TWILIGHT DIARY
music,art,book,food,fashion,and nature etc.etc...

2003年11月30日(日) It's Too Late。。

今朝(というか私にとっては深夜遅く)の一番のTVニュースで、
「ティクリートで、日本人二名殺害される。会議に向かう途中の外交官の可能性」のニュース。驚く。
早朝にも関わらず、外務省の記者会見があったりと、しばらく寝られず、
結局、一時間ほど特番を見ていた。

その後のニュースで「護衛なし」、
ティクリートがどういう土地なのかなどの詳細がわかってきて、
もしかしたら、そのティクリートの街なかでは、
見も知らぬ外部の車がほんの少し停車しただけでも、充分危険なんじゃないかと思う。

うちは戦争はしませんと、いくら宣言していようがいまいと、
そんな事は、あちらでは全く通用しないのだなぁと再認識させられる。

いくら口では「テロには屈しない」と言っても、
テロで口もきけぬようになってからではもう遅い。

向うは一触即発なのだと、愕然とさせられる。









2003年11月29日(土) お祝い事二つ。。

今日は、家の某記念日なので、ラジオの生放送が終わって帰宅すると、生寿司がとってあった。
みんなでお茶で乾杯し、舌鼓。
この鮨屋の茶碗蒸しが美味しい。

深夜wakaさんがお見えになって、ちょっとだけ文学話。
今日は、wakaさんが某誌に入選した表彰式があったそうで、こちらもめでたいお酒。

「入選、いいですよねー」とお話したら、
「いづみさんも書けば良いのに」とのお言葉。
うーん、じゃぁ何を書こうかなぁ、とふっと思い立った夜であった。







2003年11月28日(金) 静かな師走前。。

仕事から帰宅して、明日、ラジオで特集するジェイミー・カラムを聴きながら、
上の娘が横浜中華街の重慶飯店で買ってきてくれた月餅を食べている。

何種類か買って来てくれた中の「蓮容小月餅」という、蓮の実餡の入った月餅。
餡がねっとりとして、こくがあり美味しい。

しばらく中華菓子を切らしていたので、中国茶も出番が少なかったが、
やっと大義名分が出来て、凍頂烏龍茶も嬉しそうに、青々とグラスの中で踊る。

猫はソファの上で、ウサギさんの猫ジャラシ(と言うかウサギの毛ボール付きのゴムひも)を抱いて、遊びつかれて寝ている。

静かな、師走前の夜である。



2003年11月27日(木) ジャケ用お写真選び。。

今日は、先日撮影していただいたネガを見に行く。

デジタル撮影の方も、全部をまず小さくプリントアウトしていただいた中から、
いいのを選んで、画面で見る。

見ている間も、H氏はお忙しいので(続々とお仕事の依頼。)、
こちらで勝手に(笑)、ネガをモニターして見たりと、楽しみながら選ぶ。

うん、これはジャケっぽい!というイメージのものが数枚。
コンピューターで、ジャケの大きさにして、
ちょちょっと題名をほらってな感じでシュミレーションして頂くと、
なるほど、ぴたりとはまるのが何枚かあった。

数日後に出来上がりを見せていただくことになり、
それではまたと帰宅したら、延々約二時間(!)も選んでいた模様。。

録音したものを後から聴く時のように、
一枚一枚ゆっくりと確認しながらの作業は、時間を忘れるほど楽しかった。



2003年11月25日(火) 11月最終週。。

昼から、昨日購入しためじまぐろのかまをお煮付けにして、
久し振りに新巻鮭の氷頭なますも作る。
偶然、DHAたっぷりの食事。
高野豆腐と山菜の焚き合わせに、海老も焼いたので、ちとお正月っぽい食卓。

深夜は冷え込んで、マイナス気温。
はらはらと、雪も降る。

着実に師走へと向かう11月最終週である。





2003年11月24日(月) ちょっとだけ感謝祭。。

今日は、私の声楽の恩師が主催する声楽研究会のコンサートを家族で聴きに行く。
大通りのテレビ塔近くにある教会が会場。

今日のテーマは「祈り」だそうで、第一部は様々なアベ・マリアの特集。

私が学生の頃は「アベ・マリア」といえば、シューベルトと、
グノーのバージョン(バッハの平均律にのせたあれ)しか知らなかったが、
今は、カッチーニの「アベ・マリア」が、ちと練習曲のようなストイックなメロディーなのに(歌詞は「アー」と「アベ・マリア」のみ)、実は一番好き。

