***☆For My Dearest☆***



***☆For My Dearest☆***

男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

MAIL

HOME

BBS
BACK INDEX NEXT

2002年10月26日(土)ずっと一緒にいたいから。

朝起きて。カーテンを開ける。
そこに太陽の眩しい光はなくて。でも雨も降ってなくて。
どんよりした曇り空が広がってた。
なんか。泣き出しそうな空の色やと思った。
晴れることが無理なら。いっそのこと雨を降らせればいいのに。
中途半端で。泣くこともできない。あたしみたいな空。

昨日そうるに冷たいことを言われて。
あたしの心はどうしようもなく沈んでた。
練習に行くのもちょっと気が重かった。
たぶんそうるは。何もなかったように普通に接するんやろう。
たぶんあたしも。ちょっと無理して笑ったりするんやろう。
そうやって。きっと傍目に見たら何の問題もないように装って。
平気そうに演じてるうちに。嫌なことはすべて忘れられたらええのに。
そんなことを考えながら。あたしはグランドに向かった。

グランドにはまだそうるは着いてなくて。あたしは少しホッとした。
みんなの顔を見ると。そうるのことをちょっと忘れられた。
いつもと変わらず笑える自分に安心した。大丈夫やと思った。

それから10分ぐらいして。そうるのバイクが到着した。
JIBバックを肩にかけて。そうるが歩いてくる。
「おはよー。」「おっすー。」みんながそうるに声をかける。
そうるはそれに答えながら。あたしのいるベンチに向かって歩いてきた。

あたしは。そうるの顔が見られなくて。うつむいてスパイクを履いた。
そうるは。あたしの横にバックを置いて。黙って着替え始めた。

沈黙が重くて。あたしは息が詰まりそうになってた。
今そうるが何を考えてるのか。あたしに何を言いたいのか。
そして。あたしはそうるに何を言うべきなのか。
ぐちゃぐちゃ考えてたら。泣きそうになってきた。

うつむくあたしの頭に。そうるの手が置かれた。
ポンポンっと2回。黙って。あたしの頭を叩いて。
そうるは。今日のメニューを相談しに。副キャプのとこに向かった。

そうるは何も言わんかった。でもあたしには。
そうるの言いたいことが。痛いくらいに伝わってきた。

今からは練習。とりあえずは関係ないことは忘れてや。集中してや。
きっとあたしに。そう伝えたかったんやと思った。
それは。そうるの自分勝手な言い分にも聞こえるけど。
真剣に練習したいはずあたしを思っての。そうるの優しさ。
あたしには。それがちゃんと伝わってきた。

あたしは首をブンブン振る。忘れなきゃ。忘れなきゃ。
やる時は真剣にやろう。そう思って。気持ちをどうにか切り替える。


アップのとき。そうると順番が前後になる。
そうるがあたしからパスをもらう時。あたしの名前を呼ぶ。
あたしはそれに答えて。そうるの名前を呼んでパスを出す。
そうるに名前を呼ばれるだけで。あたしは心が震える。
そうるの名前を呼ぶだけで。あたしは泣きそうになる。

何が「忘れる」やろう。何が「気持ちを切り替える」やろう。
こんなにもこんなにも。不安で押しつぶされそうになってるくせに。
あかん。しっかりせな。ちゃんとせな。そう思って。
あたしは。心を鈍らせて。何も感じないようにしてた。
ひとつひとつのプレーにだけ頭を使って。集中して。挑んだ。
そのせいか。練習が終わる頃には微妙に頭が痛かった。

とりあえず。没頭してたら4時間の練習はあっという間に終わった。
練習が終わってから。予想してた通り。そうるはあたしを呼んだ。
「会計のことでキャプと話し合いー。」って。
友達にウソをついて。先に帰ってもらう。
そしてあたしは。バイクにまたがったそうるのところに行く。

「昨日のことな。キツかったかと思って気になってた。」
開口一番。そうるはあたしに言う。あたしは黙って聞く。
そうるはさらに。言葉を続ける。指はミラーの縁をなぞってた。


うち最近・・・とゆーか前からやけど。けっこうバイトとかしてるやん。
分かってると思うけど。うちって予定入ってないと落ち着かへん性格やん。
だから。けっこうカツカツな生活してるんやけど。
それで。ここからはうちの悪いとこやねんけど。
普段は別に気にならんのに、自分がしんどくなってくると、
自分と違うことやってる人がうらやましくなったりするんやん。
例えば。のんびり自分のペースでやってるあんたのこととか。
それで昨日みたいに当たったりしてまうんやと思うねん。ごめん。


