| 2013年09月10日(火) |
アン・クリーブス著「大鴉の啼く冬」読了 |
犠牲になった(なりかけた)少女3人には共通点があった。名前がCで始まること、そしていかにも自分が偉そうに行動すること。それは他のごく普通の人間を死に至らしめる程、一瞬にして憎しみを買うのだった。二番目の殺人が起こった時、村人たちはみんな殺人現場のすぐ近くにある家に住む知的障害のある老人マグダフが犯人だと思った。彼は一番目のまだ遺体が見つからない少女の殺害者だとみんな思っていたが、証拠がなかった。ときたま挟み込まれる彼のモノローグ、母親が誰にも言ってはいけないと言った言葉。実は母親こそがその少女を殺害したのだった。幼くして死んだ自分の娘のおもちゃを決して返そうとしない少女に怒りを爆発させたのだ。二番目の殺害はキャシーという映画製作に心血を注いでいる高校生。彼女の唯一の友人であったサリーは、教師をしている母親のせいで、友人もなく、生まれたときからシェトランド島で孤独だった。誰もが十人全員について知り抜いている閉鎖的な世界。そこへやってきたキャシーは自由だった。人が何と思おうと、自分を通した。そんな彼女を見ているとサリーのこれまでの苦しみは一体なんだったのだろうと思わせられる。ペレスと言う警部がなかなか魅力的だ。フェア島で牧場を営む生活も可能であるという局面でやはり警部を選ぶあたり面白い。とにかく最後の最後まで犯人はわからなかった。意外性という点では、最高だ。そういえば、キャシーが題名としても、またそのモチーフとしても使ったフロストの炎と氷という英詩は学生時代に授業で習い、特に記憶に残っているものだ。人類の最後は炎に包まれるものかもしれないし、冷たい氷に包まれえて滅びるのかもしれないという、印象的なものだった。
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