さて、コンサート中、ポピュラーなシューベルトが歌われた時、
泣いてらっしゃる方もいて、そうか、ここは教会だったと思い返した。

会場には数年前に入ったパイプ・オルガンがあり、
第二部の伴奏は全曲パイプオルガンで歌われる「悲しみの聖母」の曲集。
オルガンの音が、一足早いクリスマスのよう。

さて聴き終わったあと、夕食のおかずを探しに近くのデパートに行くと、
すでに歳末のように賑わっており、
アップル・パイやパン、お刺身やお肉をお買い物。

なんだかささやかな感謝祭の一日のようであった。




2003年11月23日(日) ジャケ写真撮影。。

今日は、夕方6時から次回のアルバムのジャケ写真撮影。
前のアルバムジャケを撮っていただいたH氏にお願いする。

今日は午前中から撮りまくりだったそうで、お忙しいのに、
なんと二日前に予約したのにもかかわらず、快く引き受けて下さり(申し訳ございません)嬉しい限り。
歌っているところを撮っていただこうと思っていたのに、歌うとなると、
「さて何を歌おう?」ということになり、途中で家人に持ってきてもらったラフをスタジオのステレオで聴きながら歌う。

撮り終わり、デジタルで撮った分をモニターで見せていただく。
歌っているときの発音の仕方で、顔の表情も変わり、おもしろい。
ネガの方は数日後に出来上がるそうで、
そちらの出来上がりも楽しみ。

帰宅して、下の娘とお茶していたら、上の娘が東京から帰り(数日行っていた)、
空港で仕入れたらしい「ごまたまご」(胡麻餡の卵型饅頭)を賞味しながらお茶。



2003年11月21日(金) JAMIE CULLUM。。

今週購入した新人のジャズボーカリスト、JAMIE CULLUM(ジェイミー。。うーん、その後は、カラムか?)のアルバムを聴く。

まず見た目が、キーシン。
試聴コーナーのコメントには、「ディカプリオ似の」とあったが、
まぎれもなくクラシック顔。
ジーンズに水色のスニーカーで床にべたっと座ってる。
試験に来て待ちつかれて、廊下に座り込んだ高校生みたいである。

声は、UKギターロック系のハスキー鼻詰まり声。
(うーんと、日本で言うと、ちょっとだけミスチルの桜井くんみたいな声です。)
だのに、CDは「縁は異なもの」から始まる。
「雨に唄えば」も入ってる。
ピアノも暴れて弾く。
うーん、こういうのに非常に弱い。
ボブ・ドロー「BUT FOR NOW」中のI LOVE YOUのリフが、めちゃかっこいい。
そんな年で、どこの誰に言ってるんだ君は?って感じ。

ワルな子供だと思ったら、急に何もかもわかっている大人な声になる不思議な人である。



2003年11月20日(木) ゼネラル・レクラークとドイツ・ワイン。。

一年ぶりに、洋梨のゼネラル・レクラークを食べる。
甘くて、芳醇な香り、パートレートやブランデーなどの品種よりも、
柔らかく、きめが細かいのに、千両梨のように大きい実。

去年は、一個500円前後だったのが、今年はもう一個200円程度に落ち着いている。
多分、栽培の方がうまくいって、
たくさん生産できるようになったのかもしれない。

さて、ボージョレーヌーボーが解禁されているのにもかかわらず、
先日、微発泡のドイツワインを仕入れたので、一本だけ味見に持ち帰って、賞味する。

普段、フランスやチリの赤ワインを飲んでいる身には、甘い。
ゼネラル・レクラークと比べても、引けをとらないほど甘い。

赤ワインが不得意な方や、甘い白が好きな人ならヒットかも知れない。






2003年11月18日(火) 「蘭蝶」の道行。。

昨日購入した宮嶋茂樹さんの新刊写真集「不肖・宮嶋イツデモドコデモダレトデモ」を一ページずつ眺める。
ここ数日のイラク情勢はどんどんと悪化するばかり。いろいろと複雑。

さて、帰宅してお風呂上がりにゆっくりTVニュースでもと思ったら、
知りたい情報はすでに終わっており、仕方ないので違うチャンネルをかけたら、
新内流しの「蘭蝶」をやっている。

