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華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年06月30日(日)

一生に一度の夜。 〜完結編〜


<前号より続く>



美紀子が帰る日の昼前。


美紀子が部屋で着替えている。
彼女も気に入った尾崎亜美の「ラピス・ラズリ」がBGMだ。

俺は台所で扉を閉められて待たされる。
扉はきっちりと締め切られていない。
隙間から、着替えてブラをつける美紀子が見える。


 「平良ぁ・・・見てるでしょ」

横目で隙間からチラチラと見ているのがばれていたようだ。


 「入ってきていいよ」

美紀子に呼ばれて部屋に入ると、ブラをつけていない上半身裸の美紀子。


 「男の子だもんね・・・最後に私の身体、触ってもいいわよ」

俺は躊躇したが、結局言われるがまま美紀子の背中越しに抱き、胸を揉んだ。


名古屋駅に迎えに行ったのは、一昨日。

美紀子がうちに2泊。
その分深く絡み繋がった女の身体と男の身体。

彼女の身体は、もう分かっている。

柔らかい胸の芯にある固い部分を、掌で揉み上げるように大きく包む。
途端に美紀子の息が漏れ、力が抜けた。


俺は美紀子を仰向けに寝かせ、水色のショーツを下す。

そして両腿を開かせて、ヘアに包まれた美紀子自身を見つめた。


今までとは違って、昼間の明るい部屋。
今度は色、形まで全て丸見え。


綺麗な薄いピンク色が、早くもうっすら潤んでいる。
俺は美紀子に喜んで欲しくて、自身にむしゃぶりついた。

どこをどうすれば感じるか、すでに分かっているつもりだ。


俺は彼女の弱い部分を復習がてら、舐め上げる。
美紀子が俺の髪を両手でわし掴み、腰を浮かせて泣き喘ぐ。


 「いいっ!いいっ・・・平良、すごく上手よ!」

美紀子が好きになっていた俺。
だから感じて欲しいんだ。


両腿に力が入っている。
もうすぐ美紀子がイきそうだ。
俺は突起に吸い付いて、舌先で細かく舐める。


「ああん、ああん、平良ぁぁあっっ・・・・」

美紀子が全身で仰け反る。

両腿で俺の頭を挟み込み、物凄い力で締め上げる。
イッているのだ。

しかし俺は夢中で快感に溢れる美紀子の両腿と濡れそぼった自身に密着させられて、
呼吸が出来なくなった。
そんな体勢が数十秒。



・・・窒息する!?


俺は夢中でイき続ける美紀子の尻を横から叩いて、腿を振りほどいた。


 「ゴメンナサイ・・・だってすごいんだもの・・・」

美紀子は謝ってくれたものの、別に悪い気はしない。
それだけ快感が深かったのだろう。

挿入しようかと思ったが、使い切ってしまい、ゴムが無い。
思い出してみれば、慣れない装着でも随分失敗した。

ゴムが無くてもいいじゃん、と悪魔の囁きが聞こえる。
やはり相手の女性の気持ちを考えると、避妊はしたい。

俺は、きっともう美紀子を愛している。


溢れる欲望を抑えきれない俺だったが、これが最後になるわけでないのだから・・・、
と自分に言い聞かし、次回に持ち越した。

その旨を伝えると、美紀子は俺を抱きしめてくれた


 「平良、優しいのね・・・好きよ、大好き・・・」

そのまま、出発予定の時間を越えてまで抱き合っていたように思う。



 「平良、私が浮気したら、怒る?」

帰りの地下鉄の車中、こんな事を口にする美紀子。


「・・・いや、俺に戻ってくれば怒らないよ」

美紀子にとっては、意外な言葉だっただろう。
俺の方へ向き直る。


「いろんな人と出会うことが悪いことじゃないし」

この基本的なスタンスは今も変らないものの、
当時はちょっと大人ぶって、そう返事した。


 「ふぅん、そうなんだ・・・」

つまらなそうに、拗ね気味に返事する美紀子。



夕方の名古屋駅新幹線上りホーム。
博多発東京行きのひかり号を待つ人の中に、俺と美紀子がいる。


 「また、おいでよ」
「いいのぉ?また来ても」

 「だって、俺が君んちに行ったらあかんのやろ?」


美紀子は吹きだす。
俺ももう怒らない。

美紀子は何故か、私に会いに東京に来てはいけない、と言っていた。
深い理由は聞かなかった。
信じていたから。


美紀子を乗せた新幹線が、東京に向けてホームを滑り出した。
再会を約束したとは言え、別れがこれほどまでに切ないものだとは思わなかった。

俺は美紀子を乗せたひかり号が見えなくなるまで見送った。
いや、見えなくなってもしばらくその場を動けなかった。


寂しい。


2泊3日の美紀子との時間は、とても充実したものだった。

初めての切なさ。

俺は次の新幹線が入線するまで、その場から動けなかった。
動いたら、もう会えない気がしていたからだ。



「一度抱いたら、人柄が変わる」

男によく言われる言葉だ。

東京に帰ってからの美紀子は、それまでの彼女とは別人になった。

美紀子は秘密の多い女性だったが、会ってからは次々と黙っていたことを白状する。


20代半ばに見えた年齢は、実は32歳。
バツイチで、子どもは12歳であること。

実業家の夫と離婚し、莫大な慰謝料で裕福な暮らしをしていること。
現在は某大手自動車会社の役員と愛人関係であること。
またその人と繋がりのある役員と二重の愛人関係でもあること。

俺とは本気で付き合う気が無かったこと。
つまり、たまに若い男をつまんでみたかった、という事なのだ。


今では何とも思わないが、当時は相当ショックだった。
俺が思い描いていた交際と言うものが、音を立てて崩れた。


裏切られたのか。
彼女の予想以上に熱を上げだした俺を牽制しようと、嫌われようとしたのか。


俺は電話で思わず美紀子を責める。
美紀子も泣きながら、俺をなじる。

今度は、初めての修羅場。



 「平良、私が浮気したら、怒る?」

地下鉄車中の言葉には、そんな含みがあったのか。


 「男の子だもんね・・・最後に私の身体、触ってもいいわよ」

そしてこの部屋での美紀子の「最後に・・・」の言葉は、
一度だけの遊びを表した言葉だったのだろうか。



しばらく美紀子を諦めきれなかった俺は、半年ほど電話をしていた。

だいたい1〜2週間に一度、彼女が休みの日を狙って電話する。
電話では、素直に話をしてくれる。

電話代も相当な金額だったが、美紀子とのつながりは切りたくなかった。


しかし、今度俺が東京に行くから時間作って、と懇願してもダメだった。
自分の隠しておきたい生活に、触れられたくなかったのだろう。

美紀子からも再会したい、という話は絶対に出なかった。

遊びは一度きりでいい・・・そんな大人の割り切りが
まだ何もかも子どもだった俺に辛い現実を教えてくれた。
初めての自棄酒。


アセドアルデヒドが全身を駆け巡り、
割れ鐘が鳴り響くような頭痛と、突き上げる嘔吐が俺を襲う。


それでも、自分自身を責める。



 「もういい加減、私を諦めたら?」

あれからの美紀子から何度も出た言葉だ。

意地を張り続けていることに、疲れた。
俺はもう戻らない関係に終止符を打つ決心をした。


彼女が忘れて帰ったいい香りのシャンプーとリンスを捨てた。

初めて美紀子を抱いたあの秋の夜から、次の年の春になっていた。



子どもが成人したら、アメリカに移住する・・・と美紀子は夢を語っていた。

日本の学校が嫌い、教育が嫌いだ・・・ということで、
近所のアメリカンスクールに通わせていた。

その学校も、経営難から今は廃校になっている。



今考えてみればバブル経済崩壊直後の、まだ人々がお金を持っていた頃。
現実味の希薄な、夢見心地の時代。

美紀子が今はどこで生活しているか、知る事も無い。
ずる賢く、小悪魔的な魅力のあった彼女だから、今も元気にしているだろうな・・・


あれから、11年。
俺は男として、どう成長しているのだろうか。

少なくとも、あの頃よりも「女の抱き方」と「割り切り方」は身に付けたつもりだが。







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 ☆また長くなりましたが、最後までご愛読ありがとうございます。
  是非、投票&My登録をお願いします。
  今はあの頃と比べて、随分変わりました。
  自分だけでなく、治安面や経済面も隔世の感がありますね。

  次回も「華のエレヂィ。」を宜しくお願いします。


20021205  行間修正


2002年06月29日(土)

