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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」

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2004年10月15日(金) 自律した部分であり、無意識のなかでは全体である僕

本日は移動日。
自宅のある横浜からクルマで関西の実家へと移動。
距離は約600キロ。

自宅も実家も高速道路のインターチェンジに近いので、行程のほとんどは高速道路。
帰省時はほとんど深夜に移動するので、昼間の高速道路を長距離に渡って走行するのは久しぶり。
昼間の高速道路はねずみ捕りも多いので、「なるべく」流れにのって走る。
120キロ程度で巡航し、ダレてきたら160キロ程度まで加速。

流れに乗って高速道路を走行していると、妙な感覚に襲われる。
高速道路や走行している他のクルマとの一体感である。
渡り鳥や魚の群れは、個別の鳥や魚で構成されているのに、群れになると集合体として意識を持っているかのごとき動きを見せる。
あたかも、群れそのものが意識を持っているかのごとき動き。
高速道路を走る僕も同じような感覚を感じる。

僕自身は独立したクルマを運転している。
マニュアル6速、といった極めてアナログなインターフェイスを持ったクルマを運転している。
視覚を中心としたインプットを得て、アクセル、ブレーキ、ミッション、ステアリングを通して、運転というアウトプットを出力する。

クルマの運転は、「無意識」によるところが大きい。
ほとんど「無意識」にステアリングを切り、アクセル、ブレーキを操作し、適切なギアチェンジを行う。
インプットからアウトプットまで、全く無意識、というわけではないけれど、ほとんどの運転操作はほんの少しの意識で完了する。

だが、僕のクルマは時速120キロで西へと着実に進む。
周囲のクルマの動きと連携を取りながら、交通の流れを乱すことなく、移動を続ける。
僕は、自分のクルマだけではなく、他のクルマ、高速道路インフラと一体化する。

僕のクルマには、GPSやVICS、カーコンピュータが搭載されている。
GPSにより現在位置を知り、目的地までの所要時間を知る。
VICSにより、渋滞情報、規制情報、サービスエリアの駐車スペースの混雑状況を知る。
カーコンピュータにより、ガソリンの残量や燃費状態を知る。

VICSの情報で、名神高速の京都東から大山崎までが工事のため、通行止めと知る。
カーナビゲーションシステムは走行コースのナビゲーションを、京都東から大山崎を迂回した京滋バイパスを利用したコースに切り替える。

僕という身体、クルマという外骨格、高速道路のVICSやGPS衛星からのアシストを得ながら、僕は、高速道路を走行する他のクルマと協調を取りながら走行する。

僕は、自分の身体が様々なインターフェイスを通じて、高速道路と一体化しているような感覚を得る。
身体とテクノロジー、そして他者。
ほとんど意識することなく、僕は一体化して高速移動する。
自律した自己であり、部分である僕は、テクノロジーと集合意識によって構成された全体意識のなかに無意識に取り込まれ、協調する。

僕は自律した部分であって、無意識のなかでは全体である。
高速移動しながら、なんだか不思議な感覚を得た。




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孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように

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