私の好きな新内の演目なので、「お」と見入る。
何か、邦楽を紹介する小さな番組らしく、
「蘭蝶」の一曲全部を流さずに終わってしまったので、
CD棚から探し出して、改めて聴く。

新内は中棹二本で、かけ合いをする。
オクターブの幅で低声と高声が微妙に合ったりすかしたりで、
三味線を使った登場人物の語り合いのように聴こえる。

「蘭蝶」の物語は、蘭蝶と遊女をめぐる心中物で、
「ほんとにいいのかい?」「さぁてどうしよう」「やめようか」「いや、やっぱり」と言う語り合いに私は聴こえる。

「蘭蝶」のあとに、義太夫の「道行」がはいり、なかなか粋。
ちなみに「蘭蝶」の前はこれも新内の「ゆき」。

さて、この「蘭蝶」の道行は、やはり寒い雪の夜だろうか。



2003年11月16日(日) 録音終了でほっと一息。。

今日は、録音日。
前回の時点で残された曲の歌入れを行う。

不思議なもので、さぁこの歌はどうしようか?と思っていた4曲が残っている。

ここまできて、あぁだこうだと考えてもしょうがないので、
まず歌ってみて録音してもらい、プレイバックを聴いてみた時点で、
ここはちとイメージと違う?という部分を直してながらやっていく。

実をいうと殆んどの曲は、ここ数年の間、選曲のために、
何度か、ボーダーで弾き語りのテスト録音(簡単MD録音)を自分でやっている。

普段歌っていて、この曲はとってもいいかも!と思っていても、
いざ録音したものを聴くと、「?」と言うことも多々あるので、
精神安定にも関わる自分なりの保険(いわゆる小さな安心)のためである。

さて、一曲ずつ、悩みながらでも、作業は進み、無事、録音が終わり、
スタジオを貸していただいたお宅の奥様からお赤飯の差し入れまでいただき、
美味しく頂いてきた。

帰宅して、前回までの録音終了分のラフミックスを聴きながら、
曲順やら何やら色々と、またまた考え中。。







2003年11月14日(金) 自由の国。。

今日は、仕事帰りに、ある方とそのお知り合いの方とお付き合いで、飲みに行く。

最初は他愛もない話だったのが、ご本人の連れの方々が先に帰られて、
二人で何を話し出したかというと、それはイラクの自衛隊派遣の問題である。
今はとにかく行かしちゃいけないと、きっと誰もが思っている。
「もしも彼らに何かあったら、誰が弁解できるのか。
おれが言ってもしょうがないだろうが、誰が言う」と彼は言っていた。
そういう事をストレートに言える人は少ないと思う。

自由な国だと普段思っていても、ここは本当に自由の国なのだろうか。






2003年11月13日(木) ハタハタで、昔の事件を思い出す。。

今日は、釧路産の子持ちのハタハタがリーズナブルなお値段(二十匹ほどで400円ほど。)だったので、即買。
赤穂の甘塩を打ち、竹箸に通し、たこ糸で吊るようにして、
台所の適当なところに釘を打って貰い、ぶら下げて一夜干し。

帰宅してから、何匹か焼いて、少しだけ味見。
うーんまい!
うーん、こんなことなら二パックでも三パックでも買ってくれば良かった。
たくさん一夜干しを作り、ジップして、フリーザー行きにすれば、
真冬のいい肴になる。

ただ、そのうんまいハタハタを最初に塩を打つ時、
平らなザルに手で一匹ずつ並べていたら、
迂闊にも、昔飼っていた熱帯魚の感触を思い出してしまい、
とても複雑な気持ちになってしまった。
ハタハタのその大きさと薄さが微妙なのである。

とある悲劇的な事故(濾過器とエアの電源が知らない間に抜けていた)によって、
三種類のエンゼル・フィッシュ(尾の長さをふくまなくても10cm〜15cmくらいの大物)約三十匹が昇天してしまった我が家の大事件を思い出したのである。

その時、泣きながら一匹ずつエンゼルフィッシュを網ですくってバケツにさようならしていたら、感覚が段々慣れてきて、
ついに主人が「なんだかお魚屋さんの気分。。」と言い出した。

