| 2003年03月04日(火) |
村上春樹「1973年のピンボール」 |
この薄っぺらな一冊に一体何日かかるのだろうとあきれるほど長い間バッグに入れて持ち歩いていた。しおり代わりにはさんであった紀伊国屋のレシートには2月4日と書いてある。 ということは偶然にもちょうど一ヶ月かかったということだろうか。
あまりストーリー性がなく、どこからでも読み始められるということもあり、思いつくままに適当なページを読んでいたように思う。 題名は大江健三郎の「万延元年のフットボール」のパクリだろうか。 (密かに考えていたら弟にもそういわれた)
ピンボールというゲームにはうといが、(せいぜい旅館のゲームコーナーでさわったことがあるくらい)主人公がのめりこんでいた3フリッパーのスペースシップなる台を主人公は「彼女」と呼ぶ。
以下はその一節だ。
あなたのせいじゃない、と彼女は言った。 そして何度も首を振った。 あなたは悪くないのよ、精一杯やったじゃない。
「違う」と僕は言う。 中略 違うんだ、僕は何一つできなかった。 指一本動かせなかった。 でもやろうと思えばできたんだ。
人にできることはとても限られたことなのよ、と彼女は言う。
私は思う。 誰かがそう言ってくれたらどんなによいだろう。 「あなたは悪くはないのよ、精一杯やったじゃない」
それでも私は主人公のように答えるだろう。 何一つできなかった、やろうと思えばできたのに。
人に出来ることはとても限られたこと....この勇気のなさ、怠惰さ これもそんな言葉で許されることだろうか。
私の情けない日々を、村上春樹なら許してくれるだろうか。
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