1998年07月01日(水)  1998年カンヌ広告祭 コピーが面白かったもの

はじめて参加した1998年のカンヌ。何もかもが新鮮で面白かった。コピーも面白かった。

TVCF (数字はカテゴリー/整理番号 “”内はタイトル)
Feed it almost anything. 
何でも食べます。
22/3”Eats Paper” いろんなサイズの紙、OHPに印刷できるバブルジェットプリンター。観客を前に見事な食べっぷりを披露。
One office. One paper. 
1つのオフィスに1種類の紙。
22/19 プリンターもFAXもコピーも対応できるマルチコピーペーパー。
Bones, means milk 
骨といえば、ミルク。
2/120”Can’t wait for lunch” 日本牛乳協会のCM。ストレートでいい英訳。
Something twisted. 
ひねったヤツ。
2/132-134 Orange Slice(搾った果汁ジュース)の搾った味をひねった世界で表現。
Quenches 4litres of thirst. 
4リットルの渇きをいやす。
2/144”Lengua” 山積みの封筒を舌で糊付けする男がAmi Orange Juiceをガブ飲みし、糊付け作業を再開。
It’s an odd number. 
それはおかしな奇数。
2/186”Tribe” 7upのCM。部族の長が7upを持ったブサイク女と結婚するストーリー。「奇数」と「おかしな」のoddをかけている。
Image is nothing. Thirst is everything Obey your thirst. 
イメージに意味はない。渇きに意味がある。渇きに従え。
2/194-198 従来のドリンク広告に挑戦(宣戦?)するスプライトのシリーズ。
Only drink that doesn’t solveanything but thirst. 
喉の渇き以外何も解決しない唯一の飲み物。
2/220”Ski jumper” おもしろCMでおなじみのsolo。景気づけに飲んだスキージャンパーが飛び立つと夜間照明が消え、お先真っ暗。
A little better than other good cheese. 
他よりちょっといいチーズ。
4/15 “The good bye” Riberhusチーズとの別れを惜しんで大騒ぎする男が登場。
Who loves it, loves it forever. 
好きな人は、ずっと好き。
4/31”Ice-cream salesman” 寒々しい真冬のビーチでアイス売る男。
There’s no photograph. You can see the fruit. 
写真はありません。(本物の)フルーツが見えます。
5/51-52 スペインのLa vieja fabrica jam。カメラフィルムのCMかなと思ったら、それを打ち消すコピー。容器の中身に自信のあるジャムのCM。
Expect the unexpected. 
不測の事態を予測しよう。
15/40”Lemons” 南アフリカの保険会社のCM。人生は先が読めない。
Life is strange. But we’re Nuts. 
人生は変だが、私たちはそうじゃない。Nutsだ。
15/43-46 NUTSという保険会社。we’re notとかけているが、Nutには「へんてこな」という意味がある。変じゃないといいつつ変な会社。
There’re no edges on the human body. That’s why we didn’t put any on ours. 
人間の体にはカドがないので、我々の製品にもカドをつけなかった。
21/64”Edges” シンガポールNOKIAの携帯電話。
No one forgets a good teacher. 
いい先生のことは、みんな覚えている。
.27/9”Talking heads” 教師研修エージェンシーのCM。セレブが次々と口にする「無名の人」の名前。実は、彼らに影響を与えた忘れられない恩師たち。
Don’t blow the film. 
映画を台無しにするな。
27/19-20 カナダの携帯電話のマナー広告。映画観るときはOFFに。
Doing nothing is taking part. 
何もしないのも加害者。
27/141”Park” ドイツ・ハンブルグ警察から市民に勇気を呼びかけるCM。公園でレイプを目撃した男が怖くなって逃げるが、その手にはなぜか血がべっとり。
Watch their TV watching. テレビを見る子どもたちを見張ろう。
27/145”TV violence”
子どもに有害な番組を見せるな、というノルウェーのキャンペーン。
Dignified salaries for a dignified education 
威厳のある教育には、威厳のある給料を。
27/171”Apple” アルゼンチンの公共広告。教壇に立つ空腹の女教師が生徒の差し出したリンゴをガツガツ食べる。その食べっぷりが本当にすさまじい。.非難のピューイングもすごかった。
Life is better with foreigners. 
外国のものがあるほうが人生は楽しい。
27/59”XENOPHOBIA”(外国人嫌い)オーストリアの外国人排斥に対するメッセージ。シャネルの香水、バービー人形、スーパーマリオ、キャビア……ほら、あなた、外国のものが好きでしょ。
Don’t fry your eyes. 
目を焦がさないようにしましょう。
24/25”Fried Eyes” 目になぞらえた二つの目玉焼き。「サングラスで目を守ろう」というオーストラリアの目の研究基金のCM。
How would you feel, overtaken by a miniban?
ミニバンに追い越された気持ちは?
12/93-94 フランスvolkswagen。ミニバンに追い抜かれてプライドを傷つけられ、SOS電話に泣きつくバイク野郎をユーモラスに表現。