一生に一度の夜。 〜初体験〜


<前号より続く>


美紀子はまだ半分以上眠っている。
寝ながらでも、女は感じてしまうものらしい。
美紀子は俺にしがみついてくる。


 「悪戯しちゃダメぇ」

美紀子が寝起きのかすれた声で、俺の耳元に囁く。


 「したくなっちゃったの?」

今度は挑発的な口調で俺に囁く。俺は頷いた。


 「・・・抱いて」

美紀子はそう言うや、自らの唇で俺の唇を塞いだ。
俺の唇を割り、舌をこじ入れて来る。

俺も負けじと、美紀子の舌に絡ませ、吸い付く。

ますます絡み合っていく、Deep Kiss。
二重螺旋の深奥に堕ちていく、錯覚。

意識まで、溶けていく。


俺と美紀子は密着している。
俺の固く変貌した反応はすでに彼女に伝わっているだろう。
鼓動でひくつく程、勃っている。
柔らかい美紀子の下腹部に当たっている。


しかし哀しいかな、ここから先が手が出ない。


 「胸を触って・・・」


しかし俺があまり経験の無い事を見抜いたのか、
美紀子は俺をリードしてくれる。

男の力で女の敏感な部分に接すると痛いのは理解できるので、柔らかく触る。

瞳を閉じた美紀子は深く息を吸い、吐く。
声がかすかに漏れる。


 「そう・・・ああん、上手よ」
「すごく触り心地いいね・・・」

 「平良、上手よ・・・すごく気持ちいい・・・」

俺は夢中になって、胸を揉み、乳首を吸い、転がした。


 「ねぇ、今度は・・・下を、触って」


俺は美紀子を背中越しに抱く。
後ろから手を伸ばして、美紀子の下着に手を入れた。
指先に美紀子の薄めのヘアの感触が伝わる。
髪の香りが、俺の鼻孔をくすぐる。


 「もっと、奥・・・」

さらに指先を差し入れる。
温かい美紀子の肌。その先の濡れた粘膜は、熱い感覚。
その粘膜に触れた途端、美紀子は背中を反らし、激しく反応した。

俺の慣れない愛撫に、美紀子が熱く濡れていた。
指先に触れる突起に触れ、左右にこねると美紀子は
電話越しに聞いた泣き声のような喘ぎを上げる。


 「意地悪・・・」

指を止めた俺にそう怒る。指を動かすと、途端に泣き出す。
音が聞こえる。
滑りが指先に絡みつく、初めての感触。


 「平良・・・舐めて」


美紀子は大胆にも、クンニリングスを要求してくる。

布団に仰向けに寝かせて、大きく腿を開かせる。
暗闇の中、初めて見た女性自身。目が慣れているので充分に見える。

まじまじと観察していると、早くぅ・・・とせがまれる。

まず指でヘアを掻き分けて、奥まで観察。
チーズの様な香ばしい匂いの、糸を引く蜜のような愛液で満たされている。

俺は美紀子自身に顔を近づけて、突起に口付けた。

心を奪われた女性なのだ。
喜んでくれるなら、俺に感じてくれるのなら、何の抵抗も無い。


予想とは違って、愛液の味は汗よりも塩辛い。

先程よりも大きめな泣き声をあげて、身悶える。
AVで見た反応は芝居だと思っていたが、あながち嘘ではない事を実感した。



美紀子が布団の両端をきつく掴んで、必死に快感に耐えている。

俺はその掴んだ両手に自分の手を添えて、音を立てて舐める。
美紀子が俺の掌をギュウッと握り返す。

私ね、昔の彼を投げ飛ばした事もあるのよ・・・と電話でも言っていた。

納得できる程の握力だ。

口の中に俺の唾液なのか、美紀子の愛液なのかが溢れてくる。

俺は口の中の粘液を吸い取った。
仰け反って泣く喘ぐ美紀子。


俺も興奮の極みだ。


そのうち美紀子は、俺の手を離し、俺の頭を叩いてくる。
離れろ、というのだ。

でもこういう時は離れちゃいけないんだ、と思い舐めつづけた。

美紀子が信じられない言葉を口にする。


 「平良ぁぁぁっっっ、イッちゃうぅっ!」

俺は初体験にして、女性をイかせてしまった。



途端にぐったりと身体の力が抜け、深呼吸を繰り返している。
俺は美紀子に添い寝して抱きしめる。
胸に埋まる。


 「・・・・入れて」

しばらくして美紀子は俺をせがむ。

俺は仰向けの美紀子に乗り、両足を抱えて開き、ゴムを付ける。
しかし、やはり初めての経験なので上手く入らない。


 「もうちょっと下」
 「少し上」

美紀子のナビゲーションに何とか照準を定める。


 「あんん・・・・そこっ、」

俺自身の先を押し当て、そのまま挿入する。


美紀子は声を上げてしがみつく。


熱い。


初めての感触。


何とも言えない快楽の極地。
深く入れるほどに、俺自身の根元まで、美紀子の愛液と肉壁が俺を包み込む。

裸の女の身体は温かい。そして柔らかい。

これがSexなんだ・・・・

俺は初めて美紀子と、いや女性と一つになった。


動くたびに、美紀子が反応する。
嬉しくて、俺も動く。


部屋の電気は消えているが、今夜は満月。


月明かりに照らされて青白く浮かび上がる、美紀子の肢体。

目を閉じて俺の律動を受け入れる。
美紀子の背中が、腰のくびれが、全身が月明かりに映えて、美しかった。


女性の肉体が芸術作品によく登場するのが分かる。

俺は美紀子がいとおしくてたまらない気持ちになる。


「美紀子、気持ちいい?」
 「聞かないで・・・分かるでしょう?」


怒ったような口調でも、動けばまたしがみつき、泣き喘ぐ。
この声が俺のオスの部分を刺激し続ける。


 「ねぇ、・・・バックで抱いて」
「俺、やったこと無い」


美紀子は俺から離れると、少し気だるそうに四つんばいになり、腰を上げる。


 「ジロジロ見ないでよ・・・恥ずかしいでしょ・・・」

尻から美紀子を観察していた俺は膝で立ち、後ろから挿入する。
腰に手を添えて、美紀子を突く。
はしたないほど乱れる美紀子に、乱れさせる俺。


・・・・

どれほど時間が経ったのだろうか。

草臥れ果てた俺。そして沿い寝する美紀子。
彼女の汗の匂いが甘い。
使用済みのゴムをティッシュに丸めて捨てる。

女の身体がこれほどまでに良いものだなんて、思わなかった。
最高の甘い余韻を味わったまま、俺は眠ったようだ。


<以下次号>






↑エンピツ投票ボタンです。いよいよ次回が最終話です。


20021205  行間修正

2002年06月28日(金)

一生に一度の夜。 〜酒と涙〜


<前号より続く>


あの電話から、2週間ほど経った。

美紀子がうちに来る日になった。

JR名古屋駅へ迎えに行く。
すでに新幹線下りホームのベンチで待つ美紀子。
両手に余るほどの荷物を持っていた。


自分のバッグ二つ。
部屋で俺と一緒に飲むためにと取り寄せた、山梨葡萄のロゼワイン。
小型のラジカセ。


 「平良んち、ラジカセ無いって言ってたでしょ?」


俺は当時ウォークマンしか持っていなかった。
美紀子は音楽が欲しいと、自分のラジカセまで持ってきたのだ。


俺と美紀子はそのまま地下鉄で俺の住む街まで移動し、部屋に招き入れた。
ほぼ徹夜で掃除した部屋。やましい物も全て押し入れの中だ。


 「あ〜〜っ、疲れた〜」


美紀子は部屋に着くなり荷物を置き、六畳一間の部屋で横になった。
両手を塞いでいた重い荷物が相当堪えたらしい。

名古屋からは俺も一緒だが、それまでは自分一人で持ってきたのだから、
それも仕方あるまい。


「ゴメンねぇ、ちょっと休ませて・・・」


俺は慣れない手つきでお茶を入れ、美紀子に差し出す。


「晩飯はどうしようか?」
 「ご飯食べたら、お酒美味しくなくなっちゃうよ」


少し休んだ後、2人で近所のスーパーでつまみの買出しに行く。


買い込んだつまみを広げ、ワインをグラスに注ぎ、再会の乾杯。

透き通ったものが好き、という美紀子は
お気に入りのロゼワインを美味しそうに飲み干す。


 「美味しいっ」

俺は自分のカセットテープを美紀子のラジカセで掛けた。
尾崎亜美の『ラピス・ラズリ』だ。

今から15年程前に出た、尾崎亜美のバラード集。
高校生の頃にバラードが好きだった俺の一番のお気に入りだったアルバム。


美紀子は音楽に酔い、酒が進むに連れていろいろな話をしてくる。


昔からアメリカに憧れていた彼女。
18歳の頃、大陸横断バスで一人旅した事。

将来は絶対にアメリカに移住したい、という話。
先日別れた恋人との、失恋の痛手の事。


 「私ね、糸ちゃんにはこんな話しないんだよ」などと言いつつ。


気が付くと、美紀子は泣いていた。
話すうちに溢れてきた感情を抑えきれなかったのだろう。

俺は美紀子を抱きしめる。
美紀子は俺に抱きつく。


 「ごめんなさい・・・・」


肩口で、必死に涙を抑えようとするが、まだ収まらない。


「大丈夫。今日からは俺が居るから」


美紀子は無言で二度三度と頷く。
俺は美紀子の左頬に口付けた。

そのまま俺は涙に暮れる美紀子が泣き止むまで抱きしめていた。



楽しい飲み会、とはちょっと言いがたい雰囲気だったが、時間も遅くなった。


 「平良、お風呂貸してね」


泣き止んだ美紀子はシャワーを浴びている。
俺は布団の準備。

シングルなので、二人で寝るにはあまりに狭い。
密着できる利点はあるだろうが。


 「平良ぁ、一緒に入ろうよ」

風呂から、美紀子が大胆な事を言ってくる。


「いいよ、後で入るから」

自分の欲望を最大限の理性で抑え、とりあえず無難な返事をする。

クスクス笑いつつ、意気地無しぃ、とからかう。
奔放な女だ。



夜12時半を過ぎた頃。
俺は部屋の明かりを落とした。


初めて、女性と過ごす夜。
隣りには美紀子がいる。

眠れるわけが無い。

目が冴え、欲望がそそり立つ。
しかし隣りでパジャマ姿の美紀子は旅に疲れているようで、
すでにスヤスヤ寝息を立てている。


改めて見ると、美紀子の寝顔は本当に可愛い。
女の寝顔はこんなに可愛いんだ、と感心した。

俺は気持ちを抑え切れず、彼女の頬にkissした。


寝込みを襲うのは良くないと思っていたが、もうどうにも我慢できない。
俺はパジャマの上から、美紀子の乳房にそっと触れた。

柔らかい。
温かい。
とても触り心地の良い乳房。
下着を着けていないので、胸のどの位置か、全て指先の感覚で分かる。

美紀子の乳首を見つける。
指先で上から軽く何度か引っかいてみる。
下からムクッと盛り上がるのが分かった。

急に美紀子が寝返る。
気づかれたか。
しかし、そのまま寝息を立てる。

俺は次に美紀子の立ちかけた乳首を軽くつまんだ。

美紀子が声を上げた。
あの夜、受話器から聞いた、あの喘ぎ声だ。


<以下次号>








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20021205  行間修正

2002年06月27日(木)

一生に一度の夜。 〜tel sex〜


<前号より続く>


 「あ、あの、もしもし・・・・分かりますか?」
「あ、はい」


美紀子は幾分緊張気味なのか、堅苦しい口調で話す。
あれだけ店でからかって来た女と同じ人物とは思えない。

「先日は、僕も勝手で失礼しました」


俺は大人の気持ちで謝罪する。関西弁の訛りで。
美紀子は受話器の向こうで、やはり吹きだした。

また笑っていやがる。


「何でそんなにおかしいんですか?」

今考えても、結構きつい口調だったと思う。


 「ごめんなさい、でも・・・好きなんです、関西弁が」


東京で生まれ育った美紀子には新鮮だった関西弁。
テレビの向こうでしか聞いたことの無かった言葉を、
目の前の男の子が話すのが、何とも面白かったそうだ。

変だから笑うのか、見下しているから笑うのか、と思っていた俺。
好意的な見方だったのならば、まだ悪い気もしない。


 「平良君、また美味しいお酒を飲みましょうね・・・」

俺は軽い気持ちで話していたのだが、人を茶化すのが好きな糸川さんとでは、
先日の二の舞になりそうだと思い、返事を戸惑った。


 「今度は、2人で」

この言葉が最後についていた。


俺の心臓は高鳴った。


「2人で、ですか?」
 「いやなの?」

「いや、そうじゃないですけど・・・・」
 「だったら・・・じゃぁ、今度は君の部屋に遊びに行こうかな」


悪戯っぽく受話器に囁く美紀子に、俺は返事を渋る余裕もなかった。


「い、いいですよ」
 「じゃ、決まりね。おやすみなさい!」


切れた電話を握り締めたまま、俺はぼんやりとしていた。
さすが経験豊富な大人の女だ。うまく丸め込まれた。



電話が好きな美紀子は、その辺りから一日に3回電話を掛けて来た。


朝は「平良、おはよう」とモーニングコール。
夕方は「平良、おかえり」と留守電メッセージ。
夜は「平良、起きてる?」と甘いピロートーク。


俺も嫌な気分ではなかった。美紀子に気を許していたのだろう。
また節度を知る、大人の女性だった美紀子は決して無理な要求はしないし、
理不尽な我が侭を言ってこない。
束縛ではない「甘え方」を知っている。



