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2005年03月18日(金) 搾取される萌えオタ

僕は、オタクは否定しないし、いわゆる「萌え」という感覚は理解はできるものの、自分が二次元キャラに萌えられるか、というと難しい。

僕にとっては、「三次元ブス>二次元美女」だ。
きっとそれは、予想外の展開を期待しているからなのだろう。
二次元世界の住人は、自分で設定をできる事が二次元の優位性だと、主張する。
それは、それでアリだろう。
趣味の問題だ。
僕は、予想できない、読めない三次元の世界を好む。
現実には、ほとんどの場合において、三次元ブスの思考は先読みできる。
だけど、予想できない展開もなくはない。
どうして俺様がこんな三次元ブスに約束をすっぽかされなくてはならないんだよっ。
それは、三次元ブスだからこそあり得ること。
それが三次元での楽しみであり、風流だ。

僕は二次元萌えキャラで萌えられない。
趣向の問題だろう。
萌えキャラの設定が、僕の性欲を刺激しない。
やはり「三次元ブス>二次元美女」。
僕の妄想力が足りず、萌えキャラを性的好奇心を持って見ることができない、という旧世代の人間だからかもしれない。

僕は「萌えキャラには萌えられない」と女友達に言った。
「正常だと思う」。
でも、世の中には萌えキャラに萌える人がたくさんいるのだ。
僕は、萌えキャラに萌えられない。
これは、一種の欠陥なのではないのか?
僕は、二次元、仮想世界の人格に対して萌える、という感覚は理解できなくはないものの、萌えキャラとされるアニメやエロゲーに性的好奇心が向かない。
二次元世界にパラダイスを見つけることができた人は幸福だ。
僕の性欲は、二次元世界では満たされなかった

仮想人格に萌える、という事はじゅうぶんあり得ることだと思う。
劣化することなく、かつ自分の欲望にのっとった設定を自由にできる。
それは否定しない。
でも、それがどうして「妹萌え」だったり「猫耳」だったりするのか、については、悟りに達していない僕の精神では理解できない。
「ツンデレ」はわからんでもないが(これは僕が単に「ツンデレ属性」ってことか?)。
悟りというよりも、単純に性欲の対象にならない。
設定を理解できていないだけなのかもしれない。

二次元と三次元の乖離を妄想で埋めよう、という気持ちは理解できる。
二次元世界のキャラクターはビット数が少ない。
デフォルメされたベタ塗りのキャラ。

僕がクリエイターで活動の拠点がNYだった頃、米国人は日本のアニメーション、ゲームを絶賛していた。
理由を尋ねると、キャラクターのシンプルなラインとベタ塗りの絵がいい、と言う。
何人かの米国人クリエイターは、日本から送られてきたキャラクターデザインに対し、頭が、眼が大き過ぎる、とクレームをつけた。
リアリティーの喪失だと。
でも、大半の米国人クリエイターは、そのデフォルメされた絵をデフォルメとして理解し、受け入れた。
僕の説明に全員が納得した。

ビット数の少ないキャラは、脳内補完が可能だ。
少ないビットに対して妄想で補完することができる。
妄想とフラグで自分の欲望を達成することができる。
作り手としては、敢えてデフォルメしてキャラクターの性格を明確にするとともに、受け手による脳内補完の余地を残す。

今、萌えの世界は日本が世界に誇る次世代の産業として注目を浴びている。
萌えには全く興味のない大人が、ビジネスとして参入しつつある。
萌えの世界は、自己完結した閉域経済である。
ネタが提供され、それが同人というカタチでコピー、改変され、その同人で儲けた収益がさらに萌えに再投資される。
萌えで儲けても、それをまた萌えに再投資する、という閉じた経済圏。
そこに搾取だけを目的とした大人が介入を目論んでいる。
萌えの崩壊。
萌えをバカにしつつ、ビジネスとして純粋に粛々として遂行する大人達。
一部のオタクはそれを見抜くだろう。
だけど、多くのオタクはビジネスに乗せられ、搾取される。

やっぱり僕にとっては、「三次元ブス>二次元美女」。
攻略本の存在しない、コンサルタントでいえば「○○成功の法則」的なものが存在しない世界のほうがエキサイティングだ。
「○○成功の法則」などというアホ本を出版しているコンサルタントはアホだ。

これは、ただ趣向の問題だ。
僕は、予測できず、コントロールできないものが好き。
ある人々は、予測可能で自分でコントロールできるものが好き。
ただ、それだけなのかな、と。

自己完結した経済社会を形成している萌え社会に対して、ビジネスとして大人が介入しつつあるのは事実だ。
僕は、そっと生暖かく見守るべきなのではないか、と思う。
オタクも自分達の意志だ、コンテンツのクオリティーが全てだ、と信じつつ、現実はビジネスの中に取り込まれてしまう搾取される側になりつつあることに気づいたほうがいい。
萌えオタに受ける要素はビジネス社会からは解析済みだし、ビジネスとして取り込む準備も整っている。
萌えコンテンツを提供するために自らが萌えオタになる必然性は無い。
萌えオタの好むコンテンツを理解し、それがビジネスとして成立するのであれば、提供するまでだ。

僕は、仕事として萌えにはかかわらないつもりだし、萌え系の人間でもない。
でもね。
萌えの方々は、自己完結型の経済世界から搾取されている側になりつつあることに気づいた上で行動したほうがいい。
大人は恐いよ。




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