2007年02月28日(水)  モヒカンブルジョアジー。
 
しおりさんという方から「ちなみにうちも娘です。まつげの長い、モヒカン頭の女の子です」との日記のコメントがありあら奇遇。ちなみにうちも娘です。まつげの長い、モヒカン頭の女の子です。
 
御ハナ、モヒカン頭なのだ。頭頂部から前頭部にかけて妙にフサフサ生えていて、側頭部はめちゃくちゃ短い。後頭部なんて一部丸く禿げている。近くで見るとまつげが長くて可愛らしいが、遠くからみると男の子に見えかねない。お風呂で頭頂部のフサフサ毛をひとまとめにするとキューピーちゃんみたくなって可愛すぎて風呂に沈んでしまいそうになる。
 
後頭部の剥げは寝返りするようになったりハイハイするようになったら直に改善していくと思われるので心配いらないが、頭頂部と側頭部の髪の毛の長さのバランスが整うのはいつの日だろうと考えると気が気でない。カットして整えなければ。
 
そういえば先日行った池袋東武の子供服売り場の一画に子供用美容室があった。値段をのぞいてみると、カット、シャンプー、ブローで3990円であった。僕なんて中学3年まで丸坊主でカット1000円の床屋にしか行ったことがなかった。3990円て。プラス1000円のオプションでメークアップなんてのもある。どんだけブルジョアジーやねん。うちにそんな金どこにあんねん。と、プロレタリアート(無産階級)の僕は東武百貨店ベビー売り場で一人で嘆く。
 
2007年02月27日(火)  逆DVの本質。
 
最近は妻から男性へのドメスティックバイオレンス(DV)も増加しているという。なぜか北海道では「逆DV」の相談が過去最多にのぼったらしい。
 
今日妻が何のストレスが溜まっているのか「パンチパーンチ」と言いながら僕にパンチを打つ素振りを見せ出したので仕方ない相手してやりましょうと、サンドバッグ代わりに両手を出して、妻は「パンチパーンチ」と言いながらパンチを打って、僕は「おお上手い上手い」と言いながら手だけ出してテレビを見ていたら少しずつ手が垂れ下がっていたらしく、僕の右の親指に水平にパンチを打たれて僕はもんどりうった。妻もパンチを打った拳に僕の親指が突き刺さった形になったものだから僕と同じく悶絶している。素晴らしい日々だ。全てを捨てて僕は生きてる。
 
「な、なぜキミは急にパンチパーンチなんて言い出したんだ」
もんどり返りながら妻に訊ねる僕。
 
「う、う……ん。な、なんとなく……ヒ、ヒマでしたので」
変な敬語を使いながら悶絶する妻。
 
逆DVってのは、案外そういうものなのかもしれんね。
 
2007年02月26日(月)  テッテーテキーに。
 
御ハナをあやしながら昔のNHKおかあさんといっしょの「ぞうさんのあくび」を歌っていた。テッテーテキーにテ!ア!シ! ってやつ。今思うと徹底的に手足って。
 
その歌の中で、「ウッホ、ウッホ、ゴリラの旅行〜」という歌詞があり、僕は「あっちこっちそっちこっちハーウゥ」と、その後に続く歌詞をごまかして歌っていた。
 
次の「サッサカ、サッサカ、カニさんの散歩〜」という歌詞も同様、その後に続く歌詞、「あっちこっちそっちこっちアーウー」とごまかす。
 
次の「モジャモジャモジャモジャムカデさんの遠足、あっちこっちそっちこっちアーチッ」「ツンツンツンツンツルさんのスケート、あっちこっちそっちこっちブニュゥ」と、それぞれの歌詞の末尾がどうも聞き取れない。
 
一体あれは何と言っているのだろうねと、御ハナに訊ねてもニコニコ笑っているだけなので妻に訊ねる。妻は僕のどんなくだらない質問にもいつも真剣に考えてくれる。
 
「私もそれ歌ってるときよくわかんないのよ……四季!」
 
と、妻は僕に返答しながら同時に質問の答えを考え出したという高度なテクニックを披露してくれた。
 
ゴリラの旅行は春でカニさんの散歩は夏でムカデさんの遠足は秋でツルさんのスケートは冬だったのだ。あっちこっちそっちこちブニュゥと歌っていたところは、あっちこっちそっちこっちフーユーだったのだ。30歳にして掴んだ真実! 徹底的にどうでもいい!
 
2007年02月25日(日)  プレカリアートダイアリー。
 
今日から無職。明日も明後日も明々後日も来月の予定だって何もない。このまま家族3人同じ屋根の下で、誰にも迷惑を掛けず、幸せに慎ましく生きようではないかということが理想なんだけれど、幸福が金を生むわけではなく、金で幸福を買うわけではないけれど、幸福の1つの要素として金が存在するわけだからいつかは働かんといかんね。でもちょっと休ませておくれ。再チャレンジするには心も体もちょっと傷付きすぎたんだ。
 
というわけで無職。Not in Education.そう。学んじゃいない。Not in Employment or Training. そう。仕事に就いちゃいないし、別に訓練もしてない。I’m Not in Education. Employment or Training. いわゆるニートだ。ニートパパだ。若年無業者だ。とても深刻な状況だ。
 
厚生労働省のニートの定義のひとつに「既婚者で家事をしていない人」という項目があるらしい。逆をいうと、既婚者で家事をしていたらニートじゃないということになる。というわけで張り切って洗濯するぜ。頑張って御ハナのオムツを替えるぜ。買い物だって付き合うぜ。今まで神経張り詰めて十分頑張って働いてきたんだ。妻と御ハナと一緒に短い間だけど伸び伸び生きるぜ。充電したら再びストレスフルな社会にドロップキックだ。
 
なんて好き勝手なことばかり言って無職の肯定化に必死な僕に妻はいつも優しく微笑んでいる。この状況を危惧しているのかどうなのか。その微笑からはさっぱり真意が読めぬ。この笑顔を失くさないために、僕は今日から頑張る。主に洗濯を。
 
2007年02月24日(土)  仕事辞めてただの僕。
 
本日をもって職場を退職しました。明日から無職。気合い入れて頑張るぜ。育児を。あとはよろしく頼むぜ労働基準監督署。
 
労働基準監督署というのは、労働基準法をはじめとするいろんな労働に関する法律に基づき、事業場に対する監督指導や、労働保険のなんたらとか労災保険の給付とか行っているところで、労働者からの労働条件に関する相談なども受付けているところである。
 
