ちょっとしたメモとか。

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2014年03月01日(土) 思うこと。

かなり重い話なのでスクロールを。


























































先日、生徒の一人が亡くなりました。

真面目で、内気で、でも前向きで
自分のこれからを頑張ろうとしていました。
私の所へ来てから一年も経ってなかったでしょうか。
当時は4級だったMIDI検定も
田舎住みをもろともせず講習へ通って
つい最近、2級を取ったと喜んでいたばかりでした。

でも
自分で命を経ちました。

生徒と言っても私と年齢も近かったので
焦る気持ちも解っていました。
その焦りからあらゆる順番が後先になって
その結果「形を残せなかったこと」だけを
重く捉えてしまったのだろうなと
いまさらながら思います。

私の所へは
作曲を習いに来ていたのではなくて
ボカロの作曲スピードをあげる意味で
鍵盤(ピアノ)を上手くなりたいという目的で来ていました。
と同時に記譜から得られる読譜力をあげようと聴音もしていました。

人づきあいがうまく出来ないもどかしさを聴く一方で
信頼している人も居るというのでどこか安心していました。
内気なのに、音楽のイベントには積極的に行き
主催の人と繋がりを持って人の輪を広げる努力もしているようでした。

精神が壊れて入院した過去があったと打ち明けてくれた時は
話せる場所として捉えてくれていることにほっとしていました。
またその過去の入院によって壊れた人間関係や
思うようにいかなくなった仕事のこと
それらを何とか払拭して再スタートするのだと
何かを形に残すのだと、必死でした。

彼の目標は同人CDをプレスで完成させることでした。
だけど結局、仕上がらなかった。
イラストを頼んだり、盤面やジャケットの作成など
自分で出来ない部分をお願いしたけれど
うまく調整出来なくて間に合わなかったと。

だけどコピーでもいいから
ただで配布するのでもいいから
何とか作ろうと思うんです、と
出来たらもってきます、と言っていた。
それも、出来なかったのかもしれません。

最後にレッスンに来てくれた2月のある日。
帰りに見送って外に出た時

「そうそう、先生に教えて貰った音源買いましたよ!
 色々出来そうなんでよかった
 あとブラックフライデーで買ったんですよ!Wavesのも」

そう言って嬉しそうでした。
それが最後の言葉でした。

レッスンを無断で休むことなど無いのに
連絡がこないなんて珍しいなぁと思っていた約10日の間に
いったい何があったのか
彼の心に何が落ちてきたのか
私には解りません。

何か出来る事はあったのでは
もっと言える事があったのでは
助けてあげられる事があったのでは
後悔ばかりです。

もっともっと、話を聴いてあげる時間を
作ってあげればよかった

小さな変化に気付いてあげられなくて
それが本当に心残りでなりません。


水月陵