かっしーのつぶやき
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2006年03月26日(日) 三つ目のぼた餅

三つ目のぼた餅、ってご存知ですか。

千葉〜茨城のあたりに伝わる風習で、「赤ちゃんが生まれた日から数えて三日目に、ぼた餅を三つ、親戚縁者に配って出産の報告をする」というものです。元をたどれば、お産を終えたお母さんに、お乳の出がよくなるようにと餅け(もちけ)のあるもの(もち米系食物全般を私の田舎のほうではこう言うのです)を食べさせたのが発祥ではないかと言われております。
なんで三日目で三つなんだということについてその起源は諸説多々あるらしいですが、そもそも行事の中で実動している田舎の人は由来なんてあんまり気にしてません。昔からそうやってきたからこの代もそれに習う、ってそれだけで納得してみんなが動きます。

で、この「三つ目のぼた餅」なんですが、ただのぼた餅じゃないんです。
味は普通のぼた餅ですが、大きさが半端じゃありません。1つあたり、普通の和菓子屋さんに売っている普通のぼた餅のおよそ4〜6倍くらいはあります。
だいたい大人のこぶし2つ分くらいの巨大なもち米だんごのまわりにあんこをびっしりと付けて丸め、それをさらに×3個、お重箱にどかんどかんどかんと巴の形に並べて一組が完成、です。そもそもそんなに大きなぼた餅を三つも入れたらそれでもうお重箱はぎゅうぎゅうです。そのフォルムたるや、甘いものが苦手な人はもはや裸足で逃げ出すしかないような迫力です。そしてもちろんそれは一組だけ作るわけではなく、お知らせする親戚縁者の各所帯の数だけ作ります。家中のお重箱が総動員です。

そう、今回私はこの三つ目のぼた餅のあんこ炊き要員として、実家に召喚されたのでした。
というわけで、本日は朝食もそこそこに、朝から母と私の二人で三つ目のぼた餅作り。

…実際に作ってみてよーくわかりましたが、本当に常軌を逸した巨大さです(笑)。

こういう風習を今日まで残してきた地元の人たちの心根のおおどかさを思うと、思わず微笑させられます。
家にあるありったけのお重箱にぎゅうぎゅうに詰められて、台所の机の上いっぱいに並んだ、お祝いの巨大ぼた餅。その眺めは、いかにもこのへんの代々の人たちが「どうせ同じ餅けのあるものを食べさすんなら、ただの餅より甘くて柔らかいぼた餅のほうがよかんべえ」、「どうせ同じ縁起物を作るんなら、でっかいの三つのほうが豪華でよかんべえ」、というようなノリであれやこれや後付けでゴージャス仕様にしていくうちにいつしかこんな形になっちゃったんだろうなあ、と思わずにいられないような、いい意味で田舎のいい加減さがぽかんと具現化しているような豪快で素朴なフォルムで、眺めているだけでつくづく嬉しくなってきてしまうのでした。

かくて家中大わらわの末に完成した三つ目のぼた餅は、作ったそばから親戚縁者に出産のお知らせとともに配られていき、昨夜2kg炊いた鍋いっぱいのあんこも本日のお昼を待たずしてめでたくきれいに片付いてしまいました。めでたいめでたい。timutaんのお父様にお裾分けしたら大変喜んでいただけて、とても嬉しかったです。

私が祖母から習った唯一の料理がこの「あんこ」でした。だから今回、兄の第二子の三つ目のぼた餅をその祖母直伝の味のあんこで作ってあげられたってことで、おばあちゃんもあの世でちょっとは喜んでくれてるかもしれないなー、…などと思ってみたりする、春の日なのでした。


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