で、なぜ僕が労働基準監督署に頼ったかというと、仕事を辞めたいって言っても辞めさせてくれなかったわけで、はは、やっぱ辞められないっスか。じゃあ明日から心機一転頑張ります。という気持ちにはなかなかなれないんだねこれが。一度辞めたいって思っちゃうと。だから辞めたい。職場を辞めるのは憲法で保障された「職業選択の自由」にもかかわる問題であり、原則自由であるので辞めますよ。と言っても、まぁ法律ではそうかもしれんけど職場レベルの問題でいうと……みたいな感じで毎日毎日引き止め交渉。仕事の半分の時間が引き止め交渉で仕事は進まないわ、精神的に疲弊するわでさあ大変。
 
退職したいという意志を貫き、労働者は自由意志で退社でき、会社はそれを拒否できないということを常に念頭に置き、この1ヶ月、僕は耐えました。でもダメでした。絶対に退職は許さない。職場の意向も僕の意志以上に固かったのでした。
 
で、こりゃだめだ。円満退職は無理だ。こうなりゃ強攻策だ。と、仕事帰り、池袋の労働基準監督署に行って、アドバイスもらって、ってアドバイスもらうことはもちろん大切なんだけれど、説得力があるのは「労働基準監督署に行ってきた」という事実。これ言えば事業主は何も言えない。あとの交渉は労働基準監督所を通すようにしますと述べると、しょうがないけどさようなら。と、あっさりいったようでメチャクチャ苦労したこの1ヶ月。
 
ストレスで不眠、眠れたとしても悪夢。食欲不振。変な動悸。ナースステーションに電話が鳴ると、あぁまた引き止め交渉に呼ばれるんじゃないかしらという不安感。下痢にここ2・3日は嘔吐。皮膚の湿疹はこれまでで最大級に悪化。と、体調不良オンパレード。ストレス死するぜ。このままじゃ見えない何かに殺されるぜ。と本気で思ってたこの1ヶ月。
 
明日から無職。さぁ何しよう。と、御ハナを抱いて、不安よりも開放感のほうが大きい主任じゃない僕。ただの僕。ただの僕がきっとほんとの僕なんだ。
 
2007年02月23日(金)  リモココロン。
 
最近、典型的な亭主の行動パターンが出てきて困っているというか危惧している。具体的にいうと、探しもしないのに妻に「○○どこあったっけ?」と訊ねてしまうことで、テレビのリモコンがないと思ったらかなりの高確率で「リモコン、そっちある?」と、向かいに座っている妻に訊ね、「うーん……ないわね」と、妻がキョロキョロしながら言って、そっかないのか、どこにあるかなぁとここで初めて自分の体を動かして、結局自分の尻のそばにあったりするというパターン。
 
これは非常にまずいことだ。妻の優しさにつけこんで、ただの怠慢な亭主になってしまう恐れがあるっつうかもうなってるかもしれん。もっと体を動かさなきゃ。というわけで、最近はテレビのリモコンが見当たらなくても妻には訪ねず、四つんばいで直接テレビの本体のボタンで操作する俺。ちょー怠慢。テレビのリモコンを手繰り寄せるリモコンが欲しい。でもそのリモコンもすぐ見失うんだろうけど。だったらそのリモコンを手繰り寄せるリモコンが欲しいぜ俺は。
 
2007年02月22日(木)  ファーストブック。
 
僕はこれでも物書きの端くれなので、育児に対しても言葉はとても大切にしたいと思っている。というわけでまだ4ヶ月なのに読み聞かせ。御ハナを膝の上に乗せてストーリー性のない絵も字もでかい絵本の読み聞かせ。
 
赤子の集中力ってのはそんな続かないものらしく、なんでこんなページ少ないのにこんな値段すんだよーと怒っているのは大人の考え方で、赤子からしてみると数ページで大満足なのである。聞いたことないから知らんけど。ほんとは不満なのかもしらんけど。
 
以前、妹からもらった絵本。絵本に童謡の歌詞が書いてあり、ボタンを押すと音楽が流れ出すという優れもの。歌は言葉にリズムや抑揚があって、言葉に親しむのに最も効果的だという。今日、妻が興奮した声で僕を呼んだ。「ねぇ、ちょっと来て!」
 
妻の膝の上に御ハナが座っていた。「ちょっと聞いててね」妻はその童謡の本を開いて「しゃぼん玉」を音楽に合わせて歌いだした。
 
「お〜ぉぅ、う〜ぅ、わぁぁおぉ〜」
 
な、なんか御ハナが言っている! これを親馬鹿の視点で見ると御ハナが歌っている! 一心に絵本を見て、ママの歌に合わせて歌っている! しかも曲が終わったら言葉もぴったりとやむ! さすがにメロディーにはなっていないが、本当に御ハナはママと一緒に歌っているんだ! 次、次なんか歌ってみて! 妻は微笑みながら「とけいのうた」を歌い出した。「コチコチカッチンおとけいさん」
 
「オチオチ……アッチン……おおえいあん」
 
御ハナがホントに歌った! と、嘘を書いてはいかんが、やはり「お〜ぉぅ、う〜ぅ、わぁぁおぉ〜」と歌を聞きながら何か言っている歌っている。生後4ヶ月。未来の歌姫。イツオートマチック。すごいよすごいよ。ちょ、ちょっと僕にも歌わせて。と、御ハナを膝の上に乗せて「やぎさんゆうびん」を歌い出したら大声で泣き始めた。
 
2007年02月21日(水)  遊びたい年頃なんてわけじゃないけど。
 
洗濯物を干しながら、「39度のとろけそうな日」と何気なく口ずさんでいてハッと我に返り、今歌ってた歌なんていうグループのなんていう歌だったっけ。なっつかしいなぁ。しかしなんでまたこんな歌が自然に出てきたのだろう。脳味噌ってやつはホント一体どうなってんだ。
 
オリエンタル……ラブ、じゃないよな。コンチネンタルラブ! って記憶の尾っぽを捕らえたみたいに興奮しながら言ってみたもののコンチネンタルラブでもないよなぁ。セン……セン? センチメンタルラブだ! ねぇセンチメンタルラブって今何やってんだろうねーと興奮しながら妻に言うと、「オリジナルラヴじゃないの? それともセンチメンタルバス? どっち?」と、冷静に切り返され、顔から火が出そうな39度のとろけそうな日。
 
気になったのでネットで検索してみると、センチメンタルバスは2000年12月31日をもって解散していた。なんてこった。僕は6年以上もの間、センチメンタルバスの去就について考えたことがなかったのだ。ボーカルの子、可愛かったよなぁ。あとキーボード叩いてた男の人はアンガールズのような人だったよなぁ。
 