そうなのである。
昨日まで、泳いでいた時は立派なペットの熱帯魚だったのに、
その微妙な大きさと数が、まるでお魚屋さんに並べられているお魚と少しも違わないように見えてくる。
人間の感覚って不思議。
「あぁそういえば、西友に売ってたエボダイ文化干しみたいだね」と私も言ったものである。
前日までは、エンゼルたちを「ブラックちゃん」とか「「しるばぁ」とか呼んでいた癖にである。

とにもかくにも、一日干されたハタハタはちゃんと製品化(笑)されて、
食品として完成していたので、なんの抵抗もなく、美味しく頂いたのであった。


追記:ですから我が家では、たとえそれがとても美味しかろうと「エボダイ文化干し」が食卓には上ることはございません。



2003年11月12日(水) 宮嶋さんの本二冊め。。

カメラマンの宮嶋茂樹さんの分厚い一冊「国境なき取材団」を読み始める。

89年のルーマニアから始まり、ペルシャ湾、ルワンダ、ゴラン高原、
釜山、コソボ、99年のトルコまで。

ゴラン高原までを読んだが、何だか凄い。
雑誌や新聞に掲載される写真だけを見ただけでは、
カメラマンや記者がいかに苦労して、現場にたどり着いたかなんて、
平和な日本にいる者には、まず予想がつかない。
どろどろになってたどり着いた現場も、予想以上にどろどろだったりする。
大手のメディアならいざ知らず、週刊誌のカメラマンがたった一人で、である。
この本を読むまで、報道の人というのは皆チャーター機やらヘリに乗り、
ひとっ飛びで現場に行くものだとばかり思っていた。

まさか内戦中のやばいところを陸路で、
それもたった一人で車を運転して行くなんて、全く予測もつかない。
あーもう、よく生きて帰って来られたと思う。

読書の方も、とりあえずゴラン高原で一休みしたのであった。。



2003年11月11日(火) テンペを食する。。

今日初めて、「テンペ」というものを食べた。

「テンペ」はインドネシアの大豆発酵食品で、食したのは札幌で作られた製品。
匂いのしない納豆が固まって、1cmくらいの厚さの板状になっているような食品。

パッケージに、「テンペのステーキ」のレシピが出ていたので、やってみる。

うーん。変わっている。初めての味と感触。
煮ただけの大豆よりは柔らかく、納豆よりは、弾力が強い。
噛みがいのある食品である。

小さめの角切りにして、チャンプルーの具にしてみたら、どうだろう。
もしくはバラバラにして、チリ・ビーンズと合わせて煮込むとか。
意外とその方が美味しいかも知れない。

さてこの「テンペ」、低カロリーで高たんぱく、コレステロールゼロだそう。
パンフのレシピには、クッキーやチーズケーキ(!)も載っている。

うーん、どうだろう。。



2003年11月09日(日) お蕎麦屋さんと麻布十番。。

今日は、選挙のあと、娘たちのお買い物に付き合う。
JRタワー近辺の地下を見て周り、
冬用のダウンコート(今年は短めの丈が流行ってる模様)を色違いで買う。

その後、大丸で夕食。
食事時で、どこも混んでいたが、比較的静かそうなお蕎麦屋さんにする。
(お蕎麦は昼が主流なのだろうか。)

さて、永坂更科のお蕎麦を初めて食した。
たれが、二種類出てくる。
から汁と、あま汁。
「お好みで、混ぜてお召し上がりください」とのこと。
その時に、鰹節のお出汁の匂いが、ふぅっと漂ったので、
皆んなで「美味しそう〜」と、蕎麦猪口に汁を注ぎ、香りを嗅ぐ。
いい匂いなので、ねぎと山葵を入れるのが何だかもったなく、
私は七味だけをぱらっと振って、御前そば(更科の盛り)をいただいた。
だしも蕎麦も洗練されていて、とても美味しい。
本店は赤坂だと思ったら、麻布十番だった。

そういえばかなり昔、
六本木ピットインのスティーブ・カーン(ギタリスト)のライブを見に行った時、麻布十番のビジネスホテル(六本木に歩いて行けるので便利)に宿をとって、
昼間、散歩をしていたら、近くに老舗のお蕎麦屋さんがあったのを何となく覚えている。
麻布十番の周辺には大使館が多く、色んな国の方々をよく見かけたり、
カフェの前では雑誌のグラビアの撮影をしていたりと、散歩をするだけで楽しかった。