そんな電話が数週間続いたか。
美紀子の存在は、俺の中で徐々にかえがえの無い存在に変化しつつあった。


ある夜の事。


 「平良ぁ、そろそろ寝るね。明日早いんだぁ」

美紀子が眠そうな声で、電話を切ろうとする。


「いいよ、じゃまた明日だね」
 「お願いがあるんだけど・・・聞いてくれる?」

「何?」
 「あのね・・・おやすみのkissしてほしいな」


珍しく、可愛い甘え方をしてくる。


俺は受話器に向かってチュッとkissの音を出した。


 「んっ」

美紀子から声が漏れる。


「どうしたの?」
 「なんでもないよ、なんでも・・・」


動揺している様子の美紀子に、俺はもう一度kiss。


 「やんっ・・・」


受話器の音で、感じてしまったらしい。
受話器が耳に密着しているので、本当にkissされていると錯覚するらしい。

耳が特に弱いそうだ。
後で聞いたら、そこが性感帯だったのだ。


 「平良、意地悪しないで・・・眠れなくなっちゃうから」
「どうして?」

 「・・・バカ」


当時は一応童貞でも状況は理解できる。
俺は続けてkissしてみた。


 「だめ、だめだったら平良・・・あんっ・・・・・・」
「感じやすいんだな、美紀子は」


俺は冷静に振舞っているものの、俺自身は完全に勃っている。
電話なら相手に分からないので、良かったのか悪かったのか。


 「平良、どうしよう・・・・」
「どないしたんや?」

 「・・・・意地悪するから、我慢できないの」
「何が?」

 「・・・・バカ、いやっ・・・恥ずかしいよ・・・」
「電話じゃ分からんやないか」


息も絶え絶えになりつつも、抵抗してくる美紀子。
俺も激しい心臓の鼓動に、次の言葉が続かない。

あの女が、受話器の向こうで、東京の街で感じている。
生身の女の息使いが熱く伝わる。


 「・・・・ドキドキしちゃって、疼いてるの」
「どこが?」

 「もう、我慢できなくて・・・触っちゃってるの」


当時、女性の性欲など分かるはずもない俺。
本当に何のことが分からないのだが、どうも言葉責めになっているようだ。

俺は美紀子がウズウズしているのだろう、位しか分からなかった。

何度もkissしてみる。
美紀子が受話器の向こうで可愛い声で喘ぐ。

俺も興奮の極みだ。


 「・・・平良、お願い・・・入れて欲しい・・・」

美紀子はそんな無茶を言ってくる。
当時テレフォンSexなど知らなかった俺。


 「もうね、我慢できないの・・・」


美紀子は受話器の向こうで泣き声のような喘ぎ声を上げる。
ふと、一段と大きな声を上げた。


「どないしたんや?」
 「今ね、入れたの・・・・指・・・だって我慢できないんだもの」


俺の妄想の導火線は、起爆装置寸前まで達していた。


「俺も入れたいわ、美紀子に・・・・」
 「来て、来て・・・あ、ダメッ・・・イッちゃう!」


イッた後、しばらく美紀子は泣いていた様だった。



 「信じられない・・・」


しばらく経った後、美紀子はポツリと漏らした。


「何が?」
 「電話でも・・・こんなになっちゃうんだね」

「すごく可愛い声やったよ、俺もすごくドキドキした」
 「抱きしめて欲しい・・・すごく切ないの」


美紀子は甘えた声で、男心をくすぐる台詞を口にする。
俺もそばに美紀子がいれば、きっと強く抱きしめていただろう。

それから俺と美紀子は以前にも増して親密な関係になった。
俺も彼女に対して、以前よりも心を開くことができるようになった。



<以下次号>








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20021205  行間修正

2002年06月26日(水)

一生に一度の夜。 〜出逢い〜


俺が初めて女性と経験したのは、20歳の秋。


哀しいかな、早い遅いでその人の魅力まで語られる風潮がある昨今。
中学生で経験済み、などというのが珍しくない最近の若者と比べれば、
格段に遅い年齢だと思う。


今でこそ、風俗遍歴を書き連ねる程に汚れてしまった俺だが、
実は、当時一つだけ心に決めていた事がある。


『風俗で童貞喪失だけはしない』


今となっては笑止千万な約束事だが、やはり初めての体験は好きな女としたい。

その自分への約束事を守った結果が、20歳での喪失となる。

俺がSexが好きになったのも、
俺が女性を感じさせることが好きになったことも、
好きな相手と果たした、初体験の経験が大きい。

総じていい経験だったと、今でも思える。

今宵からは、そんな俺の初体験の思い出を。





俺が一人暮らしを始めた年・・・1991年の秋のことだ。

一浪後に入った大学の一年生だった俺は、
新しい生活にも慣れて、新しい人間関係を築きつつあった。

バイト関係の知り合い・糸川さんから電話が入った。


「今から(名古屋市)栄の○○○って店に行くんだが、来ないか?」


時間は午後8時。
俺の住む街から栄まで地下鉄で1時間。

さすがに躊躇したが、次の言葉に俺は行く事を決断する。


「女、紹介するから(笑い声)」


何はともあれ、人生で最も女性に興味津々な年頃である。
糸川さんは俺より年上。
さすがに男のツボを知っている。


1時間半後。

俺は、地下鉄栄駅にいた。
名古屋、そして中部地区最大の繁華街だ。

ビジネス街でもあるこの街は、昼とは違う意味で賑やかだ。
絶え間ない人込みをすり抜けながら、その店へ急ぐ。

ようやく着いた店の、分厚い木製の扉を開ける。
糸川さんの隣りには、髪の長い女性が背中を向けて座っていた。


女性の名前は、美紀子。

東京都の小金井市に住む。
見た目は、20代半ば。
趣味が多彩で、スクーバダイビングとパラグライダー。
その魅力を語り出すと、瞳をキラキラ輝かせて止まらない。


糸川さんとは「飲み友達」という事で、恋愛感情などは無いそうだ。
ダイビングのインストラクターをしている外国人の恋人と
別れて間がなく、傷心旅行がてら名古屋へ遊びにきた。

元気の無かった美紀子に、糸川さんが俺を紹介した。
「大学生なんだけど、関西弁の面白い奴がいる」と。

それが俺だったのだ。


たおやかな長く黒い髪からは、女性用のシャンプーの香り。
大人の女性だ。

しかし、美紀子の印象はあまり良いものではなかった。

年下の男の子を可愛さ余ってからかう感覚なのだろうか。
俺は抜けない関西弁の一言一言を笑われた。

これだから関東の女は嫌いだ。


「明日、バイトがあるんで失礼しますわ」

終電の時間。
自分の飲んだ代金を財布から引っ張り出し、テーブルに置いた。

いい感じで飲んでいた糸川さんは、不機嫌そうな顔をする。
相変わらずからかってくる美紀子は、意外そうな顔をする。

俺はからかわれて、機嫌が悪いのだ。


 「平良君、また一緒に飲もうよ」


美紀子は俺にそう言ってくれたそうだが、何も聞こえなかった振りをする。

俺は振り向かずに、店を出た。




 「平良よぉ、ああいう態度は良くないんじゃないか?」


後日、糸川さんから電話があった。
確かに冷たかったのかもしれない、と今になって思う。
しかし、当時の俺は怒っていた。


 「で、お前の連絡先を教えて欲しいと言われてな・・・」

まだ携帯電話も普及しておらず、eメールも無い時代だ。


 「美紀ちゃんにお前ん家の電話番号、教えておいたから」

まだストーカーなんていう言葉すらなかった、充分平和な頃。


 「電話が掛かってきたら、謝っておけよ」

そういって、俺の反論を聞くことなくぶっきらぼうに電話を切った。



その日の夜。電話が鳴る。
美紀子からだった。



<以下次号>








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20021205  行間修正

2002年06月25日(火)

汚れなき少女への伝言。 完結編


<前号より続く>


駅につき、□□駅までの切符を買う。
ここから□□駅まで、だいたい25分。

そこから、待ち合わせ場所までどれだけ掛かるのか・・・
詳しくは知らない土地なので予想もつかない。

ホームに滑り込む電車にそのまま乗る。


待ち合わせ時間まで、あと40分。



25分後、電車は定刻に無人の□□駅に到着した。
あと15分。

言われたとおりの道筋を歩いていく。

指示のとおり、弁当屋とコンビニが見えた。
自然と早足で進む。


2分前にコンビニに到着。

ミナらしき女子高生はまだ辺りに見えない。
何とか間に合った。


俺はコンビニの中に入り、ウィンドに面した雑誌コーナーで立ち読みをする振りをして、
視線を外へ向ける。
夕方の帰宅ラッシュ。家路を急ぐ車で国道1号線は渋滞気味だ。

待ち合わせ時間になる。
俺は再度窓の外に目を向けた。


すらりと背の高い、短めのスカートに軽く化粧を施した女子高生が一人近づいてきた。
ナチュラルブラウンのストレートな髪が風になびく。


すらりと高い身長。
紺のリボンが清々しい、セーラーの夏服。
どこから見てもすれた様子の無い、援助交際など無縁のような雰囲気。
きつく、緊張感溢れる表情。

ずば抜けた美人ではないが、苦しい家庭を支えているからだろう。
どこか優しげで、でも寂しげで疲れの浮かぶ物憂げな瞳が印象に残る。


 「私を見つけたら、すぐに車に乗せてね。結構(実家の)近所だから」

電話でもそういっていた。
ミナは誰かに見られないように、時間ギリギリに登場したのだろう。


奇しくも、俺の立つ雑誌コーナーの真前に立ち、
時計やポケベルをチラチラと落ち着かない様子で見比べつつ、待つ。

来るはずの無い、もう一人の俺を。
嘘で塗り固めた「会社経営者」の俺を。


俺は彼女の後ろ姿を眺めている。
実在の俺とミナの距離は、雑誌ラックとウィンドを挟んで、約1m。


興味本位とはいえ、彼女に期待をさせ、騙す俺。
俺の良心がちくちくと痛んだ。

俺はコンビニを出て、脇の公衆電話ボックスに入る。
電話するのだ。
伝言ダイアルのセンターに。


「発信音の後、伝言をどうぞ」

無機質な発信音の後、俺は会社経営者の声でメッセージを吹き込んだ。


「すみません。28の経営者です。
  急な会議が入り、今日はいけなくなりました。残念です。また次回宜しく」


溜息をついた後、俺は受話器を下した。
ごめんな、という気持ちがミナにキチンと筋を通すことで少し楽になると思った。
次回など無いのに、次回宜しくとつい言ってしまう。


