華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年05月08日(水)

初めての風俗。 その1
俺の住んでいる街は中部地区最大の大都会近郊。
日本一、風俗業の密度の高い都市の一つ。

俺が24歳のとき、この都市の外れで、
初めての風俗を経験した。

その相手、景子(仮名)は俺と同い年。
田舎のひとりっ娘。
地元の女子高、大学の法学部を卒業後、なぜか風俗業へ。
理由は後に述べよう。
実は以前からの知り合いだった。

最初OLと偽っていたが、
打ち解けていくうちに、自分がヘルスで働いていることを
カミングアウト。

その間に何度か逢い、買い物や食事を共にした。
しかし全て割り勘。
向こうもそうしたがっていた。
全ては「互いに同じ立場」として、
友人として付き合いたい、そういう意図を持っていたから。

だいたい深夜、電話で話して報告や相談、愚痴やバカ話で
腹を抱えて笑い、ストレス発散して寝る。
そんな友人関係だった。

そんな景子は、客にもプライベートでもよくモテた。
いつも「彼」と「SEXフレンド」的な男が存在し、
入れ替わりも実に頻繁だった。

店の一番人気の風俗嬢は「自らが癒される男」を求めていたのだ。
しかし心を開けど、男が風俗嬢に求める事はただ一つ。

その度に身体も心も傷つき、苦しみ、力ずくで割り切っていく。
俺に自戒し嘲笑しても、傷の痛みが確実に伝わってきた。

そんな景子の数少ない「男友達」が俺だった。
疲れているときに部屋に来て昼寝していったり、
風俗業引退を控えた頃、次の仕事にと
ネイルアートを学んでいた景子の実験台になったり。
怒張した男自身を何年も扱ってきた彼女の
ネイルマッサージはお世辞でなく、上手だった。



そんな景子から店を引退する、と連絡が入った。
彼と結婚するから2月末で店を辞める、そうだ。

俺は彼女に「いつか店に行くからな」と冗談交じりに語っていた。
彼女はいつも「じゃ、待ってるから」と笑って返事してくれていた。

俺は電話で「俺が最後の客になってやるよ」と返事した。

うるう年の2月末、夕方5時。
源氏名「クミ」でファッション・ヘルスに予約を入れた。

俺は電車に乗り、景子の勤める店の最寄駅へ向かった。

金を払って性欲を果たす、罪悪感。
友達を傷つけ、汚し損ねない、後ろめたさ。
店一番のテクニックを体験できる、期待感。
複雑な心境を抱える中、足はしっかりと店に向かっている。

掌に汗をかきながら、風俗ビルのエレベーターに乗り込んだ。
俺にとっては全てが初体験。



およそ20分後。
カーテンの向こうに現れたのは、景子ではなく
店一番のヘルス嬢「クミ」だった。


<<以下次号>>


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