムの子供をダシにして、自分
もアメリカに渡ることを夢見て、バンコクへと向かう。

バンコクで観光客相手のポン引きとホステスをしているエンジニアと
キム。そこでクリスの元上官と出会う。エンジニアは、クリスの子供が
手元にいることをアメリカ大使館に告げていたのだ。

クリスの上官はクリスもバンコクに来ていることを告げる。3年ぶりの
再会を喜ぶキム。エンジニアのすすめに従い、クリスのホテルへと向か
うキム。しかしその部屋にはクリスではなく、クリスの妻が待っていた
というストーリー。
ラストはできれば劇場で見てくださいまし。


で、ストーリーについて一言でいうと、ちょっとずるいな、という気が
したのである。
ま、もちろんこの話をつくったのがアメリカ人だっていうのはわかるん
だけど、うまく責められないようなつくりになっているよなあ、と思う
のである。
この劇場に見に来ている女性のお客さんたちは果たしてキムとクリスの
妻、エレンのどっちに感情移入したんだろうと思ってみたり。

ただ、ここまでベトナム戦争というアメリカにとっての傷、帰還兵に
とっての現地妻という傷によくぞ触れました、とも言えるような気も
するのだが、松たか子がインタビューで言っていたけど、この話を
日本人がやると同じくアジア人という事もあり、生々しくなるよなあ
という気もするのである。

イラク戦争がまた泥沼になっている今だからこそ余計にそう思うのかも
しれないけれど。
でも、同じような娼婦の恋の話としては前回のキャバレーの方が個人的
には好きかもしれない。



2004年08月27日(金) 美の祭典

日本の金メダルラッシュも一段落を終えたようだが、相変わらずオリン
ピックにはまっている。

オリンピックも閉幕が近づいてくると、体操競技のエキジビション(ガ
ラっていうらしい)が始まり、また新体操、水泳ではシンクロなどの
芸術的要素の高い種目が続く。

それらを見ていると、ああ、オリンピックって美の祭典でもあるのだ
なあ、という事に改めて気がつくのである。

体操競技のエキジビションは、メダリストが中心になって、音楽で
合わせて飛んだり跳ねたり、自分の種目のパフォーマンスを披露する
のである。

今回のアテネオリンピックのガラは、単にそれだけでは終わらない、
幻想的な空間を演出しているのに驚いて、思わずDVDで録画してしまっ
たほどである。

さすがはオリンピック発祥の地にして、ギリシア悲劇など、何千年も
前から芸術を愛する国。気合の入り方が違うと思ったわけである。
選手たちもこの地で自分のパフォーマンスを披露できることはとりわけ
うれしいことなんじゃないのかな、と思ってみたり。

そして、シンクロのデュエット競技は惜しくも生中継では見られなかっ
たものの、新体操の個人総合と、シンクロの団体は、生中継で最後
まで見てしまった。

シンクロのデュエットにしても、団体にしても、ニュースでは日本の
演技しか見せないんだけど、一連の競技の流れの中で日本の演技を
見ていると、そのすごさは思わず鳥肌が立つほどであった。

なんというのか、演じている選手たちの気迫がすごい、と思ったので
ある。

私が以前ダンス競技をしてたからそう思うのかはわからないが、
本当に集中し、気合の入っている人間のパフォーマンスって、
本当に指の先、足の先まで綺麗に整い、そしてまるで音楽と
一体化しているかのような印象を、みる人に与えると思うのだ。

そしてシンクロ団体の場合はそれが8人。そしてこれが最初で
最後、1回きりのパフォーマンス。
その土壇場の演技で、日本は本当に見ているこっちが息を
のむような演技をみせてくれたのである。

終わった後は思わずTVに向かって拍手をしてしまった。

でも、
その日本を超えるパフォーマンスをみせたのが、ロシアのチームで。
私はシンクロの事はよくわからないので、技術的に細かいことは
わからないんだけど、ロシアの演技を見た後は、やっぱり負けても
しょうがないのかな、と思わせる説得力があったと思う。

でも、追うものとしての気迫ではロシアに勝ってたと思うのだ。
だから、確かに惜しかったけど、銀メダルを取れたペアも、団体も、
日本は勝者だと思うんだよね。

だって、まったくの素人の私の目をひきつけ、ファンにしてしまう魅力
があったんだから。
ロシアにしたって、懸命に追ってくる日本という存在があったからこそ、
更に進化し続けたんだと思うし。

だから常に常勝軍団を追い続けるって言うのは、苦しいことかも
しれないけど、でもその一方では、変わらない情熱でコーチの
井村さんは、今後も選手たちを指導していってほしいなあ、と
思うのである。

はっきりいってヨーロッパ勢が有利そうな芸術系の種目で
あくまで日本という事にこだわって、日本独自のものを見せようと
する、その情熱こそが、見ていて清々しさ、勇気とは何か、と
いうことを教えてくれるような気がするのである。



2004年08月26日(木) 華氏9/11

「ボーリング・フォー・コロンバイン」のマイケルムーアの最新作に
して、カンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞し、映画配給会社の
ミラマックスが一時配給を拒否するなど、様々な現象を引き起こして
いる問題作、「華氏911」


予告編を映画館で見るたびに、見てみたいと思っていたので、早速
見に行ってみる。

見に行った感想を一言でいえば、「配給会社は宣伝をうまくやったな」
である。

この映画に関しては、カンヌで上映された時にスタンディングオベー
ションが鳴り止まなかったに始まり、既に様々な噂は耳にしていた。
曰く、反ブッシュのプロパガンダ映画であるとか、曰く、前作の
ボーリング〜に比べると、マイケルムーアの突撃リポートが少なく、
独自性に欠けるとか。

確かに、この映画は反ブッシュ、現政権批判の映画で、彼の再選を
阻止するための映画だろう。
そして、数多くの映像素材は、彼がイラクに直接乗り込んだ訳でも
なく、その多くはTVのニュース映像の使いまわしである事もその通り
である。

でも、この映画はそれだけではない、と思う。
この映画は、ひたすら事実を積み上げていこうとする。
そしてそのためにマイケルムーアは、2000年からの膨大なTV映像素材
を使用して、私たちの知らなかった側面を見せようと努力する。
(以下、ネタばれにつき、見たい人は要ドラッグで反転)

たとえば、
大統領に就任してから、あの911の同時多発テロが起こるまでの8ヶ月
間、ワシントンポストによれば、その42%は公務ではなく休暇であっ
たことを。

たとえば、
そのWTCビル崩壊の3日後、全ての飛行禁止の中、アメリカにいたビン
ラディン家(オサマビンラディンの親戚縁者)の人々は、アメリカ政
府の特別許可により、サウジアラビアにチャーター機で帰っていった
ことを。

そしてブッシュ大統領は、9/11の特別調査委員会の設置を一時は
拒否し(真珠湾でもケネディ暗殺でもすぐに設置されたのに)、その
調査に対しては非協力的であったことを。

そしてあのブッシュのベトナム戦争時の兵役拒否疑惑の書類には
もう一つ、ブッシュとサウジアラビアマネーの結びつきを示すキー
パーソンの名前が書いてあったことを。

そして何より、あの911の日、パパブッシュは、ビンラディン一族の
人間と、ワシントンのホテルであの光景を見ていたことを。


これらはもちろん、マイケルムーアの解釈で切り取った事実である。
でもその一方で、マイケルムーアはこうも言っているように思える
のである。

アメリカ国民の皆さん、これらの事実は、あなた方が今までにニュー
スとして目にしてきて、そしていつの間にか忘れてしまった情報です。
もう一度思い出してください、彼らがこの4年間、何をしてきたのか、
ということを。