俺がボックスを出てコンビニに戻る時、ミナをちらりと見た。
ミナは苛立ちながら、ポケベルを見つめている。

俺が雑誌コーナーで立ち読みする振りをして、またミナの様子を伺う。

ミナのポケベルが鳴った。
急いで先ほどの電話ボックスに入り、電話をしている。

きっと伝言ダイアルから転送されたのだろう。
先ほど吹き込んだ、俺の伝言を聞いているのだ。

何故か罪の意識が俺を責める。



受話器を置いたミナは、明らかに落胆した様子でボックスを出て、来た道を歩き出した。

俺はそっと陰から彼女の後ろ姿を見つめた。


ミナは弁当屋の正面を通らず、店の裏から家路につく。
ここの弁当屋でバイトしているからだろうか。

おぼつかない足取りで、がっくりとうなだれて歩いていく。


水田の多い、見通しの良い住宅地。
俺はミナが角を曲がり、見えなくなるまで陰から見送った。

何故か言葉にならない罪悪感を抱えて。




援助交際は明らかな売春であり、違法行為だ。
俺も風俗は利用するが、援助交際には現在でも一度たりとも関わっていない。
多少は自由になる金を持てるようになった、今でも。


援助交際は、誰が最も悪いのだろう。

援助交際を仕掛けた女本人なのか。
金を出して実際に買った男なのか。

その金を貢がせて自分だけ楽に生きている野郎か。
その女の空虚な心を支えてやれない、肉親か。

ミナは次の日、彼に嫌われたのだろうか。
自分に貢いでこない女は、用無しなのか。


愛とは、そんなんじゃないだろう。



こんな話を別の風俗嬢から聞いたことがあった。
独身の風俗嬢には、れっきとした恋人のいる人も少なくない。


「仕事で稼げば稼ぐほど、疲れていても彼に抱いて欲しくなるの」


どんなにハードな仕事の後でも、愛する男に抱かれる事で
傷ついた心を、汚された肉体を、疲れ果てた自分を癒し、浄化するのだそうだ。


ミナは、自分が頑張って稼いだ金を握り締めて、彼に愛を乞うつもりだったのか。
友達がみんなやっているから、自分も不安だったのだろうか。
貢ぐ金で、彼からの愛を買い取っているつもりだったか。


それが愛か?

それが愛なのか?

愛がそんなものだったら、俺なら一生縁の無いものでも構わない。



ミナの話が真実ならば。

彼女は父親をはっきりと知らない。
だから実際の父親と同世代のオヤジどもに気持ち悪さを覚えたのだろう。

父親ならこんな時、娘の行為をどう思うだろう。


実はミナも立派な犠牲者だと思う。

身勝手な親の、身勝手な離縁に一番寂しい思いをするのは、誰よりも子どもだ。
どんな理由があるか分からない。
なので一概に親達を責める事は出来ない。


でもどんな理由があるにせよ、子どもからすれば『離婚』でしかないのだ。

子どもの不安定な心と行動は、不安定な家庭も大きな要因である。
許容量以上の寂しさは、全ての歪みの出発点だ。



すでに夕暮れ。

街に帰る車中で、俺はずっとミナの事を考えていた。

車内には、長い一日に草臥れた様子のサラリーマンや学生たち。
緊張から解放されたのか、スーツの若者が口をあけて無様に寝ている。

斜向かいには、英語のノートを開いて復習でもしているのだろう、女子高生。
ミナのと似た制服だ。
やるせない。



援助交際希望者は実際には「金」だけが目的ではない事を、
のちに新聞記事やアンケート資料などで知った。

要は「寂しさ」から逃れるため、なのだ。


寂しさを癒すために、男に身体を売る女。
寂しさを癒すために、女の身体を買う男。

需要と供給、か。


いつからこんな歪な人間関係に、こんな社会になってしまったんだろうか。
嘲笑ってつまらない考えをまとめるしかなかった。



ミナは、少なくとも俺に会う時までは汚れていなかっただろう。
その後、どうなったのかは知る由も無いが。

自分の身体を売ってまで彼に尽くす行為は、決して誉められない。
でも、そこまでして愛情が欲しかったのだ。
友達もやっているから、などという自己弁護を立てて。


ミナは愛情に、いやそれ以前の温もりに飢えていたのだろう。

叱ってくれる男がいないことに。
泣いてくれる人がいないことに。



   大丈夫。

   君を汚れた娘とは思わない
   君を悪い娘だとも思わない
   ただ大好きな彼に 愛を表す方法を勘違いしていたんだ

   愛情はお金じゃない事くらい 本当は分かってるんだよな?

   君は優しいから 優しすぎるから
   自分の寂しさを抑えてでも 誰かに笑って欲しかったんだ

   大丈夫。
   君を汚れた娘だとは 思わない。

   大丈夫。



ミナに嘘をついてゴメン、との詫びと共に、
そう声を掛けてあげる機会があればよかった。








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☆ご愛読、まことにありがとうございます。
 この頃の、答えの見えない疑問が今でも俺の心に燻り続けています。
 あなたならミナに、援助交際の是非を含めてどんな話をしますか?

 ぜひ投票&My登録を宜しくお願いします。
 
 現在、15名の方からのMy登録を戴いています。
 ありがとうございます。
 次回の「華のエレヂィ。」もどうぞお楽しみに。


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2002年06月24日(月)

汚れなき少女への伝言。 その2


<前号より続く>



ミナから入った電話番号に電話をかけてみた。

4回ほど呼び出し音が鳴り、受話器が上げられた。
しかし無言だ。


「もしもし?」
 「・・・・・・もしもし」


先ほどの伝言から流れた、ミナの生声だ。


「あ、分かりますか?28の・・・」
 「・・・・・・はい」

「番号、教えてもらって、ごめんね・・・」
 「・・・・・・はい」


緊張からか、たどたどしい会話から始まった。


「こういうこと、よくやるの?」
 「どうだろう・・・3回目くらい?」

「初めてって言ってなかった?」
 「そう言ったほうが、オヤジが喜ぶよって友達が・・・」

「でも、高いね・・・普通3万円っていうのに、5万円だもん」
 「ちょっと、お金欲しいんだ・・・」

「何に使うの?」
 「うん・・・あのね、彼に・・・」

「彼氏、いるんだ」
 「いるよ。いなきゃこんなこと出来ない」


即答で彼がいることを認める。

彼氏がいなきゃ、出来ない事。
売春は、いや援助交際はそういう行為なのだろうか?


