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2002年09月05日(木) ■ |
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昔のこと |
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「うわあぁぁん! すずきのバカヤロー! どっかいっちゃえー!!」
泣きながら走り去る友人――佐藤少年を見送る鈴木少年、この時小学二年生。 「・・・いったい、どうしたんだ」 ぼんやりと佇む少年の手には、ギチギチと凶悪な鳴き声をあげながらワシャワシャ暴れているカブトムシらしき甲虫が一匹。 下校中の鈴木が見つけて捕まえ「めずらしいだろう」と佐藤に見せた。 ・・・までは良かった(?)が。
佐藤が覗き込んだその甲虫には――足が八本と鋭く小さな歯が生えていた。
そのあまりの恐怖に泣きながら逃げた友人の心境を知ってか知らずか、鈴木少年、 「いえにかえったら、本でシラベてみよう」 捕まえた虫を、あろうことか上着にくるんで持ち帰る。 帰宅後その事実を忘れ、放置していた上着を広げた母親に、 「服が汚れるでしょう?!」 と、雷を落とされることになるのはまた別の話であった。
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