ちなみにこの曲を聴くとマクドナルドを思い出す。多分マックでバイトして400ccのアメリカンバイク乗り回して看護学校になんとなく通学しながら遊びまくってた時期だろう。あれから6年以上の歳月が経ち、肌が乾燥してカサカサになって風呂上りものすんごい痒くなるという老化現象と戦いながらこの日記を書いている。って6年前だととっくに看護学校卒業してるか。ということは病院で働いていてマックではバイトしていない。記憶って曖昧だなぁ。脳味噌ってやつはホント一体どうなんてんだ。
 
2007年02月20日(火)  露美味い。
 
御ハナも来月で5ヶ月だし、そろそろ離乳食の準備を始めようってことで、最近は1日20ml程度の果汁を与えている。
 
母乳しか飲んだことのない御ハナに、母乳以外の味がこの世にはいっぱいあるということを理解させるため、スプーンに慣れて離乳食へ円滑に移行できるためと理由は様々だが、当の御ハナはそんな親の思惑つゆしらず、漢字じゃ露知らずって書くんだけどね、露ってのは少しも、全くという意味で、「露」のあとに「知らず」という打消しの語を使って、それを強める気持ちを表している。
 
ということは乱れた日本語の代表格としてたびたび話に挙がる「全然普通」「全然おいしい」なんてのは、「露普通」「露おいしい」って言っても意味としては合ってるんだよなぁとぼんやりと考えながらスプーンを持っているものだから、「ちょっと! 吐き出してるわよ!」と妻に言われてハッと我に返り、ぶべぇぇって舌を出して険しい表情をしている御ハナに「露おいしいですかー。露まずいですかー」なんて言いながら妻の視線に怯えているが、果汁の好き嫌いがあるわけでもなく、吐き出すのはまだ気分的な問題が大きくて、機嫌が良いときなどはペチャペチャ音を出しながら上手に飲むことができる。
 
スプーンに慣れることはとても良いことなのだが、御ハナは哺乳瓶を全力で嫌う。抱っこしてミルクを飲ませようとすると悲鳴を挙げて僕の腕の中から落ちてしまうのではないかというくらい身体を仰け反らせて嫌う。だから御ハナはミルクをあまり飲んだことがない。ということは母乳頼みなので、ママが長時間外出して二人でお留守番ってことがなかなかできない。露困ったなぁ。
 
2007年02月19日(月)  クシャ赤ちゃん。
 
最近御ハナは眠いときに両手で目をこする。めちゃくちゃチャーミングだ。赤子なのに大人がするような行動。僕も眠いときは目をこするが、この行動って「オレは今眠たいんだ」というアピールなのかと思っていた。しかし赤子もするとなれば何らかの科学的な根拠があるのだろう。
 
というわけで調べてみたのだが、眠くなるとまぶたに血が溜まって目が重くなり、その溜まった血を散らすために目をこするのだそうだ。ほんとかよ。嘘くせぇな。と、思ってはみたけれど、対抗説が思いつかないので多分そうなんだろう。血が溜まって散らしてるんだろう。
 
御ハナもまぶたに溜まった血を散らしてんのかー。誰かから教わったわけでもなし、自分で、自分の意思で散らそうと思って散らしてんのかー。偉い子だなぁこの子は。と、基本的に我が子は何をやっても偉い。偉くないところは、まぶたに溜まった血を散らすことによって眠気が醒めて昼寝をなかなかしてくれないということである。最近目がパパに似てきたような気がする。気品溢れる瞳をしている。クリッとした目で可愛いが、両手を挙げて伸びをすると顔がつぶれたような感じになる。僕と妻はそれを「クシャ赤ちゃん」と呼んでいる。クシャ赤ちゃんは両手を上げて伸びをして眠いのかなと思ったら目をこすって血を散らすので昼寝をしない。
 
2007年02月18日(日)  グーだってチョキチョキだって。
 
シャキーン! ぱわわっぷ! と、昨日に引き続き「おかあさんといっしょ」ネタなのだが、冒頭の歌詞で始まる「ぱわわぷたいそう」のハイテンション具合がどうも御ハナのお気に召したらしく、口ずさむとやたらケラケラ笑うのだが、歌詞が聞き取れない部分も多々あり、「あお〜いそら〜へたか〜くジャンプだ〜い!」と、僕のお気に入りのフレーズのみリピートする毎日。
 
妻などは歌詞をマスターしており、御ハナを膝の上に座らせて完璧に楽しそうに歌っている。御ハナも「あお〜いそら〜へたか〜くジャンプだ〜い!」としか歌わない父親よりよっぽど楽しいらしく、笑い声も高い。悔しいな。でも僕は「おかあさんといっしょ」の放映時間は大抵仕事行ってるしな。平日の休日のときに集中して覚えるしかないな。
 
というわけで、最近は「だーれだだれだ、だーれだだれだ、ぱわぱわわぉぁぁ!」というフレーズを覚えた。あ、今地震が起きてる。と思ったのは、自分の手で自分の腹を掻いて体が揺れているだけであった。あーびっくりした。あーなにこの老化。
 
2007年02月17日(土)  スプラピスプラパ。
 
子供ができてからやたら「おかあさんといっしょ」を見るようになったのだが、あの歌のお兄さんがどうも気に掛かるというか気に障るというか。
 
なんともいえないセンスの洋服はまぁ番組サイドから指定されたものだろうから許せるとして、あの踊り。あの踊りはなんだ。ゆったりとした。悠然とした。緩慢とした。なんというか余裕を見せた踊り。ワンテンポっつうか一瞬テンポずれたような踊り。んあーイライラするー。なんて書いてもこの「好色一代男」読者層に「おかあさんといっしょ」視聴者層がどのくらいいるかよくわからないが、見たことない人は見るといい。ストレス溜まるぜ。
 
あの番組の最後、「最後はボクのラッパで踊ろう」と、毛むくじゃらの黄色い生物の掛け声でエンディングが始まるのだが、じゃじゃ丸、ピッコロ、ポロリ以外のおかあさんといっしょキャラクターにどうしても馴染めない僕はその黄色い生物にも抵抗があるのだが、ここでも歌のお兄さん、一人でのんびり踊っている。覇気がない。目が細い。眉が太い。服が原色もしくは蛍光色だ。
 
