f_の日記
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 祖母

祖母は、
はやく死にたいと云います。

だから僕は、
長生きしような、と云います。

そしたら祖母は照れながら、
とても嬉しそうな顔で、
後のモンが困るでなぁ。

そしてまた云います。
はやく死のうと思っても、
なかなか思うようにいかんでなぁ。

そして僕もまた、
長生きしような、と云うのです。

2002年06月28日(金)



 ひとり、

ひとりなんて
寂しくないと信じていたけど

ひとりだから寂しいのではなくて

寂しいから
ひとりなのだと

君は云った

2002年06月26日(水)



 夏、

夏休みの宿題、
祭りの夜、
朝から虫かご、
草いきれ、

ただなんとなく過ごした日々に、
癒されている不可思議な夏。

2002年06月21日(金)



 もしも、

「もし自分の願望が、何でも叶うとしたらどうする?」
「それは、それほど嬉しいことはないだろう。」
「そうか・・・、たとえばその力で人が不幸になってもか?」
「そんな願望、持たなければいいだろう。」
「おまえは、人を恨んだことはないか?」
「ある・・・あるがその先、恨まなければ、よいではないか?」
「人の感情というものはな、最初は湧き水のようなものだ。」
「うむ・・・・。」
「それが泳いでも渡りきれぬほどの、河となることもある。」
「うむ・・・。」
「人は、人を不幸にすることもある、ということさ。」

2002年06月18日(火)



 クモのイト


なにかの工場の数人の男が
ふと手を休めてなんとなく
ぼんやりと眺めている

うっすらけむりがかった
川の向こうに沈みゆく
すこし大きな
ゆれる夕日を

薄汚れた作業着が
まけずに映えている

車の窓ごしに僕は
どんな人生にも
ほんの一瞬の
ほんの刹那くらいは

救い
が用意されてるんじゃないかと

そんなことを考えていた

2002年06月05日(水)
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