「その彼氏は、何やっている人なの?」
 「プーだよ」

「お金、どうするの?」
 「だから・・・彼とご飯食べたり、服買ってあげたり・・・」

「ホテル代にしたり・・・するんだ」
 「・・・・・・うん」

「そっかぁ、貢いでるんだ」
 「・・・・・・だって、みんなやってることだもん」

「彼、その事知ってるの?」
 「だって、みんなやってるから」


俺は次の言葉を失った。
友達がみんなやっているから、私もやる。

売春だぜ、やってることは。

流行の遊びやコギャルメイク、ルーズソックスではない、立派な犯罪だ。


異を唱えれば、すぐに仲間外れ。
下手したらいじめの標的になる。
みんながやることは、私だってやる。

狭く淀んだ女の世界は、この頃からすでにしっかりと存在する。

ミナが俺の複雑な感情を知らないのか、話を続けた。  


 「そうしないと、嫌われちゃうもん・・・」

「聞いてもいい?」
 「何?」

「彼には悪いと思わない?」
 「・・・・・・」

「彼とは上手くいってる?」
 「・・・うん。優しいよ、彼」


まだ恋愛とはどういうことか、分からないほど若い女が、
顔も素性も知らない男に自分自身を売り込む。

そして自分の身体で稼いだ金は、自分の男に流れていくのだ。


その後の話をまとめて書こう。

ミナは自称県立の進学校に通う。
幼い頃に両親が離婚し、母親に引き取られたミナは母、弟と3人暮らし。

実家の近所にある持ち帰り弁当屋でアルバイトをしながら、家計の一端を支える。
たまたま今日はバイトが休み。

明日彼に会うので、彼にプレゼントの時計を買ってあげたい。
彼には、特別な日でなくても、何かしら買ってプレゼントする。
理由は「喜んでくれるから」。

そんな調子で食事代、ホテル代などと出費がかさむ。
バイト代や小遣いも到底足りないので、以前から友達に勧められていた
援助交際を始めようと思った。


「友達が、ミナなら絶対高く売れるよ、っていうの」


自称身長167cm。
自称Dカップ。


ここ数日で2人に会うものの、2人とも生理的に受け付けないタイプのオヤジ。
気持ちが悪くなったので、その場で逃げてきた。
だから一度も稼いでいない。

でもここままじゃ、彼に嫌われそうで恐い。


高校生なので門限もあり、明日まで時間が無いので、
代金を引き上げて信頼できそうな人にだけ返事した。

それが、嘘をついた俺だったのだ。


・・・

運の悪い女だ。
いや彼女の運を踏みにじるのは、俺だ。


自分の享楽のために大金を稼ぐ援助交際なら、平気で罵倒できるだろう。
俺はそんなクズ女どもと、それを買うもっとクズなオヤジどもの世界だと思っていた。

ミナは話を聞く限り、少々考えが足りないとはいえ、取り巻く状況が俺の想像と違う。


彼のために、稼ぐ。
彼と過ごす時間のために、伝言に入れる。
彼を格好良く仕立てるために、彼女が金を出す。

彼への愛のために、身体を売る。


俺は様々な感情が入り混じり、もう次の言葉が出ない。


 「いい?合計で7万円だよ?!」


ミナの焦り交じりの声で我にかえった。
身体を売った5万円と、自宅の電話番号を売った2万円。


「あ、ああ、いいよ。じゃ、どこで会おうか」
 「□□駅の通りを1号線のほうへ行くと、弁当屋とコンビニがあるの。
  そこのコンビニの駐車場で。車は何で来る?」


当時の俺は車を持っていなかった。とっさに嘘をつく。


「クラウン・・・白の」
 「分かった。目印は?」

「ナンバーは・・・71−45」
 「71−45ね、メモった」


俺はまたとっさに実家の車のナンバーを口走った。


 「どんな格好で来る?」
「俺は・・・今、スーツだから」

 「私、学校の制服着ていくから・・・その方がいいでしょ?」


きっとその方がオヤジ喜ぶよ・・・・といった、無責任なアドバイスなのだろう。


「じゃ、今から一時間後に会おう」
 「わかった、絶対来てね!!」


金策にホッとしたのか、にわかに元気になったミナは電話を切った。


俺は電話を切ったあと、部屋に横になり天井をぼーっと見つめていた。


ミナは自分の身体を売ってまで、なぜ彼に尽くすのか。
先ほどの話を聞く限り、ろくな男ではない。
仕事をしないし、女に貢がせる。それも売春で稼いだ金だと知っている。

顔形が変わるまで、殴りちぎってやりたい野郎だ。

俺なら絶対にそんなことさせないし、していれば身体を張ってでも辞めさせる。


それが男ではないだろうか。
それが彼氏ではないだろうか。
それが本当の愛情ではないだろうか。


それも自分の女に身体を売らせておいて、自分はその金で怠惰な生活をのうのうと
過ごす。
それが優しさだろうか。



俺は起き上がり、着替えをはじめた。
TシャツにGパン。
先ほどの指定した格好とは全く違う。それで良い。


嘘で塗り固めた俺は、今更ミナにまともに会えない。
だけどどんな娘なのか、無性に見てみたい。

俺は指定された待ち合わせ場所に向かう事にした。
□□駅は俺の住む街から、電車一本で行ける。
ただ時間が無い。


部屋を飛び出し、自転車にまたがった俺は一路、駅を目指した。
夕方前。


待ち合わせ時間まで、あと50分。



<以下次号>






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20021205  行間修正

2002年06月23日(日)

汚れなき少女への伝言。 その1


今やすでにひと昔前、と言っても過言ではないだろう。
この新しい造語が社会問題になっていたことを、
見識ある読者の方は覚えておられるだろう。


  援助交際。


エンコー、エン(¥)などと略され、
女子中高生を中心に個人売買春の隠語として猛威を振るった。

これだけでも忌々しき事なのだが、
当時のテレコミや伝言ダイヤルなどには援助交際目当ての中年の主婦なども多数おり、
みな自分の身体に法外な値段をつけて売り出していた。


俺の身近でも手軽なアルバイト感覚で手を染めた女がいた。

当然、友人としてもいい気はしない。
売春を辞めるように進言した事もある。

彼女は「私の何がわかるの?」や「誰にも迷惑かけてないじゃん」と
逆ギレしてみせ、その場を逃げた。

風俗の利用者である俺が今更偉そうに言う気は無いし、言う権利も無いが。



あの頃。
俺がまだ風俗を知らなかった頃。
一度だけ、援助交際目的の女をおびき出した事がある。

一体何の目的でどんな事に大金を使うのか、聞き出したかったからだ。




初夏のことだ。

俺はまだ卒業した大学に残り、学部付きの研究生として、
お世話になった大学教授の下でアルバイトしていた。


暇だったので、カード式の伝言ダイアルで遊んでいた。

無機質な電子音声のアナウンスのあと、何処の誰だか分からない女からの肉声が流れる。


 「市内の高1です。3でエンしてくれる人、待ってまぁす」
 「今夜緊急にお金が必要になりました。誰か援助してください。市内の23歳です」
 「○○市の34歳、主婦です。3で援助してくれる男性、私と会って下さい」
 「高2です、3で(外野から多数のはしゃぐ声)。●●駅で5時半に来てください」
 「××市の40歳ですー、援助して下さい。ハゲとデブはダメです。3です」


例によって「援助交際希望」との一言が必ず入っていた。
女子高生、OL、主婦・・・・ここではみんながみんな売春婦だ。

当時の相場は何故か3万円。
口々に「3を希望」などと勝手な数字を口にしていた。
買い手の男が出しやすく、また自分を安売りしたくない、女心の妥協点なのか。


交渉次第では値段に上下があるものの、決して安い値段ではない。
今までの俺は援助交際で会える程の金も無かった。

ここに集う誰もが金銭感覚が麻痺していた。
俺も小金もちになっていたら、女を買っていたのかもしれない。
20代前半にして、売春の片棒を担ぐところだった。


 「□□市の高2でミナって言います。んーっ、初めてで緊張してます・・・
   友達からはよくかわいいねって言われます。5でエンしてください」


こんな伝言が受話器から流れてきた。
今までの馬鹿丸出しの甘え口調で伝言を吹き込む女子高生どもと違って、ハキハキした口調。

□□市は俺の住む街の隣りだ。

5万円を希望する高校生。
自分をどれだけ過大評価しているのだろうか。
どうせ騙すんだから、こういった勘違い女ならかえって面白い話が聞けるだろう。

俺は#を押して、伝言を吹き込んだ。


「28歳です。小さい会社を経営しています。
  今日の夕方に時間があるので、一度連絡ください」


少し抑え目の低い声で、こう吹き込む。
4歳ほどサバを読んでみた。
どうせ騙すんだ。デタラメでも気を引くように演技してやった。


15分ほど待って再度電話をする。


「新しい伝言をお預かりしています」


無機質なコンピューターの声。
彼女か?
俺は再生してみた。


「□□市のミナでーす。直接お話したいので、そちらの電話番号を教えてください」


詳しくは、直接交渉のようだ。
俺は騙すのだから、こちらの足がついたら困る。


「28の男です。お返事ありがとう。
  こちらの番号は困るので、そちらの連絡先を教えてください」


10分後。
「新しい伝言をお預かりしています」


再生。
「ミナです。それも困るので・・・ポケベルの番号いれます。052の・・・・」


当時、携帯電話など学生が持てる時代ではなかった。
ポケベル全盛の時代だ。


#を押す。
「28の男です。ごめんね、やはり教えられないので、こちらのポケベル番号を
 入れます。お詫びにもう2万円上乗せしますので、そちらの連絡先を
 教えてください。」


3分後。
俺のポケベルが鳴り、10桁の電話番号が入った。
上4桁の市外局番は紛れもなく□□市のもの。

間違いなく、ミナの入れた番号だ。


<以下次号>








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2002年06月22日(土)

必要悪、ヒツヨウアク。 完結編


<前号より続く>




ファッションへルスは決して聞こえの良い仕事ではない。

この仕事に就く人でも、どうせなら普通の仕事に就きたいだろう。
でも女が独りで子どもを抱えて生きていくには、あまりに厳しい現実が待つ。


先の見えない不況。
古い体質の職場での女性蔑視。
さらに母親なら子どもの事情で仕事を休まざるを得ない事だってある。
男の目に見えない、女への意識。


比較的短時間で、効率がよく、学歴なども無関係で、
ある程度出勤に自由の利くこの仕事。
割り切りさえつけば、一見悪い条件の仕事ではないように見える。

割り切りさえつけば。

俺の今の仕事にも付きまとう、割り切り。


しかし風俗業、特にそこで働く女性にとって、
過去存在したどの文化でも、また現在のどこの社会でも総じて立場の低い、
いわば蔑まれた仕事だ。

決して表舞台に立つ事の無い、日陰に追い込まれた仕事なのだ。

現に性のとらえ方が変化してきつつある現在でも、
どこか職業蔑視と嘲笑を誘うではないか。


しかしこういう部分を支える人たちがいるからこそ、癒される人(特に男)が存在する。

男の性とは、例え大金をつぎ込んででも果たしたいもの。
性にまつわる犯罪は近代社会になったところで形は変化すれど、決して後を絶たない。


酒と色気をもって男の抱える愚痴や不満を流し、癒す水商売。
男の性欲を果たす手伝いをする事で男の心を身体を癒す風俗業。


男の欲望を満たす仕事は、そこで働く女にとって辛いものが多い。

顔で笑ってても、心から笑っている事などそう無い。
辛い事でも表に出さず、ひたすら自分を押し殺して尽くす。

それで彼女達は賃金を貰い、生活を成り立たせているのだ。


必要悪。
必要悪。
必要悪。


金を積んで欲望を果たしに来る客が、実は率先して蔑視を煽る、この世界の矛盾。

中には世の中をなめ切った幼稚な考えの娘もいる。
気持ちよくなれて、男からはちやほやされて、お金までもらえる。
若さだけで通用する、特殊な業界だ。


しかし俺はこういう仕事でも、プロ意識を持って働く女性をとても蔑視したり出来ない。




別れ際、由布子は満面の笑みで名刺を差し出してくれた。

 「またおいでね」


どこかすっかりお姉さん口調だった。
また甘えたくなる年上のお姉さん。
そんな錯覚だ。



寂しい思いをしているであろう甘えたい盛りの一人娘への思いを、
また娘を預け、心配と迷惑をかけ続ける実家への気遣いを
細い背中に全てを背負って仕事に没頭する。

それも好きでもない客の性欲を次々と処理していく、日陰の仕事に。
ただ処理するだけではない。
自分の身体だって時には乱暴に客にもてあそばれるのだ。


おまけに客から侮蔑されたりすることだって茶飯事という。
彼女達が抱えるストレスはきっと大変なものだろう。

確かに人に勧められない、人にいえない仕事。
そんな苦境と引き換えに高い給料を貰う。


そんな『職業』なのだ。



もう夜10時を過ぎていた。
帰宅ラッシュが一段落した電車内。
座ったまま、由布子の名刺をぼんやり眺めていた。

俺が今まで抱えていた苦悩や苛立ちが、本当にちっぽけなものだったと思い知った。

ヒツヨウアク。
俺の仕事も、必要悪。



結局、この会社はすぐ辞めた。
やっぱり割り切りがつかなかったからだ。

しかし、後悔は全く無い。



由布子の娘は、もう小学校高学年あたりだ。

正しく女の身体一つで、自分と娘の生活を支えてきた。
そんな事実を隠しながら・・・

今、由布子はどこでどんな生き方をしているのだろう。








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☆ご愛読、まことに感謝します。
 「仕事に貴賎なし」という言葉があります。
 どんな仕事だって、我々の生活を、社会を支え合う礎となっているのです。
 投票&My登録、大変励みになります。どうぞ宜しくお願いします。

 現在、藤原 左近 様「左近日記」はじめ8名の方にMy登録して戴いています。
 ありがとうごさいます。今後ともどうぞ宜しくお願いします。
 左近さんへ。今回はあまりエロくなくて・・・謝。


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2002年06月21日(金)