そしてマイケルムーアはもう一つの事実を観客の前に突きつける。
それはアメリカ国内のメディアでは決して報道されなかった、イラク
国内の映像である。

イラク国民が一体何に怒っているのか、自分の家を土足で踏み荒らし
破壊し、そしてかけがえのない家族を殺された人の絶望を、私たちは
目にする。

そしてその戦場で、戸惑うアメリカ兵士達。
彼らの多くは、失業率50%近い街でリクルートされた若者たち。
彼らの中の一人は肉声で語る。
「誰かを殺すたびに自分の中で何かが死んでいく」

それらは、彼らの肉声であるからこそ、説得力と迫力を持っている
と私は思う。
そして彼らは果たして何のために自分の命を危険にさらし続けている
のか。

これらはフィクションではない。マイケルムーアという個人の恣意が
多分に含まれた作品ではあるけれど、事実をねじ曲げているわけでは
ない。
むしろ事実をねじまげ、人口2000人足らずの街にまで、テロ警戒警報
を流し続けることで、国民から安心を奪い続けて何かを隠そうとして
いるのは一体誰なのか。

そして、それは決して対岸の火事ではない。
東京新聞8/23特報欄によれば、日本でも対テロ対策の名のもとに個人
を監視しようとする「共謀罪」の法案審議が始まろうとしているので
ある。

そして、今も現実に起きている戦争について、私たちが何を知り
何を知らないのか、この映画をきっかけにして考えることは、
決して悪いことではないと思う。


でもこの映画の場合、ちょっとずるいな、と思うのは、この映画を
見たが最後、その意見に反対を唱えるのは難しくなってしまう事
だろう。
だって反対する場合は、あなたはバカでだまされている、と言われて
しまっているようなものなんだから。

だから、アメリカのハリウッドのセレブたちが、この映画をこぞって
支持する理由もなんとなくわかるのである。ブリトニー・スピアーズ
はなおさらだろう。

もしも、この映画に異論を唱える人というのは、そんなことはもう
知っていたよ、何を今更、なんて事をいう人たちだろうと思うけど、
それならその人たちは、イラクで自分の息子を亡くしてしまった人の
悲しみを、本当に実感できるのだろうか。

つまりこの映画を見た後、単なる傍観者でいることは難しくなって
しまうと思うのである。
もしくは某国首相のように、耳をふさぎ目をふさぐしか他はない。

それともあくまで、私は富裕層で戦争に行かなきゃいけない理由も
ないんだから、関係ないと言い続けていれば、問題は解決するのだ
ろうか。


この映画はアイロニーに富んではいるけれど、決して手放しでは
笑えない内容を多く含んでいる。
でも、できれば目をそらさずに、一度はみた方がいいかもしれない。
そしてあなたはこの映画をみた時に、一体何を思うのだろうか。



2004年08月23日(月) オリンピック女子マラソン

というわけで、相変わらずオリンピックにハマっている。
しかも、いよいよ待望の陸上競技が始まってしまったので、寝るべき
か、起きてるべきかの判断にはすごく悩む。

私は、オリンピック種目の中では、陸上競技が一番好きである。
かといって、今まで陸上をやっていたわけでも、普段から陸上に興味
があるわけでもない。

でも、オリンピックと世界陸上の時の、世界のトップアスリートたち
のパフォーマンスには、いつも心を躍らせている。

日本人選手を応援するのはもちろんだが、陸上に関しては国籍を問わ
ず、選手たちが自分たちの身体を駆使してたたかい、そして観客の
大歓声にこたえている姿を見ると、神々しく感じるのである。

日曜の深夜、月曜の未明には、たまたまマラソンのスタートを見て
しまったがために結局最後まで見続けてしまった。
というより、目が離せない展開だったのである。

普段の私はマラソンはめったに見ない。その前にちゃんと見た記憶が
あるのは、シドニーオリンピックの女子マラソンまでさかのぼる。
それは、興味がないというよりは、集中力が続かないせいである。
でも、今回のマラソンは、そんな私がじっと見続けてしまうくらい、
面白い試合展開だったのだ。

スタートしてトップ集団が形成された時、その先頭を走る世界記録
保持者、ラドクリフと、それに並んで走る野口みずきの姿なんて、
まるで大人と子供のようであったし。

そんなまるで子供のような野口みずきが、25kmを過ぎたあたりから
抜け出し、27kmでは、完全に後続を引き離し始める。
それに遅れまいと必死に追いついていこうとするラドクリフと、世界
陸上王者のヌデレバ。

ラドクリフの走り方が上下に大きくゆれ、若干苦しそうなのに対し、
ヌデレバは、ピシッと上体をそらし、正確で綺麗なフォームで、
野口を追いかけていく。

それに対しトップを走る野口のフォームは、空撮で見ると結構左右に
揺れているように見えるんだけど、ヌデレバと遜色のないタイムで
徐々にラドクリフを置き去りにしていく。

ラドクリフは強烈な西日に向かって走り続ける36km地点で足が止まる。
泣きじゃくり、コースにしゃがみこむ世界記録ホルダーの姿が、この
レースの過酷さを物語っているようである。

残り約10km地点、猛烈な下り坂にさしかかると、徐々にヌデレバの
姿が大きくなってくる。
正確なピッチでひたひたと近づくヌデレバ。
一時は30秒以上離れていたその差は、残り5kmでは約14秒差にまで
縮まってくる。

前回の世界陸上ではヌデレバに追いつけなかった野口に今回はヌデレ
バが追いついてしまうのか、ゴールの旧オリンピック競技場に入る
まで、ハラハラし続けていたが、結果的にはその差は縮まらず、
野口みずきが1位でゴールイン。見事に金メダルを勝ち取った。

ヌデレバはゴール後、脱水症状のためかその場でへたり込む。
そして野口もミックスゾーンでのインタビューにこたえる余裕はなく
医務室へと運び込まれる。

その二人の姿を見れば、その終盤のデッドヒートがどれだけお互いに
大変だったのかを物語っているようだった。
いや、本当、いいレースを見せていただきました、って感じで、
ヌデレバにも惜しみない拍手をあげたい気になったのある。

でも、野口はこれで世界記録保持者、世界陸上王者を下しての
世界一に輝いたわけで、個人的に興味がわくのは、高橋尚子との
新旧金メダリスト対決が見てみたいなあ、なんて思うのだが。

近いうちに、できれば大きな晴れ舞台でこの二人の対決がみて
みたいものである。



2004年08月22日(日) 人生はキャバレー

紳士淑女の皆様、レディース・アンド・ジェントルマン。
キットカットクラブへようこそ。

当店には悩み事なんて何もございません。
悩み事は外に置いといて、
当店では人生はビュ〜ティフ〜ル。
音楽もビュ〜ティフ〜ル、女の子もビュ〜ティフ〜ル。
それでは当店自慢の女の子たちをご紹介いたしましょう。



ミュージカル 「キャバレー」を観にいってきた。
行ったのは東京国際フォーラム。

私がキャバレーを見たいと思ったのは、2年前の夏に見た「フォッシ
ー」の中にあったキャバレーのダンスシーンが格好よかったからで、
実際にどんな話なんだろうと興味がひかれたからである。

ちなみにフォッシーとは、演出家ボブ・フォッシーの事であり、
フォッシーはライザミネリの主演の映画「キャバレー」のメガホンも
とっている。

今回の舞台は、そのリバイバル版であり、演出したのは、共に映画の
世界でアカデミー賞を勝ち取った「アメリカンビューティー」のサム
メンデスと、「シカゴ」のロブ・マーシャル。
98年にトニー賞をとり、日本にも2001年に一度来ていたらしい。


で、実際に見た感想はというと、切ないなあ、の一言である。


舞台は1930年代のドイツ、ベルリン。
そこで働くイギリス人の女の子サリーは、ある日ベルリンにやって
きたばかりという一人のアメリカ人と店で出会う。


まあ、英語ね、その響きをどれだけ待ち焦がれたことか。あなた
英国人?