体操のお姉さんなんて見てみろ。ってエンディングでお姉さん単体で映るのは「う〜後ろ」という歌詞の「う〜」という一場面だけなのだが、この「う〜」という刹那の中でも体全部を使って精一杯踊っているではないか。お姉さん。あのお姉さん。いったい何歳だ。
 
2007年02月16日(金)  妻は税務署に行った。
 
妻が税務署に確定申告に行った。ってことだけは知っているけど僕は確定申告のことは全くわかっちゃいない。今まで確定申告なんかしたことないし、だいたい確定申告ってのは自営業の人だけがするやつじゃなかったっけ。違ったかな。で、確定申告したらどんなメリットがあるのかしら。
 
でもあれだね、僕は本業の他に印税とかライターのギャラとかもらってるわけだからね、ちゃんとしなきゃいかん。どうにかせんといかんとですよと、東国原知事の口調で鏡に向かいながら歯磨きして尻を掻いている。で、結局何もしない。僕の人生のスタンスってのはこんなもんだ。あまり深く考えないし、思考が浅いものだからろくに行動もできない。
 
でも妻は違う。妻は今日、税務署に行った。それまでなんか領収書とか住宅ローンの請求書とか納税書とかもう見るだけで憂鬱になるようなものをひとまとめにして頭を捻ったり、もう見るだけで憂鬱になるような確定申告の本のページとかめくったりしていた。その間僕は「なんとかせんといかんですよー」と御ハナの両手をヒラヒラさせてヘラヘラ笑っていた。
 
「そんなの、しんどくないかね」と、妻に訊ねると、「私ね、こういうの大好きなの」って涼しく微笑む。ああ結婚してよかったなぁ。僕の嫌いなものを好きだという。逆に妻が苦手だというものは僕が得意だったりして。例えば御ハナを撮ったビデオカメラの映像をパソコンで編集してDVDにしたりね。お互いをおにぎり、おにぎり? おにぎりあって? お互いをおだぎり、おだぎり? おだぎりあって? なんだ。また言葉が出てこないぞ。お互いを、お、お互いあって、おなざりあって、おぎないあって! 補いあって生きてるよ僕達は。これが夫婦だ。妻は税務署に行った。僕はDVDを編集した。
 
2007年02月15日(木)  ケセラセラ。
 
最近仕事の愚痴ばかりで仕事のことなんて書きたくもないしそもそも詳しいことも書けないのだが書くことがないので書く。予定としては3月いっぱいで辞めることにしていたのだが、2月いっぱいで辞めることにした。なぜかというと、とっくの昔にお風呂は満杯になっていて、気付いてはいたんだけど浴室行ってお湯を止めるのが面倒臭かったというような。結果、無駄なお湯は流れ続け、水道代ならびにガス代が膨大な額になり、お湯を止めればいいという対応策はわかっているんだけれどなんとなく先延ばしにしている状態が続きました続きました。で、そろそろお湯止めよっかってよっこらしょって立ち上がって退職届。
 
で、今まではお湯出し放題なのでお風呂はいつも暖かくて快適で、気付いた人がお湯止めればいいんだけど、まぁ主任が止めるでしょって誰も止めようとしない。僕はというと、「まぁいつか止めますよ」と、止める気配も見せずにヘラヘラと笑っている。こういう日が来るって誰もが覚悟してたし、皆考えようとしていなかった。で、とうとう僕がお湯を止めようとしたときに総婦長さんはこう言った。
 
「あなたがいないと全てが崩れ去りますよ」
 
って。って。甘えだぁそれは。崩れ去るのが怖ければもっと給料上げてくれよってわけではなく、現に引き止め交渉で給料アップを提示されたんだけれど、僕はこの通り金にあまり執着がないし、給料が上がれば万事オッケーってわけじゃない。どうせ給料アップさせたらもっとお湯を出せって言うんでしょ!
 
いつか皆気付くだろう。お風呂がぬるくなってるって。お湯が少なくなってるって。そして皆行動するだろう。新たなお湯を出すかもしれないし、水を注ぎ足すかもしれない。もしかしたらそのままかもしれない。でも僕は知らない。僕の決断は間違っちゃいない。放っといても時計は進むし陽は昇る。僕は頑張りました。だから少し休みます。来月からちょっぴり育児休暇だ。それから先はどうしよう。ケセラセラ。どうにもならねぇ世の中だ。
 
2007年02月14日(水)  大人のバレンタイン。
 
先日、押し入れの中にチョコレートを見つけて、「何これ? 何でこんなとこにチョコレートが? もしかしてもしかして、僕に内緒で食べようとしてたんじゃないのぉ?」と、ケラケラしながら妻に訊ねると、「あっ、もう、違うわよ。えとね、バレンタインデーのチョコレート作ろうと思って隠してたの」と、照れ臭そうに言った。
 
まったくもって僕は馬鹿だ。なんてデリカシーのない質問をしてしまったのだろう。「あ、あ、そう、そうなの?」と、決まり悪そうな返事をして隣の部屋に引き篭って自分を責めた。馬鹿だなぁ僕は。もうちょっと物事を考察してから何か言うようにしよう。それが社会人ってもんだ。社会人は馬鹿なことばかり考えずに仕事に行こう。職務を全うしようと今日も「ただいまー」と仕事を終えて、「御ハナ〜、今日は何をしましたか〜。うんちいっぱいしましたか〜」と、御ハナを抱っこしていると、妻が「はい、どうぞ」と、バレンタインデーの手作りチョコムースをテーブルに置いて、恥ずかしそうにキッチンに消えた。
 
戻ってきてくれと思った。その恥ずかしそうな笑顔をもう一度見せてくれと思った。ラム酒で作ったイチゴのソースがかかったそのチョコムースはすごく優しくて大人の味がした。僕はもう学生じゃないし独身でもない。これぞ大人のバレンタインデー。美味いぞ。美味いでごわすぞーと、間違った鹿児島弁で叫び、「ちょ、ちょっと待っててね」と、膝の上に座ってた御ハナをソファーに寝かせてからキッチンで夕食の準備をしている妻を抱きしめた。
 
「美味しい?」妻が上目遣いに訊ねる。突然一人残された御ハナが泣き始める。「美味いしいよ。ありがとう。ありがとうね」もう一度強く抱きしめて、「どうしたの〜。寂しかったの〜」と、御ハナが泣く部屋に戻る。そんな大人のバレンタインデー。お風呂あがりに「えとね、2個作ったの」と、もう1個チョコムースを食べた。2個目のイチゴのソースはちょっとラム酒が強め。そんな大人のバレンタインデー。
 