またキツイことを言われるかと思ってたのに。
謝られるなんて思ってもいなくて。あたしは驚いた。
そうるは。昨日はバイトが相当忙しかったらしい。
客足も全然途絶えなくて。新人のミスとかもかばったりして。
なんだかんだで疲れて。イライラしてて。
そんなときにあたしがヒマとか言ったもんだから。
ついついあたしに当たったんだと言う。

あたしは前にそうるに言われたことを思い出す。
(日記にも書いてました。こちらの日記です。)
そうるは、自分にとって近しい人にほど、
自分の弱い部分を押し付けるようなことをしてしまうってこと。
そうるだけじゃない。あたしにもそういうとこはある気がする。
そしてそれは。そうるとあたしだと形が全く違う。

そうるの場合。相手に冷たく当たったり突き放したりすることで。
あたしの場合。相手に愚痴ったり絡みついたりすることで。
そういうのを。お互いに対してついついやってしまう。
カタチは違うけど。どっちもお互いに心を許しているからこそ。
自分にとって。その時1番ラクなカタチをとってしまう「甘え」やってこと。
あたしは。あのとき確かに理解していた。それなのに。

あぁ。またやわ。また見えんくなってた。
しんどいそうるの気持ちに。疲れてるそうるに。
あたしはまた。気づいてあげることができんかった。

あたしはそんなふうに。そうるの言葉を聞いていろいろ思ったけど。
それでもやっぱり最初に感じたことは伝えたいと思って。
バイクのハンドルをいじりながら。そうるに話した。


折り合うことって大切やんね。分かり合おうとすることも大切やんね。
イライラしたときに。自然体の自分で甘えてもらえることは嬉しいよ。
でも。自分がそう言うことで。相手がどんな気持ちになるか。
難しいけど。気遣えるような2人でいたいねん。
ちょっとクサイけど。これからもずっと一緒にいたいから。
そういう難しいことでも。あたしはがんばって考えたいって思うねん。


何度も言葉に詰まったけど。あたしは一生懸命伝えた。
今度はそうるが黙ってあたしの話を聞いてくれた。
そして。ずっと一緒にいたいからこそ気遣えるようにって言ったあたしに。
「うん。それはうちも同じ考え。」って言ってくれた。


ねぇそうる。あたしはあんたが誇らしかった。
自分の否を。ちゃんと認めて謝ってくれたあんたが。誇らしかった。
あたしやったら。泣いてうまく謝れんかったかもしれんのに(苦笑)。
ちゃんと「ごめん。」って言ってくれたあんたを。
やっぱりさすがあんたやって思った。
そして。これからも一緒にいたいってことに同感してくれたあんたに。
あたしはまた。涙が溢れそうなくらいの幸せをもらった。

バイクにまたがるあんたに。ちょっとだけ体を寄せる。
あんたの髪に唇をつけて。あんたの匂いを胸いっぱい吸い込む。
ええやろ。そうる。あんたは昨日あたしに甘えたんやし。
わがまま言って。やりたいようにやったんやし。
それなら。あたしだってちょっとぐらい甘えさせてもらうもんね。
こうやってあんたをそばに感じるのが。あたしのわがまま。


そうるは何も言わずに。あたしに肩を抱かれていた。
でもあたしがそうるの頭に。あんまり鼻を押し付けるもんやから。
「練習後やでー。くさいでー。」なんて言って。あたしを笑わせた。
そして2人で一緒に笑った。気まずさはもうなかった。

帰り際。あたしの原チャの後ろをそうるが走る。
あたしのスピードに合わせて。ゆっくり走ってくれる。
いつもの分かれ道で。スピードを上げてあたしの隣に来て。
自慢のメットのミラーウィンドを。コンコンって指で叩く。
そうるの目は見えないけど。あたしの心にはちゃんと映る。
ミラーウィンドの向こうで。嬉しそうに笑ってるあんたの目が。
あたしの目には見えないけど。心にはちゃんと見える。
あたしは笑って。ヒラヒラっとあんたに手を振る。

あぁ。よかった。ちゃんと分かり合えて。
いつもいつも甘い甘い2人ではいられなくても。
こうやって。ぶつかることがあっても。
ねぇそうる。あたしはかまわない。
ひとつひとつ一緒に乗り越えていければそれでいいから。

傷ついて。傷つけて。お互い辛い夜を過ごしても。
こうやってまた笑い合えるって。あんたとなら信じられるから。





↑押したら変わる投票ボタンです☆

Myエンピツに追加♪





MAIL

HOME

BBS
BACK INDEX NEXT



↑よかったらぽちっと押してください☆

♪Myエンピツに追加♪


written by さあや

Design by shie*Delicate Erotic

thanks for HTML→HP WAZA !
thanks for Material→NOION
thanks for MIDI→HAPPYDAY