愛玩人形の抱き方+
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「トランクに、着替えとマスカラとコントールさえ詰めれば、どこへだって行けるわ」
そう言った彼女に、私は共感したから頷いたのだ。
きれいな人になりたい、 指さす仕草の爪の先まで美しさをたたえたような、 それでいてどこかふんわり透ける春の陽のような、 透きとおってきらきらと輝くクリアな水のような、 うつくしい心を自然に持った きれいな女の人に、私はなりたかった
まだ手遅れなんかじゃない
きっと、と指先を眺めて呟く。
あの時、私はもう一度その手を取ることを決めて。
それは、もう一度同じかなしみがあるかもしれない、 同じくるしさがあるかもしれない、同じいたみがあるかもしれない、 そんな未来を選択したと言うことで。 そんな覚悟を決めたと言うことで。
けれどいまだに、わたしはあなたを許せないまま。赦せないまま、あなたを愛す。
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