2007年02月13日(火)  因果負う方。
 
1週間に1回、職場の勉強会。それぞれの病棟から数人ずつの看護師さんが会議室に集まり、看護に関する法律とか新しい看護記録の書き方についてなど、勉強会を行う。毎週1回木曜日。僕は木曜日が休日でも勉強会に出席しなければいけない。ちょー勉強熱心である。ということではなく勉強会の講師が僕だから。
 
どうしてこうなってしまったのかわからない。今後必要だと思ったことを独り言程度に婦長さん達との雑談の折に話していたらこうなってしまった。今となってはそれが原因だということすらわからない。とにかく僕は壇上に立ち、熱心な人と居眠りしている人達が半々の会議室で、手当てを貰っているわけではない勉強会の講師をぼさぼさ頭の無精髭で行っている。
 
教え方が上手などという評判を聞くと嬉しくなってしまうが、嬉しいばかりじゃ済まないのが人生ってもので、僕はそんな評判よりも休日はちゃんと休みたい。妻と話がしたい。御ハナと遊びたい。ゲームだってしたいし執筆だってしたい。もちろん溜まりがちなこの日記だって書きたい。
 
最近、やたら日記の更新が遅いのは、前日にも書いたように仕事がやたら忙しくて、その忙しさってのが自業自得というか身から出た錆というか、なんというか抗えぬ力が作用しているためで、僕はその作用の正体が掴めたら、こんな、こんなっ、こんな風にしてぐしゃぐしゃに丸め込んでゴミ箱にポイしてそんでもって足で踏んづけてはーすっきりしたってタバコ一本吸って夜はビール飲んでぐっすり眠りたい。でもそういうことができないからこういう風に頑張ってる。
 
2007年02月12日(月)  君がいるなら。
 
「主任なんてヤダー! やりたくなーい!」なんて家に帰ってから寝転んで手足をバタバタさせながら喚き散らすという、職場の看護主任の姿からは想像できないような醜態を家庭で晒していることはなく、ビールを飲んで一息吐いて「主任って辛ぇなぁ」と呟く程度なのだが、まぁ結局は人の上に立つってのは辛いってこと。
 
前の職場でも今の職場でも結構なスピードで主任に昇格したのは、何かしら昇格しやすい要因が自分の中に秘められているというか放出されていることは明らかで、それが何かわかったら僕はその力を一生封印しようと思っている。生真面目、なわけではない。こんな日記書いたり詩集出版したりしてるんだから。人が良い、わけでもない。僕は対人関係にほとんど無関心なのだから。人柄? そんな曖昧なもので判断されちゃあたまらない。
 
なんだろなんだろこの結局自分の首を締めるような結果に陥りやすい意味のわからない謎のスキルはなんだろう。ストレスで胃腸を壊し、体中は湿疹だらけ。眠ると仕事の夢を見るし、起きると仕事で会議の日。助けてくれよおっかさん。と、妻にコップを差し出すと「はいはい」とニ杯目のビールを注いでくれる。君がいるならまっいっか。
 
2007年02月11日(日)  僕ライダー。
 
髪が伸び放題である。前髪は口の辺り、後ろ髪は肩まで伸びている。一昔前の仮面ライダーの主人公のような髪型をしている。仕事の時はヘアムースやワックスを使ってなんとか仮面ライダーの主人公クラスの体裁を保っているものの、家にいるときは実験に失敗した科学者のような頭になっている。
 
遂に見かねた妻はお願いだから美容院に行ってくれと言う。行ってくれと言うが、僕は金銭の管理を全て妻に任せているので妻から美容院代を工面してもらわなければならぬ。じゃあ工面してもらえばいいじゃないかと思われるかもしらんが、妻の財布の紐が想像以上に固く、ということは全然なく、ただ単に美容院に行く気がしないだけである。
 
独身の頃は1〜2ヶ月に1回は必ず美容院に行っていた。結婚してからは、結婚式の前日に行ったきりだからかれこれ7ヶ月髪を切っていない。なぜこんなずぼらになってしまったのか。我が美容に対し無関心になってしまったのか。
 
結婚して、自分の髪以外の関心事が急激に増えたからである。という結論。だってそうでしょ。妻とは時間があればずっと話してたいし、御ハナは時間ある時もない時も終始可愛い。こんな家庭というものができたものだから、美容院が自分に必要なものランキングトップ10から撤退したことはしょうがないのかもしれない。
 
じっと鏡を見る。髪の毛が肩まで届いている。後ろ髪、口に入るんじゃないだろうかと、後ろ髪を口に持っていったら実際口に入った。口に入るくらい髪の毛長ぇよ。すげぇなすげぇな。別にすごくないな。口に入る口に入る。と、いつまでも鏡の前で髪の毛を口に入れてぺちゃぺちゃ舐めていたら、後ろから「何してるの?」と、ちょっと心配そうな顔をした妻。後ろ髪がね、こうやって伸ばしてね、こうやって口に持ってくとね、ほら、と、後ろを振り返ると妻は既にキッチンで夕食の支度。
 
2007年02月10日(土)  自分が**だったらバトン。
 
1.もし自分が動物だったら。俺はバッタよりカマキリ派だ。あの羽根の部分の繊維が好きだとか無益なことばかり話してると思う。
2.もし自分が生き物ではなかったら。そんなこと考えることすらできないだろう。
3.もし自分が自分の嫌いな動物だったら。逆にこっちから嫌いになってやるよ。
4.もし自分が自分の好きな人だったら。開口一番好きだと言うよ。
5.もし自分が自分の嫌いな人だったら。逆にこっちから嫌いになってやるよ。
 
6.もし自分がこの場所にいなかったら。他の場所にいるでしょう。
7.もし自分が自分の好きな動物だったら。似たような質問ばっかりしやがって。
8.もし自分が死んでいたら。成仏できてないってことだね。
9.もし自分が天国にいたら。雲のわたアメ食べ放題。
10.もし自分が地獄にいたら。血の池地獄で泳いでる。
 
11.もし自分が過去に戻れたら。もっと勉強しろ。やっぱしなくていいやって言う。
12.もし自分が未来に行けたら。成長した御ハナ見たいけど我慢するよ。
13.もし自分が身近な人と笑っていたら。いいじゃないか笑ってるんだから。
14.もし自分が身近な人とケンカしていたら。3回読んだけどあまり意味がわからない。
15.もし自分が泣いていたら。涙を拭いて明日を思うよ。
 