その頃は、フレンチやイタリアンが好きで、
ブランチからフレンチのお店に行ったりしていたので、
残念ながらお蕎麦屋さんには、ついぞ寄らなかった。

もしかしたら、本店はそこだったかも知れない。



2003年11月08日(土) コートをちと考える。。

今日は寒くて、なかなか冬仕様な一日。

ちらちらっと雪が降ってましたよという方もいて、
気温が3℃前後に下がっているし、いつ降ってもおかしくない状況。

さて、出かける時に、コートをどれにしようか非常に迷う。
一枚仕立てだと寒いだろうか?
真冬用のコートだと早すぎるだろうか?とか。

迷った挙句、全裏付きウールのジップアップのコートドレスを羽織る。

日本中で、コートを何種類も持っている(というか持たねばならない)のは、
どう考えてみても北海道人だろうが、
その中でもコート取り揃え枚数一番は札幌人じゃないだろうか。

気温差も色々とあって、朝晩と昼、
またスキー場などがある山の近くと街なかでは、全然違う。

ちなみに郊外の大型スーパーでお買い物をする時と、
デパート歩きをする時は、女性においては、まず同じコートでは出かけない。

出かける場所にもよるが、こういう季節の変わり目は、
クロークの前で、「うーん。」とコート選びに悩んでいる札幌人は多いと思う。



2003年11月07日(金) 私的初雪。。

深夜、一瞬だけ、ちらっと白いものが視線をよぎった。
その瞬間、頬の上で何か冷たいものが融けた感触がしたように思う。

多分、観測はされていない(旭川では初雪が観測された)とは思うが、
その冷たく融けたものはまぎれもなく初雪である。
道路を歩いている人々は、その瞬間、目を空に向け、
「あ。雪だ」と口々にささやいた。

平地での厳密な初雪の定義を知らないので、
どれくらい降るとそれは初雪と観測されるのかがわからないが、
確かにその時は皆、初雪と感じたと思う。

初雪の降る頃を振り返ると、少なからず、悲しい思い出が多い。
めぐり合わせだろうか。

祖父が亡くなったという電話の知らせを受けた翌朝、
暗い気持ちで玄関を出ると、川端康成じゃないが、
そこは紛れもなく何一つ曇りのない、真っ白な雪景色だった。

こちらの気持ちは暗く澱んで沈みきっているのに、
式に向かう為に乗り込んだ列車の窓の外は、
どこまでも続く美しい雪景色で、その純粋な白さが、
前の晩泣いた為に充血した目には眩しすぎて、なおさら悲しかった。

さて、今夜の私的な初雪は、そう悪い事もなく、
新調した革手袋の匂いと共に、結構、良い瞬間であった。



2003年11月06日(木) 贔屓の文筆家とアーチスト。。

今日は、仕事の合間に本とCDを買う。

本は「小津安二郎の食卓」、「百鬼夜行抄第11巻」
「ヴォーカリストのための全知識」。

小津の本は貴田庄という人が書いている。
ざっと読んだが、簡潔で読みやすい。
映画評論家でもあり工芸作家だそう。
芸術学専攻だそうで、視点が興味深い。
論文のように冷たい感じがする時もあるが、
一瞬、文章が美しく煌く時がある。
私の好きな杉本秀太郎の文章と少しだけ似ている。
一文一文は冷徹な文のようでいて、読み進むと美しく暖かい。

ちなみに、ジョン・グリシャムの文もそういうところがあり、
まるで法学概論(笑)を読んでるような、理路整然とした文章なのに、
文脈を辿って行くと、偽善じゃない清潔な正義感や
弱き人への優しい眼差しに感動する。
それは短い一文ではわからない。
結局、文章構築が優れているのだと思う。

CDは、ジョニ・ミッチェルの「ブルー」と、
リッキー・リー・ジョーンズの新譜。

私が何年も前に(数十年?)「カンパニー」という曲で好きになったジョーンズは、
今も元気でやっているのだなぁと嬉しく思い、試聴せず即買いした。

週末、本でも読みながら、ゆっくり聴こうと思う。








2003年11月05日(水) 映画「天使のくれた時間」。。

昼に、先日レンタルしてきたビデオ、
ニコラス・ケイジの映画「天使がくれた時間」(原題:THE FAMILY MAN)を観る。
数年前の映画で、予告編はさんざん見ていたのだが、本物を見ていなかった。
どことなく、あのディケンズの「クリスマス・キャロル」を思い出す映画である。

仕事一本槍で突っ走って、
愛だとか家族だとかを全く考えないウォール街の男の人生。
そこに突如として天使が現われる。
次の日ベッドの上で目覚めると、全く違う人生を送っている自分。

ーこれは悪夢?それとも何かの間違い?

