散歩主義

2003年02月14日(金) 平家物語の前夜。

昨日書きそびれていた、「状況」。
いまひとつまとまらないままに、夜になり、夕刊を開いて少しヒントを見つけました。例によってコラムなんですが、ここのところ面白いコラムを書いておられる、大塚ひかりさんの「平成不況と恋」と題された文章です。

その前段として昨年、松本隆さんと一度だけチャットでお話したときに「平家物語」というのが出てきたことというのがあって、昨今の社会状況。特に9.11以降は前代未聞の不況とあいまって、まさに「おごれるものは久しからずや」の状況に被る姿を見ておられるのだな、と。

それと、歴史的に状況を切開しようとする人たちに「信長待望論」を語る人もいました。しかし、安土桃山よりも事態は深刻で、むしろ平安末期に近いのではないかとぼくも認識していたのです。

そこで、大塚ひかりさんのコラムなのですが、ひいておられるのは「源氏物語」です。で、内容は「源氏物語」は貧乏の苦しさが満載になっているという指摘。まぁ、ずはりそうだなぁ、という指摘ですね。
例えば末摘花の家は泥棒も避けるほどの極貧で、まともなひとはみんな転職してしまい、年寄りの女房だけが残っているというありさま。おまけに本人もがりがりに瘠せて、時代遅れの男物の毛皮で寒さをしのいでいる、と。宇治十帖の八の宮も娘の乳母に逃げられ、自ら子育てをする有様。

「源氏物語」では皇族が落ちぶれていくんですね。変わって受領などのあらたな金持ち階級の出現も記しています。
大塚さんによれば「源氏物語」より二十年前に書かれた漢詩文「池亭記」にはバブル真っ只中の状況が書かれているとか。

ぼくが、そのとおりだと思ったのは大塚さんの次の指摘。
『ひょっとして「源氏物語」成立当時、バブル崩壊後の不況と階層分化という今とよく似た状況があったのかも』
いや、まさにそのとおりでしょう。

あとは日本史が示しているように「武士の到来」がやってきます。実は日本史の学者の中では平清盛の再評価が高まっているのです。
少なくとも停滞した藤原氏の専制を打ち破り、時代に風穴を開けた。そういう意味で。そこから、鎌倉時代までの動乱の時代。
昔の百年が今の10年、いや5年だとしたら、現代の動きは急です。しかも国際状況も絡んでくる。

はたして平清盛は現れたのでしょうか。平安の美徳とされた「恋と美」の意味の奪い返し。つまり、貴族特権階級だけの「恋と美」の破綻を、紫式部は救おうともしませんでした。
「恋と美」。平家物語にはどう伏流しているでしょう。
今日ぐらいから、その点に絞って読んで見ようかなと思っています。

現代の清盛は果たしてだれでしょう。ひょっとしたら…。


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