2007年02月09日(金)  LOST・シーズン2
 
なんなんだこれは。と、昨夜の悔しさを抱いたままレンタルしただけで見ることのできなかったDVDを返却すると、「あ、申し訳ありませんでした」と、店員が謝って、ケースの中に入っている謎の青い板を謎の器具で一瞬で取り外した。一体これは何だ。何の仕打ちだと呆然としながら店員に問うと、「セキュリティーのやつが入ったままでした」と言う。
 
「セキュリティーのやつ」ってそんな曖昧な物体とは何ぞやと訊ねると、「万引き防止とかの……」と、最近の若者は「やつ」「とか」「など」などの語句を用いてやたら真実をぼかそうとする。じゃあなんでこの青いものをつけたまま渡したんだと問うと「い、いや……」と言って困った顔をしている。僕が店員の立場だったとしても困った顔を浮かべると思う。そして店員も思ってただろうし、僕もこう思うだろう。「これ付けたまま渡したの俺じゃねーし」
 
まぁとにかく今回は店側の不手際で、無料でレンタル延長してもらったのだが、僕がもう少し大人だったらなのか子供だったらなのかわからんが、とにかくどっちかだったら、「わざわざ自転車こいでここまで来て借りたDVDのケースが開かないなんてことになって、理由を聞いたら店側のミスだという。謝罪だけでこの無駄となった労力と対価になるとはとても思えぬ。あなたがもし猿から生まれたのではなく、人から生まれたのであったら、人だけが持つことができる概念。すなわち誠意というものを見せてもらいたい」とか何とか言ってタダ券などをゲットするのであろうが、「あ、そっすか。へへ。そっすか。そんなこともあるんすねぇ」と、ヘラヘラ笑っているだけで本当に僕はこういう局面において使い物にならない。
 
だいたい僕は「人からされて嫌だと思うことは他人にしない」という実にシンプルなポリシーを持っているので、このポリシーに当てはめるとこんな場面でも文句ひとつ言えない損な性格。損な人生。
 
2007年02月08日(木)  LOST・シーズン1
 
「LOST」というアメリカの連続ドラマのシーズン2がレンタル開始になったので、早速近所のツタヤに行ったら全部レンタル中。畜生。一足遅かったか。まぁどっちにしろ会員カードの更新の時期だし更新だけして帰ろと、レジで更新の手続きを済ませ、ふとレジの奥を見るとDVDやらCDやらがいくつも折り重なっている。
 
あんだけありゃひとつくらいは「LOST」があるんじゃないかしらと、奥の方をのぞきながら店員に「LOST……ありますか?」と訊ねてみると、「ちょっと待ってて下さいね」と10秒ほどで1〜3巻まで持ってきた。何この裏技。まぁ何にしろとりあえず言ってみるもんだ。得した得したと意気揚揚と家に戻り、その日に夜、御ハナが眠ってからさぁさぁ大人の時間。ビールとジュースとお菓子をセッティングしてさぁ見るぞー! と意気込んで、あれ、ちょ、ちょっと待って。
 
ケースがなかなか開かない。んあれー? おっかしーなー。ちょっと開けてみて。と、妻に渡しても、あ、あ、あれ? な、何これ。あ、あれ? んー? ちょっと開けてみて。と、僕に返ってきて、う? う? うーん? な、なんだこれ。ちょっ、ふんっ、ふむっ! はぁはぁ。ちょっと開けてみて。と、再び妻に渡すという行動を5・6回繰り返して、なんかわからんがとにかく開かないという結論に泣く泣く持っていくこととなった。
 
悔しい。半透明のケースの中に待望の「LOST・シーズン2」が入っているというのに。ここ数ヶ月レンタルなんてしてなかったからケースの形も変わったのかもしれん。従来の半透明のケースに、なんか青いプラスチックのような板が入っているがどうもこれが怪しい。しかもこの青い板、ケースの外にちょっと突起している。この突起部分の攻略がケースオープンへのヒントとなっているはずだ。なんなんだこれは。
 
2007年02月07日(水)  ファミリートーン。
 
大人には聞こえないという周波数音「モスキートーン」が、携帯の着信音として若者の間で流行っているらしい。モスキートーンとは読んで字の如く、蚊が飛んでいるような音らしく、キーンというような感じでどっちかというと不快な音らしい。20代後半から聞こえなくなる音らしく、それを逆手に取って10代の若者が着信音にして、今や授業中はモスキートーンが鳴りっぱなしらしい。
 
と、冒頭かららしいらしいと推量の助動詞ばかり使っているのは、このモスキートーンを聞くことができるウェブサイトで実際に聞いてみたのだが、何? 今鳴ってんの? 嘘だろ? という具合に全く聞き取ることができなかったためで全て憶測。目の前に何かしらの真実が広がっているのにそれを把握できない悔しさ。年を取るということは悲しいものだ。ちょっと君も聞いてみたまえ。と、妻に聞かせたけれど、妻も全然聞こえないらしくちょっぴり安心。
 
御ハナはどうかしらとモスキートーンを鳴らしてみたけれど、聞こえてるのか聞こえてないのか鼻息をふんふん鳴らしながら一心に親指をしゃぶっている。スピーカーの方向を見ることもなく、「聞こえてんの? ねぇ?」と訊ねても、エヘェと天使のような笑顔を浮かべるだけで話にならない。話にならずとも心は通じている父と子は、「あんぶぅぶぅぶー」「おあおあおあぅ」「ぐゎぐゎうーう」「おっこんこんこーん」と、親子にしかわからないファミリートーンで始終会話。
 
2007年02月06日(火)  育児の危機管理。
 
御ハナのオムツ交換。左手で両足を持って右手でお尻を拭く。お尻拭きはウォーマーの中に入っている。このウォーマーとは常に電源が入っていてお尻拭きを適温に保ってくれるプラスチックの箱型の優れもの。ワンタッチで蓋の開閉ができ、お尻拭きを入れ替えてもすぐ温まる。御ハナも突然冷たいお尻拭きを当てられてびっくりすることなく、快適なオムツ交換ライフを送ることができる。
 
便利な世の中になったものだなぁ。僕が赤子の頃はこんなものなかったぞ。多分。知らんけど。だいたいお尻拭きなんて使い捨てのものすらなかったかもしれんね。布オムツ使ってたってお母さん言ってたし。布巾のようなもので尻を拭いていたのかもしれん。本当に便利な世の中だ。さぁオムツ交換終わり。御ハナさーんすっきりしましたかー。
 
