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2004年10月23日(土) 極私的デジタルデバイド解消と放置プレイ

実家のインターネットインフラがあまりにも貧弱なので、無理矢理気味にADSLと無線LAN環境を導入した。

僕の実家は両親と妹がいる。
僕は帰省する度にPCを持ち帰り、家族全員にPCを一台ずつあげた。
父と妹はVAIO、母はThinkPad。
妹は大体使えるが、両親はほとんどPCが使えない。
父親は仕事で使わない事もないらしいのだけれど、基本的に使えない、と言って良い。
母親はPCに触れたこともない。

僕は全くPCに触れたことのない母親にPCの使い方を教えることにした。
母親専用のThinkPadに無線LANと環境はそろっている。
極私的デジタルデバイド解消のためにも、母親にはPC操作を覚えてもらわなくてはならない。
母親は携帯でメールを打つことはできるが、PCはおろかワープロすらも触ったことがないので、キーボードも打てないし、マウスも使えない。

僕はまず、ブラウザの使い方を教えることにした。
メールは携帯を使っているので、必要ない。
PCの起動と終了、クリックの仕方を教える。
ダブルクリックとシングルクリックの使い分けが、なかなかわからないようだ。
何度もソフトの起動ができない、と文句を言う。

次にブラウザの使い方。
事前に母親が使いそうなブックマークは設定しておいたので、とりあえずクリックすれば情報が得られることを教える。
簡単なことだけ教えて、放置する。
天気予報やらショッピング情報、旅行情報などをおたおたしながらも調べることができるようになる。

次にサーチエンジンの使い方を教える。
検索キーワードを入力するためには、キーボードを使わなければならない。
ワープロすら打ったことのない母親にとっては、ハードルである。
ここでまたもや放置プレイ。
少しだけ教えて、悩んでもらう。

僕の教え方は基本的に放置プレイである。
10の知識が必要な場合にも、まずは3くらいしか教えない。
実際に必要な知識の3割程度の情報だけを与え、悩んでもらう。
スキルというものは考えて、手を動かさないと身に付かないので、悩んで試行錯誤してもらう。
そして、そろそろ教えた方が良いかな、というタイミングで助け船を出す。
案の定、母親はおたおたとPCを操作している。

これは、仕事中でも変わらない。
全てを教えず、敢えて悩んでもらう。
自分のアタマで考え、手を動かしてもらう。
そして、そろそろかな、というタイミングで助け船を出す。
悩んでいないようだったら、そのまま放置する。
ちょっと迷っているだけの場合も放置する。
常に注意深く様子を見つつ、見ていないフリをする。

たぶん、僕と仕事をしたことのあるスタッフであれば、このような僕の放置プレイを体験していることだろう。
放置プレイで教えるためには、教える相手からは常につかず離れずの距離にいる必要がある。
悩んでいる様子を常に確かめ、教えるタイミングを見計らっているので、離れる訳にはいかない。
常に近くにいるけれど、タイミングが来ないと教えない。
学校のように、手取足取り細かく教えたりはしない。
考えて、手を動かし、悩んで学べ!

細かく丁寧に教えたり、事細かに指示する人も多いけれど、僕はそれは良くないのではないかと思う。
プロセスまで細かく答えを与えてしまっては、その人は決められたことしか覚えない。
知識としては覚えるかもしれないけれど、応用が効かなくなる。
放置プレイは教える側も教わる側も面倒だけれど、結果的には多くを得られる。

小さなことからこつこつとデジタルデバイド解消活動にいそしむ僕なのであった。




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