ああ、そうだ。

アメリカ人ね。でもきれいな発音だわ。お願い、もっと話して。



ひょんなことから新年のお祝いのキスを交わしたアメリカ人、
作家のクリフの下宿に転がり込む。
サリーは店を首になり、他に行く所がなかったのだ。

クリフは、実はバイセクシャル?なんだけど、ここはベルリン。
何でもありの街。
そして二人は生活をはじめる。


ある日、サリーは自分が妊娠していることを知る。
だけど、誰が親なのかはサリー自身にもわからない。
子供をおろす、というサリーにクリフはこう持ちかける。
「子供を生んで育てようよ。僕たちはいまだに小説も書けず
パーティに明け暮れるだけの根無し草。だけど、子供が
生まれたら僕たちは変われる気がするんだ」

サリーは最初、「子供をかすがいにする気?そんなの重くて
かわいそうだわ」というんだけど、いつしか彼の熱意にほだされて
今までとは違って彼の事を自分が本気で好きになっている事に
気がつく。

クリフは、彼らの友人で、この下宿も紹介してくれたドイツ人、
エルンストの非合法の取引を手伝うことで、収入を得ることに
決める。


だけど、ここはベルリン。
徐々に軍靴の音が近づいてくる。
エルンストはナチスの党員だった。
そのことを下宿先の大家さんの老婦人の婚約パーティで知って
しまったクリフは、エルンストの仕事を手伝うことにためらいをみせる。

そんな時、身重になったサリーに、元のお店から復帰の誘いがやって
来る。
もうベルリンを去って、アメリカに行こうと誘うクリフ。
まだ動けなくなるまで後数ヶ月あるわ、それまで私が働くからここに
居続けましょう、というサリー。
果たして二人の行く末は、そしてキャバレーや、ベルリンの運命は。

という物語。
この二人の物語に加えて、もう一つ、下宿先のオールドミスと、
男やもめの老紳士のラブストーリーも同時進行で進んでいく
んだけど、こっちも切ない物語になっている。

ボブ・フォッシーの映画版を後で見てみると、このカップルは熟年と
いう設定はないんだけど、逆にこのサムメンデス版の設定の方が、
より切ない設定になっていると思う。

オールドミスの大家さんは、こう言う。
「私は、戦争も(第一次大戦のこと)、革命も、経験してきた。
インフレで、パン一斤が何千マルクになることも経験してきた。
でも、それでも私は生きている。この先、たとえ何が来ようとも
私はここで、下宿を営んでみせる」

今回の表題にした「人生はキャバレー」は、お店に復帰した
サリーが歌う歌である。


一人で部屋に閉じこもっていないで
おいでよ、ミュージックプレイス
人生はキャバレー Come to the Cabaret

仕事なんかは忘れて、陽気にはじけよう
人生はキャバレー Come to the Cabaret
 
ワインを味わいに来て、音楽を楽しんで
あなたのテーブルはお祝いしようと待っている

悩み事は忘れて 笑顔で楽しく遊ぼう
人生はキャバレー Come to the Cabaret

私の友達の名前はエルシー
彼女と出会ったのはチェルシー

彼女はお嬢様なんかじゃなくて
実は娼婦だったの

お酒と薬が大好きで
あばずれ女と呼ばれて死んでいった。

でも死んだ顔は安らかでまるで女王様のよう
今まで見た中で一番幸せそうな死体だった。

昔、エルシーがこう言ってた事を思い出したわ。

「一人で部屋に閉じこもっていないで
おいでよ、ミュージックプレイス
人生はキャバレー Come to the Cabaret」

だから私も心に決めたの
チェルシーの時を思い出して、エルシーのように
生きていこうって

ゆりかごから墓場まで人生なんてあっという間
人生はキャバレー まるでキャバレーみたいなもの
そう、私はキャバレーを愛しているわ


ちなみにもう一曲、映画版にはない曲で、
「僕の瞳に映るあの娘は」って曲があって、この曲で
サムメンデス版では、ゴリラとMCという狂言回しが
踊るシーンがあるんだけど、この曲もよかった、という
よりは、愛の歌も含めて曲は皆よかったんだよね。

ナチスの青年を取り囲んで歌う曲、「明日は我が物」
なんて、ナチス讃歌の歌なんだけど、その調べは美しく、
思わずうっとりするくらいだったし。

ミュージカルって、いきなりキャストが歌いだすことに抵抗を
覚える人もいると思うんだけど、逆に言えば、歌だからこそ、
特に恋愛の歌なんかは、こっちの心に突き刺さるんだと
思うし。

お話自体は、とても深く、思わず考えさせられる内容でも
あるんだけど、それを冒頭にも書いた、MCのシーンによって
笑いを含んだものにするあたりは、すごいなあと思うのである。

男とも女ともつかないMC(という役名)には、1幕と2幕の間の
幕間でもしっかり笑わせていただきました。
おそらくはお約束なんだろうけど、2階席に向かって放ったセリフ
なんて大爆笑でした。

あ、ちなみにダンス自体は、ボブ・フォッシーの方がカッコよかった
とは思うけど、映画版と比べても、作品全体としては、こっちの
方が俺は好きかも。

自分が見に行った回でも結構空席はあったので、もしも興味を
ひかれたのなら、結構オススメである。
ついでに映画版のDVDも面白いと思います。



2004年08月18日(水) オリンピック

と言うわけで、案の定オリンピックにそこそこハマっている。

最初は深夜までは起きてられないよ、と思っていたのだが、今の
ところ、見所の競技が比較的早い時間に行われる事もあって、
金メダルに関しては、体操団体競技をのぞいて、その時間にちゃんと
目撃する事ができた。

今回は柔道にしても、競泳の北島に関しても、元々金メダルが期待
されていたとは言っても、それまでの色々な悪条件を見事クリアし
て金メダルを勝ち取るのだから正直すごいな、と思う。

北島の100mの平泳ぎの瞬間なんて、マジで鳥肌が立ってしまった。

また、そのほかの選手たちも、予想以上に好成績をおさめているよう
で。
競泳、柔道ともにうまくピークを合わせるのがうまかったんだなあ、
と思う。

そして体操団体にいたっては、まさか日本が金メダルを取るとは
思わなかったのでビックリしたのである。
でもその分、個人総合では、日本人選手はみんなピークが過ぎて
しまったようで・・・。というより総合的にうまい選手の集まりでは
なく、各種目のスペシャリストの集まりだったからこそ、団体で
金メダルを勝ち取る事ができたのかもしれない。


そんな風に今回のオリンピックに関しては、日本人選手の予想外の
活躍もあるだろうけど、柔道、競泳などの競技をじっくりと見る
機会が多かったんだけど、その時に改めてビックリしたのは、
柔道の競技人口の多さである。

世界中の国で、もうすでに柔道は愛されているんだなあ、と日本人の
くせに柔道着には1、2回しか通したことのない人間は思うのである。

そして日本人が金メダルを取る事もうれしいけれど、そんな風に
知らない国の人々が、畳とか、礼に始まり礼に終わる、という日本の
柔道の文化を受け入れてくれていることにもうれしくなってしまった
のである。


そして改めて思うのは、あの晴れ舞台に立てた人は、メダルを取る、
取らないに関わらず、みんな輝いているよなあ、と思うのである。

その上でもしもメダルを取れなくて悔しいのであれば、またその本人
が頑張ってくれればいいのであって。
本人たちのパフォーマンスが何よりも私たちに対して、その競技の
魅力を能弁に語ってくれていると思うのだ。

ワイドショーで語られるような、家族の話や秘話は、彼らの素晴ら
しいパフォーマンスにとっては余計なものなんじゃないのかな、という
気がするのだ。
そんな風にメダルを取った人たちの話だけを掘り下げるよりは、
もっといろんな人が活躍している姿を映し出してほしいものである。