と、御ハナに話し掛けると、突然大声で泣き始める。なんだなんだオムツ替えてすっきりしたというのにどうしたことだ。しかも泣き方が尋常でない。どうした御ハナどっか痛いのか。と、全身を見ると、御ハナの左手がお尻拭きウォーマーの方に伸びている。ウンギャァァァ。これは僕の絶叫。
 
ウォーマーの蓋に御ハナの親指がはさまれている。
 
大慌てで蓋を開き、御ハナの指を見る。小さな親指がぺしゃんこにつぶれている。やばい。やばいぞこれは。マ、ママーッ! と、妻を呼ぶと、「いつかこういうこと起こると思ってたのよ」と、意外に冷静。ま、まずは冷やさなきゃ。ほ、骨に異常はないかしら。あ、あぁごめん御ハナ。酷いことをしてしまった。げぇ、腫れてきた腫れてきた。どうしようどうしよう。と、看護師のくせに自分の子のこととなるとほんとダメ。
 
最近御ハナは手足の運動が活発になってきて、ほぼ随意に手を動かすことができるようになり、オムツ交換の間、いつの間にかウォーマーに手を伸ばしていたのだ。育児の危機管理意識の欠如。あぁ父親失格だ。涙が出そう涙が出そう。涙出そう。涙。なだ。なだそうそう? みたいにパニックになっているものだからまともなことすら考えられない。
 
骨に異常があるのなら血行障害が起きて紫色になってくるはずだから、とにかく今は様子観察だ。と、御ハナの横に寝転んでごめんよーごめんよーといつまでも頭を撫でていた。
 
幸い紫色になることはなく、少し腫れただけで触れてもさほど痛がらない。くわばらくわばら。本当に良かった。本当に良かったけど、子育ては常にこういう未知なる危険にさらされているということを認識しなければならない。これから可愛いだけじゃ済まない問題がいっぱいあるんだ。
 
僕のミスで指をはさんでしまったのに御ハナはまだ言葉を話せないものだからただ泣くばかりで僕を責めたり嫌ったりせずに、抱きかかえるとあたちにはパパとママしかいないのよー! みたいな感じでしがみついてきて切ないったらありゃしない。本当にごめんなさい。本当にごめんね。と、キスの嵐を浴びせて大声で泣き始めて抱きかかえて泣き止んでキスの嵐で泣き始めるといういつもながらの無限ループに突入。
 
2007年02月05日(月)  決断と英断。
 
去年の今日は夜勤明け。僕は仕事が終わってすぐ彼女が住むマンションへ行き、シャワーを浴びて午前11時頃ベッドに入って眠りに落ちた。
 
午後1時。彼女が僕を優しく起こす。「ねぇ、ちょっとリビングのテーブル見てきて」プレゼントか何か置いているのだろうか。僕は寝ぼけた頭でリビングに向かった。テーブルの上には電子体温計のような物が置いてあり、なんだ彼女、熱でもあるのかなと電子体温計の表示部分を見ると、体温は表示されておらず、その代わりにピンクの色で「+」と表示されてあった。
 
何かが僕の全身を駆け巡った。静かに目を閉じる。待たせてはいけない。隣の部屋で彼女は僕の反応を、僕の返事を待っている。待たせてはいけない。待たせれば待たせるほど物事はマイナスの方向へ向かっていく。
 
出産か胎堕か。そんな選択など僕の頭にはなかった。何を、どう言えばいいのか。どう伝えればいいのか。そればかり考えていた。しかし待たせてはいけない。出産か胎堕かなんて考えていると勘違いされてはいけない。覚悟を決めるにはあまりにも短すぎる時間。でも、サイはとっくに投げられていたのだ。
 
僕はベットに横になっている彼女によつんばいで覆いかぶさる。彼女は嬉しいのか悲しいのか判別できない笑みを浮かべている。しばらく無言で見つめあう。決断には短すぎる時間。英断には格好良すぎる時間。
 
「結婚しよう」
 
去年の今日は夜勤明け。彼女と付き合って1ヶ月。そして忘れられないプロポーズ記念日。御ハナはこのプロポーズをお腹の中で聞いていたのだろうか。「去年の今日のこと、覚えてる?」と訊ねると、意味もわからないくせに「エヘェ」と声を出して微笑んだ。あの日から2ヵ月後、僕達は入籍して、ちょうど8ヶ月後、御ハナが誕生する。
 
今日は小さなケーキを買って小さなパーティをした。付き合って1ヶ月の彼女にプロポーズするなんて一世一代のギャンブルだったと思うが、あの夜勤明けの午後のリビングで目を閉じて下した決断は、目を開いて決めた英断は、決して間違ってはいなかった。間違ってなかったよねー。ねー。しかしケーキ美味しいねー。ねー。ちょっと一口食べさせてー。私もあなたの一口食べさせてー。一年前の英断は、結果的に僕の目尻の笑い皺を増やすことになった。
 
2007年02月04日(日)  公園デビューみたいなやつ。
 
午前中、妻が所用で出掛けたため、僕と御ハナはお留守番。さぁ何しようと二人でゴロゴロしていては精神衛生上よろしくないので、ちょっと出掛けよっかとベビーカーで子ども家庭支援センターに行った。
 
子ども家庭支援センターとは、子ども連れの母親・父親同士が気軽に触れ合える交流スペースのことで、専門の保育士や相談員が常駐してしかも無料という育児をする者にとってとてもありがたい場所なのである。交流室と呼ばれるホールで子どもをあやしながら母親同士の友達を作ったり、相談員に育児相談をしたりする。
 
妻は生後1ヶ月過ぎからママ友と一緒にここに来て、育児の悩みなどを話したり御ハナをあやしたりしており、僕も妻と一緒に何度か行ったことがあるのだが、一人で行くのは今回が初めてで、母親・父親同士が気軽に触れ合えるという名目はあるけれど父親だけで子どもを連れてくるなんてことは全くなくて僕にはパパ友なんていない。周りは女性と子どもばかりだし。でも大丈夫。女性だらけの職場で働いているので、女性の輪の中に入っていくのは慣れている。
 
「こんにちはー。あれー、今日はパパ一人ですかー。偉いですねー」と、常駐の相談員さんに言われて、偉いも何も家にいたって御ハナがつまらないだろうから連れてきただけです。周りにいっぱい子どもや赤子がいて刺激になるだろうし。と、御ハナを畳のスペースに降ろして可愛いなぁ。うちの子は本当に可愛いなぁと御ハナの体をマッサージしていると、「小さいですねー。何ヶ月ですか?」と、早速ママが話し掛けてくる。父親一人で来ることが余程珍しいのか、それとも最初の会話のシーンで、あの男は人見知りもせずにヘラヘラと初対面の人間と会話を成立させているガードの低い人間だと他の母親達が認知したのか、それから先は話し相手に苦労することなく、僕の公園デビューみたいなものは見事順調に達成された。
 