必要悪、ヒツヨウアク。 その2


<前号より続く>



「さっきの写真とは違うね」
 「そうでしょーっ、よく言われるの」


部屋で準備をする由布子は、俺の問いかけに少し膨れっ面で茶目っ気たっぷりに答える。
写真では薄幸そうで草臥れた雰囲気を感じるが、実際はそれほどでもなかった。


「実はね、由布子さんの事、知ってるんだ」

ちょっぴり脅かすつもりでジョーク交じりに切り出した。


 「えーっ、ちょっと待って・・・初めてだよね?」

由布子は驚いた調子で過去の客かどうかを思い出そうとしている。


「クミちゃん、いるでしょ?あの娘から聞いたんだ」
 「あぁ、クミかぁ。変な事言ってなかった?」

「全然。俺に合う人だよって」
 「驚いたぁ・・・私、知り合いかと思っちゃった」


由布子は安堵の表情を浮かべた。間もなく俺をシャワーへ誘う。



しっとりとした由布子の肌。ちょっぴり熟した女の色気を醸し出す。


「でも色っぽいね。とても23とは思えないな」
 「あのプロフィールね、あははっ、あれね、嘘だもん」


知ってるよ、とは言えなかった。


「本当はいくつ?」
 「今年で28・・・がっかりした?」

「いや、本当の事を話してくれると嬉しいよ」
 「本当?私ね、これでも娘いるんだ。嬉しい?」


あっさりと自白したが、肉体を見る限り子どもを産んだ後とは思えない。


「いくつ?」
 「今は幼稚園。これから貯めとかないと、後で大変だもん」

「由布子さん、本当は早番じゃなかった?」
 「・・・最近ね、夜は親に預かってもらってるの。だって稼がなきゃ!」


水商売だから、と夜は預かってもらっているそうだ。
深夜、仕事が終ってから引き取りに実家へ寄るという。

一人娘の将来を、そして長くないだろう自分の風俗での賞味期限を考えて、
ちょっと無理して貯金に励もうと言うのだ。


 「再婚?しばらくはいいなぁ・・・前は大変だったもん。亭主ヤクザだったし」

随分さばけた内容の会話だった。逆に由布子に好感が持てる。



シャワーの後。
ベッドにて由布子からkissを仕掛けてきた。
そのままゆっくりと倒れこみ、先に俺が攻められる。

やはりベテラン。
男の生き様を知り抜いているかのようだ。
胸板から脇、乳首、わき腹・・・と長めの舌が俺の上半身を這う。

まるでマニュアルがあるように無駄なく攻め立ててくる。


「旦那じこみ?」
 「馬鹿、こんな丁寧にやってられないわよ」


悪戯っぽく微笑みつつ、由布子は俺の乳首を舐めてくる。
くすぐったい。


逆に由布子が受身になる番では、あまり反応が芳しくない。

微かに出す喘ぎ声も、どこか芝居じみている。
由布子自身もほとんど濡れない。


俺は早めに69の体位になった。
薄いピンクで型崩れの無い、ごく小さいヒダが目前に迫る。
指先で押し開く。中の方まで綺麗な色だ。

これで子どもがいるとは、やはり思えない。



ごく小さい突起を舌先で円を描くように舐める。
指でヒダの部分を押し上げ、舌の先で押し込む。
そのあと、突起を唇で軽く吸い上げる。

由布子の声に先ほどの芝居のような余裕がなくなってきた。
彼女自身に、しょっぱい液体が染み出してくる。


しかし長年の余裕なのか、由布子は若干反応しながらも、
的確に俺の弱点を攻め立ててくる。

口はしっかりと亀頭を捕らえ、上下に首を降る。
右の掌で優しく袋を揉みしだき、二つの睾丸を転がす。

遠慮なく出しなさい・・・・
そんな余裕のなせる技なのか。


「ヤバイ、ねぇ、出るよ・・・」

とっさに俺は由布子の尻を掌で叩き、合図を送る。


程なく俺はイかされた。

口内の精液をティッシュに吐きだした後、ニヤッと笑みを浮かべる由布子。
俺の完敗だった。



終わりのシャワーの後、時間が少々余った。
二人ベッドで抱き合う。
微かに甘い、女の汗の匂い。深い息。

我に戻った俺は今までの仕事の話をつい切り出した。
辛い自分を理解して欲しくて、つい甘えてみたくなった。


「俺、近所で働き出したんだけど、仕事で悩んでてね」
 「そうなんだ、辛いよね・・・自分に合わない仕事って」

「ねぇ、由布子さんこの仕事、辛くない?」
 「本当はね・・・でも子どもいるし、逃げられないなぁ」


この人には、支えるべき家族・・・最愛の娘がいる。
嫌だろうが何だろうが、生活から逃げ出すわけにはいかないのだ。
背負うものがある。そして重みが違う。

母は強し。
今でも生きている言葉だろう。


「本当に大変だよね、この仕事・・・嫌な客もいるだろうし」
 「まあ人に会うのは楽しいからね」

「好きな事を仕事に出来るって良いね・・・」


軽はずみに言った俺の言葉を遮るように由布子が言った。


 「・・・でも人には勧められないし、誰にも言えないから・・・いい仕事じゃないよ」


紛れも無い事実だ。
知人に、特に肉親にはこれほど言い辛い職業は無い。


「いい仕事じゃない、か」
 「だって、嫌だもん・・・友達がやってたら」


そのままベッドで抱き合っている俺と由布子。
気まずい無言の時間が流れる。


「この仕事って何だろうね」
 「結局、必要悪なのよね・・・そういう仕事なんだもの」


部屋の端に顔を向け、どこか遠い目をして由布子は言った。
俺に、そして自分にも言い聞かせるように。
なぜかこの言葉がすぅっと俺の心に染み込んだ。


必要悪。
ヒツヨウアク、か。


この言葉を何度も噛みしめ、思い返した。



<以下次号>








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20021205  行間修正


2002年06月20日(木)

必要悪、ヒツヨウアク。 その1
必要悪。



あればあったで良くないものでも、無ければもっとひどい状況になるもの。

学校などではまず教えない言葉だろう。

俺は「水商売とは何か?」「風俗とは何か?」などを考えるとき、
真っ先に『必要悪なもの』と思うだろう。

普段の生活には必要ない商売ではないか。
冷静に考えてみれば。





まだ俺が ヘルス嬢だった「景子(クミ)」 と付き合いがあった頃のことだ。
景子はよく、その店に起こった様々なハプニングを面白おかしく話してくれた。
また、仲の良いヘルス嬢の話も聞かせてくれた。


女は食い物、買い物と喋ることでストレスを発散すると言う。
景子は派手な買い物をする傍ら、お喋りも達者だった。


景子が店に復帰したある日。


 「うち(景子の所属していた店)の他の娘に入った?」と尋ねてきた。

「いや・・・景子だけだって」と俺は答える。
 「うまいなー、こんな所で」


お世辞ではない。
あの頃は風俗など人生で一度きり、と思っていた。

景子は笑いながらあっさりと言い切る。


 「もっと遊べばいいのに!」

確かにそうなのだが、何せ自由に使える金がそうそう無い頃だ。

景子はある嬢の名前を出した。


 「平良君だったら、ユウコなんかいいとおもうけどなぁ・・・雑誌に載ってるよ」

俺はその雑誌をめくって、その店のページを探り当てた。
数名並んで載っている広告写真の中で、ユウコと名のある女は右端にいた。

長身でスレンダー。俺の好みだ。
しかし顔は大きなピンクのハートで隠れている。これでは全く分からない。

プロフィールには、ユウコ23歳・B85・W60・H88とある。


「いい感じじゃん。俺の好み、よく知ってるね」
 「綺麗だよぉ・・・でも本当はうちらより1コ上なんだけどね」景子は口が軽い。


実際はプロフィールより4つ上になるようだ。
こういう業界の数字は、何一つ当てにならない。

嬢の年齢も、サイズも。悪徳店なら料金さえも。


「見えないねぇ、とても28には・・・」
 「今度幼稚園に入る娘さんがいてね、その養育費を稼いでるんだって。
  だから早番なんだ」

「旦那は?」
 「いないんじゃないかな・・・」


そんな話を聞かされた俺は、ユウコにちょっぴり興味を持ち始めた。
ただ金は無い。

そして当時の俺は、モラトリアム学生からの脱却を図って初めての就職を控えていた。
気持ちの余裕もあまり無い。

いつしかそんな話を忘れていた。




ほぼ一ヵ月後。


新しく入った会社で営業課に配属された俺は、早速理想と現実のギャップに苦しんでいた。

その会社は教育関係の会社で、一軒一軒子どものいる家庭を回って塾の勧誘をする。
しかしいわゆる「悪徳」会社だと、入社してから知った。

言わば、子どもを思う親心を悪用する営業を強いられる事になったのだ。

割り切ってしまえばどれも「仕事」なのだが、そんな割り切りはつかなかった。



勤めだして4日目。
帰宅途中の電車の中。
俺は苦悩と苛立ちを発散する術を持たず、ひとり苦しんでいた。


電車はある駅に到着した。
景子のいた店の最寄駅だ。
車内でつり革に捕まり立っていた俺は無意識に降り立った。

そこで俺は思い出した。
景子から聞いたユウコの話。


一度会ってみようかな。疲れきっていた俺の心がそう囁いた。
金なら無理すれば出る。

俺は迷っているはずだが、気が付けばすでに駅を出ていた。
真っ直ぐにその店のあるビルに向かっていた。
エレベーターに乗り、その店のある階を押す。


ドアが開いた。
中年女性の店員が早速近寄ってくる。

 「いらっしゃいませ、ご予約は?」


そういえばユウコが出勤している事を確認していなかった。


「いや、何も」
 「そうですか、それではこちらへ」


待合室に通された俺は、四枚の写真を渡された。


 「この中から、お好みの女の子を選んでください」


ポラロイド写真には名前と簡単なプロフィールが書かれていた。
お世辞にもかわいい、と言える娘はいなかった。

名前を見ると、その中の一枚に由布子という漢字がある。
振り仮名は「ゆうこ」。
水商売系の派手めなルックスだ。

 
「この娘を」


俺は由布子を指名した。


 「ありがとうございます。早速確認しますのでお待ちください」

烏龍茶を持ってきた店員は事務室に入っていった。

確認とは、先にカメラかミラーで嬢に客を確認させ、
OKかNGかを判断させるのだそうだ。


 「大丈夫です。準備しますので少々お待ちください」

10分後。
テレビのJリーグ中継を眺めていた俺は店員に促され、カーテンの奥に入った。


 「こんばんはぁ、由布子です」


写真で見るよりもずっと愛嬌のある笑顔で俺を迎え入れてくれた。




<以下次号>








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2002年06月19日(水)