テニスの杉山愛とか、わざわざ出場して、順調に勝っているのに、
あまり報道されないのも、ちょっとかわいそうな気がするのだ。



2004年08月16日(月) 終戦記念日

8/15は終戦記念日である。
1945年に日本政府がポツダム宣言を受諾し、昭和天皇の玉音放送に
よって、日本の敗戦を全国民が知った日。

余談ながらうちの親は戦前生まれなので、この玉音放送を聞いて
いるんだけど、誰が何を言っているのかは、よくわからなかった
そうである。

毎年、この時期に戦没者追悼式が行なわれ、閣僚や政治家が靖国神社
に参拝することがニュースになる。

でも、ここで素朴な疑問。

なんで「終戦記念日」に閣僚やら政治家たちは靖国神社を参拝する
のか、という問題である。

戦没者の追悼式をこの日に行なうのは、なんとなくわかる。
日本の敗戦が決まった日を区切りにして、戦争に巻き込まれた人たち
を、国をあげてまとめて慰霊しようというのだろう。
時期的にも、おりしも旧盆の季節だし。

でもその一方で、(否応なく)戦争に参加した兵士たちの霊を、敗戦が
決まった日に参拝するのは、どういう意味があるんだろうか。
同じく旧盆だといっても、靖国神社は「神社」で「盂蘭盆会」は、
仏教の行事だと思うんだけど。

なんていう余計なツッコミはおいとくとしても。

この時期に「軍神」をまつる神社に参拝をする政治家たちは、その
行動にどういう意味を込めたいと思っているんだろうか。
というより、この日じゃなきゃいけない理由ってなんなのかな。

わかりやすい理由の一つは、自分たちにとっての有力な票田である
「遺族会」の要請があるからなんだろうけど、それではなぜ、遺族会
の人たちは、この日に参拝してもらうことを望むのか。

そして彼らは、「お国のために」という名目で戦争で命を散らして
しまった人たちに、何を祈っているのかな。

この日が敗戦の日であるからこそ、もう二度とあなたたちのような
戦争の犠牲者は出しませんと心に誓っているのか、もしくはこの日
は敗戦の日であるからこそ、臥薪嘗胆、次に戦争をする時は、同じ
失敗は繰り返しません、と思っているのか。

個人的には後者であるとは、思いたくはないのだが。

でも、このニュースの不思議さって、政治家がこの日に参拝する、
という事だけがニュースになっていて、その参拝の意味については、
受けとる側で勝手に意味づけされていることだと思うのである。

だから中国なんかは、政治家がわざわざこの日にA級戦犯を奉って
いる神社を参拝することが、即日本が戦争に対して反省せず、
軍国主義を復活させようとしていると、騒ぎ立てるんだろうし。

ま、これも江沢民の反日教育の成果なのかもしれないけれど。

でも本当なら、当の政治家が、戦争の不幸を繰り返さないために、
同じような犠牲者を出さないようにすることが私のつとめであり、
そのために参拝しているのです、とでもアナウンスすれば、もう
少し事態は穏やかになると思うのに。

それともやっぱり、はっきりと口に出せないひそかな野望をもった
人たちが、この時期に靖国神社を参拝しているんだろうか。

参考リンク
東京新聞8/16付特報欄 靖国 8・15ルポ



2004年08月14日(土) ナベツネ辞任

巨人軍オーナーのナベツネさんがいきなり辞任したそうで驚いた。
きっかけは、今度のドラフト会議で逆指名権を得た選手に対して、
巨人軍スカウトが、金銭授受を行なったことに対して責任をとる、
というもの。

オーナーのみならず、球団代表、球団社長も揃って辞任を申し出た
らしい。
といっても、彼らは巨人軍の役員を辞任しただけであり、親会社に
戻ればちゃんとポストは用意してあるのかもしれないが。

果たしてオーナーまでもが、責任をとる問題であったのかどうかは
意見が分かれるところだろうが、おそらくはこの問題と、プロ野球
再編問題を絡めてマスメディアに追求されることを嫌った事も理由
の一つなんじゃないのかな。

ついで言えば、ここでナベツネ氏の心中を勝手に推測すれば、
「バカヤローどもが、俺抜きでやれるものならやってみろ」位の
ことは言ってそうである。
ま、これは勝手な思い込みなんだけど。

でも、これでプロ野球再編問題、1リーグ化問題は、さらに先行き
不透明になったのかもしれない。
ついでにいえば、わかりやすい敵がいなくなって、マスメディア
的には単純な切り口でこの問題を語れなくなった、という事なの
かもしれない。

どういうことかといえば、今回のプロ野球再編問題、大きく分けると
パリーグとセリーグのオーナーの駆け引きと、オーナー会議と、
選手会の対立、という二つの局面が同時進行していたと思うので
ある。

で、今回のナベツネ辞任を受けての一番の最悪の事態というのは、
セリーグオーナーたちが1リーグ制に賛成するか反対するかはおい
とくとしても、パリーグでは粛々と合併が進行し、選手会の要望を
オーナー会議が無視し続けて、結果スト突入、日本シリーズがなく
なる、というシナリオである。

今までの例でいえば、マスメディアや、そして私たちは諸悪の根源を
ナベツネに押し付けていれば済んでいたのだが、それではナベツネが
いなくなった後では、すべては解決するのだろうか。

おそらくは、そうはならない。
なぜなら、現オーナーたちがオーナー会議と言う形でプロ野球を
牛耳っている状況には、なんら変わりはないからである。

逆に今までは、なんとかナベツネを改心?させれば(おそらくは
無理だったろうが)、鶴の一声で現状をガラッと変えることが
できた可能性もあるが、これからは、オーナー連中と言う、わかり
やすい責任者のいない集団を、選手会は相手にしなければならなく
なる。

その場合彼らは、自分の立場を棚に上げて、選手会がストに入れば、
そのせいでファンが離れただの、経営が悪化しただの、自分勝手に
言い立てることは、日本の社会を見ればありうることだと思うので
ある。
つまり、誰も責任をとらないまま、事態だけが進んでしまうのが、
一番最悪のシナリオなんじゃないのかな。

一つ、希望があるとすれば、今まではナベツネの傘の下に隠れて
いればよかったオーナー連中が、批判の矢面にさらされる事で、
ファンの声というものを真摯に受け止め、事態の打開に向けて
選手会と対話する姿勢をみせてくれる事だと思うのだが、
果たして現実はどのように推移するのだろうか。

巨人軍も、今回の騒動をきっかけに、考えを改めて、親会社からの
出向組ではない経営陣を揃えてくれればいいのだけれど、おそらく
はそうはならないんだろうなあ。

また、今回の騒動の一番の被害者は、渦中に立たされた明大野球部
の選手だろう。
横浜入りが内定していたにも関わらず、惜しくも入ることができず、
現在メジャーで頑張っている多田野投手のように、結果的に日本では
いくところがなくなった、なんてことにならなければいいんだけれど。

と書いてたら、渦中の選手が退部することが決まったそうで。
本人はプロに行きたい意向を示しているみたいだから、頑張って
ほしいものである。



2004年08月13日(金) 「桜中学」消滅の危機

あの金八先生で有名な、足立区立桜中学校がなくなってしまうらしい。
といっても、現実に「桜中学」があるわけではない。

その舞台となったロケ地の「足立区立第二中学校」が統廃合により
来春閉校になることが決定し、その跡地を売却する可能性がある
らしいのだ。

という事を、8/12付東京新聞最終面「東京発」で知った。
詳しくは こちらの記事をどうぞ。

この記事によると、「金八先生」生みの親の脚本家、小山内美江子は
建物を金八記念館として残してもらえるように、足立区に働きかけて
いるが、断られたとの事。

足立区としては、観光資源として活用するよりは、堀切駅前という
立地のよさから、住宅用地としての利用価値を当て込んで
売却したい意向らしい。

ただし、問題の堀切駅は自分も降りたこともあるし、ドラマでも
何回か登場しているけど、本当、周りは何もない、さびしい
駅なんだけど。

さて、皆さんはどう思うだろうか?