最近、御ハナのお腹に湿疹らしきものがでてきて、あせもだと思うけど、我が子のことになるとちょっと心配。これって何ですかねぇと、1歳の子どもを持つ母親と話していたら、「ちょうど看護師さんのママがいるから見てもらいましょ」と、やはり1歳くらいの子どもを連れた母親を呼んで御ハナの湿疹を見てもらったりして、ほら、人間関係の自然な広がり。生後5ヶ月の赤子を連れた母親に、うちの子どもは夜も3時間おきくらいの授乳が続いてるんですけど、5ヶ月くらいになるとどのくらいになるんですかと訊ねて、うちは夜10時におっぱいあげると翌朝7時までは寝てくれますよと、他の家庭の女性のおっぱい事情まで聞くという厚顔無知っぷり。
 
父親の視点から他の家庭の母親に育児相談するってのはこのような場ではないと難しいと思うので、これからもどんどん活用しようと思う。僕がここに来てその間に妻が家でゆっくりするって使い方もあるだろうしね。
 
2007年02月03日(土)  節分。
 
節分。妻とベビーカーで買い物に出掛け、恵方巻と夕食のおかずと豆を購入。食卓にご馳走が並んだけれど、やたらでかい恵方巻のみですでに満腹。今年の恵方は北北西ということで、北北西ってどっちだ? まぁいいや食っちまおうぜ。と、風習や言い伝えを軽視しがちな今の時代の若者らしく、無言で食べるところを美味ぇ美味ぇと喚き散らし、かといってちゃっかり無病息災、家内円満を願ったりして、この世に鬼なんていねぇ。鬼ってのは自分の中にいるもんだ。厄介なのがこの鬼ってのは時には福になったりする。ジョッキ半分のビールを見てまだ半分残ってるって思う奴もいりゃあ、もう半分しかねぇって嘆く奴もいる。大切なのは何をどう認知するってことなんだ。御ハナ、そういうことだ。これが世の中のカラクリってもんだ。さぁさ豆をまこうぜ鬼はそとー!
 
と、ベランダの窓を開けて、御ハナを膝の上に座らせて豆を捲く。撒く。蒔く。漢字がわからん。御ハナにも豆を一つ握らせてさぁ捲きなさい蒔きなさいと言うのだけど、握りしめるばかりで一向に撒こうとしないのは当たり前でこの子はまだ明後日で生後4ヶ月になるばかりなのだ。というわけで御ハナの汗に包まれた豆を掌から取り出して僕が代わりに外に捲いた。妻も撒いた。そんな節分。来年は僕が鬼の面をかぶって豆をぶつけられるのかな。それはそれですごく幸せだな。
 
2007年02月02日(金)  誰のため何のため。
 
先月、総婦長に3月で退職する旨を伝え、今月から急遽病棟異動になったのは左遷されたわけではなく、退職する意志を伝える以前から異動が決まっていたらしく、こういうことは1・2ヶ月前から「異動して欲しいんだけど」みたいな打診があるのが通常なのだが、「まぁヨシミだし断りはしないだろう」という、甘い見通しのもと、異動の話は幹部のみ水面化で進んでおり、「異動して欲しいんだけど」と、打診があったのは異動5日前。田舎に帰る直前の夕方に言われたのである。で、予想通り僕は断ることなく、「はぁ、頑張ります」みたいな気のない返事をして、「でも、3月で辞めますよ」と、素の表情で仰天発言をしたのである。
 
で、今日から新しい病棟。以前いた病棟は仕事も忙しいし婦長さんもおっかなかったので、あの病棟の主任がうちの病棟にやってくる! と、朝からみな身構えているような感じ。構えるも何も殴りもしないし怒鳴りもしない。上司から言われたことを淡々且つ確実にこなしていくただの中間管理職ですよ。よし。あと8時間で帰れますね。今日も一日頑張りましょう。ってなぜ急に異動になったのか。
 
この病棟の人間関係、メチャクチャらしい。噂には聞いてたけど、もうすごいことになってるらしい。で、なぜ僕が異動になったかというと、僕はこの日記に書いているように、怒りもするし悲しみもする。辛いもんは辛いし、面倒臭いものには関わりたくない。でも、そういうマイナスの側面を臆面も出さないものだから、「感情が鈍麻したお調子者」みたいなキャラが定着していて、僕がこの人間関係に飛び込むことにより、何言われたって「まあまあ、仕事しましょうよ仕事。仕事に来てんだから」みたいなことを言って、てんで相手にしない。人間関係で参っているスタッフの前面に立って、攻撃するもの、よからぬ噂を立てるものに、「しょうがないですね。それってどういうことですか」と、聞く振りをしていつの間にかカウンセリングモードに移行するなど、全くもって面倒臭い。
 
何しに仕事来てんだ。何仕事来てスタッフのケアしとんのじゃ俺は。誰のための看護なのか何のための主任なのか全くわからん。わからんわからん。でも3月で辞めるので全力で頑張る!
 
2007年02月01日(木)  あたらしいお風呂の入り方2。
 
あたらしいお風呂の入り方。それはまず妻がお風呂に入る。で、体洗って髪洗って浴槽に浸かってから「いいですよー!」と、僕を呼ぶ。僕は御ハナの服を脱がして同時に僕も服を脱いで浴室へ入る。浴室には妻と僕と御ハナ。これぞ家族! という風景の完成。
 
御ハナが妻と一緒に浴槽に浸かっている間、僕は髪と体を洗う。次に御ハナを受け取り髪と体を洗う。その間に妻は風呂から上がり、体拭いて服を着て布団敷いて御ハナ受け取りのセッティングを始める。僕と御ハナはしばらく浴槽に浸かり、「いいですよー!」と妻を呼んで御ハナを渡し、同時に僕も風呂から上がり、体拭いて服着てお風呂終わり。
 
なんと合理的なんだろう。ポイントは3人一緒にお風呂に入る時間があるということ。3人の入浴時間がだぶることで入浴時間を削減できる。裸の御ハナを仔細に観察しながら、身体の成長や湿疹などの異変について話し合うことだってできる。なんといっても家族揃って入浴という幸福感を毎日味わうことができる。
 
御ハナももうすぐ4ヶ月。僕もだいぶ父親らしくなってきたような気がします。
 

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