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2003年06月02日(月) 「時価会計選択制導入見送り」なんて当たり前じゃボケ

「時価会計選択制」の導入が見送られた。
既に企業は時価会計に移行済なのだけれど、簿価で会計をしても良いことにしろ、というワケのわからない、要求が退けられた。

当たり前である。

アホな要求をしていた負け組み企業の言い分は、バブル期に高値掴みした株は、取得時の簿価で評価させてくれ、下がりまくって紙くず同然になった時価では評価しないでもいいようにしてくれ、というものである。
時価会計を導入することにより、自社のバランスシートが最悪なのがバレたら、株式市場に悪影響を及ぼし、ひいては景気を悪化させる、というものである。

そんなアホな。

そもそも株式市場は、そんなインチキ会社の簿価会計の有価証券報告書など全然信じていない。
インチキ会社が簿価で報告しようと、セコい財務上の小細工をしようと株式市場は時価で正確に見ている。
企業が、時価で発表しようが、簿価で発表しようが、知ったことではないのだ。
株式市場はそれほど、アホではない。

インチキ会社は投資家が素直に、企業が出してくる財務諸表をそのまま素直に信じて投資している、とでも思っているのだろうか?
簿価になって、業績が名目上良くなったからと言って、株価が上昇することはない。
逆に時価になって、損失が計上されても株価は下がらない。
そんなものは既に織り込み済みである。
そういった要素も含めて、考えられる全ての要素が織り込まれたうえで、株価は形成されるのである。

株式市場は「万能」であり、「神」なのである。

マーケットはそんな小手先のインチキなど全てお見通しだ。
株価が変動するときは、必ず正当な理由がある。
株価は何らかの「波動」みたいなもので動いているように見えても、後で検証すれば必ず変動の正当な理由が見つかる。

株価とは本来、当該企業が将来生み出すであろうキャッシュフロー(お金)を全部足して、そこから金利や資金調達コスト、リスク分をディスカウントした(割り引いた)ものである。
とっちゃん坊やの平蔵ちゃんが、いつも言っているDCF(ディスカウントキャッシュフロー)と意味は同じ。
リスクとは、地震や雷やゴジラや北朝鮮やスカラー波や社長の不倫疑惑やズラ疑惑のような、企業の事業リスクを言う。
それを発行済み株式数で割ったものが株価である。

株価とは、企業の会計手法ごときに左右されるものではない。
マーケットはその企業の本質を見事なまでに見抜く。

マーケットの論理で言えば、簿価で報告しようが、時価で報告しようが、どうせ時価でしか評価しないんだから、素直に最初っから時価で報告してくれよ、というだけである。
いちいち、時価に直すとどのくらいなのかなあ、などと類推するのが面倒なので、最初っから時価で報告してくれよ、というだけである。
仮に、企業がインチキ会計により、マーケットを騙せたとしても、永久に騙し続けることはできない。
インチキがばれたら、そのときの下落幅は目も当てられない。
インチキで株価を維持することのメリットよりも、マーケットの信頼を失うことのほうがダメージが大きい。

企業は小手先のインチキ会計なんかやってないで、素直につつみ隠さず報告すればいいのである。
結局のところ、正しく透明性のある財務報告をしているほうが企業にとっては「得」なのである。

■時価会計選択制導入見送り
http://www.asahi.com/business/update/0602/059.html




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