個人的にまず思い浮かべるのは、この先、桜中学がなくなると、もう
金八先生の続編は見られなくなっちゃうのかなあ、という事である。

もちろん、他の中学を舞台にしても、物語は成立するし、以前にも
他の中学を舞台にしたシリーズはあったと思うけれど、いまいち
パッとしなかった気がするのである。

今年でもう25年にもなる金八先生は、やはり荒川の土手とともに、
沢山の生徒の成長を見つめてきた歴史のある、あの桜中学の建物が
ないと、ちょっとさびしい気がするんだよね。

ま、果たして次回作ができるのかどうかは知らないんだけど。


でももしも、あの建物を「金八記念館」にした場合、そこには
ビジネスとして大きな可能性があるとも思うのである。

たとえば記事中にもあるように、従来の教室を利用して、79年の
第1作から、上戸彩が出演した最新作まで、歴代の教室を再現して
しかもその座席には、生徒の名札を張って、お客さんが自由に座れ
るようにすれば、誰でも杉田かおる演じる浅井雪乃や、山田麗子役の
三原順子や、マッチや、くさったミカンの加藤気分が味わえると
思うし。
教壇に、歴代の金八の等身大パネルなんかを置いとけば、盛り上がる
ような気がするし。

また、学校と言うのは、それだけでも卒業後は足が遠のく場所なん
だから、そこに行けば、自分自身の中学校時代にだってタイムトリ
ップできるわけだし。

また、食堂で給食メニューを出せば、今でもそういうレストランが
あるくらいだから、ちゃんとお客のニーズはあると思うのである。
そしてそこに、金八メニューとでも書けば、付加価値はより高まる
わけだし。

すなわち、実際の校舎を使用した、学校体験テーマパークというコン
セプトに、金八先生というソフトを組み合わせれば、それだけでも
リピーターは見込めると思うんだよね。

そして歴代の金八先生のドラマが見られる個人視聴映像ライブラリー
を作れば、そこに行けば金八気分に一日浸れると思うのだ。


そしてそれだけももったいないと思う。
どうせだったら、その記念館の収入を当て込んで、既存の体育館や、
プールやグラウンドを利用した、地域住民のためのスポーツクラブを
立ち上げてみるのは、どうだろう。

名前はもちろん、桜中スポーツクラブ。
そこに行けば、ママさんバレーでも、夏の間のプール教室でも、
誰でも桜中の一員となれるのである。

もしくはドラマの内容に沿う形で、同じ建物の中に老人ケアセンター
をつくって、そこで介護体験、もしくは介護される側の体験スペース
をつくってみるとか。

そういう施設があれば、もっと介護ビジネスにも人々の理解が得られ
るような気がするのである。


と、様々な案を思いつくままに書いてみたが、それもこれも、ここが
桜中学の舞台となった、という付加価値があるからである。
これが他の中学校の建物を利用しただけでは、やはり商売として
いまいち押しが足りなくなる気がするのである。

どうでしょうね、足立区役所さま。
私も以前、足立区の病院勤務だったこともあるので、こういう施設が
できれば、足立区のイメージアップ及び、文化度も高く評価される
ようになると思うのだけれど。


でももしも、足立ニ中が壊される事態になった場合には、おそらく
「金八先生さよなら桜中学スペシャル」とか作られそうな気がする
なあ。

そこまでいかなくても、来春の足立ニ中の閉校に合わせて、桜中学
閉校のピンチスペシャルとかを放送して、エンドロールの最後にでも
「この校舎は壊される可能性があります」と一文を入れれば、校舎
保存の嘆願書が足立区に多数寄せられそうな気がするんだけど。

もしくは、近鉄球団買収が難しくなったライブドア社長ほりえもん
この校舎ごと買収してもらうっていうのはどうだろう?
お金はあるんだろうし、ライブドアポータルで金八先生のドラマ
見放題っていうのは、結構いいキラーコンテンツになるんじゃない
っすかね?



2004年08月12日(木) さぬきうどん

連日暑いせいもあって、最近さぬきうどんにはまっている。
食欲がない時でも食べやすいこともあって、週に1、2回はうどんを
食べにいく。
やっぱりこんだけ暑いと、家に帰った後、自炊する気もなかなか
おきないんだよねー。

という事で私がよく行くお店は、西新宿にある 「東京麺通団」という
お店。
新宿駅西口の大ガードと都民銀行の間の小滝橋通りに入り、牛丼の
すき家のある角を曲がってルノアールの向かい側にある。
そんなに遠くなく、西口からだと大体徒歩5分くらい。
ちなみにラーメンの有名店、麺屋武蔵より手前になる。

ここは、本場香川県で讃岐うどんブームを起こした本をつくった、
「麺通団」のメンバーが東京に進出して作ったお店である。
元々、それだけさぬきうどんにこだわった人たちが出すうどんだから
当然うまい。

うどんも熱いのから冷たいのまでいろいろと選べる。
釜あげのゆでたてうどんを溶き卵と醤油にからめた「かまたまうど
ん」もおいしいが、夏の私のオススメは「しょうゆうどん」。
ゆでた後、水でしめたうどんに大根おろしをのせ、しょうゆをぶっか
けただけの、シンプルなうどん。

でも、しょうゆの味と、もちもちしたうどんの触感があいまって、
食が進むのである。

また、このお店では入り口でうどん玉の入ったどんぶりをもらった
後、奥に進むと色とりどりの揚げたての天ぷらを自由に選べるのも
うれしい。

私の好きな天ぷらは、じゃこ天、半熟卵の天ぷら、ゲソ天、そして
さつまいもの天ぷらなどなど。
天ぷらは、本当に目の前で揚げており、また客の回転が早いので、
時間がたって冷たくなったり、酸化してしまうこともなく、本当に
おいしい。

特にさつまいもの天ぷらは、あれば必ずとるほどのおいしさで、一番
のオススメである。
もしも、近くを通ることがあれば、ぜひ一度はお試しあれ。



2004年08月10日(火) 通り雨

今日、仕事で練馬区の石神井公園駅まで行く用事があり、昼過ぎに
西武線に乗ったところ、池袋を出た途端にザーッと雨が降ってきた。

傘はいつも持ち歩いているけれど、結構勢いのある雨足だったので、
駅から仕事先まで歩くのも結構大変かな、早く止むといいなあ、と
思いつつ、電車に乗っていたのである。

でも、電車が練馬駅を過ぎる頃には、日差しが明るくなり、あれ、
こっちはもうやみそうなんだ、ラッキーと思っていたら、案の定、
石神井公園駅につく頃には、雨の降っている気配はなくなってい
た。

よかったー、と思って駅の改札口を降りてビックリした事が一つ。
雨が降った形跡と言うか、地面がまるで濡れていなかったのである。
事実、仕事先で確認したところ、石神井公園付近では、雨は一滴も
落ちてはこなかったらしい。


普通、雨雲は西から東へ、もしくは山側から平地側へと移動するもの
だと思ったのだが、今日私が出くわしたのは、練馬、豊島区付近で
のみ発生した積乱雲によるにわか雨であったようなのだ。

って事は、私は電車で雨雲の中を通り過ぎてきたんだなあ、と思った
のである。
そういえば、石神井公園から東の方を見ると、まだ空は暗く、上には
入道雲があったような。

逆にいえば、練馬付近は、局地的に積乱雲を発達させ、通り雨を
降らせるほど暑かった、という事なのかもしれない。
そういえば、以前にも、練馬付近だけで1時間に100ミリ(だっけ?)
近くの通り雨が降ったことがあったような気がする。

なんというか、本当に東京の気象環境も、だんだんと凄いことに
なっているだろうなあ。



2004年08月09日(月) 親は強し

この前の土曜日、従妹の身体の調子がいまいちである、という事で
従妹の家まで出張治療に行ってきた。

従妹はもうすでに子持ちの嫁であり、しかも今度は二人目をご懐妊
らしい。
だからか肩と偏頭痛に悩まされているという事で、様子を見に行く。
妊娠してると薬が飲めないこともあり、薬に頼らない私たちの治療法
は結構有効なのである。

という事で、仕事自体は簡単に済むかと思いきや、今回は意外な障害
物に悩まされたのである。

それが生後1歳になる子供である。
従妹の子はなんて呼べばいいんだっけか?