史上最大の妄想作戦。 完結編



<前号より続く>



俺はまず、丸い尻にkissした。そして舌先を立てて肌を舐めた。
まるで亜衣自身を焦らすように、中央に寄っては離れる。

 
亜衣はいつしか大きな喘ぎ声をあげて、焦らす俺に過敏に反応している。


「想像して。こんな恥ずかしい格好していて、男に後ろから見られているんだぜ」
 「・・・」


亜衣は静かに瞑想しているのか、無言だった。


「亜衣の3つの穴が全部見えるよ・・・可愛いよね」
 「・・・いやぁぁ」


恥ずかしさに耐え切れない、うめき声が漏れた。 

ふと、俺は濡れた亜衣自身に口付けした。
そして派手な音を立ててクリトリスを、愛液を吸い上げる。


亜衣は今まで俺が聞いたことの無いような派手な声をあげて反応した。
後ろ手にした掌をギュウッと力を込める。

津波のように襲い来る快感に必死になって耐えているのか。


「亜衣って、こんな感じ方するんだ」
 「・・・違うのぉ、違うのぉ」

否定するものの、やはり反応は激しい。


俺は秘密兵器を取り出した。

この日のために仕入れた、ピンクローターだ。
これで、クリトリスを責める。

初めて使う期待感が俺を興奮の極地に追いやる。
俺はスイッチを入れた。独特のモーター音が亜衣に届いたのか、一瞬声を抑えた。
俺は痺れるように震えるローターを、亜衣の一番敏感な突起に押さえつけた。


両腕を後ろで結ばれ、両膝を立てて尻を突き上げた格好をしていた亜衣は
高い悲鳴をあげて、瞬時に崩れ落ちた。


「ダメ。ちゃんとバックになって、腿をもっと開くんだ」

俺はモーターを止めて、亜衣に忠告した。
亜衣は無抵抗に俺の指示に従った。

俺は再びローターを亜衣の突起に押し付けた。
亜衣はうわ言のように、イッちゃう、イッちゃうと連発する。


 「初めて、こんなの初めて・・・!!」


亜衣はうわ言の中でそう繰り返す。


「どうしたい?」


俺は亜衣に尋ねた。亜衣は即答した。


 「入れてっ、お願い、もう入れて!」
「でも本番ダメなんでしょ?嫌なんでしょ?」


亜衣は交渉次第で本番を行う嬢だ。ただ基本的に嫌なんだそうだが。


「だめ・・・もう・・・おかしくなっちゃう!」


ある程度の経験がある女はクリトリスに刺激を受けると、次に挿入を望む。
俺は狙い通りの展開に、思わずさらにサディスティックな本能を晒す。

ローターを突起に押し当てたまま、右手の中指を亜衣自身の中へ挿入し、
指の腹で掻き出すようにGスポットを刺激した。


「何が欲しい?どこに欲しい?どういう風に欲しい?」
 「早くぅ、本当にイッちゃう、おしっこ漏れちゃう・・・」

「きちんと言えないと、絶対にあげない」
 「・・・イッちゃう!」


俺はローターを外した。そして再び押し当てた。


「ちゃんと言えないと、止めて帰るからね」

亜衣は普段なら気にも留めず口にする「言葉攻め」なのだが、
今回は本気で恥ずかしがり、なかなか言えない。 


 「平良のおチンチンを、亜衣のオ○○コに・・・すごく濡れてる、」
「どういう風に欲しい?」

 「突いて欲しい、このまま、激しく・・・」
「聞こえない、もっとはっきりと大きな声で!」

 「入れて・・・意地悪しないで・・・お願い・・・」


俺はスキンを着け、まだバスローブをまとったままの亜衣のバックから、
怒張し尽くした俺自身を挿入した。

数十秒で亜衣は声にならない大きな悲鳴を挙げ、また崩れ落ちた。
しかし、俺はイッていない。
俺はそのまま腰を振り、ピストンした。

亜衣はイき続けている様子で、汗ばみ高潮した顔をシーツに押し付けて悲鳴を上げる。
いつしか目隠しも取れ、両手のタオルもほどけている。
小柄な亜衣は、凄まじいエネルギーを費やしただろう。
しかしまだ、俺は亜衣を突き上げる。



 「・・・すごかった」

亜衣は全てが終った後、ベッドで力無く倒れてたまま、そう呟いた。


「痛かったりしなかった?」
 「・・・憶えてないの」


体力を使い切ったのか、亜衣はしばらくベッドでまどろんでいた。
そして部屋を出る頃も、足元がおぼつかなかった様子で、腰が抜け気味だった。

実のところ・・・
俺は結局最後までイけなかった。
どうもスキンをつけると、なかなかイけないのだ。

あまり演出が過ぎ、少々神経的に疲れたところもあった。
でも大満足な時間を過ごした。



あれからほぼ二ヵ月後。

亜衣は次に呼んだ時、接客の様子が変っていた。

どこかよそよそしく、以前の溌剌さ、朗らかさが無い。

サービスも随分手抜きになっていた。


様子が変なので尋ねると、亜衣に恋人が出来たという。
相手はそのデリヘルの運転手だそうだが。

仕事でもどこか彼に対する罪悪感があるそうだ。

特に本番はもう絶対にしない、と心に決めたそうだ。
そういう意味では亜衣も純粋な女の子なのだ。

俺もそんな姿を見せられては辛くなる。

俺は決断した。

亜衣を呼ぶのを止めた。


「今回が最後になると思う」


俺は亜衣にそう告げた。



その後、亜衣は店を辞めたという。
円満退社とはいかず、トラブルを抱えたそうだ。
そして、近隣店で源氏名を変えて再デビューを果たした。


雑誌では以前は顔出しで載っていたが、今は顔を隠している。
過去を切り捨てたいのだろう。

そう思い、それ以降は亜衣を一度も呼んでいない。
その方がいい思い出でいられる。

「一年半」の宣言を聞いてから、すでに二年以上が経つ。

しかし彼女はまだその店に在籍している。
未だ店の開業資金は貯まっていない様子だ。



彼女が元気でいる事をそんなところで確認できるのが、
夢を応援していた手前、嬉しいような心配なような、
俺はちょっぴり複雑な心境でいるのだが。







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☆ご愛読、感謝しています。
 もう少し時間が経ったら、彼女を一度知らない振りして呼んでみてやろうかな・・・
 なんて思っています。
 投票&My登録を宜しくお願いします。


2002年06月18日(火)

史上最大の妄想作戦。 その3



<前号より続く>


「今から目隠しするよ」


身を硬くして小さく座る、バスローブ姿の亜衣は無言で頷いた。
俺は部屋のハンドタオルを亜衣の目に当て、後頭部のところで結んだ。

亜衣の顔面前で不意に殴る真似をした。

少しでも見えていれば避ける動作を反射的にするが、全く気付いていない。
きちんと目隠しできているようだ。


「じゃ、後ろ手に結ぶよ」

今度は亜衣の両手をもう一本のタオルで、背もたれの後ろで結んだ。


「本当に嫌なら言ってね」

亜衣は力無く頷く。


「じゃ、今から亜衣の右足を手すりに掛けるよ」
 「・・・えっ?!」


俺は亜衣の戸惑いを無視して、亜衣の右足を右の手すりに掛けた。
そしてバスローブの紐で亜衣の右腿のあたりと手すりを少々きつめに結んだ。


「次は左足ね」
 「・・・いやっ!恥ずいっ」


亜衣の抵抗をやはり無視して、亜衣のバスローブから紐を抜き取り、
今度は左足を左の手すりに掛け、腿と手すりを結んだ。

目隠しをされた亜衣は、大きく開いた両腿を椅子の手すりにゆわえられ、
あまりにはしたない格好をしている。
胸の膨らみ、そして黒々としたヘアの向こうの亜衣自身が何の障害もなく見える。

もはやバスローブは身を隠す役割を果たしていない。


「想像してみて、今、どんな格好している?」


亜衣は無言のまま俯いてしまった。

人前では絶対にありえない、卑猥な格好をさせられているのだ。
それも、両手も両足も結ばれて抵抗できない。もう自分の力では隠せないのだ。


「そのままじっとしていてね」


俺はわざと足音を立てて部屋中を移動した。
ドアをばたんと音を立てて閉じ、その場に立ちとどまった。

亜衣はどんな行動を取るか見たかったからだ。

タオルを外そうとしたら叱るつもりだったが、
亜衣は従順にもその格好のままじっと耐えていた。


2分ほど経ってから、俺は息を殺して足音も立てずに彼女に近づいて、
亜衣の変化を観察した。

俺の存在に気付いていないのか、全く無言のままだ。

大きく開かれた亜衣の腿。

薄めのヘアの奥に、亜衣自身が剥き出しのままだ。
ふっくらと開きつつあった亜衣自身からは、粘性の透明な雫が椅子の座面に滴っていた。


亜衣は濡れていた。


俺はまた足音を殺してドアのところへ行き、わざと開いたドアを大きな音をさせて閉じた。

亜衣の身体はピクッと反応した。
視覚がない分、聴覚が敏感になっているのだ。


「じゃ、亜衣のアソコを見せてもらうよ」
 「・・・いやっ・・・」


しばらく声を出していなかったからか、亜衣の声がかすれていた。


「外から懐中電灯持ってきたんだ。これで亜衣の腿の奥を見るよ」
 「・・・」


実際には持っていなかったが、亜衣の妄想を煽り立てるためのハッタリだ。
俺は大きくはだけたバスローブをさらに捲り上げた。
改めて覗いた亜衣の腿の奥は、先程よりもさらに粘性の液体で潤っていた。


「亜衣、濡れてるね・・・糸引いている・・・すごいね」
 「・・・すごいでしょ?」


亜衣はどれだけはしたない状態になっているのか、自分でも分かっている。
恥ずかしさを隠すためか、わざと明るく卑猥な事実を語った。


「どう?懐中電灯でじっくりと観察されているってのは?」


一瞬の間の後、亜衣は無言で動かない両腿にギュウッと力をこめた。
反射的に閉じようとしているようだったが、抵抗できない。
亜衣自身には、今度は白く濁った濃い粘液が滴ってきた。

