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2004年08月05日(木) 若い頃のじじい人脈は年を取ると役に立たない

僕は、昔、「じじいキラー」と呼ばれていた。
新卒で、某大企業の本社に配属されたので、新卒のときから、役員や事業本部長みたいな「じじい」と接する機会が多かった。

当時の僕はクソ生意気な若造だったのだけれど、「じじい」から見れば、「ワガママな孫」に見えたらしく、逆にかわいがってもらえた。
僕は、恐いもの知らずで、クソ生意気で、ワガママだったので、「じじい」のところに人も金もかかる様々な企画を持っていった。

僕は「じじいキラー」だったので、予算をガンガンつけてもらえた。
当時はバブル期だったので、予算は億単位で、際限なく使いまくった。
新卒の若造だったので、社内の人はつけてもらえず、外部の広告代理店やシステム開発会社のリソースを金の力で動かして、仕事をした。

僕の職務経歴書を見ると、自分で見ても「凄いなあ、こいつ」と思うのだけれど、それは金の力によるものである。
一般のサラリーマンが会社の言いなりになっていては、職務経歴書は決して凄いものにはならない。
地道な努力と、配属の運に左右される。
僕は、地道な努力も配属の運もすっ飛ばし、「じじい」から金(予算)を奪い取る事で実績をあげてきた。
素手で実力のみで成果をあげられるほど、僕は優秀じゃない。

おかげで、社内だけではなく、財界の大物系の人脈も20代の後半にはそこそこできた。
ベンチャーキャピタリストやエンジェル、と呼ばれる投資家も寄ってきた。

で、今、その人脈はどうなっているのか?

実は、全く役に立っていない。

それは、僕の人脈が10数年前の時点で既に「じじい」だったからである。
当時の偉い人は、既にビジネスから引退しているか、鬼籍に入っていたり、なのである。
自分が若い頃に培った「じじい人脈」は現在、全く機能していない。

逆に、当時中堅どころだった方々が、今は、偉くなっている。
ただの先輩、としてしか見ていなかった方々が今は、偉い人。

僕は、先輩達とも仲良くやっていたので、問題はないのだけれど、「じじい攻略」ほどには露骨な工作活動は行なってこなかったので、イマイチ、分が悪い。
先輩達は僕の強引なビジネスのやり方を見てきているので、警戒もされる。
また、僕が新卒で入った会社には同期が2、000人いたのだけれど、僕は「じじい」しかいない本社ビル勤務で、同期達が配属されているビルとは離れていたので、同期や年齢の近い先輩からは完全に隔離されていた。
自分の同期入社の人間との付き合いは全くといっていいほどない。

そのうえ現在は、戦略コンサルタント、という職業柄、僕の仕事の裏には必ず、特定の大企業なり、政府機関といったクライアントが存在する。
僕の昼間の活動は、特定企業の利益のため。
守秘義務があるので、僕は自分のクライアント名はヒントすら出さない。
社外の人とは、仕事の話を抜きにしたプライベートな会話は問題ないのだけれど、仕事の話は非常にやりづらい。
と、いうかできない。
僕としても、知っている情報がたくさんありながら、話す事はできない。
クライアント以外の外部企業の方々とお話すると、化かし合いと化す。
ウソは言わないけれど、知っている事を話さない。
知っていても話さないのはウゾつきではないけれど、ウソつきと同じ。

よって、僕の仕事に関係する外部人脈は、弱くなる一方である。
夜の飲み友達しか残らない。
本社勤務だったので、当時若かった同期や先輩の友人は非常に少ない。

巨額の金と強力な人脈を失った今、僕は自分のチカラだけで仕事をせざるを得なくなった。
億単位で僕に投資してくれるような人脈はもうない。

まあ、それはそれでいいんだけど。
遊んでくれる人はたくさんいるし。

若いときの「じじい人脈」は、自分がある程度の年齢になった際には役にたたない。
先輩や同期ともっと仲良くしておくべきだったなあ、と思う。




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