この前、4月頃に会った時には、まだはいはいで歩くのが難しかった
愛すべき従妹の子は、この3、4ヶ月で目ざましい成長を遂げ、小走り
で走りよってくるという高等技術を身につけていたのであった。

しかも人見知りのしない子で、こっちのやる事に興味を持って仕方が
ないらしい。
おかげで治療の大半は、この子をどう危険なものに触らせないか、
に終始したのであった。

でも、今までも、赤ちゃんや幼児のいる前で治療をした事も何度も
あって、その扱いには慣れているんだけど、今回はその中でも特に
ハードなミッションであったのである。

でもいつ頃からかな、子供の相手をするのに抵抗がなくなったのは。

もちろん私にはまだ子供はいないが、人んちの子供と接する機会が
増えるにつれて、全然抵抗がなくなってきたんだよね。
といいつつ、よだれダラー攻撃は今も苦手だったりするんだけど。

そんなこんなで、仕事が終わった後も、この子に気に入られたらしく
ずーっと抱っこしたり、遊んでいたのである。

で、従妹の旦那とも会い、食事をご馳走になって帰ってきたのだが、
翌日、なぜか肩が凝ってるなあ、と思ったら、筋肉痛になっていたん
でした。

うーん、これを毎日やっている母親と父親は強いなあ、と思ったの
である。
ちょっと、将来自分の子供の面倒を見る自信が揺らいだかも。
ま、その時になればこっちの身体も鍛えられているのかもしれない
けどね。








2004年08月05日(木) 燃えよ剣

いわずと知れた司馬遼太郎の新選組を扱った歴史小説である。
司馬遼太郎が新選組を扱った作品にはもう一つ、「新選組血風録」
があり、こっちは読んだことがあったんだけど、「燃えよ剣」は、
まだ読んだことがなかった。

ちょうど今、私の中で大河ドラマの影響もあり「新選組ブーム」で
あることもあり、手にとって読んでみた。

司馬遼太郎の時代小説には、大きく分けて2つの流れがあると思う。
一つは、「坂の上の雲」「翔ぶが如く」のように歴史的事実を中心に
すえ、重々しい文体で書かれた作品と、もう一つは、「竜馬がゆく」
のように剣豪小説のテイストも加えながら軽快なタッチで、主人公の
成長と青春を描いた作品である。

そして「新選組血風録」は前者にあたり、「燃えよ剣」は後者に
あたると思う。

そう、この「燃えよ剣」は、新選組副長土方歳三を主人公にすえた
「竜馬がゆく」のB面というか、カップリング作品という気がする
のである。

たとえば、「燃えよ剣」で途中から新選組に加わり、その後たもとを
分かつ伊東甲子太郎のくだりは、「竜馬がゆく」では、史実にあった
かどうかは別として、伊東、藤堂平助が、坂本竜馬に接触をして、
考え方を改める場面として登場するし、また「燃えよ剣」では、詳し
くは触れられなかった近藤勇の最期に関しては、「竜馬がゆく」の
最終巻のあとがきに詳しい。

これは、司馬遼太郎ファンの人には自明の事だと思うのだが、今回
読んでみて、この2作品はまるでコインの裏表というか、両方を知る
と2倍楽しめるんだ、と思ったのである。


物語は、土方歳三が青春時代を過ごした多摩時代に始まり、函館五稜
郭の戦いで散るまでの生涯を描いた作品である。
その中で、土方歳三は、類まれなる戦術眼を持ち、なおかつ柔軟な
発想のできるすぐれた指揮官として、書かれている。

そして、その土方の傑出ぶりを描くためには、敵役ならぬ愚物を登場
させなければ、その才能を際立たせる事はできない。

その敵役として、司馬遼太郎が用意したのが七里剣之介という歴史に
は登場しない創作人物であり、また愚物として描かれたのは、新選組に
敵対し続けた長州藩などの勤皇の志士ではなく、近藤勇であった。

司馬遼太郎は、この多摩の田舎から出てきた百姓上がりの侍が、幕末
の政局において発言権を持つようになり、そしてやがては大名に成り
上がる夢を見ていたことを、あまりこころよく思っていなかった様で
ある。

だからなのか、新選組の土方を描いたこの作品では、新選組を取り上
げた作品としては珍しいほど、戊辰戦争における土方個人の戦いを
大きく取り上げている感がある。

ま、この作品では貧乏くじを引き、いまいち人気のなかった近藤勇も
今回の大河ドラマで描かれている人望の厚さと、快活さによって、
復権できるのかもしれないが。


この作品の中で、私が心をひかれたのは、上巻冒頭にある、この
くだりである。

歳三は、女を物色してあるいた。ときどき、同村の娘や女房連とすれ
ちがってむこうから袖をひかれたりしたが、
「よせ」
と、こわい眼をした。歳三にはふしぎな羞恥癖があって、同村の女と
情交したことは一度もなかった。同村だと、いずれは露われるから
だ。だから、

「トシはかたい」
という評判さえあった。歳三は、情事のことで囃されるのを極度に
怖れた。

理由はない。
一種の癖だろう。だから、
「トシは、猫だ」
ともいう者があった。なるほど犬なら露骨だが、猫は自分の情事を
露わさない。そういえば、歳三は情事のことだけでなく、どこか
この獰猛で人になつきにくい夜走獣に似ていた。


なんでここで物語に引き込まれたのか、というと、
自分に似ている、
と思ったのである。

いや、もちろん私はそこまでの色男でもないし、喧嘩上手で三度の
飯より好きだなんて事もない。
でも、孤独を愛する風とか、この作品を通して描かれる土方歳三の
描写の一つ一つに、ちょっと親近感を覚えながら読んでいたのであ
る。
自分も結構、No.2体質だし。

この作品は、司馬遼太郎作品の中では最も読みやすい作品だと思う。
そのため一気に上下巻を読んでしまった。
まだ読んだことのない人には、ご一読をお勧めする。



2004年08月04日(水) サッカーアジアカップとブーイング

サッカー日本代表が、アジアカップ準決勝でバーレーンと死闘の末、
勝ち残って決勝へのキップを見事手にした。

対バーレーン戦は、TV中継をずっと見ていたんだけど、目の離せない
展開で、手に汗を握る試合展開だったと思う。
序盤早々に相手に先取点を取られるは、追いついて逆転したら追いつか
れるは、そして終盤にふたたび相手に点を取られた時にはもうダメか、
と思ったら、試合終了間際に中沢のヘッドで見事同点においつき、延長
戦へ。

そして延長前半早々に玉田が今日2点目を入れ、その後は選手の疲労も
ピークに達しながらも、見事に勝ちを拾う事に成功したのである。
いや、本当にお疲れ様でした。

とにかく連戦で疲労がたまり、試合間隔も狭く試合会場では日本に
対するブーイングの吹き荒れ、ピッチコンディションも悪い中、
当たり前だが勝ちにこだわり、粘りに粘って手にすることのできた
この勝利は、選手や監督のジーコにとってはとっても貴重な体験に
なるんだろうと思う。

久保、高原、中田、小野、稲本などの選手抜きでも決定力を持つことが
できるほど、日本代表全体のレベルアップも図れているんだろうし。
逆に選手たちにとっては、自分たちがここまでやれているというのは、
すごい自信につながるんだろうなあ、と思うのだ。


