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2004年10月24日(日) スルー力(するーりょく)

情報過多の時代を生き抜くために必要なスキルは「スルー力(するーりょく)」である。
スルー力とは、脳内で余計な情報をスクリーニングし、必要な情報だけを得る力のことである。

僕は、メールニュース、インターネット、新聞、雑誌、テレビと溢れる情報ノイズの洪水のなかで生活をしている。
毎日数十通のメールニュース。
無節操にHDDに取り溜めたテレビ番組。
読み終わる前に次号が届く定期購読の雑誌。
暇があったら携帯経由ででも目を通す2ちゃんねる。
僕は、摂取している情報の絶対量が一般の人に比べて多いぶん、ノイズも圧倒的に多い。
質より量の情報のなかで生きている僕にとって、スルー力は重要である。

僕にとっては、溢れるノイズをいかに効率よくスルーするか、が重要になる。
質より量の情報に接するので、脳内スルー力は必須スキル。

僕は新聞を読むのがとてつもなく早い。
メールニュースやウェブサイトの記事を読んでいる速度も、本当に読んでいるのかよ、というくらいの高速スクロール。
もちろん全ての文字をきちんと読んでいるのではない。
不必要な文字を脳内でスルーしているのである。

僕は新入社員時代、メーカーの広報宣伝部に所属していた。
広報宣伝部の新入社員の仕事は、クリッピングである。
クリッピングとは、早朝に出社し、大量に届く新聞雑誌の全てに目を通し、自社や競合企業に関する記事を素早く見つけ出し、切り抜きをする作業である。
クリッピング当番は、午前9時までに役員に切り抜きのコピーを届けなくてはならない。
時間のないなかで、新聞や雑誌から関連する記事を素早く見つけ出さなくてはならない。
記事をマトモに読んでいては間に合わない。
新聞の紙面全体を絵として捉え、関係のある文字をすばやく浮かび上がらせなくてはならない。
速読法に似ているかもしれない。
クリッピングの仕事をしばらく続けていると、必要な文字が紙面のなかから、見事に浮かび上がって見えるようになってくる。
僕は、当時鍛えられた脳内スルー力が今も生きているので、今でも新聞を読むのが異様に早いのである。

人間には生来的にスルー力が備わっている。
日常的に目で見たり、耳で聴いたりする場合にもスルー力を使っている。
目でモノを見ても意識的に見る事をしなければ、見えない。
耳で音を聴いても同じく意識しなければ、音は聞こえない。
意識して見たり聞いたりすることにより、脳で認識される。
意識により、認識力はコントロールされている。
人間は全ての情報を均等に認識するようにはできていない。
人間は目に映った全ての映像、耳に聞こえる全ての音を認識しているのではない。
意識することによって、はじめて認識する。
必要な情報のみを認識している。
そして同時に、僕らは渋谷の雑踏のなかで、待ち合わせた友人を瞬時に見つけ出す能力を持っている。

脳は入力された情報のなかから、必要な情報だけを認識し、理解するようにできている。
今の時代は、このスルー力を最大限に活用しなくてはならない。

スルー力が大切なのは、摂取する情報ソースそのものを減らしてはならないからだ。
情報が洪水のごとく溢れているからといって、ノイズのないスクリーニングされた情報だけを摂取していて良いというわけではない。
ノイズのなかにこそ、重要なヒントが隠されていたりする。
ノイズがなければ、情報の幅が生まれない。
情報は情報として、ノイズも含めて脳内に入力し、スルー力によって、必要な情報のみを認識する能力が必要なのだ。

情報をスルーする力を磨き、大量のノイズのなかから何かを見つけ出すスキルが重要なのではないかと思う。




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