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2003年10月23日(木) サイフのなくなる日

昨日、非接触ICカードの携帯電話への搭載について書いた。
携帯電話はサイフの機能を全て取り込もうとしている。
もっと言えば、普段持ち歩くもの全てを携帯電話に取り込もうとしている。

まず、携帯電話にサイフの全ての機能を取り込むことは可能か?
答えはYes。

サイフに入っているものは全て「情報」である。
僕のサイフに入っているものは「現金」「クレジットカード」「銀行キャッシュカード」「Suica」「パスネット」「免許証」「メンバーズカード」「ポイントカード」「自動車保険の証書」「領収書」である。
これらは全て情報。
プラスティックや紙などの物理的な形状を採ってはいるが、本質的には「情報」である。
サイフに詰まっているものは全て「情報」なのだ。
「情報」であれば物理的に持ち歩く必然性はない。
データとして持ち歩けば済む。
携帯電話に全て取り込む事が可能である。
社会制度等の課題はあるだろうけれど、技術的なハードルは全く存在しない。
「できる」「できない」の問題ではなく、「やる」「やらない」の問題だ。

サイフの機能を携帯電話に取り込むことは可能である。
きっと時間の問題で、僕らはサイフを持ち歩かなくなるだろう。

携帯電話会社の最終目標は、普段、持ち歩くモノの全てを携帯電話に取り込むことである。

普段持ち歩く時計だとか、カギだとかは容易に携帯電話で代替可能。
携帯電話の時計で十分だから、と腕時計をしない人は多い。
カギも非接触ICカードを応用すれば代替可能だ。

携帯電話はもはや携帯「電話」ではない。
日本の携帯電話会社の収入は基本は通信トラフィックだ。
だけど、これから携帯電話に求められる機能は必ずしも通信トラフィックを必要としない。
日本の携帯電話の垂直統合モデルは今までは大変うまく機能したけれど、これからはバリューチェーンの解体が必要となる。
今後は、必ずしも通信トラフィックを伴わない機能が携帯電話には求められる。
と、なると携帯電話会社は自社の収益に関係のない携帯電話機能のために投資をすることになる。
ユーザーは通信トラフィックと関係のない機能を求める、携帯電話会社はトラフィックを求める。
そこには大きなギャップがある。
現在は携帯電話会社が自社のシェア獲得のために、通信トラフィックと関係のないメガピクセルカメラやTVチューナーを搭載しているが、これらは本来、通信トラフィックにて収益を上げる携帯電話会社にとっては何のメリットもない。
よって、このような通信トラフィックを伴わない携帯電話の高機能化は長くは続かない。
そろそろ携帯電話本体の販売と通信キャリアとしてのビジネスを分割しないと立ち行かない。
携帯電話がサイフ機能を持ったからといって、お金を使うたびにパケット料金が発生するとすれば、それは完全なサイフとは言えない。

携帯電話は通信端末ではなく、持ち歩くべきモノ全てを代替するツールとして進化して欲しい。
そのために必要なのは、まずは携帯電話にGSMのようにSIMカードを採用し、携帯電話本体の販売と、通信ビジネスの部分を完全に分けることだろうと思う。
携帯電話ビジネスの垂直統合されたビジネスモデルの解体が至急必要だ。




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孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように

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