その反面、今回のアジアカップでは外野の声が騒がしいらしい。
すなわち、重慶、そして今回の済南と、試合を見に来ている中国人サポ
ーターのブーイングが、やかましいらしいのである。

その勢いはそのことについて述べた内田樹のBlogにまで飛び火して、
コメント欄で賛否両論を巻き起こしているらしい。
詳しい内容はリンク先に飛んでもらうとして、それを読んだ私の意見と
しては、一つのものの見方として有効、だと思うのである。

内田樹がそこで述べているのは、
1)中国は江沢民時代に、愛国・反日教育を行なっていた事
2)そして今の中国は、地域格差、所得格差により、13億の国民を「大
中国」としてまとめあげる事が困難になりつつあるという事
3)そしてその中国をまとめあげるための方便として、政府は反日とい
うナショナリズムのカードを切ったという事
4)それ自体は不愉快な事だが、中国が統御不能になった場合の周辺に
対する影響を考えれば、まだましであるという事。

この意見の全てに賛成するわけでもないが、中国という国を考える上で
の、一つのものの見方になるんじゃないかな、と思うのだ。


そしてこの日記がウェブ上で物議を醸し出した時と同じくして、
東京新聞の8/1特報欄に、同じくアジアカップでのブーイングの記事が
載っていた。
こちらで気になったのは、現地におもむいているサッカージャーナリス
ト、大住良之の意見である。以下引用すると、


「日本人だからといって競技場の外で嫌がらせを受けたことはない。
日本人サポーターも同じことを言っていた。競技場の内と外があまりに
違うので不思議な感じすらする」


すなわち、あの反日的ブーイングは、競技場にわざわざ足を運んでいる
中国人たちによって行なわれているものであり、重慶全体が反日的は
不穏な空気になっているわけではない、という事である。

こちらの紙面でも、やはり識者の意見を引いて、江沢民時代から行なわ
れた愛国主義教育の延長上に今回の反日感情があり、社会主義イデオロ
ギーが実質的に廃れていく中国で愛国主義は13億の人民を束ねる求心力
として働いてきた、と指摘する。

でもその一方で、重慶は現在経済発展の真っ最中であり、その大部分を
日本からの円借款に頼っている側面もあることから、中国共産主義青年
団の機関紙では、その反日的行動を強く諌める論調もあるらしい。

曰く、「もし日本チームが選手とサポーターの安全のためにアジアカッ
プから引き上げることになれば、アジアのサッカー史上最大のスキャン
ダルとなり、中国にとっても恥ずべき1ページともなる。2008年の北京
五輪が待っていることを忘れてはいけない」


だから必ずしも中国人民が一体となって日本人を排斥しようと躍起に
なっているわけでもないらしい。
でも、これって考えてみれば当たり前の事だと思うのである。

なぜなら、たとえば北京、上海で日本企業と提携して商売を成功させて
いる中国の超リッチ層は、内心で反日だと思っていてもそれはおくびに
も出さないだろうし、また、日本人との接点が増えれば増えるほど、
その気持ちは薄れてくるんじゃないかな、と思うのだ。

私自身、数年前に北京に旅行に行ったことがあったが、その時に嫌な
ことをされた経験はほとんどない。
それも当たり前の話で、彼らにとっての私はいいお客さんだったから
だと思うのである。ま、そんなに金は落としてないけど。

それは日本人だって同様で、2002年の日韓ワールドカップ以降、韓流
ブームも手伝って、韓国や韓国人に対しては、今まで以上に親しい
気持ちをいだく人もいれば、その一方で相変わらず2ちゃんねるの書き
込みで、韓国・朝鮮系の人を毛嫌いし、差別する人間もいる。

今回のこの騒動は、そんな風に今まで日本とほとんど接点を持たずに
日本に対する反感教育を受けてきた中国人たちと、日本人が大きな
競技場で一気に出会ってしまったが故に起きた出来事なんじゃないの
かな、と思うのだ。

で、個人的には差別に関しては、差別をすることで得ることのできる
優越感と、そのことによって失うものを考えれば、差別をしない事の
方が賢明であると思う。

だから今回のように日本がおもむいた先で反日運動が今後も行なわれる
可能性はあると思うが、そのことに対して日本が過敏に反応して反中国
に傾いてしまうのも、ちょっと違うんじゃないのかな、と思うのだ。

なぜならもうすでに日本にとっても中国との関係を一方的に切ることは
考えられないほど、両国の関係は深まっていると思うからである。

そしてそうであるならば、今後の日本はただ叩かれるだけではなく、
たとえば韓国が韓流ドラマや映画を輸出してイメージを変えたように、
日本流文化を中国に浸透させていく、という方法だってあると思うの
である。

だって、いくら経済援助をしたってそれだけではあまり尊敬されない、
という事は今回の重慶で明らかになったわけだし。

それに、これは以前日韓ワールドカップの時の韓国についても 書いた
事だけど、今まで中国の普通の一般人が海外と接点を持つことって
あまりなかったことだと思うんだよね。

だから彼らも世界から自分たちがどう見られているのか、という視点を
北京五輪などで持たざるを得なくなれば、ただナショナリズムに燃えれ
てればいい、という立場から自然と変わっていくんじゃないのかな。


でも、今回の騒動に限らず、日本と中国の関係って、最近ニュースに
なりやすいような気がする。
逆にいえば、今回の騒動も、そういう中国との関係がちょっとギクシャ
クしているように見えているからこそ、これだけのニュースバリューが
生まれているともいえるのかもしれない。

多分石原慎太郎あたりは、なんて発言しているのかは知らないけれど、
それ見たことか、と気炎を上げているんだろうなあ。










2004年08月03日(火) 長嶋ジャパン

今年も早や、8月になった。まことに月日の経つのは早いものである。
そして今年の8月は、オリンピックのある月である。

もう少し経つと、メディアはオリンピック一色に染まるのだろう。
今回のオリンピックで私が個人的に気になるのは、陸上トラック競技で
ある。末續慎吾がはたして男子100mでどこまでいけるのか、そして
室伏広司は、念願の金メダルを手にすることができるのか。

あとは、最終予選を見に行った事もあり、サッカーもやはり気になる。
イタリア、ガーナなど、各大陸優勝の実力を持つグループの中で、
はたして彼らがどんな活躍をするのか、楽しみである。

そして、野球。
はたして今回、ドリームチームとしてプロ野球選手のみで構成された
長嶋ジャパンは、金メダルを手にすることはできるのか。

先週末の7/31に、長嶋監督のアテネ同行断念が報じられ、8/2に長嶋
一茂の報道会見があり
、正式に長嶋監督が直接指揮をすることが見送ら
れた。

これは、一応リハビリをかじったものとしては、妥当な判断であると
思う。
オリンピックの会場であるアテネは気温40℃の炎天下であり、そこに
脳梗塞片麻痺患者を2時間以上もさらしておくのは、普通に考えれば
難しいことだろう。

いくらこまめに水分補給をはかったとしても、実は真夏の炎天下という
のは、脳梗塞の発症率も高く、片麻痺患者の再発率の高い環境なのだ。

ついでにそんな環境で切ったはったの真剣勝負の指揮などをしたら、
感情失禁とまではいかなくても、相当テンションがあがり、結果高血圧
もしくは、筋肉強直の可能性など、片麻痺の回復にとってはよくない
ことだらけである。
だから今回の決定は、賢明な判断だったと思う。

でも、今回のアテネ五輪の野球競技では、アメリカ、韓国などの強力
チームがいないことで、キューバともに金メダルの最有力候補として
日本も挙げられているが、不安要素がまったくないわけでもない。

一つには、日本との環境の違いである。
日本のプロ集団は、今まで海外で戦った経験が実はほとんどない。

今までの五輪大会に出場した経験のある選手ってどのくらいいるん
だろう?現役プロ野球選手でも、古田をはじめとして、松中、井口、
仁志、小久保あたりが五輪に出ていたのは覚えているけど、今回の
メンバーで含まれるのは、前回シドニー大会に出場した松坂、中村ノリ
くらいなんじゃないのかな。