カフカの「変身」である。
ただ、昆虫に変身したのではなく、ただのお父さんになっただけ。
けれども、彼にとっては大問題の様子。

だが、そんな普通なお父さんには、それなりの日常の幸福がたくさんある。
美しい弁護士の妻(普通以上か?)に、可愛い子供達、愛犬、友人たち。
それも悪くない。離れがたい。
さんざんな心の葛藤。でも、それもやがてはいつか。。である。

実は、軽いコメディだと思っていたのだが、
幸福観や人生観について色々と考えさせられる。

掘り出し物のいい映画だった。



2003年11月04日(火) いそうでいない人。。

今日は、きらしてしまった化粧水をディオールカウンターに買いに行く。

買ったのは化粧水一本だけなのに、ディオールのロゴ入りケースのコットンと、
トリートメントクリームのお試し用ミニサイズをもらう。
前回は淡いピンク色のビニールポーチ(喜!)を頂き、出張時に大いに役立った。
こんなにもらってうれしいショップグッズって、中々ないかもである。

さて、TVニュースではラマ氏の来日の模様を映し出しており、
今日の日程は伊勢神宮参拝。

先日、彼の自伝を読み始めたばかりで、最新映像は興味深い。

世界中の異なる宗教の聖地を訪れるのは修行の一つだそうで、
満面の笑みを浮かべ、嬉々として神社を颯爽と歩いている様子は、
どう見ても、やっぱりただ者じゃない。

グローバルな宗教感覚と、柔軟な思考回路。

見ていると、日本にもいそうな感じの人なのだが、
なかなかそういう人というのは、いそうでいないのかも知れない。




2003年11月03日(月) 文化の日に霊堂。。

今日は文化の日で祭日だが、明日が祖父の33回忌でもあり、霊堂へ。
親類縁者の高齢化と共に、皆、身体の調子がどこかここか悪いこともあり、
最低限とりあえず出歩ける健康な者たち(笑)で、お参りだけを済ませてきた。

祖父の思い出はたくさんあるが(子供の頃、日中はほとんど一緒に過ごしていた)、植物園に行きたいと言えばすぐに連れて行ってくれて、蝉の抜け殻などを見つけては、夢中になって他愛もないスケッチなどをしているのを、黙って横で何時間も待っていてくれたものである。

たまに鉱山技師として行っていたフィリッピンの話をにこにこしながら話したりすることがあり、
もしかしたら彼の人生の中で、その時代が一番輝かしい思い出だったのかも知れない。

命日毎に、思い出すことが一つでもあるというのは故人の供養にもなるし、
もし思い出がひとかけらもなかったとしたら、何の為の供養だろう。

だが、こうして霊堂などに行き、
たくさんの見も知らぬお仏壇の中の遺影を目にする時、
たとえ、その方の事を全く知らなかったにしても、
生前は色々とあったでしょうが今は安らかにお眠りくださいと、
やはり心の底から、願うのである。





2003年11月02日(日) 映画「麻雀放浪記」。。

今日は、DVDとビデオをレンタルしてきた。計6本。

お目当てのが全部借りられていたので、
前々から見てみようかしら?と少なからずは思っていた映画を、
新旧取り混ぜ、それとなく選んでいたら、結構な本数。

深夜、その中の一本「麻雀放浪記」を観た。

レトロな白黒の画面やセットもよく出来ていて、いい映画だなぁーと思う。
最初は麻雀だけの映画だと思って軽い気持ちで見ていたら、
いろいろと人間模様も描かれていて、見終わった後はなんだかせつなかった。

賭け事好きのどうしようもない亭主にとことんほれている女房役の大竹しのぶを見ていたら、あのフェリーニの「道」の主人公の女の子を思い出してしまった。

情の深さやけなげさが、愛らしいのを通り越して、なんだか哀しい。
国が違ったり、時代が移り変わったにしても、
こういう希少な女の人はどこかには生息していそうな気がする。

それにしても戦後の焼け跡の雰囲気が良く出ていて、
一体どこにセットを作って撮ったのだろうと思った。







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izumi [HOMEPAGE]

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