女が潤ってくるところなど、普通じっくりと見る機会は無い。
貴重な経験だ。


俺は開かれた亜衣の腿の内側に軽く爪を立て、中央に向けて滑らせた。
亜衣は過敏に声を挙げ、激しく悶え反応した。
俺の狙いは的中した。


「亜衣、どうして欲しい?」
 「・・・舐めて、舐めて・・・!舐めて欲しい」

「どこを?」
 「どこって・・・クリトリスッ、お願い・・・」

「舐められたら、どうなっちゃう?」
 「わかんないよぉ・・・イッちゃう」


普段は恥ずかしがって自身を何かと見せたがらない亜衣。
今度は自分自身を舐めてと甘え、懇願する。
本気で可愛い、と感じた。


「もうちょっとじっくり見たい・・・亜衣、本気汁が溢れているね・・・」


低い声で亜衣の股間で起こっている事実を口にした。


 「ねぇ、ダメ?ダメ?・・・ダメ?」


亜衣はすっかり焦れていた。


「じゃ、舐めてあげる」

俺は亜衣の両足を解き、真っ直ぐ立たせてベッドへと導いた。
目隠しと両手はまだ結んだままだ。

ベッドの脇に亜衣を導き、そして後からベッドへと押して倒した。
息を呑み、驚く亜衣。


「そのままバックの体位になってみて。好きでしょ?」


両手を後ろ手に結ばれているので窮屈そうだったが、
両膝を立てて尻を俺に突き上げる格好になった。

俺はかろうじて尻を隠しているバスローブを捲り上げた。
亜衣はうめく。


素裸でいるよりも、着衣を剥ぎ取られるほうがいやらしい。
俺はそういう計算も入れていた。

だからわざとバスローブは着たままなのだ。


白く丸い尻、そして亜衣自身が俺に剥き出しになった。

亜衣は次の俺の行動を焦れながらも、待っていた。



<以下次号>








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2002年06月17日(月)

史上最大の妄想作戦。 その2


<前号より続く>


給料日の次の日。その日は火曜日。
星降る夜・・・と言えるだろう。突き抜けるほどの快晴の夜。


俺はデリヘルに電話して、亜衣の最終の予約を取った。

俺の次に客が入るようなら、亜衣もどこかで気力、体力をセーブするだろう。
それは今回ばかりは許さない。

あとは帰って寝るだけ、の状態でこそ完全燃焼できるはずだ。


予約の時間は9時。

時計は小一時間ほど前になった。
俺は部屋を出て、少し離れたところにある新装のラブホテルに入った。


平日の夜だというのにほとんどの部屋が埋まっていた。
その中で最上階の高級そうな703号室が空いていた。
最も料金の高いランクの部屋だ。

迷わず俺はその部屋のボタンを押し、カードキーを受け取って703号室を取った。
演出には、多少の出費も覚悟だ。


店へ「亜衣ちゃんを703号室へ」と連絡する。
携帯電話を切ったあと、改めて部屋の中を見回す。


703号室の角には小さなカウンターバーがあり、
二人で飲めるようになっている。

奥には屋外に出られるドアがあり、ちょっとした中庭からは街の夜景が遠くに見える。
風呂も広く、二人用のサウナも完備されている。
高いだけあって至れり尽せりの設備だ。


しかしそんな豪華設備も使いこなす気は無い。本日の演出には無用だからだ。



10分ほどして、部屋のチャイムがなった。

少し緊張した面持ちで亜衣が顔を覗かせた。

 「こんばんは〜」


部屋に入った途端、亜衣は黄色い声をあげて喜んだ。


 「うわ〜、広い部屋!すごいね」
「今日は特別にね。たまには俺もこういうところで遊んでみたいし」


亜衣は部屋にある色々な設備を片っ端から眺めては声をあげていた。


「亜衣ちゃん、こっちおいでよ」


俺は亜衣を呼び寄せて、部屋の明かりを落とした。そして壁にあるスイッチを押す。
ちょっと大きめのモーター音を響かせながら、
横3mほどの部屋の窓を覆っていたカーテンが中央から左右に分かれて開く。


映画館のスクリーンのように広い窓の向こうには、街の夜景が遠くに広がっていた。


 「きゃーっ、すごいーっ!!」


亜衣は驚嘆の声をあげて喜んでくれた。
薄暗い間接照明のなか、亜衣を後ろから軽く抱きしめた。


「今夜は今までと違う時間を過ごしたいんだ。いいね?」


耳元で囁いた。亜衣は緊張した表情でコクリと頷いた。



抱き合い、絡み合いつつ甘い時間を過ごした後。


「風呂に入ろうか。もうお湯は入れてあるから。こっちにおいで」

大きな鏡のある洗面台の正面に亜衣を立たせて、後ろから一枚ずつ亜衣の着衣を脱がせていく。

サマーセーター、Tシャツ、スカート、ブラ・・・
俺は鏡に映る亜衣のどうにも恥ずかしそうな表情にそそられる。

亜衣の少々華奢な肉体が少しずつ露わになる。しかし視線は落とさない。
あくまで鏡越しに亜衣の顔を、瞳をじっと見ながらブラのホックを外した。

ブラが滑り落ちる。
白い小ぶりの乳房、そして存在感のある乳首が現れる。

見慣れているはずなのに、環境が変れば新鮮だ。


 「ここからは・・・自分で下すから・・・」


俺の両手の指先が亜衣の乳房を這ったあと、ショーツの脇に掛けた。
恥ずかしさに耐えかねたのか、頬を上気させた亜衣は無言ながら初めて抵抗した。


「だめ、俺が下すから・・・亜衣は鏡を見てて」


俺は僅かな抵抗を見せる亜衣の両手をそっと外し、
ゆっくりともったいぶりつつ亜衣のショーツを下した。
緩やかに膨らんだ亜衣の恥丘に生える薄めのヘアが、ショーツの圧力に
押しつぶされていた。

俺は視線をずっと鏡に映る亜衣の瞳に注いでいた。鏡越しに目が合っている。
亜衣は落ち着かないのか、絶えず視線を外そうとするが、

俺はその度に声をかけて目を合わせた。

空調で冷えるのか、亜衣の肌はひんやりと冷え、乳首が何もせずに勃っていた。

そして彼女の両腕がその乳房を隠そうとする。
俺はその両腕をそっと下させ、鏡に映る亜衣の乳房をただ眺めた。


「いつも見ているけど、こうやって改めて見ると・・・綺麗だね」


素直な感想を亜衣の耳元で囁く。
亜衣は首をかすかにすくめた。

短めのシャワーの後、俺は部屋に備え付けてあるバスローブを亜衣に差し出した。


「これを着て」

白く少々固めのバスローブに素肌を包んだ亜衣は、明らかに緊張していた。


「ここに座って欲しいんだ」


俺は部屋にある、手すりのついた木目の椅子を指差した。
そこに亜衣を座らせる。



今宵の俺の演出は、ここからだ。


<以下次号>








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2002年06月16日(日)

史上最大の妄想作戦。 その1

俺は基本的にSMは嫌いな部類に入る。

奥が深く、互いの信頼関係が何より大事な遊戯だというのは理解できるが、
やはり踏み入れた事の無い領域なので、暴力的なイメージが常に付きまとう。

しかしパートナーの好みによっては「愛撫の一環」として
挑戦してみようという気持ちもある。

俺は『精神的な愛撫』を前提に、一度だけライトSMに挑戦したことがある。
今回はその時のレポートを。


俺はデリヘル嬢の亜衣(仮名)をすでに10回近く指名していた。
当時では、俺の身体を最もよく知る女だった。

自称21歳。見た目も相応の亜衣。

小柄でショートカットが本当に似合い、小顔で瞳が大きく、
どこか聡明な印象をうけた。

今時珍しく相手の目を見て、自分の言葉でしっかりと会話の受け答えが出来る。
前職の水商売で鍛えた話術と駆け引きで、勤めていたデリヘルでの�癸韻世辰拭�

そんな亜衣には店のオーナーも「いい娘ですよ」と一目置いていた。


亜衣はこの仕事を
「自分と妹とがオーナーとなる店を持つための資金集め」だと位置付けていた。

そして「姉妹で親孝行したいの」と言った。
なので目標として「一年半で辞める」と宣言していた。


どんな仕事をしている人でも、俺は夢のある人は好きだ。

そういう人と接していると、精神的なパワーを分けてもらえる。
そんな気もするからだ。


そんな彼女は何かとよく喋り、俺とも仲良くしてくれる。

他愛も無い会話が盛り上がり、プレイ時間が足りなくなる事もあった。
「他のお客さんだと出来ないんだけど・・・」と、
彼女のプライベートに関わる相談を受けたこともあった。

何よりも信頼される事は嬉しいではないか。
俺も客、という立場を超えて経験談を交えて話し込んだこともある。



しかしすでに何度も何度もプレイを重ね、
互いの肉体を知り尽くしている関係になっていた。

少しマンネリ気味。

安心して身体を任せていられるのは楽で良いと思うが、やはり刺激が欲しい。


「亜衣ちゃん、SMってやったことある?」
 「私?ないなぁ・・・平良さんは?」

「俺も無い。でも相手が喜んでくれるんならやってもいいかな」
 「でも何か痛そう・・・」


俺は暴力は嫌いだ。

特に女性や弱者に対して振るう暴力は虫唾が走るほど。
しかし相手が喜んでくれるのなら、俺も自分の領域を広げる意味で挑戦してみたい。


「亜衣ちゃん、今度はホテルに呼ぶから」
 「えぇ、いいの?お金掛かっちゃうよ?」


俺は一人暮らしなのでデリヘルは自分の部屋に呼ぶ。
しかし刺激はまず環境を変えるところから始まる。



俺は「精神的な刺激」を念頭に、作戦を練る。
様々なシチュエーションを考えた。

鏡の前での羞恥プレイ、言葉攻め、バイブやローターを使ったプレイ・・・

いまいち迫力と刺激に欠ける。

そこで俺はテレコミでの経験から単純な作戦を思いついた。
女を燃え上がらせる武器。

「妄想」だ。


男がアダルトビデオを見て興奮するが、女はそうでもない。
何故か。


男の性感は「視覚」「聴覚」「触覚」といった直接的な感覚から高まるのに対し、
女の性感は「触覚」と何より「想像力」から高まるという。
女性のオナニーは妄想から始まる事が多い。


また女はテレフォンSexでも、男のように直接的で直情的な言葉では冷めてしまう。
それよりも間接的で妄想の広がるような言葉を選んで話し掛けると熱く溶けてくる。

妄想から火のついた女の肉体は男のそれよりも激しく、長く燃え上がるのだ。


その妄想を高めるためにはどうすればいいのだろうか。

迷いつつ思いついたのは某小説家の書いたSMチックな問題小説「トパ○ズ」の
ポスターだった。


黒い皮の目隠し。視覚を奪えば妄想を高めることが出来るはず。

そしてある程度の身体の自由を奪えば、相手の要求も拒めないはず。
だったら拘束だ。


そして妄想を高める体位を取らせることも必要だ。

最も女が男に見せたくない、見られたくないものを見せる工夫。
妄想をかき立てる小道具も欲しい。


俺は様々な仕掛けを考えて、亜衣を本気で燃えさせる演出を練った。

亜衣のためではない。あくまで俺の欲望を満たすためだ。
何時の間にか、俺はサディスティックな感覚を目覚めさせつつあった。


期日は来月の給料日の次の日だ。



<以下次号>








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