Graphic 雑誌・新聞・ポスターなど
IF YOUR MOTHER HAD A HEADACHE THAT DAY YOU WOULDN’T EXIST.
もしあの日ママが頭痛だったら、あなたはこの世に存在しない。
受けは、It’s Mother’s day Greeting from Aspirine.。頭痛薬アスピリンからの母の日広告。
THIS YEAR YOU DON’T KNOW THEM. NEXT YEAR THEY DON’T KNOW YOU. 
今年あなたは彼らを知らない。来年は彼らがあなたを知らない。
Saatchi & Saatchi のnew directors’ showcase(新人ディレクター紹介)告知ポスターのキャッチ。無名だと思って見くびってたら、あっという間に有名になっちゃうから、早めに目をつけておかなきゃってこと。こう言われると、焦って見に行ってしまう。
Who said nobody reads long copy? 
長いコピーは誰も読まないなんて、誰が言った?
英国デザイナー&アートディレクター年鑑(日本でいうADCか?)入りしたデザイナーをたたえる文字だけの新聞広告。11列もの長いボディコピーは、年鑑に入った人たちの名前がずらり。そして、“Congratulations to all those included in the year’s British designers & art directors annual. Now let’s not have any more arguments about long copy. Shall we.”(おめでとう。もう長いコピーのことで言い合うのは、やめませんか)というメッセージ。いつもは「コピーが長いよ」と文句を言うデザイナーたちも、自分の名前が入っているとなると、「削れ」とは言えない。という心理を読んだコピーライターからのいたずら心が楽しい。
BAND-AID For all those bumps and scrapes
すべてのコブとすり傷に、バンドエイド。
このメッセージを電柱に巻きつけているのがアイデア。
Welcome Mr. President
Welcome Mr. Clinton
Welcome Bill
Hey, Mr.
キービジュアルはワインのフルボトル。お酒が進むにつれて、大統領への口のきき方がなれなれしくなってくる。Navarpo Correas vineyards, proudly welcomes and accompanies President Clinton and his visit to Argentina.(Navarpo Correasワイン園はクリントン大統領のアルゼンチン訪問を歓迎し、おつきあいします)
YOU can TAKE a BOOK ANYWHERE and VICE-VERSA. 
本はどこにでも連れて行ける。その逆に、どこにでも連れて行ってくれる。
Waterstone book storeの「本を読もう」キャンペーンのシリーズ。キャッチコピーをあしらった装丁の本がキービジュアル。同じシリーズで、NOTHING COULD even BE MORE OFFENSIVE in a book than sensorship.(本の中でいちばん攻撃的なのは、感覚だ)、The most effective tool for Escape from Prison isn’t a shovel.(刑務所から逃げる最も有効な道具はシャベルではない)。

<<<前の日記  次の日記>>>