サッカーの場合でも、開催国と同じような環境で戦ったことがあるか
どうかでパフォーマンスが異なるのに、いきなり現地に行って、体調
管理ははたして大丈夫なんだろうか?
食べ物が違えば、水も違うのである。

アテネ最終予選の場合は、日本の政治力もあってか、日本で開催する
ことに成功し、その結果日本代表は順調に結果を残すことには成功
した。でも秋口のシーズンオフ直後と、真夏のアウェイでは、その
環境は大きく異なると思うのである。

もう一つは、ストライクゾーンの違い、そして公式球の違いである。
国際ルールでは、メジャーなどと同じく、どうやらストライクゾーン
は、日本のそれよりボール2個分くらい外に広いらしい。

イチローを除くメジャー進出した日本人野手が一番戸惑ったのは、
そのボールの質と、ストライクゾーンの違いだったような気がする。
イチローが平気だったのは、その2年前にメジャーのキャンプに参加
して、その後メジャー入りに向けて調整していたからだという話も
ある。

そう考えると、甘い球を投げてくれそうなところはともかく、決勝戦
でキューバとあたった場合には、環境の違い、体調も考えると、打線の
方は相当苦労しそうな気もするのである。

そして最後、現場で指揮をとるのが結局中畑に決まったこと。
いや、中畑が悪いというのではない。
でも、かつてのフランスW杯の時の岡田監督と同様に、国際試合経験の
ほとんどない監督で、はたして名采配は期待できるんだろうか。

サッカーの場合は、試合が始まってしまえば、選手たちの自主性に
任せる事も多いと思うが、野球の場合は、監督の采配によって試合が
左右される事が多いと思うのだ。

その時に今まで監督経験のほとんどなく、そして国際試合経験のない
コーチングスタッフで首脳陣を固めてしまうのは、ちょっとまずくない
のかな。
せめてアドバイザーか、ヘッドコーチにアマチュアで国際試合経験があり、キューバとの対戦経験が豊富な人にサポートを頼んだ方がよかったんじゃないかな、と思うんだけど。

そして、一番の問題は、長嶋ジャパンの美名のもとに、そういう問題に
ついて何も指摘しない日本のメディアにもあるのかもしれない。
ま、そんな心配しなくても、キューバ、台湾以外は大したことないん
だからメダルは固いと思っているのかもしれないけれど。

でも、前回惜しくも金メダルを逃したソフトボールの宇津木ジャパンは
多分もっと用意周到に準備をしていると思うんだけどなあ。
私の心配が杞憂に終わってくれることを祈るのみである。
せっかく行くなら選手たちにうれしい結果をとってほしいと思うしね。







2004年08月02日(月) 朝まで生TV

7/30深夜にやっていた朝まで生TVを久しぶりに見た。といっても、
深夜夜ふかしをする体力はないので、録画した奴を見たわけだけど。

今回の主題は「プロ野球再編問題」
ライブドアの堀江社長と、プロ野球選手会会長の古田選手が出演する
ことが話題になっていたらしい。

で、見た感想はというと、・・・・・・なんつうか、まとまりに欠ける内容
だなあ、と思ったり。

元々、プロ野球に関心がなく、FAの移籍金とドラフト逆指名選手の裏金
問題すらごっちゃにしてしまう田原総一郎が司会の上に、やはりプロ
野球のことは知らないくせにナベツネの手紙を携えて、堀江社長の服装
にいちゃもんをつけるためにやって来た三宅久之と、結局この話題で
何が言いたいのかわからない、遅れてきたケンカフェミニスト、遥洋子
と、ただプロ野球好きってだけで意見のころころ変わる、ファン代表?
のヨネスケを交えて、一体どんな活発な議論が期待できるのか。

録画放送だったとはいえ、シーズン中に呼び出された古田選手は、
お気の毒としかいう他はない。ほんと、お疲れさまでした。

でも、個人的に収穫かな、と思ったのは、ライブドア社長の説く、バフ
ァローズ再建案がちゃんと具体性をもち、日本プロ野球界にはスポーツ
ビジネスとしての可能性がまだあるという示したことだろう。

堀江社長の頭の中では、これをきちんとビジネスとして成立させると
いう腹づもりはあるようだ。

彼の発言で面白かったのは、巨人戦の視聴率が2ケタに達しない現状〜
将来では、対巨人戦の放送権料頼みのビジネスモデルは成り立たない
から、インターネット上で顧客の囲い込みをはかり、会員制のペイTV
として配信したい、という考えである。

ま、はたしてどれだけの数のファンを囲い込めば商売としてペイする
のかは知らないが、それをライブドアポータルのキラーコンテンツの
一つにしたいという事だろう。

Jリーグに手を出さないのは、その辺の権利関係がJリーグ事務局に
押さえられていて、おいしくないって事なのかもしれないし。

ついでに言えば、この堀江流プロ野球ビジネスが成功した場合の、
球団株式上場による売却益まで彼の頭の中では勘定に入っているのかも
しれない。

でも、もしもその方法がうまくいくのなら、今後のプロ野球経営は、
各球団もたとえば独自配信なり、ヤフーやソネットなどの大手プロバイ
ダと提携しての新たな形での放送権料ビジネスは成り立つのかもしれな
いし、各プロバイダ側も、独自の映像コンテンツを手に入れることが
できるのかもしれない。

そしてなにより対巨人戦の放送権料に頼らない、という意味では、
巨人オーナー、ナベツネの発言力をも弱めることができ、今後のプロ
野球の発展には貢献できると言えるのかも。

なんて、素人の想像はおいといて、朝生TVに戻ると、
結局この番組で際立ったのは、そんな風にこの再編問題をビジネスと
して捉えている人と、ただ単に思いつきを述べている人との壁の大きさ
のような気がする。

でも考えてみれば当たり前だよね。
あのパネリストの中で当事者なのは、古田選手と、あとは強いて言えば
ライブドアの堀江社長だけで、あとは単なるヤジ馬が、やいのやいのと
言ってるだけなんだから。

だからせめて彼らヤジ馬組には、当事者たちから今後のプロ野球発展の
可能性についてどう考えているのか、その考えを聞く、という流れの
方が、番組としては確実にタメになったと思うんだけど。

で、結局一番のガンは、もう片方の当事者でありながら、そうした
建設的な意見にはちっとも耳を傾けず、自分たち主導の再編ありきで
動いている会員制クラブ、サロンでたむろっているオーナー連中だと
思うのである。

本当、彼らさえ何とかなれば、もっといい知恵も出てくるだろうし、
日本プロ野球にもまだまだ可能性はあると思うのに。

もう一つ、この番組で明らかになったと思うのは、今までの球団経営が
本当にいかにずさんだったか、という事である。

近鉄が球団を手放すときの理由として挙げたのが、年間の赤字が40億円
にも達するという事だが、元西武、ダイエー球団社長の坂井さんによれ
ば、近鉄の場合30億円の収入はあるはずなので、どう考えても40億円の
赤字は、大阪ドームのレンタル料と、選手年棒の高騰が経営を圧迫して
いるだけでは、理由がつかないという事である。

すなわち、そこにはよほどヒドイ丼勘定があるのか、それとも表沙汰に
はできない裏帳簿や、親会社の借金の肩代わりが潜んでいると勘ぐられ
ても、おかしくはないようで。

だからいま一番、プロ野球の経営の健全化のために必要なことは、
古田選手も言っていたように彼らの財務諸表をマスコミでなくても、
専門家の第三者に公開してもらうことなのかもしれない。


でも、これだけの騒動に巻き込まれながら、現在セリーグで首位打者を
争っている古田もすごいよね。
誰がなんと言おうとも、今年の俺的MVPは古田選手で決まりだろう。


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